『Play A Life』(3)

2017.11.21(Tue.) 19:00~20:20
R'sアートコート(大久保)5列10番台(センターブロック)

『Play A Life』東京プレビュー公演。
来年1月に青森で公演が予定されている同作品(2組)のうちの青りんご組、唯一の東京公演がこの回。

会場のR'sアートコートは初めて行く劇場でしたが、駅から少しわかりにくい・遠いことを除いて、とっても見やすいステージで良かったです。「R」は東京労音さんの「R」なんですね(正式名称は労音大久保会館といいます)

3人ミュージカル(男性1名、女性2名)で描く物語。
男性の先生役、今回は染谷洸太さん。女性は奥さん役が水野貴以さん、教育実習生役が吉田萌美さん。

教育実習生がやってきた学校で、指導役を務める男性は、実は非常勤講師。教育実習生(彼女)は、そもそも面接で遅刻して失敗した自分の過失は認めつつも、常勤の先生が指導員につかないことに、多少なりともわだかまりを持っていて、最初は彼の話をきちんと聞こうとはしない。

それでも、彼は「非常勤の僕が指導員なんて申し訳ない」と言ってくれたこともあり、変わり者ではあるとはいえ、彼女は彼のことを少しずつ認め始めていく。

そんな導入部から始まっていく「学校」のパートと、彼の帰宅してからの「家庭」のパートが並行して走ります。彼の目の前には奥さんがいて、会話が通じるようで、どこか通じていない、あたかもすれ違いの夫婦のような空気を見せて進行していきます。

この作品は再再演ということもあり、今までのキャストと比べると今回は飛び抜けて”若い”印象を受けます。男性役の染谷氏は、今までの役者さんのイメージが野太い系が多かった(特に原慎一郎さんのイメージが強いからだと思いますが)こともあり、若くかつ少し頼りなげなところが特徴的。逆に言うと、とある事実から目を逸らせない、自分の殻に閉じこもる脆さは今までのこの役をされた方の中で一番強かったかなと。

奥さん役の水野貴以ちゃん。最初、びっくりするぐらい(精神的に)幼く見えたのですが、物語が進むにつれての変化が印象的。彼の中の彼女が「変わらない存在」ではなく、精神的に大人になっていく様が「彼」との対比で心に残りました。止まることでしかできない「彼」と、実は現実と彼から見た世界が乖離している「彼女」と。後半、彼女が醸し出す温かさがとても素敵。なんだか聖母のような、彼の苦しみを全部包み込むように思えたのは新鮮でした。

教育実習生役の吉田萌美(めぐみ)ちゃん。この3人の中では2演目なんですよね。安定感抜群に、若手伸び盛りの(勝手に通称)3枠で生き生きと動いていました。この枠、平川めぐみちゃんが演じたのが一番好きなんですが、萌美ちゃんもそれに匹敵するぐらい好き。この物語の中では、「押しつけがましくないおせっかい」をこの枠の役者さんがどう出せるかでこの作品の空気が変わるんですよね。それほどこの役を演じる方は大事で。利発過ぎない様がまた良かったです。

作品後半、「彼」の入られたくない空間に、教え子は入ってくる。その時の拒絶する空気は、染谷氏の芝居ではあまり見たことがない方向性で新鮮。どちらかというと受容型の役が多かったように思うので、新境地といったところでしょうか。その分、「拒絶したいのに、どこか少しだけ助けを求めている」感じが、後々の物語展開に生きてくるように思えました。

この物語の後半で「彼」は大事な人を亡くした過去を吐露して思いの丈をぶつけます。その大事な人とは彼の祖母。この設定は以前から変わっていないのですが、実は演じられている染谷氏は、先日おばあさまとお別れされたばかりなことを知っていただけに、今このタイミングで「彼」を染谷氏が演じられたことに、運命の神様とも称するべき何かがあったように思えて仕方なくて。

自分自身も大好きな祖母を亡くした経験があるので分かりますが、「自分の心に溶けていく」その様が、脚本と、演じられていた染谷氏とがリンクして、しかも個人的には私にとってもリンクしたのは、なんだかとても不思議な体験でした。

演出的には「彼」が心を閉ざした瞬間に照明を落として、「心の闇」を表現するようにしていたのが印象的。少しずつ心が開かれていくとともに少しずつ明るくなっていく展開が素敵でした。

「今を生きる」をテーマにしたこの作品。

未来ばかり見ていて、今を生きられていなかった教育実習生。
過去ばかり見ていて、今を生きられていなかった男性。

その2人が、共通する1人の女性によって、今を生きることの意味と大切さを知る。

その心の動きが、必要な先入観なしに感じ取れるこの作品は素敵だと思うし、今回のプレビュー公演で使われたセットが、地方公演として青森(1月)、浜松(3月)に持ち込まれて、全く新しい観客の皆さまに伝わることはとても意欲的で。来年の新作もそうですが、意図的に若い役者さんを迎え入れて、アグレッシブに動くエンジンにしようとしているのかな、ということを感じました。

ぜひ地方公演でも新しい出会いがありますように。

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『メリーポピンズ』(1)

2017.11.21(Tue.) 13:30~14:30
都内某所

製作発表に久しぶりに行って参りました。

午後休をいただいたものの、直前に障害が発覚して大慌てで引継をして車を拾う。
うーん、先日のソンダンの時も2回とも(平日ソワレの時と平日マチネの時も)車拾ったなぁ…。

バタバタしつつも態勢を整え、開始5分前に会場着。
普段近くは通るものの入ることは縁がない、某所に緊張するまでもなく、報道陣のほかに募集された、オーディエンス200人の一員として、製作発表を見守ります。とても楽しい製作発表で、立ち会えた幸運に感謝です。

まずは曲披露を一気に4曲。

・チム・チム・チェリー(濱田/平原/柿澤/大貫)
・プラクティカリー・パーフェクト(濱田/平原)
・フィード・ザ・バース(島田/鈴木)
・ジョリー・ホリデー(プリンシパル全員)

どの曲もテンポ良くて聞いていると無条件で楽しくなってくる曲ばかり。

曲披露の余韻のまま、キャスト紹介から一言挨拶から質疑応答に突入しますが、面白かった話をいくつか。

濱田さん「(ディズニーミュージカルの魅力を聞かれて)知っている絵が目の前にはっきりと現れる、その『具現化』に引き込まれる、その中に自分がいられることが幸せです」

濱田さん「(映画とミュージカルの違いは、と問われて)映画は自分の時間で見方を選べる。舞台は劇場に行って自分の身をゆだねる。人生の時間を共有して、わくわく感を感じられるのが舞台、ミュージカルの魅力だと思います」

平原さん「演じる彼女は『完璧』ともいえる女性で、地球の人じゃないみたい。私も以前占いで、「地球に慣れていない」と言われて、前世は『宇宙人』と言われたことがあるので、『宇宙人のころを思い出して』頑張りたい」(共演者笑)

平原さん「(歌とミュージカルの違い、と問われて)まだ3作目ですが、とにかく相手との距離が近い!」柿澤さん「近いですか?」平原さん「近いよっ!」…仲良し(笑)

ちなみに平原さん、前作が『beautiful』でしたが、
「(前作の)キャロルキングをテーマにしたミュージカル『beautiful』ではいっぱいフラれました」という紹介も味わい深いです(爆)

柿澤さん「ようやく愛される役が来て幸せです。今年は何度も人を亡き者にする役で(苦笑)、そういう役もいいですけど、たまには愛されたいので嬉しいです(笑)。今回は誰も死にません!バート、誰も殺しません!(会場内笑)」

歌穂さん「サーマッキントッシュと出会ったレミから30年。氏の作品で、当時レミ初演キャスト同士で出会ったほのかちゃんと一緒に、日本初演キャストで同じ役ができることが嬉しい」

山路さん「(駒田さんと違って、)父というより孫という感じなので、オーディションの時にスタッフさんから『もっと若々しく』って言われちゃったよ(苦笑)」とボヤくのが面白すぎる(笑)

花代さん「(映画と比較してミュージカルならではの楽しみ方を聞かれて)ずっとミュージカルと過ごしてきて改めて聞かれると(ミュージカルの魅力を)表現しにくいのですが、特にこの『メリーポピンズ』では家族と過ごす生の時間を楽しんでほしい」

千愛ちゃん「(映画と比較してミュージカルならではの楽しみ方を聞かれて)毎公演毎公演、客席から違った空気を感じ取れるのが楽しい。Wキャストでの化学反応の違いも楽しんでほしい」

堀社長「今回もお父さんに見てほしい。見たらすぐ家に帰りたくなる、家族に会いたくなる作品です(^^)」

・・・

そんな感じで、ずっとほっこりした空気で進行。

「本番に向けて頑張っていることは?」の問いに、柿澤さんが「ダンスは劇団時代に当時の演出家さんに『才能ない』って言われてずっと嫌いだったんですが…」と言ってたら、横から平原さんが「うまかったよ?」と呟いたら、即座に柿澤さん「ダンス大好きになりましたっ!!!」と答えていたのが面白すぎました(笑)。

今回の製作発表、基本的に壇上にいるのはプリンシパルキャストだけですが、ラストの曲の前にアンサンブルさんを1人ずつ、名前を呼びながら呼び込むのが凄く良かった。

堀社長が仰っていましたが、この作品は「構想10年、オーディション3年」だったそうで、アンサンブルさん1人1人に至るまで、「大切な仲間」「大切な家族」であることを表現しているかのようで、それが何より温かく心に残りました。

ラストはアンサンブルさんも加わって全員での「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」だったわけですが、そこまで順調に進行した司会者さん、案の定この曲の曲紹介で噛みまして(笑)、
カンパニー一同から即ツッコミをもらうという、予想通りの展開が笑えました。

曲も楽しいし、カンパニーもとても楽しそう。
ちょっと出遅れていましたが、来年春に向けとっても楽しみになりました。

動画記事はエントレさん→こちら 

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『ダディ・ロング・レッグス』(8)

2017.11.11(Sat.) 12:30~15:10
シアタークリエ 14列10番台(下手側)

2017.11.18(Sat.) 12:30~15:10
シアタークリエ 12列1桁番台(上手側)

ダディ4演、my初日&my楽日です。

「2回目」って結構好きな回数で、1回目ほど不安にならないし、3回目ほど小慣れてもいない。
1回目で気づけなかったことを気づけるという意味で好きなのです。

話には聞いていたものの、私も好きだった2曲が新曲になっていて、特に1回目は相当戸惑いましたが、2回見てみると、なるほどこれもありなのかと思わされます。

4演目ということで、気にせずネタバレで参りますので、ご注意ください。

今回一番印象的だった言葉は、「義務」と「愛」の対比です。

ジャーヴィスは名家のペンドルトン家の一員として、みなし児たちへの支援をすることを「義務」と認識し
て実行している。いつもは男の子に対してだけしているそのことを、なぜか女の子であるジルーシャに対して行なう。ジルーシャがしたためた文章に対して「類まれなる才能」を認めて。

ジャーヴィスは自ら作った”(自らの既成概念からの)完璧な9箇条計画”によって、自分を安全地帯に置いてジルーシャを眺めていようとしたのに、ジルーシャの好奇心はその壁を越えようとする。ジルーシャの生き生きとした手紙に、段々興味を抑えられなくなるジャーヴィス。

元々本好きだったと思われるジャーヴィスにとって、でもジルーシャの手紙によって「今までの自分の見えていなかった部分」があることを知るんですね。ジルーシャの手紙を読んで「読み返そう」と思うジャーヴィスの変化が興味深いです。

ある時、ジルーシャは「追伸」で『愛』について触れます。ここは4演で大きなシフトチェンジになっていて、1幕の新曲はここで歌われることになるのですが、ここでのジャーヴィスの狼狽えようもさることながら、印象的なのは先ほど書いた「義務」と「愛」についての対比。

ジャーヴィスにとってのジルーシャへの援助は「義務」であって、「愛」によるものではない。そして見返りに「愛」を求めたわけじゃない。なのに、ジルーシャは自分に対して手紙の上であるとはいえ「愛」という言葉に触れている。ここでのジルーシャの「愛」はまだ本当の「愛」になっていなかったとは思うのですが、しみじみ思ったのは、ジャーヴィスもジルーシャも「義務」に生きてきた2人なんだなと。

名家のペンドルトン家に生まれ、家にはなじめずに浮いているジャーヴィスにとって、せめてもの自分の役割として「援助する」という「義務」をすることで何とか自分の存在意義を保ってきた。

孤児となり孤児院で長い期間を過ごし、一番年上となるまで自分の苦しみを横においてでも年下の孤児たちの面倒を見てきたジルーシャは、その「義務」を果たすことが自分にできるすべてで、”自分”という存在に関心を持ってくれた人もいなかった。

ジャーヴィスがジルーシャに高等教育をプレゼントしたことで、まずはジルーシャが変わっていく様がとてもドラスティックで。元々感受性が豊かな彼女が、高等教育という教養、周囲の人たちの(好きではない人とも)かかわりを持つことで世界が広がり、他者に対する”興味”を表に出すようになっていく。

「義務」は自分の心を拘束して、自分の身を縛るけれども、
「愛」は自分の心を開放して、自分の身を動かす

それでいてこの物語の素敵なところは、「それ」を意図したわけではない、ところですよね。
ジャーヴィスはジルーシャが自分のことを思ってくれるなんて、夢にも思っていない。
むしろ迷惑に思っている(笑)。
何しろ、思われることには慣れていない、と吐露しているぐらいですからね。

ジルーシャも、手紙の先がまさか当の本人とは思っていませんから、言いたい放題・書きたい放題(笑)なわけですが、ウィットに富んでいて嫌味がないから、客席から見ていても応援したくなる。演じられている真綾さん自身が形容された「愛あるブラック」の表現が膝を打ちます。

初演当時から絶妙な距離感でこの物語を演じ続けてきた井上芳雄さん(ジャーヴィス役)と坂本真綾さん(ジルーシャ)の関係性は、円熟しながらも新鮮さを保ち続けて、初演以来5年間の歳月を感じさせません。

芳雄氏のこの作品特有の、(最近見なくなった)自信なさげな振る舞いは「あぁ、ダディだなぁ」と思うし、舞台作品では基本この作品だけで拝見できる真綾さんの”気の強さを上品のオブラートで隠す”(わざとちょっと隠さないのが彼女ぽい)様も「あぁ、ダディだなぁ」と思えて、何だかとってもホッとしてしまうのです。

ジルーシャは本心をずっと言っていて、ジャーヴィスは本心をずっと言えていなくて、それでもジルーシャは最後は許す、その理由を考えるに、ジルーシャに”計算”がゼロとは思わないにせよ、「悪意」が存在しないことが大きいのかなと、拝見するたびに思います。

ジャーヴィスの行動は子供ぽい嫉妬からで、自分が気にしていたことは、既に相手に伝わっていたことから、”自分も壁を作っていたこと”を知るからなのだろうなと。

”どちらからも登れない壁”を「チャリティー」は作り出す、とジャーヴィスは言っていますが、ジルーシャにとってジャーヴィスの問いかけに首を縦に触れなかったのは、自分の過去(孤児院にいた自分が、名家に嫁ぐことはあり得ない)ため。

自分の過去にこだわっていた自分が、「自分から壁を作っていた」。

だからこそジャーヴィスが正直に真実を告げたときに、「自分の罪」と「ジャーヴィスが自ら認めた罪」をちょうど消し合う形で、「自分も壁を取り払ってこの人と未来を歩みだそう」と思えたのだろうな、と感じられて、そのラストが素敵でした。

ただ、何より大好きだった「卒業式」の曲が消えてしまったのはやはり悲しくて、確かにジルーシャにとって願いが叶わなかったから「卒業式」が悲しい場になってしまったのは分かるけど、来てくれると信じている間の表現は今までのあの曲を残しておいて、その落差を見せるようにしても良かったんじゃないかなぁ、とは思いました。

ともあれ、シアタークリエが生んだウェルメイドな作品を今回も拝見でき、心温まる時間を過ごせたことは何よりの幸せでした。

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『ソング&ダンス65』(1)

2017.10.24(Tue.) 18:30~20:40
自由劇場 1階15列20番台(センターブロック)

2017.11.16(The.) 13:30~15:40
自由劇場 2階2列30番台(上手側)

『ソング&ダンス』、通称「ソンダン」初めての観劇です。
東京公演(10月~11月)に綿引さやかさん(びびちゃん)が出ることが発表されたのが9月20日頃。
この段階で全公演完売でした。

幸運にもチケットを入手できた回は、その週の日曜日まででびびちゃんが交代(最初の登板の10月20日~22日)することなって涙をのみつつ、別枠とはいえ平田愛咲ちゃんが入ったので、それはそれで涙は引っ込んだ…というわけで、無事、
びびちゃん&愛咲ちゃん両方見られてホッとしております。

女性シンガー枠は3人で、センターヒロイン枠が10月24日は木村さん、11月16日は江畑さん。
メインヒロイン枠が
10月24日は平田愛咲ちゃん、11月16日は三平果歩さん。
サブヒロイン枠が
10月24日は久保佳那子さん、11月16日が綿引さやかさん。

10月24日は愛咲ちゃん以外初見だったので、愛咲ちゃん中心に観ましたが、やっぱり本役の充実度ははっきり出ますね。『美女と野獣』ベルは、舞台では見られずじまいでしたが(京都公演が上手く他作品と合わなくて遠征できなかった)、いたずらっぽさ、変わりもの具合がなるほどぴったり。ラスト男性お2人にリフトされる様がチャーミング。

まだ演じられていない『リトルマーメイド』アリエル役も初めて拝見。愛咲ちゃんはリトマはアンサンブルで名古屋登板があったきりですので、アリエル役はありえる、可能性段階ではありますが、ソンダン東京終了後に博多(地元)アリエルもありえる(しつこい(笑))感じがしました。7月からは札幌で『サウンド・オブ・ミュージック』がありますから、マリア役経験者の愛咲ちゃんはそちらに移行すると思いますので、博多アリエルはありえるとしても(しつこい(爆))来年1月~2月かなと。

『アラジン』のジャスミンも新鮮だったし、『ウィキッド』はセンターヒロイン枠の方がエルファバ、そして残りお2人でWグリンダでしたが、愛咲ちゃん&びびちゃんのWは、何の巡り合わせか実現しなかったのが残念至極。東京最終週は劇団員さんで固めるでしょうから、愛咲ちゃん&久保さんになるでしょうからね。

愛咲ちゃんの登場シーンは演じていない役も生き生きと演じていて、さすがは複数のディズニーヒロインをやってきただけあって、ヒロインとしての説得力がさすがです。若手過ぎるポジションでもなく、安心してヒロインを任せられるのに、フレッシュさも併せもつ感じが、貴重な存在なんだなと思えて。改めて、良かったなぁと。

愛咲ちゃんの回のもう1方の久保さんは初見。『オペラ座の怪人』クリスティーヌ役を務められたことは予備知識としてはありましたが、ソンダン初見のときは曲を追うのに精いっぱいで、どの方が久保さんかを全部認識できなかった部分もあって。
とはいえ不思議なのが、「この曲と役の雰囲気はびびちゃんが来そうだな」と思った曲は結果、久保さんが歌っていらっしゃったので、そういう意味で2人のタイプは似ているんだなと。『ムーラン』のイザベルが一番それを感じました。

久保さんとびびちゃんのWは実に好対照だなと思うのが、音域が完全に逆なんですよね。
久保さんはメインがソプラノで、アルトの地声を使うのは今回が初めてとのこと。
びびちゃんはメインがアルトで、ソプラノを使うのは今回が初めてとのこと。

そして久保さんは『オペラ座の怪人』のクリスティーヌは本役ですから、やはり本役としてのオーラは凄くあって。びびちゃんのソプラノ大丈夫かな、と心配していたのですが、さすがは本番に強いびびちゃん、歌いきっていました。印象的だったのは、クリスティーヌの心情表現。びびちゃんの強みは実はお芝居だと私は思っているのですが、鏡の中に映る、怪人に翻弄される表情は豊かでリアルで、クリスティーヌの心の動きをきちんと見せていて。歌い切ったことにも拍手ですが、”芝居でクリスティーヌを見せる”という、お芝居の面からもアプローチしてくれたことがとても嬉しかったです。本役でも見たい!

ぜひ本役でも見たいと思ったのは『ウィキッド』のグリンダも。センターにエルファバ(この日は本役の江畑さん)を配して、下手側に三平さん、上手側にびびちゃんの布陣でのWグリンダでしたが、2人違ったフレッシュさでとてもいいバランス。役柄的にも、邪心を持たず、本心から思っているのに、エルファバの気持ちをかえってこじらせてしまいそうな、「無自覚の良心」みたいなところが、なんだか合いそうな気がしました。

『リフレクション』は得意の地声ということで期待以上!ソンダンの事前写真で出てた写真は、幕開きとこの曲だったのですね。青のドレスのゴージャスさが波間を模した布に映えて素敵です。

『Crazy For You』でめっちゃ楽しそうに笑顔で歌ってる姿は無条件に楽しいし、イザベルの清楚でいいところのお嬢様なイメージもハマってます。この役も芝居的な面が強そうで合ってました。
意外なところでは『エビータ』が予想外に面白い見せ方になっていました。役柄的には鉄の女として、隙がない方が正解なのかもしれませんが、凛とした中に、少しだけの不安を感じさせる雰囲気はこの役柄として新鮮でした。

実際、幕開きの第一声がびびちゃんですし、手に汗を握りながら、口上までたどり着いてホッとしたわけですが(爆)、確かに客演であの口上を担当するのは並々ならぬプレッシャーだということは実際に同じ空間を共有して心底理解しました。また、ラストのペアは瀧山さんとですから、また凄い立ち位置に…と四季さん若葉マークの私でさえ思うぐらいではあったわけですが。

それでも、四季さんがあの場所にびびちゃんが適任、と考えて配置したその場所で、できるすべてのことをされて立たれている姿、その姿を拝見できたこと。
大変さを欠片も出さずに、笑顔で全力で歌い演じられていること、その姿を拝見できたことは何より嬉しかったです。


以下、セットリストです。ネタバレですので、ご覧になりたくない方は回れ右で。
なお、愛咲ちゃん&三平さんパートありは★印、びびちゃん&久保さんパートありは☆印で表記しています(何曲か抜けていると思いますので、後で補足します)。





●ACT1
1.サムホエア/ウェストサイド物語☆
2.ヴァリエーション23/ソング・アンド・ダンス
3.精たちの登場/青い鳥
4.愛した日々に悔いはない/コーラスライン★☆
5.グリーン・ゲイブルズのアン/赤毛のアン
6.彼はお前のなかに生きている/ライオンキング
7.何かがやってくる/ウェストサイド物語
8.アメリカ/ウェストサイド物語★
9.パリのアメリカ人/パリのアメリカ人
10.パリ野郎☆
11.口笛バレエ/壁抜け男☆
12.イザベルのソロ/壁抜け男☆
13.恋するデュディエル/壁抜け男☆
14.Love Changes Everything/アスペクツ・オブ・ラブ
15.自由を求めて/ウィキッド★☆
16.フラメンコ
17.オーバーチュア/アンデルセン★☆
18.僕はハンス・クリスチャン・アンデルセン/アンデルセン
19.みにくいアヒルの子/アンデルセン☆
20.海の上の世界/リトルマーメイド★
21.深海の秘密/リトルマーメイド
22.Part Of Your World(Reprise)/リトルマーメイド★
23.『Crazy For You』メドレー★☆

●ACT2
24.星に願いを/ピノキオ
25.理想の相棒~フレンド・ライク・ミー~/アラジン
26.行こうよどこまでも/アラジン★
27.リフレクション/ムーラン☆
28.誰にでも夢はある/塔の上のラプンツェル
29.変わりものベル/美女と野獣★
30.オーリム(いつか)~ノートルダムの鐘
  /ノートルダムの鐘
31.陽ざしの中へ/ノートルダムの鐘
32.いつか/ノートルダムの鐘
33.レクイエム~こいつはサーカス/エビータ
34.星降る今宵に/エビータ☆
35.エビータとチェのワルツ/エビータ
36.『キャッツ』メドレー★☆
37.オペラ座の怪人/オペラ座の怪人☆
38.サークル・オブ・ライフ/ライオンキング★☆

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『新妻聖子コンサートツアー2017~alive and arrive~』(2)

2017.11.14(Tue.) 19:00~21:10
bunkamuraオーチャードホール 4列10番台(下手側)

2017.11.15(Wed.) 19:00~21:10
bunkamuraオーチャードホール 13列30番台(上手側)

全国13カ所15公演の新妻聖子コンサートツアーも、オーチャードホール2daysで大楽。

去年はオーチャードホール1日を埋めるのが何とかといった感じでしたが、今年はオーチャードホール2日間をほぼ満員にするという進化。私の周囲は2days参戦が多かったわけですが(爆)、今までのファンだけではなし得ないということを改めて実感する客層の広さでした。そりゃご本人自ら「客層が定まらないのが新妻聖子コンサート」と言及するだけはあります(笑)

逆に言うと、それを逆手にとって、全世代対応型のセットリストになっているのが流石。
パッと見で勝手に分類してみると

子供向け M4 プリキュア
10代向け M16 AKB48
20代向け M15 美女と野獣
30代向け M5 ボディーガード
40代向け M12 ラマンチャの男
50代向け M17 かぐや姫
60代向け M18 長崎の鐘

私見でこんな感じになりますが、どの年代に偏り過ぎることもなく、かつミュージカルに偏るわけでもなく、「どこかで興味を持ってもらった人に、他の楽しみも提供できている」秀逸なセットリストかと。

「美女と野獣」は曲紹介で「誰と歌うんだ美女と野獣」と言われて会場の笑いを誘ってましたが(笑)、野獣役はドラムのマイクさん。マイクさんが出られない地方(福岡ともう1か所)が別の曲になったという話のようです。
「みんなとナナナがやりたいなフライングゲット、2曲続けてどうぞ」が滑らか過ぎて客席から笑いが起こる(爆)。

ではセットリストです。
去年までは終演後のセットリスト公開がありましたが、今回はセットリスト公開せずで終わりました。

●第1部
1.天地の声
2.SWAN LAKE
3.時の翼/映画『とある飛空士たちの追憶』
4.魔女の子守唄
 /映画『プリキュアオールスターズ』
5.歌は魔法
 /映画『プリキュアオールスターズ』
6.I will always Love You
 /ホイットニー・ヒューストン(映画『ボディーガード』)
7.one/コーラスライン
8.All that Jazz/CHIKAGO
9.Another day of sun/映画『ラ・ラ・ランド』
10.自由の鳥になれ、風になれ
11.アライブ

●第2部
12.ラマンチャの男
13.プリュメ街/レ・ミゼラブル
14.夢やぶれて/レ・ミゼラブル
15.Beauty And The Beast/美女と野獣
(M16「聖子のアイドルコーナー」)
16.フライングゲット/AKB48
17.あの人の手紙/かぐや姫
18.長崎の鐘
19.GOLD/GOLD~カミーユとロダン~

●アンコール
20.Nesson Dorma~誰も寝てはならぬ~
 /トゥーランドット

…改めて聖子さんの歌をこうして聞いてみると、随分変わったなぁと感じます。

聖子さんの歌を聞き始めて14年、以前は「歌を歌いこなす」ことに重きを置いていたように思います。歌えることを誇るような面も、ないとは言えなかったと思うのですが、最近の聖子さんの歌にはそれを感じなくて。

歌と素直に向き合って、歌の世界に寄り添って、歌を支配するのではなく歌と一緒に歩むような歌い方に変わってきているように見えて、聞き手として歌に入り込みやすくなったように思えて。

単純に知名度が上がったから人をより集めるようになったわけではなく、”聖子さんの歌”として、ただ押しまくるだけではない、歌の深さを出せるようになったからこそ、これだけ広い客層を集められるようになったのかなと思わずにはいられません。

今回のコンサートの特徴と言えば、比較的(本人比)でMCが控え目ですが、結局喋りはじめると笑いを取るのは聖子さんのいつものことで(笑)。何しろ大楽に至ってはMCが突っ走りすぎ、「MCはこんなですが歌はちゃんと歌います」って(笑)。

「こんな曲も歌っています」で話が出ていた映画2作(M3・M4)の視聴率アンケートは、通常は飛空士<プリキュアの圧勝でしたが、なぜか大楽だけ飛空士>プリキュアで、ご本人もびっくりされていました。
(飛空士20人(本人推定)>プリキュア18人(本人推定))

客席に拍手を求めて「あ、18人ぐらいいらっしゃいますね」の”数えたわけじゃない”アバウトさがさすがMC職人(爆)。

M6の「one」が「ミュージカルを見たことなくてもCMで皆さん見たことがあります…ってずっとツアー中言ってきたんですが、CMではもう10年近く前に流れなくなってるんですよね。世代が(笑)。私は世代ど真ん中ですが」にも噴きました。

選曲面に戻ると、今年のミュージカルヒットということで、『美女と野獣』と『ラ・ラ・ランド』を両方含めているのも印象的。あまり踊るイメージのない聖子さんの、1人ララランドは意外に楽しそうでした。
ちょっと恥ずかしがって踊る感じがチャーミング(爆)

『GOLD』も良かったな。何しろ曲紹介の巧みさは黄金級。流れるような説明にひとかけらの不足もなく、それでいて思いもすべて込められていて、一つ一つの言葉がカミーユの人生を理解する助けとしてくれる。
歌声も、感情に引きずられることなく、曲とカミーユの神髄を聞かせる。聖子さんと『GOLD』の距離感、そこに相互の信頼を感じて。
歌の力を信じて、聞き手を信じて歌ってくれるから、これだけ歌が伝わるのかなと。

最後のMCでは、今までの想いを素直に語ってくれて。

「5歳からずっと歌手になりたくて。その夢を諦めなきゃと思うことも何度もあったけれど、支えてくださった方々のおかげで今までやってこれて、そして今日ここにたどり着けて、皆さんに歌を聞いていただけることが何より嬉しく思っています。舞台俳優という職業柄、皆さまがずっと前からチケットを取ってくれて、この日を楽しみにしてくれて、そして今日この場に来ていただけていることがどれだけ尊いものか、身体に沁みついています。今日、この場においでいただけたことに心から感謝申し上げます。ありがとうございました」

一つ一つの言葉、一つ一つの歌に芯を通す姿、それが聖子さんが辿ってきた「アライブ(alive&arrive)」なのだろうなと、そう感じる素敵なツアーファイナルでした。

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『新妻聖子コンサートツアー2017~alive and arrive~』(1)

2017.11.4(Sat.) 16:30~18:50
福岡国際会議場メインホール C列10番台(下手側)

9月の広島から始まったコンサートツアーも、地方はこの日の福岡公演が最後。
周囲の聖子さんファンから「まだ行ってなかったの?」と不思議がられまくりましたが(笑)この日がMy初日です。

地方ラストでもあり、また聖子さんが大好きな福岡・博多ということもあり、最初からテンションすごく高い。

会場内から巻き起こる拍手に感動され、
「こんなに拍手をいただけて嬉しいです。なんか天ぷらの揚げる音みたいで
というMC第一声からして、すでに新妻聖子ワールド発動(笑)
食べるものに喩えるときが一番テンションが高いということは、聖子ファン歴が長い方はご存知ですよね(笑)

さてそれではセットリストですが、今までの地方公演とちょっと曲目が違います。

●第1部
1.天地の声
2.SWAN LAKE
3.時の翼/映画『とある飛空士たちの追憶』
4.魔女の子守唄~歌は魔法
 /映画『プリキュアオールスターズ』
5.I will always Love You
 /ホイットニー・ヒューストン(映画『ボディーガード』)
6.one/コーラスライン
7.All that Jazz/CHIKAGO
8.Another day of sun/映画『ラ・ラ・ランド』
9.自由の鳥になれ、風になれ
10.アライブ

●第2部
11.ラマンチャの男
12.プリュメ街/レ・ミゼラブル
13.夢やぶれて/レ・ミゼラブル
(M14-M15「聖子のアイドルコーナー」福岡スペシャル)
14.瑠璃色の地球/松田聖子
15.フライングゲット/AKB48
16.あの人の手紙/かぐや姫
17.長崎の鐘
18.GOLD/GOLD~カミーユとロダン~

●アンコール
19.Nesson Dorma~誰も寝てはならぬ~
 /トゥーランドット

福岡・博多は自身にとって節目の土地と仰られていて、舞台デビューの『レ・ミゼラブル』(2003年7月、帝国劇場)の初の地方公演が博多座(2004年1月)ということもあり、「長く見守ってくださっている方が多くいらっしゃる福岡・博多の地で、去年に続けてコンサートをできることが嬉しい」と仰っていました。

『マリーアントワネット』や『ミス・サイゴン』の旧演出版最後の地も博多ということで、「節目節目を迎えている土地という思いがあります」とも。

「空港に降り立つだけで心たぎるのは博多とバンコク」と仰って笑いを取っていましたが、地元の聖子さんファンにお聞きするとMCの定番だそうですね(笑)。

福岡スペシャルとしては「聖子のアイドルコーナー」が、松田聖子さんの出身県ということに敬意を表して(ご本人談)、ということで去年の「Sweet Memories」に続き松田聖子さん曲で、今回は「瑠璃色の地球」。

今回の会場の福岡国際会議場は音響が素晴らしくて、この曲の素晴らしさと聖子さんの歌声の伸びを存分に活かした歌をお聞きできて、至福のひとときでした。

今回の福岡遠征は前日に劇団四季さんの『リトルマーメイド』を最前列で観劇し、この日は聖子さんの歌声を好音響のホールで満喫。当初の想定とずいぶんと変わってしまったけれど(元々の想定はリトマにびびちゃんが出る想定でしたが、結果的にレイナちゃん久しぶりに見られて良かったです)、福岡に来て良かったです。

曲目で印象的だったのはM12「プリュメ街」。
聖子さんが演じられたことがないコゼットの曲ですが、今年、新妻になった聖子さんが歌われたのがとても印象的で。
なるほど聖子さんはエポニーヌからコゼットになられたんだなぁと、変なところで納得しました(爆)。

コンサートのMC回しもかなり小慣れした感じ。
以前の「しゃべりたいこと喋りすぎて、時間が延びる」という感じがほぼなくて、それでいてコンサートの完成度も上がっていて。
本格的なコンサートツアー2回目ということもあり、前年の「こうすればよかった、こうすればもっとよかった」が、記憶が熱いうちに、いい意味で練り直された感じを受けました。

客席を巻き込むのが会場によっては、なかなか堂に入らなかったらしいM15も、事前に客席を煽ったこともあり、収容1000人の福岡国際会議場メインホールの客席がほぼ全員スタンディングで、みんなで一体になれたのも楽しかったです。盛り上がりすぎです(笑)。

それでいてM16-M18のストーリー性のある3曲の重厚さは流石で。
以前もこういった曲を歌われることはあったわけですが、最近感じるのは聖子さんがMCとして話される言葉も、そして歌声も、以前以上に「オリジナルに対するリスペクト」をとても感じるんですね。

歌い手として、物語をしっかり理解して、その上で自分の感じたことを歌声に乗せる。
以前から歌が技術的に上手なことは十分に認識していますが、最近とみに、原曲の尊重すべきところは尊重して、その上でご自身が歌う意味を考えながら歌われているように思えて。

M17「長崎の鐘」のMCで仰られていましたが、「転調する曲調が、(原爆投下後という状況からの)『復興』という思いが込められているように思えて、人間は立ち上がれる生き物なんだと思う」という言葉も印象的で。

今回の選曲は幅広い客層に合わせたかのように、ミュージカルに偏りすぎることもなく、ポップスに偏りすぎることもなく、かといってM16「あの人の手紙」やM17「長崎の鐘」のような歴史ある曲から、プリキュアや「天地の声」のような家族連れ曲まで、幅広く押さえられていた、構成バランスが良かったです。

全体的にMCが本人比(笑)抑え目だった分、カーテンコール直前の物販宣伝コーナーが聖子さんモード全開で。
ハンドクリームが「某社の香り丸パクリです」って言ってみて笑いを取り、カレンダーが「どこまでめくっても新妻聖子ですが、それをご了解いただける方のみご購入ください」と笑いを重ね、タオルにいたっては「某社の承認とってません(笑)」でさらに笑いを取り・・・という、最後にぶち込みまくる残エネルギー量の多さに脱帽(大笑)。

アンコールに至っては「皆さん今日お帰りになって、お食事して寝られると思うのですが、これから歌うアンコール曲は『誰も寝てはならぬ』です(会場大笑)。でも皆さん寝てくださいね(笑)」で締める相変わらずの聖子さんモードに、「変わってないなぁ」となんだかとってもホッとしたのでした。

終演後は毎度恒例のサインお渡し会。福岡公演が素敵だったことをお伝えできて、「東京でお待ちしてます」と言えたのは嬉しかったです。

終演後、印象的だった話を一つ。
会場からタクシーに乗ってコンサートの話をしていたら、運転手さんに「新妻聖子さんって歌のお上手な方なんですよね」と仰っていただきびっくり。
もちろん商売上どなたの公演がやっているか押さえているのだとは思いますが、「名前が知られる」ってこういうことなのかということを実感しました。

そのタクシーで向かった先は中洲川端のビビタシロさん。聖子さんの前事務所の社長さんの縁のお店で、お名前は何度もお聞きしていましたが、念願かなって行けました。
どのお料理も美味で、温かいマスターさん、ママさんにお気遣いいただき、コンサート帰りの皆さまとのひとときも楽しく、博多の夜はすてきな夜になりました。

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『三森千愛ライブ Vol.3~みっつの森の音楽会~』

2017.10.22(Sun.) 18:30~20:20
北参道ストロボカフェ

三森さんのソロライブ、3回目にして初めて拝見します。
舞台では『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』などで何度も拝見していて、ジョイントライブ(ネパールライブ)でも拝見しているのにも関わらず、ソロライブは初めて。

この日は昼・夜の2回公演でしたが、夜の部が三森さんの親友、綿引さやかさんゲストということで夜の部に行ってきました。

まずはセットリストをどうぞ。
今回、セットリストは「がんばる女の子」がテーマで、藤倉梓さんが選曲・構成のアドバイスをされているそうです。

●セットリスト
1.Still Hurting/Last Five Years
2.-
3.Midsummer Eve/PUCK
4.Dear Ever Hansenメドレー
5.Anybody Have a Map/Dear Ever Hansen
   (三森・綿引デュエット)
6.you've got a friend/Beautiful(綿引ソロ)
7.Maybe/ミス・サイゴン
8.エレンとクリス/ミス・サイゴン
   (三森・小野田デュエット)
9.メリーポピンズメドレー
10.犠牲者たち/レ・ミゼラブル
   (三森・綿引デュエット)
11.-/Violet(三森・小野田デュエット)
12.神よ、弱き者を救いたまえ/ノートルダムの鐘
13.Can't take eye's of you
   /ジャージーボーイズ(綿引ソロ)
14.for good/Wicked(三森・綿引デュエット)
15.さよならの向こう側/山口百恵

[Encore]
16.心は愛に溢れて
   /レ・ミゼラブル(三森・綿引・小野田)

三森さんライブ、何となく想像が付いてはいたのですが、MCがとっても天然系で(爆)。
作品の説明も「上手く説明できる自信がないので続きはWebで」と仰り、後方の小澤大先生が噴き出す(笑)。

レミの挨拶の時も「じっくり準備して行ってよしそれで行ける!と思っていたのに、いざ舞台上だと全部吹っ飛んでしどろもどろになっちゃって、でも言いたいって気持ちは残ってるから何度も言おうとして、でもよせばいいのに毎回お辞儀しちゃうから客席から拍手毎回貰っちゃって申し訳なくて」に会場内笑い。

その上、レミ仲間からは「長い」って言われたので(爆)、名古屋大楽では「思ったこと言おう」と思ってその場で話したら、その方が良かったらしく、「これからはそれでいきます」と。

今年ニューヨーク行かれて、当時ブロードウェイで幕が開いたばかりの『ミス・サイゴン』を見に行って、来日もしていたベンが向こうでも朝から晩まで動き回っていて、プレビューから初日に掛けて変化していく様を見られたことが印象的だったのと、エレンがらみが大きく変わっている(ホテルの部屋でジョンはさっさと怒って出ていって、エレン&クリスだけの話し合いに変わっている)という話をされていました。

で、今年のトニー賞受賞作品である『Dear Ever Hansen』の話をしたくてたっぷりレポートにまとめてきた(厚さからして3枚ぐらいあった笑)のを全部話したら、昼のゲストの龍ちゃん(小野田龍之介氏)から「長い」と言われ、夜の部は少し短めに。とはいえ、いっぱいいっぱいなちーさん(千愛さん)の説明をハラハラしながら見守る客席+演奏者一同と、何とか辿りついた時の得も言われぬ空気が面白かったです(笑)。

そしてゲストパートは親友である綿引さやかさん(びびちゃん)を呼び入れての、その「Dear Ever Hansen」からの1曲。ここでちーさんの状況説明が予想通りに迷走し(爆)、まぁ要はちーさんが複数の役を代わる代わる演じて、びびちゃんがその時の相手役を代わる代わる演じるという話だったんですが、ちーさんの混乱がびびちゃんに波及し、珍しく「ど、どーすればいいの」って困りまくってるびびちゃんが観られて新鮮。でも曲が始まっちゃえばちゃんと成立するんですよね。そこがさすがはミュージカル女優さんのお2人。

で、その曲が終わってびびちゃんソロパートに移ったんですが、何と曲が始まって歌い出してすぐびびちゃんが曲を止めるという珍事。小澤先生はじめみんな驚く中、びびちゃん曰く「曲の前に言わなきゃいけないことを飛ばしてまして。これ、ちーと同じですね(笑)」という。

空気に呑まれましたね(爆)

…で、びびちゃんがここで言及してた話が、M6「you've got a friend」に大きくかかわっている話で。

「ちーさんがどれだけ友達思いで、どれだけ親身になってくれるか。自分がエポニーヌに決まった時、心から喜んでくれて、自分が迷ったり困ったりしてたらいつでも来てくれて、メールしてくれて。そんな彼女の温かさが嬉しくて、友達になれてよかった」と仰っていて感動的。

ご自身の言葉でそう言えるびびちゃんも、そう思ってもらえるちーさんも、どちらもが人間的魅力に溢れていて。
MCがちーさん流とはいえ、「本当の気持ちを丁寧に伝えたい」という気持ちがしっかり伝わってくるから、客席も温かく見守っているのだろうなと思えて。

M7はちーさんソロでしたが、M8はまさかの昼の部ゲスト、龍ちゃん(小野田龍之介氏)が飛び入りでのエレン&クリス。ご本人曰く「台風で帰れなくなった」(本人談)と笑いを誘っておられましたが、「びびちゃんと久しぶりに会えるってことでいたんだけど、言われてみればリハで会ってたね」という(笑)、そんなもあってか「まだここにいらっしゃっている小野田さんには」とちーさん言ったが早いか「『帰れ』と言われれば帰りますよ」と返す龍ちゃん、その中間で笑いが止まらないびびちゃんという面白い図式(笑)

M10はバリケードが落ちた後のレミ女性アンサンブルメンバー喪服での曲ですが、昼の部はちーさんが1人で全部歌ったそうで、びびちゃんが驚愕していました。夜の部はびびちゃんがアンサンブル当時の鳩パートを久しぶりに披露、ちーさんが残りパートすべて声色を変えて担当されていました。凄い。

ちーさんソロではM12が絶品。『ノートルダムの鐘』のヒロイン・エスメラルダのソロですが、思いの強さがビンビンに伝わってきて、素晴らしかったです。

場が感動に満ちたままバトンをびびちゃんに渡したM13は、はたまた今度はびびちゃんの客席温め力がエンジン全開。
先日のびびちゃんライブでも披露された、お客様参加型の『ジャージーボーイズ』「Can't take eye's of you」。
客席に拍手を求めるぐらいなら普通ですが、この曲、最近は「『ららら』でいいので客席の皆さんも歌ってくださいね」をびびちゃん仰るんですがこれがまた、皆さんちゃんとできるという。一体になれてとっても好きな企画ですが、終わった後にちーさんも「私はそういう風に客席の皆さんを乗せたりできないので、凄いなと思って見てました」と(笑)。

で、そこまではいい話だったんですが、次のM14、「2人で歌う曲と言えば」と言い出してその後言葉が続かなかったちーさん。びびちゃんがちーさんに耳打ち「曲紹介をしてね」で客席一同&バンドさん(主にドラムの森さん)が大爆笑、という前振りで始まるM14。

ちーさんとびびちゃんの間の友情に言葉なんていらない、そのものが表現された『For Good』は素晴らしかったです。びびちゃんが優しく包み込むように歌い出し、ちーさんが友情への感謝を返して、2人しか見えない世界に飛翔していく様が伝わってきて、2人の間の”離れられない空気”を共有させていただけたことに感謝。

先ほど書きましたが、びびちゃんにとってちーさんが大切な友達であると同じく、ちーさんにとってもびびちゃんは大きい存在だそうで。
アンサンブルからエポニーヌになって頑張っているびびちゃんがいるのに、レミで色々と足踏みしている時の自分が不甲斐なくて、でも初めてレミに入ってきた田村くんもそうだし、頑張っている仲間と一緒だからこそ自分も頑張らなきゃと勇気づけられた存在だったと・・・そうおっしゃられていた関係性は素晴らしいなと。

本編の最後は意外な1曲ですが、MCの最後が「まだ引退しませんが」とみんなが一番気にしていることを言及されてて、ライブを通してMCが研ぎ澄まされた感を感じました(爆)。

アンコールはまさかのレミからの3人「心は愛に溢れて」!

「びびちゃんがいるのでびびちゃんはコゼットです」(笑)のちーさん説明と共に、つまるところ本邦初のびびちゃんコゼット、龍ちゃんマリウス、ちーさんエポニーヌという、世にも珍しい、でもとんでもなく素晴らしい3重奏が、聞ことができて幸せでした。

本編全編に亘って、心は愛に溢れて、場は笑いに溢れていたライブ。
ライブはお人柄、それを改めて実感した素敵なライブでした。

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『I LOVE YOU, YOU'RE PERFECT, NOW CHANGE』(3)

2017.10.21(Sat.) 18:00~20:10
日暮里d-倉庫 A列1桁番台(センター)

2014年に初演(正確にはその前に『I Love You,愛の果ては?』で2演)以来の再演。
タイトルが長すぎて、初演時に略称が「なうちぇんじ」と定着した作品です。

いわば”恋愛あるあるシーン”を繋げ合わせたオムニバス的な作品で、
「太古の昔、男と女は~」と初演同様に高尚な始まりをする割に、肩の力抜きまくりで見られる、ウェルメイドな作品です。

初演当時はscoreさんが直接演出されていたのが、今回は藤倉梓さんが演出を担当することに。
その実、観はじめてしばらくは前回も藤倉さん演出だと思い込んでて、「随所に初演と違うなぁ…」と思っていたら、実は初演は藤倉さん演出じゃなかったという次第。

訳詞が藤倉さんじゃなくて寺崎さん、版権手配が東宝ミュージックさんという時点で「あれ?」と思ってはいたんですけどね。そういう意味ではクリエでやってもおかしくない作品なのかなと。

初演はキャストが完全ダブルキャスト制でしたが、再演ではシャッフル制。
初日のこの日はキャスト全員が初日を迎える形での2公演。明日以降は完全シャッフルに移行します。

キャストは6名(男性3名・女性3名)で、パートによって相手役は変わりますが、基本が大人カップル(この回は木村花代さんと麻田キョウヤさん)、中堅カップル(この回は香月彩里さんと伊藤広祥さん)、若手カップル(この回は今井瑞さんと池田海人さん)。6人中初見なのは若手カップルお2人だけです。

初演キャストは唯一キョウヤさんだけですが、初演ではあのたみー(田宮華苗さん)を相手役に、若手カップルを息子とその婚約相手にして大立ち回りをしていた、”父母の本音”シーン、そのシーンでの花代さんの大迫力の大立ち回りに爆笑。

そうそう、花代さんって『若草物語』の時の魔女の時もそうでしたが、リミッター外すことへの躊躇いが見えないから、その開き直りが流石です。
この作品って、いろんな意味で開き直らないとどうにもならなくて、恥じらいを横に置いて置ける役者さん向きな作品なので(爆)、「どんとこいやー」な関西弁キャラがぴったりです。

それにも増して、ビデオ場面がたみーと違った方向に突き抜けてて、さすが花代さん!と膝を打ちました。ピンクのドレスも、黒の大人っぽいドレスも素敵だったなぁ。

キョウヤさんは唯一の初演キャストの安定感を見せつつ、あの○○所の怖さは超健在。若手カップルまじ震えあがってるじゃん…といいつつ、どことなく哀しみを見せるあたりがキョウヤさんらしくて素敵だなぁと。この作品に悪人はいないんですよね。「男と女」を語っていつつも、「カッコ悪いことも含めて人間って愛らしいんだよね」ということがこの作品の裏テーマだと思っているので。

中堅カップルの安定感は流石です。女性パートは香月彩里さん。『ガイズ&ドールズ』(2010年、シアタークリエ・中日劇場)でアデレイドガールズの1人(ミミ役としてイヤリングを由美子さん演じるアデレイドに借りに来る役)として出演されていて、そのスタイルの良さが印象的でした。

今回の役どころでも健康的な色気を出されていて、長身なこともあり花代さんとの役の切り分けもされていてバランスも良かったです。ちなみに、この役どころは前回はびびちゃん(綿引さやかさん)でしたが、ご本人が記憶から消去していただきたいと願われていた某シーンは、演出が藤倉さんになったためかどうか、かなりまろやかになり、物理的にも、とある「物」は消滅していたのでした(笑)。

男性陣は伊藤広祥さん。『beautiful』でも好演されていましたが、今回も中々な存在感。前回はこのパートは染谷氏でしたが、あの弁護士パートも面白くリニューアル!舞台機構も少し変わって、とある工夫が舞台実用新案レベルの使いやすさで「なるほど!」な納得と、結構な盛り上がり(笑)。

大好きだった「お葬式でデート」のパートは今回は伊藤さんと、若手チームの今井さん。
前回は染谷氏&びびちゃんで、芝居の深さが印象的だったパートで、今回も悪くはないのですが、初演版を見ていると、あと一息、深さが欲しいかなと。

若手チームは女性はその今井瑞さん。意外や意外に初見ですが、思いきりの良さとフレッシュさが好印象。ダブルキャストの(水野)貴以さんを彷彿とさせる雰囲気もあって、ダブルキャストに、なるほど納得です。
花代さん母に良いようにいじられて、ほっぺた変形させられてたの可愛すぎる(爆)。

男性は池田海人さん。今回が初ミュージカルということで、存在感はこれからに期待という感じ。あのシーンでの「ごく潰し」っぽい立ち位置は良かったです(爆)。

・・・

初日ですがこの日は台風接近の前哨戦ということで雨模様。客席も後方席には少し空席が目立つ淋しい状況。何しろ駅から遠いので、よほどのことがないと集客には苦戦しそうな気がします。

この日マチソワ予定でしたが、事情でマチネは手放したので、同キャストで水曜日ソワレを観劇予定ですが、定時の日とはいえ19時d-倉庫はかなり急がないと間に合わないので、戦々恐々としています。

頭を柔らかくできて、何も考えずに笑える作品だけに、ふとした仕事帰りにふっとみられるような、そんな存在の作品であればいいなと願っています。

そういえば今回もシーン一覧、載せてくれなかったなぁ…(セットリストは載ってます)

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『Fate Grand Order THE STAGE』

2017.10.8(Sun.) 17:00~20:40
六本木Zeppブルーシアター
15列1桁番台(下手側)

秋公演千穐楽、幸運にも客席から拝見できました。

夏公演は公演期間が短かったこともありチケットは即完売。

秋公演はただ1回取れた回が、なんと自社内競合により(ちーちゃんのイベントと)ぶつかってしまい、泣く泣く引き取っていただき、舞台で観ることは叶わないと諦めていました。お譲りした方にとても喜んでいただけたのが何よりでしたが。

この日のお昼、女性マスターの千穐楽(つまり前楽)を生配信で見ていたところ、知人のフォロワーさんから「昼は機材席の開放で当日券は皆入れたらしい」との情報を入手。生配信は12日から改めてアンコール放送でいつでも見られるし、1幕とても面白かったし!ということでダメもとで千穐楽の当日券列に並びました。

開演90分前締め切りで待つことほぼ1時間。念が通じたのか、当日券で見られることになり、RiRiKAさんの当日券2連勝(つい先月、クリエでの一路真輝さんの25周年コンサートで、当日券2枚のうち1枚を当てるという奇跡がありました)!

というわけでゲームもしていないFGO初心者なので、てんで見当違いなところはぬるく読み飛ばしてくださいませ。そしてネタバレモードなので、ご注意くださいませ!!

物語の主人公は、特務機関・カルデアに最後に残されたマスター”藤丸立香”とマシュ・キリエライト。
人類の破滅を防ぐことを目的としたカルデアは、観測不能な”特異点”を解消ないし破壊すべく、2人を新たに出現した”6番目の特異点”である13世紀のエルサレムに派遣する。

そこにひょいっと付いてきてしまうのが、万能超人のダ・ヴィンチちゃん。周囲に有無を言わせず「ダ・ヴィンチ『ちゃん』」と呼ばせる押しの強さ、「自分で万能と言えば万能なんです」な説得力、演じたRiRiKAさんのイメージそのまんまです(爆)。

本来は本部でバックアップに回るはずの技術畑な特別名誉顧問という立場でありながら、機関の暫定トップであるロマニも渋々納得させ、3人で飛んでいくのが13世紀のエルサレム…なはずであったわけですが。

辿りついた”13世紀のエルサレム”に広がる、想定と全く異なる世界。
古代エジプトからやってきた”太陽王”と、
キャメロットからやってきた”獅子王”と、王に仕える円卓の騎士たち。
それぞれの想いが交錯しながら、この時代の民の苦しみも描いていく第1部。

上に立つ者の想いはどこか身勝手で、どこか歪んでいて。
民の苦しみを意識してかせざるか、視界の外に置いている。

そんな中、1幕中盤、山の民と共に生き、山の民を護ってきたアーラシュの真っ直ぐさは印象的。
急襲をかけてきた円卓の騎士の一人、モードレッドが急襲に失敗し、自爆しようとするときに止めた一言は胸に刺さったな。

「自分のために自爆するなど何の意味がある。
自分の命を散らすのであれば、大切な仲間のために使え」と。

この台詞を聞いていたのは、実は3人じゃなくて2人。
この前のシーンで、実は追っ手に追われた3人は、2人になっているのですね。

それはダ・ヴィンチちゃんが自ら自爆車を操縦し、追っ手の追撃を止めに行ったから。
オートパイロット機能もない。相手を止めるには、自分が盾になるしかない。
立香とマシュのために、自分は行くしかないと、”笑顔で”向かっていく様はとてつもなくカッコ良かったことを思い出して、この台詞は胸に深く深く刻まれたのでした。

2幕、ラスボスである獅子王と対決するために、この時代の最大の対抗勢力である太陽王(ファラオ)の協力を得ることに成功し、円卓の騎士も一人一人撃破していく。ひょんなことからダ・ヴィンチちゃんも再登場。再登場のストーリーが無茶苦茶過ぎて爆笑しました(笑)が、3人揃って獅子王に向かっていけるようになって何より。

印象的だったのは獅子王と対峙したときに、万能なはずのダ・ヴィンチちゃんが簡単に”対抗できない”と白旗を上げちゃうこと。万能であるがゆえに、自分の限界も、相手の力量も容易に測れてしまうのでしょうね。
でも、マシュも立香も諦めが悪いというか、諦めようとしないんですね。
2人の様を見ていると、「自分の役割だから」を越えた、執念の強さを感じて。太陽王の捨て身の攻撃も借りることで、蟻の一穴を開けることができたとたん、ダ・ヴィンチちゃんが「ごめん、さっきの撤回するわ」って言い出すのも笑っちゃいましたが。

誤りは早く正しておくに越したことはない、という面とマシュと立香の成長を認めてのことかと思いますが、2幕のエンディングに突き進んでいくそれぞれの力の強さは、結局「自分以外の力をどこまで自分の力にできるか」になるかと思うのです。

マシュも立香もダ・ヴィンチちゃんも、自分が助かりたいからとか、自分が任務に成功したいからなんて微塵も思っていない。自分が果たすべき役割を果たすことは、愛する仲間との大切な時間をより長く過ごすためのものだと分かっていて。

カーテンコールで出演者の方も仰られていましたが、この作品の第6章は舞台向きだと。
舞台上で自らの務めを果たすことは、この物語の中で生きることとリンクする、と。

皆がそのエネルギーをもって役を、物語を生きている様を実感できて、とても清々しい気持ちになったのでした。

・・・

今回、この作品を見るきっかけは、ダ・ヴィンチ役のRiRiKAさん。
2.5ミュでは『閃の軌跡』以来2作品目で、場所はいずれもこの六本木Zeppブルーシアター。今回はカルデアチームのママのようなポジションで、ご自身もこのゲームのファンということもあって、ここまで、というぐらいにぴったりはまったかと。

宝塚出身の方って2.5ミュとの親和性が高いと言われますが、男役出身の方だと全体をまとめるリーダー的なポジションになるのに対し、娘役出身の方だとどちらかというとゲスト的なポジションが多いように思いますが、RiRiKAさんは娘役出身なのに今回、リーダー的なポジションも兼ねていたのが印象的でした。

カーテンコールの際に、若手の出演者の方が口々に「まだやりたい、またやりたい」と仰っているのを受けてか、「舞台は終わりがあるからこそ意味がある」と仰っていたのは、あの場でRiRiKAさんでしか言えない言葉だったなと。

アーサー王の偉大さを高らかに、天まで昇るかのような高音で歌い上げただけでなく、全編に亘りいつも明るく前向きに、精神的な支柱として戦われた姿は正に凛々しくて、果たすべき役割を全うされたのかなと。

この六本木Zeppブルーシアターは来月11月に閉館することが決まっており、この劇場でこの作品も、RiRiKAさんも拝見することももうないわけですが、それこそ「終わりがあるからこそ意味があり、だからこそ新しい物が始まっていく」ことを信じたいと思います。

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『パジャマゲーム』(1)

2017.10.7(Sat.) 17:00~19:40
日本青年館ホール 1階1G列40番台(上手側)

東京初日が9月25日、楽日が10月15日ということで、東京中日も過ぎた公演ですが、my初日です。

通常ですと新作は初日付近に拝見するのが普通ですが、職場が変わって平日ソワレの観劇が難しくなってしまったことと、初日が平日だったこと、また当初観劇予定していた日がライブとぶつかってしまったこと、と諸々あってこの日がmy初日。

お会いする方皆さんに「まだご覧になっていなかったんですか?」とビビットに驚かれたことがびっくりでした、そんなに私の行動原理が知れ渡っているとは(笑)

東京オリンピックに伴い国立競技場が拡張されることに伴い、従来は国立競技場に隣接していた2代目の日本青年館ホールは、今年移設されて3代目に。ホテルを併設したホールとして建て替えされ、この公演が2作品目。私は初訪になります。

以前はJR千駄ヶ谷駅から徒歩15分のルートを選択していましたが、良く見ると東京メトロ銀座線外苑前駅の方が遥かに近く、移設されたことでさらに近くになっていました。向かいの秩父宮ラグビー場と神宮球場は開始・終了後は混雑しますので、道の向かい側に渡ると非常に快適でした。

・・・

『パジャマゲーム』といえば「スチーム・ヒート」、というぐらいに有名な曲は2幕初っ端に登場。ベイブ役の北翔さんのダンスの確かさと存在感は流石です。

恐らくはダンスに定評がある北翔さんの退団後1作目に、ということで選ばれた作品かと思いますし、相手役のシドの新納さんもさすがは元トートダンサーということもあり、ダンスのバランスは流石です。パンフの一文が新納さんらしいというか。

作品そのものは1954年の作品ということで、そこかしこに物語的な懐かしさを感じます。
パジャマを作る会社、スリープタイト社の工場が舞台で、工場全員で親睦を兼ねた年に1回のピクニック、と来たら今や日本でさえほとんどないぐらいに前時代的なテーマ。

「楽しい!嬉しい!大好き!」という感じのハッピーミュージカルで、音楽はポップでわくわく。
音楽重視で歌詞がちょっと伝わってこないところはあるけれど、物語的に深く掘り下げるようなテーマではないので、肩の力を抜いて楽しめる作品。

お聞きしていたよりとっつきやすくて、ワクワクする作品ではあるのですが、リピート推しへの決め手に欠ける作品ではあるような気がします。

我らがちーちゃんは、佐山さん演じる社長の秘書、グラディス役。

1幕前半は”デキる”社長秘書として振る舞いますが、1幕後半のピクニックシーンからは、かつて懐かしのサラ役(ダンス・オブ・ヴァンパイア)以来の”エロカワ”が大爆発。ちなみに、参考までに申し上げると上手側はビジュアル的にとっても色々と有難味を認識できる席でございました。こあくまなんだから、ちーちゃんてば。そしてバナナ女優再び(『SHIROH』以来13年ぶり2度目)。

2幕のシドとのシーンは本人の地とは恐らく似ても似つかぬ酔っ払いの大立ち回りがチャーミング。役柄的にお馬鹿な面を少し纏っていたりして、真剣に誘っている感じでもない分、役柄的に嫌味がないのが流石です。グラディスは色気で誘う必要もないポジションなので、逆に言うと色気で誘ってシドを試したうえで、シドが揺れなかった(色気で落ちなかった)からこそ、「会社を変えてくれる」と思って鍵を渡したように思えました。

物語の舞台がパジャマ工場ということもあり、アンサンブルさんによるシーン展開もダイナミック。
女性陣はそれぞれ1人1台のミシン机とともに踊り、男性陣は出来上がったパジャマを運ぶ。どこかレミゼで見たような(作っているものは違いますが)シーン。

アンサンブルさんでは青山郁代さん、音花ゆりさんが印象的。

郁代ちゃんはポジション的にすっかり中堅どころになって、皆をまとめてベイブへ協力的に振る舞ってみたり、励ましてみたり。歌が少ないのは残念ですが、笑顔と共に演じられるダンスの切れが流石です。

音花さんは若干抜けてるキャラが上手いこと特徴が嵌っているというか。前回拝見した『グレートギャツビー』のキャラを見る側も引きずっているせいもあるのかもしれません。

田中里佳ちゃんの超末っ子キャラも印象的でした。

フォーメーションはダイナミックに舞台全体を使っているだけに、客席後方から見た方が見やすそうです。
新装されたこの日本青年館ホールは客席が千鳥配置になってこそいませんが、客席前後の段差がしっかりあり(事実上2段分ある)、非常に見やすいホールです。

それだけに百聞は一見に如かずと申しますか、作品から流れる魅力が、動員に結びついていないもどかしさを少なからず感じずにはいられなかったのでした。

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