『三森千愛ライブ Vol.3~みっつの森の音楽会~』

2017.10.22(Sun.) 18:30~20:20
北参道ストロボカフェ

三森さんのソロライブ、3回目にして初めて拝見します。
舞台では『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』などで何度も拝見していて、ジョイントライブ(ネパールライブ)でも拝見しているのにも関わらず、ソロライブは初めて。

この日は昼・夜の2回公演でしたが、夜の部が三森さんの親友、綿引さやかさんゲストということで夜の部に行ってきました。

まずはセットリストをどうぞ。
今回、セットリストは「がんばる女の子」がテーマで、藤倉梓さんが選曲・構成のアドバイスをされているそうです。

●セットリスト
1.Still Hurting/Last Five Years
2.-
3.Midsummer Eve/PUCK
4.Dear Ever Hansenメドレー
5.Anybody Have a Map/Dear Ever Hansen
   (三森・綿引デュエット)
6.you've got a friend/Beautiful(綿引ソロ)
7.Maybe/ミス・サイゴン
8.エレンとクリス/ミス・サイゴン
   (三森・小野田デュエット)
9.メリーポピンズメドレー
10.犠牲者たち/レ・ミゼラブル
   (三森・綿引デュエット)
11.-/Violet(三森・小野田デュエット)
12.神よ、弱き者を救いたまえ/ノートルダムの鐘
13.Can't take eye's of you
   /ジャージーボーイズ(綿引ソロ)
14.for good/Wicked(三森・綿引デュエット)
15.さよならの向こう側/山口百恵

[Encore]
16.心は愛に溢れて
   /レ・ミゼラブル(三森・綿引・小野田)

三森さんライブ、何となく想像が付いてはいたのですが、MCがとっても天然系で(爆)。
作品の説明も「上手く説明できる自信がないので続きはWebで」と仰り、後方の小澤大先生が噴き出す(笑)。

レミの挨拶の時も「じっくり準備して行ってよしそれで行ける!と思っていたのに、いざ舞台上だと全部吹っ飛んでしどろもどろになっちゃって、でも言いたいって気持ちは残ってるから何度も言おうとして、でもよせばいいのに毎回お辞儀しちゃうから客席から拍手毎回貰っちゃって申し訳なくて」に会場内笑い。

その上、レミ仲間からは「長い」って言われたので(爆)、名古屋大楽では「思ったこと言おう」と思ってその場で話したら、その方が良かったらしく、「これからはそれでいきます」と。

今年ニューヨーク行かれて、当時ブロードウェイで幕が開いたばかりの『ミス・サイゴン』を見に行って、来日もしていたベンが向こうでも朝から晩まで動き回っていて、プレビューから初日に掛けて変化していく様を見られたことが印象的だったのと、エレンがらみが大きく変わっている(ホテルの部屋でジョンはさっさと怒って出ていって、エレン&クリスだけの話し合いに変わっている)という話をされていました。

で、今年のトニー賞受賞作品である『Dear Ever Hansen』の話をしたくてたっぷりレポートにまとめてきた(厚さからして3枚ぐらいあった笑)のを全部話したら、昼のゲストの龍ちゃん(小野田龍之介氏)から「長い」と言われ、夜の部は少し短めに。とはいえ、いっぱいいっぱいなちーさん(千愛さん)の説明をハラハラしながら見守る客席+演奏者一同と、何とか辿りついた時の得も言われぬ空気が面白かったです(笑)。

そしてゲストパートは親友である綿引さやかさん(びびちゃん)を呼び入れての、その「Dear Ever Hansen」からの1曲。ここでちーさんの状況説明が予想通りに迷走し(爆)、まぁ要はちーさんが複数の役を代わる代わる演じて、びびちゃんがその時の相手役を代わる代わる演じるという話だったんですが、ちーさんの混乱がびびちゃんに波及し、珍しく「ど、どーすればいいの」って困りまくってるびびちゃんが観られて新鮮。でも曲が始まっちゃえばちゃんと成立するんですよね。そこがさすがはミュージカル女優さんのお2人。

で、その曲が終わってびびちゃんソロパートに移ったんですが、何と曲が始まって歌い出してすぐびびちゃんが曲を止めるという珍事。小澤先生はじめみんな驚く中、びびちゃん曰く「曲の前に言わなきゃいけないことを飛ばしてまして。これ、ちーと同じですね(笑)」という。

空気に呑まれましたね(爆)

…で、びびちゃんがここで言及してた話が、M6「you've got a friend」に大きくかかわっている話で。

「ちーさんがどれだけ友達思いで、どれだけ親身になってくれるか。自分がエポニーヌに決まった時、心から喜んでくれて、自分が迷ったり困ったりしてたらいつでも来てくれて、メールしてくれて。そんな彼女の温かさが嬉しくて、友達になれてよかった」と仰っていて感動的。

ご自身の言葉でそう言えるびびちゃんも、そう思ってもらえるちーさんも、どちらもが人間的魅力に溢れていて。
MCがちーさん流とはいえ、「本当の気持ちを丁寧に伝えたい」という気持ちがしっかり伝わってくるから、客席も温かく見守っているのだろうなと思えて。

M7はちーさんソロでしたが、M8はまさかの昼の部ゲスト、龍ちゃん(小野田龍之介氏)が飛び入りでのエレン&クリス。ご本人曰く「台風で帰れなくなった」(本人談)と笑いを誘っておられましたが、「びびちゃんと久しぶりに会えるってことでいたんだけど、言われてみればリハで会ってたね」という(笑)、そんなもあってか「まだここにいらっしゃっている小野田さんには」とちーさん言ったが早いか「『帰れ』と言われれば帰りますよ」と返す龍ちゃん、その中間で笑いが止まらないびびちゃんという面白い図式(笑)

M10はバリケードが落ちた後のレミ女性アンサンブルメンバー喪服での曲ですが、昼の部はちーさんが1人で全部歌ったそうで、びびちゃんが驚愕していました。夜の部はびびちゃんがアンサンブル当時の鳩パートを久しぶりに披露、ちーさんが残りパートすべて声色を変えて担当されていました。凄い。

ちーさんソロではM12が絶品。『ノートルダムの鐘』のヒロイン・エスメラルダのソロですが、思いの強さがビンビンに伝わってきて、素晴らしかったです。

場が感動に満ちたままバトンをびびちゃんに渡したM13は、はたまた今度はびびちゃんの客席温め力がエンジン全開。
先日のびびちゃんライブでも披露された、お客様参加型の『ジャージーボーイズ』「Can't take eye's of you」。
客席に拍手を求めるぐらいなら普通ですが、この曲、最近は「『ららら』でいいので客席の皆さんも歌ってくださいね」をびびちゃん仰るんですがこれがまた、皆さんちゃんとできるという。一体になれてとっても好きな企画ですが、終わった後にちーさんも「私はそういう風に客席の皆さんを乗せたりできないので、凄いなと思って見てました」と(笑)。

で、そこまではいい話だったんですが、次のM14、「2人で歌う曲と言えば」と言い出してその後言葉が続かなかったちーさん。びびちゃんがちーさんに耳打ち「曲紹介をしてね」で客席一同&バンドさん(主にドラムの森さん)が大爆笑、という前振りで始まるM14。

ちーさんとびびちゃんの間の友情に言葉なんていらない、そのものが表現された『For Good』は素晴らしかったです。びびちゃんが優しく包み込むように歌い出し、ちーさんが友情への感謝を返して、2人しか見えない世界に飛翔していく様が伝わってきて、2人の間の”離れられない空気”を共有させていただけたことに感謝。

先ほど書きましたが、びびちゃんにとってちーさんが大切な友達であると同じく、ちーさんにとってもびびちゃんは大きい存在だそうで。
アンサンブルからエポニーヌになって頑張っているびびちゃんがいるのに、レミで色々と足踏みしている時の自分が不甲斐なくて、でも初めてレミに入ってきた田村くんもそうだし、頑張っている仲間と一緒だからこそ自分も頑張らなきゃと勇気づけられた存在だったと・・・そうおっしゃられていた関係性は素晴らしいなと。

本編の最後は意外な1曲ですが、MCの最後が「まだ引退しませんが」とみんなが一番気にしていることを言及されてて、ライブを通してMCが研ぎ澄まされた感を感じました(爆)。

アンコールはまさかのレミからの3人「心は愛に溢れて」!

「びびちゃんがいるのでびびちゃんはコゼットです」(笑)のちーさん説明と共に、つまるところ本邦初のびびちゃんコゼット、龍ちゃんマリウス、ちーさんエポニーヌという、世にも珍しい、でもとんでもなく素晴らしい3重奏が、聞ことができて幸せでした。

本編全編に亘って、心は愛に溢れて、場は笑いに溢れていたライブ。
ライブはお人柄、それを改めて実感した素敵なライブでした。

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『I LOVE YOU, YOU'RE PERFECT, NOW CHANGE』(3)

2017.10.21(Sat.) 18:00~20:10
日暮里d-倉庫 A列1桁番台(センター)

2014年に初演(正確にはその前に『I Love You,愛の果ては?』で2演)以来の再演。
タイトルが長すぎて、初演時に略称が「なうちぇんじ」と定着した作品です。

いわば”恋愛あるあるシーン”を繋げ合わせたオムニバス的な作品で、
「太古の昔、男と女は~」と初演同様に高尚な始まりをする割に、肩の力抜きまくりで見られる、ウェルメイドな作品です。

初演当時はscoreさんが直接演出されていたのが、今回は藤倉梓さんが演出を担当することに。
その実、観はじめてしばらくは前回も藤倉さん演出だと思い込んでて、「随所に初演と違うなぁ…」と思っていたら、実は初演は藤倉さん演出じゃなかったという次第。

訳詞が藤倉さんじゃなくて寺崎さん、版権手配が東宝ミュージックさんという時点で「あれ?」と思ってはいたんですけどね。そういう意味ではクリエでやってもおかしくない作品なのかなと。

初演はキャストが完全ダブルキャスト制でしたが、再演ではシャッフル制。
初日のこの日はキャスト全員が初日を迎える形での2公演。明日以降は完全シャッフルに移行します。

キャストは6名(男性3名・女性3名)で、パートによって相手役は変わりますが、基本が大人カップル(この回は木村花代さんと麻田キョウヤさん)、中堅カップル(この回は香月彩里さんと伊藤広祥さん)、若手カップル(この回は今井瑞さんと池田海人さん)。6人中初見なのは若手カップルお2人だけです。

初演キャストは唯一キョウヤさんだけですが、初演ではあのたみー(田宮華苗さん)を相手役に、若手カップルを息子とその婚約相手にして大立ち回りをしていた、”父母の本音”シーン、そのシーンでの花代さんの大迫力の大立ち回りに爆笑。

そうそう、花代さんって『若草物語』の時の魔女の時もそうでしたが、リミッター外すことへの躊躇いが見えないから、その開き直りが流石です。
この作品って、いろんな意味で開き直らないとどうにもならなくて、恥じらいを横に置いて置ける役者さん向きな作品なので(爆)、「どんとこいやー」な関西弁キャラがぴったりです。

それにも増して、ビデオ場面がたみーと違った方向に突き抜けてて、さすが花代さん!と膝を打ちました。ピンクのドレスも、黒の大人っぽいドレスも素敵だったなぁ。

キョウヤさんは唯一の初演キャストの安定感を見せつつ、あの○○所の怖さは超健在。若手カップルまじ震えあがってるじゃん…といいつつ、どことなく哀しみを見せるあたりがキョウヤさんらしくて素敵だなぁと。この作品に悪人はいないんですよね。「男と女」を語っていつつも、「カッコ悪いことも含めて人間って愛らしいんだよね」ということがこの作品の裏テーマだと思っているので。

中堅カップルの安定感は流石です。女性パートは香月彩里さん。『ガイズ&ドールズ』(2010年、シアタークリエ・中日劇場)でアデレイドガールズの1人(ミミ役としてイヤリングを由美子さん演じるアデレイドに借りに来る役)として出演されていて、そのスタイルの良さが印象的でした。

今回の役どころでも健康的な色気を出されていて、長身なこともあり花代さんとの役の切り分けもされていてバランスも良かったです。ちなみに、この役どころは前回はびびちゃん(綿引さやかさん)でしたが、ご本人が記憶から消去していただきたいと願われていた某シーンは、演出が藤倉さんになったためかどうか、かなりまろやかになり、物理的にも、とある「物」は消滅していたのでした(笑)。

男性陣は伊藤広祥さん。『beautiful』でも好演されていましたが、今回も中々な存在感。前回はこのパートは染谷氏でしたが、あの弁護士パートも面白くリニューアル!舞台機構も少し変わって、とある工夫が舞台実用新案レベルの使いやすさで「なるほど!」な納得と、結構な盛り上がり(笑)。

大好きだった「お葬式でデート」のパートは今回は伊藤さんと、若手チームの今井さん。
前回は染谷氏&びびちゃんで、芝居の深さが印象的だったパートで、今回も悪くはないのですが、初演版を見ていると、あと一息、深さが欲しいかなと。

若手チームは女性はその今井瑞さん。意外や意外に初見ですが、思いきりの良さとフレッシュさが好印象。ダブルキャストの(水野)貴以さんを彷彿とさせる雰囲気もあって、ダブルキャストに、なるほど納得です。
花代さん母に良いようにいじられて、ほっぺた変形させられてたの可愛すぎる(爆)。

男性は池田海人さん。今回が初ミュージカルということで、存在感はこれからに期待という感じ。あのシーンでの「ごく潰し」っぽい立ち位置は良かったです(爆)。

・・・

初日ですがこの日は台風接近の前哨戦ということで雨模様。客席も後方席には少し空席が目立つ淋しい状況。何しろ駅から遠いので、よほどのことがないと集客には苦戦しそうな気がします。

この日マチソワ予定でしたが、事情でマチネは手放したので、同キャストで水曜日ソワレを観劇予定ですが、定時の日とはいえ19時d-倉庫はかなり急がないと間に合わないので、戦々恐々としています。

頭を柔らかくできて、何も考えずに笑える作品だけに、ふとした仕事帰りにふっとみられるような、そんな存在の作品であればいいなと願っています。

そういえば今回もシーン一覧、載せてくれなかったなぁ…(セットリストは載ってます)

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『Fate Grand Order THE STAGE』

2017.10.8(Sun.) 17:00~20:40
六本木Zeppブルーシアター
15列1桁番台(下手側)

秋公演千穐楽、幸運にも客席から拝見できました。

夏公演は公演期間が短かったこともありチケットは即完売。

秋公演はただ1回取れた回が、なんと自社内競合により(ちーちゃんのイベントと)ぶつかってしまい、泣く泣く引き取っていただき、舞台で観ることは叶わないと諦めていました。お譲りした方にとても喜んでいただけたのが何よりでしたが。

この日のお昼、女性マスターの千穐楽(つまり前楽)を生配信で見ていたところ、知人のフォロワーさんから「昼は機材席の開放で当日券は皆入れたらしい」との情報を入手。生配信は12日から改めてアンコール放送でいつでも見られるし、1幕とても面白かったし!ということでダメもとで千穐楽の当日券列に並びました。

開演90分前締め切りで待つことほぼ1時間。念が通じたのか、当日券で見られることになり、RiRiKAさんの当日券2連勝(つい先月、クリエでの一路真輝さんの25周年コンサートで、当日券2枚のうち1枚を当てるという奇跡がありました)!

というわけでゲームもしていないFGO初心者なので、てんで見当違いなところはぬるく読み飛ばしてくださいませ。そしてネタバレモードなので、ご注意くださいませ!!

物語の主人公は、特務機関・カルデアに最後に残されたマスター”藤丸立香”とマシュ・キリエライト。
人類の破滅を防ぐことを目的としたカルデアは、観測不能な”特異点”を解消ないし破壊すべく、2人を新たに出現した”6番目の特異点”である13世紀のエルサレムに派遣する。

そこにひょいっと付いてきてしまうのが、万能超人のダ・ヴィンチちゃん。周囲に有無を言わせず「ダ・ヴィンチ『ちゃん』」と呼ばせる押しの強さ、「自分で万能と言えば万能なんです」な説得力、演じたRiRiKAさんのイメージそのまんまです(爆)。

本来は本部でバックアップに回るはずの技術畑な特別名誉顧問という立場でありながら、機関の暫定トップであるロマニも渋々納得させ、3人で飛んでいくのが13世紀のエルサレム…なはずであったわけですが。

辿りついた”13世紀のエルサレム”に広がる、想定と全く異なる世界。
古代エジプトからやってきた”太陽王”と、
キャメロットからやってきた”獅子王”と、王に仕える円卓の騎士たち。
それぞれの想いが交錯しながら、この時代の民の苦しみも描いていく第1部。

上に立つ者の想いはどこか身勝手で、どこか歪んでいて。
民の苦しみを意識してかせざるか、視界の外に置いている。

そんな中、1幕中盤、山の民と共に生き、山の民を護ってきたアーラシュの真っ直ぐさは印象的。
急襲をかけてきた円卓の騎士の一人、モードレッドが急襲に失敗し、自爆しようとするときに止めた一言は胸に刺さったな。

「自分のために自爆するなど何の意味がある。
自分の命を散らすのであれば、大切な仲間のために使え」と。

この台詞を聞いていたのは、実は3人じゃなくて2人。
この前のシーンで、実は追っ手に追われた3人は、2人になっているのですね。

それはダ・ヴィンチちゃんが自ら自爆車を操縦し、追っ手の追撃を止めに行ったから。
オートパイロット機能もない。相手を止めるには、自分が盾になるしかない。
立香とマシュのために、自分は行くしかないと、”笑顔で”向かっていく様はとてつもなくカッコ良かったことを思い出して、この台詞は胸に深く深く刻まれたのでした。

2幕、ラスボスである獅子王と対決するために、この時代の最大の対抗勢力である太陽王(ファラオ)の協力を得ることに成功し、円卓の騎士も一人一人撃破していく。ひょんなことからダ・ヴィンチちゃんも再登場。再登場のストーリーが無茶苦茶過ぎて爆笑しました(笑)が、3人揃って獅子王に向かっていけるようになって何より。

印象的だったのは獅子王と対峙したときに、万能なはずのダ・ヴィンチちゃんが簡単に”対抗できない”と白旗を上げちゃうこと。万能であるがゆえに、自分の限界も、相手の力量も容易に測れてしまうのでしょうね。
でも、マシュも立香も諦めが悪いというか、諦めようとしないんですね。
2人の様を見ていると、「自分の役割だから」を越えた、執念の強さを感じて。太陽王の捨て身の攻撃も借りることで、蟻の一穴を開けることができたとたん、ダ・ヴィンチちゃんが「ごめん、さっきの撤回するわ」って言い出すのも笑っちゃいましたが。

誤りは早く正しておくに越したことはない、という面とマシュと立香の成長を認めてのことかと思いますが、2幕のエンディングに突き進んでいくそれぞれの力の強さは、結局「自分以外の力をどこまで自分の力にできるか」になるかと思うのです。

マシュも立香もダ・ヴィンチちゃんも、自分が助かりたいからとか、自分が任務に成功したいからなんて微塵も思っていない。自分が果たすべき役割を果たすことは、愛する仲間との大切な時間をより長く過ごすためのものだと分かっていて。

カーテンコールで出演者の方も仰られていましたが、この作品の第6章は舞台向きだと。
舞台上で自らの務めを果たすことは、この物語の中で生きることとリンクする、と。

皆がそのエネルギーをもって役を、物語を生きている様を実感できて、とても清々しい気持ちになったのでした。

・・・

今回、この作品を見るきっかけは、ダ・ヴィンチ役のRiRiKAさん。
2.5ミュでは『閃の軌跡』以来2作品目で、場所はいずれもこの六本木Zeppブルーシアター。今回はカルデアチームのママのようなポジションで、ご自身もこのゲームのファンということもあって、ここまで、というぐらいにぴったりはまったかと。

宝塚出身の方って2.5ミュとの親和性が高いと言われますが、男役出身の方だと全体をまとめるリーダー的なポジションになるのに対し、娘役出身の方だとどちらかというとゲスト的なポジションが多いように思いますが、RiRiKAさんは娘役出身なのに今回、リーダー的なポジションも兼ねていたのが印象的でした。

カーテンコールの際に、若手の出演者の方が口々に「まだやりたい、またやりたい」と仰っているのを受けてか、「舞台は終わりがあるからこそ意味がある」と仰っていたのは、あの場でRiRiKAさんでしか言えない言葉だったなと。

アーサー王の偉大さを高らかに、天まで昇るかのような高音で歌い上げただけでなく、全編に亘りいつも明るく前向きに、精神的な支柱として戦われた姿は正に凛々しくて、果たすべき役割を全うされたのかなと。

この六本木Zeppブルーシアターは来月11月に閉館することが決まっており、この劇場でこの作品も、RiRiKAさんも拝見することももうないわけですが、それこそ「終わりがあるからこそ意味があり、だからこそ新しい物が始まっていく」ことを信じたいと思います。

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『パジャマゲーム』(1)

2017.10.7(Sat.) 17:00~19:40
日本青年館ホール 1階1G列40番台(上手側)

東京初日が9月25日、楽日が10月15日ということで、東京中日も過ぎた公演ですが、my初日です。

通常ですと新作は初日付近に拝見するのが普通ですが、職場が変わって平日ソワレの観劇が難しくなってしまったことと、初日が平日だったこと、また当初観劇予定していた日がライブとぶつかってしまったこと、と諸々あってこの日がmy初日。

お会いする方皆さんに「まだご覧になっていなかったんですか?」とビビットに驚かれたことがびっくりでした、そんなに私の行動原理が知れ渡っているとは(笑)

東京オリンピックに伴い国立競技場が拡張されることに伴い、従来は国立競技場に隣接していた2代目の日本青年館ホールは、今年移設されて3代目に。ホテルを併設したホールとして建て替えされ、この公演が2作品目。私は初訪になります。

以前はJR千駄ヶ谷駅から徒歩15分のルートを選択していましたが、良く見ると東京メトロ銀座線外苑前駅の方が遥かに近く、移設されたことでさらに近くになっていました。向かいの秩父宮ラグビー場と神宮球場は開始・終了後は混雑しますので、道の向かい側に渡ると非常に快適でした。

・・・

『パジャマゲーム』といえば「スチーム・ヒート」、というぐらいに有名な曲は2幕初っ端に登場。ベイブ役の北翔さんのダンスの確かさと存在感は流石です。

恐らくはダンスに定評がある北翔さんの退団後1作目に、ということで選ばれた作品かと思いますし、相手役のシドの新納さんもさすがは元トートダンサーということもあり、ダンスのバランスは流石です。パンフの一文が新納さんらしいというか。

作品そのものは1954年の作品ということで、そこかしこに物語的な懐かしさを感じます。
パジャマを作る会社、スリープタイト社の工場が舞台で、工場全員で親睦を兼ねた年に1回のピクニック、と来たら今や日本でさえほとんどないぐらいに前時代的なテーマ。

「楽しい!嬉しい!大好き!」という感じのハッピーミュージカルで、音楽はポップでわくわく。
音楽重視で歌詞がちょっと伝わってこないところはあるけれど、物語的に深く掘り下げるようなテーマではないので、肩の力を抜いて楽しめる作品。

お聞きしていたよりとっつきやすくて、ワクワクする作品ではあるのですが、リピート推しへの決め手に欠ける作品ではあるような気がします。

我らがちーちゃんは、佐山さん演じる社長の秘書、グラディス役。

1幕前半は”デキる”社長秘書として振る舞いますが、1幕後半のピクニックシーンからは、かつて懐かしのサラ役(ダンス・オブ・ヴァンパイア)以来の”エロカワ”が大爆発。ちなみに、参考までに申し上げると上手側はビジュアル的にとっても色々と有難味を認識できる席でございました。こあくまなんだから、ちーちゃんてば。そしてバナナ女優再び(『SHIROH』以来13年ぶり2度目)。

2幕のシドとのシーンは本人の地とは恐らく似ても似つかぬ酔っ払いの大立ち回りがチャーミング。役柄的にお馬鹿な面を少し纏っていたりして、真剣に誘っている感じでもない分、役柄的に嫌味がないのが流石です。グラディスは色気で誘う必要もないポジションなので、逆に言うと色気で誘ってシドを試したうえで、シドが揺れなかった(色気で落ちなかった)からこそ、「会社を変えてくれる」と思って鍵を渡したように思えました。

物語の舞台がパジャマ工場ということもあり、アンサンブルさんによるシーン展開もダイナミック。
女性陣はそれぞれ1人1台のミシン机とともに踊り、男性陣は出来上がったパジャマを運ぶ。どこかレミゼで見たような(作っているものは違いますが)シーン。

アンサンブルさんでは青山郁代さん、音花ゆりさんが印象的。

郁代ちゃんはポジション的にすっかり中堅どころになって、皆をまとめてベイブへ協力的に振る舞ってみたり、励ましてみたり。歌が少ないのは残念ですが、笑顔と共に演じられるダンスの切れが流石です。

音花さんは若干抜けてるキャラが上手いこと特徴が嵌っているというか。前回拝見した『グレートギャツビー』のキャラを見る側も引きずっているせいもあるのかもしれません。

田中里佳ちゃんの超末っ子キャラも印象的でした。

フォーメーションはダイナミックに舞台全体を使っているだけに、客席後方から見た方が見やすそうです。
新装されたこの日本青年館ホールは客席が千鳥配置になってこそいませんが、客席前後の段差がしっかりあり(事実上2段分ある)、非常に見やすいホールです。

それだけに百聞は一見に如かずと申しますか、作品から流れる魅力が、動員に結びついていないもどかしさを少なからず感じずにはいられなかったのでした。

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『Alone With 3』

2017.10.1(Sun.) 18:00~19:40
吉祥寺RockJointGB

「Alone With」もあれよあれよという間に3回目。
内藤大希さん&岡村さやかさんペアで、片島亜希子さん演出で始まったライブ、好評につき第3弾です。

今回は、趣向が変わって第1部は朗読劇「エデンの東のそのまた東」、2部は従来通りのライブです。

朗読劇を執筆されたのは作家の菅野彰(すがのあきら)さん。
以前、『僕は穴の空いた服を着て。』(河出書房新社、2016年刊行)に登場される女性・智美さんを、”さやかさんの声をイメージして書かれた”、という話を聞いたことがあり、その原作を拝見していました。

その女性は、芯が強くて”待つ”女性で、でも”待つ”理由をきちんと納得しないと待つことを決めない、そんな筋の通し方がさやかさんと通じる部分を感じたことを思い出します。

今回、菅野さんは大希くんとさやかさんに当て書きされたということで、その予備的な感覚を持って拝見しました。
1回だけしか拝見できなかったということで理解が追い付かない部分も多少なりともありました。
が、会場限定で販売されていたCDが歌詞カード付きということで、理解の助けになり有難い限りです。

音楽はOne On Oneの浅井さやかさんということで、すっかりOne On Oneの出張作かのような雰囲気ですが、それでも物語が浅井さんではなく菅野さんであるために、少しく空気が違います。

特徴的なのが、大希くんとさやかさんの存在をはっきりと色付けしているところ。

世界が始まった1日目に分けられた「光」と「闇」の存在の、「光」に内藤さんを、「闇」にさやかさんをあてているところ。

陽の空気をもって、
本音を表に出すことにてらいがないようなイメージがある大希くん。
陰の空気をもって、
本音を表に出すことにためらいがあるようなイメージがあるさやかさん。

光は”見えないから”といって闇の存在を怖がる。
闇は”見てもらえないから”といって自分の存在を認められていないかのように思い込み、現実から目を逸らそうとする。

過去、光の素直さはある意味で闇を傷つけた場面ところもあったかもしれないし、闇は光に心をすべて開けていなかった部分もあったかもしれない。

光と闇の道がずっと交わらないようにお互い思っていたけれど、いくつかの交わりをもって、光は闇の存在を認め、闇は光を素直に求めようとしていく。

その様は、『Alone With』当初からすると、本当の意味でお互いを信じて、頼り合うようになった大希くんとさやかさんを投影しているかのようで、感動させられました。

2人の心の距離が縮まって、今まで以上に最高のパートナーとなった今、この朗読劇を上演されたことはとても意味があったことのように思えました。

さやかさんには明るくいてほしいのに、なぜだか影を纏った時に光る、不思議な女優さんだということを認識できたのも嬉しかったです。

第1部セットリストです。

1.僕は宇宙に住みたくない(大希くんソロ)
2.私は地球に住んでるみたい(さやかさんソロ)
3.あなたの訪ねる場所(さやかさんソロ)
4.君が教えてくれたこと(大希くんソロ)
5.エデンの東のそのまた東
 (大希くん&さやかさんデュエット)

第2部は打って変わって、今まで通りのライブに突入です。

自己紹介しないで曲紹介に移ろうとするさやかさんに、大希君がツッコんでさやかさん撃沈、という珍しいパターンから始まる夜の第2部。

第2部セットリストです。特記ない限り2人のデュエットです。

1.This World Will Remember Me/ボニー&クライド
2.See The Light(輝く未来)/塔の上のラプンツェル
3.Last Night on earth/アメリカン・イディオット
4.Hold Me in Your Heart
 /キンキーブーツ(大希くんソロ)
5.So Much Better
 /キューティーブロンド(さやかさんソロ)
6.Step One/キンキーブーツ
<アンコール>
7.I'll cover you/RENT

M1のみ過去の『Alone With』で登場した曲(ちなみに1回目)で、2人から出たそれ以外の立候補曲は全部片島さんに却下されたそうです(笑)

その話の流れで大希くんがいみじくも2回、同じことを語っていたのですが、「自分が思っている『自分に合うこと』と他の方から言われるものは違うんだなと。で、他の方から言われた『自分に合うと思うもの』に気づかされることがこの『Alone With』の良さ」と仰って、さやかさんも頷いておられました。

実際、さやかさんに『キューティーブロンド』のエル・ウッズ、「So Much Better」を歌ってもらおうなんて、普通の感覚じゃ絶対思いつけない!のに、それを実現させる片島さんの慧眼!!

くしくも本役と同じお名前なわけですが(笑)、沙也加ちゃんとまた違う、キューティパワフルブロンドなさやかさんが素晴らしすぎる!!!(←びっくりマーク3つ)
もうむしろ新人公演でやってください(爆)的なサプライズ、観られて大感激です。

最後伸ばし放題伸ばしまくってカッコよく終わり、「伸ばしてましたねー」と楽しそうにツッコむ、ないとうたいき氏が面白すぎる(笑)。曲が曲だけに、終わった後照れ照れなさやかさんも可愛すぎる(爆)。

大希氏のトークの自由さは以前から折り紙付きですが、この日もずいぶん全速力で飛ばした挙句、扱いに困ったさやかさんが一言

「うるさいですね。」

で会場内大爆笑。

さすがにさやかさん、後ろめたかったのか

「もう少し言葉を選べばよかったですね」

に会場内再び笑い。(←筆者注:言葉は選んでも感想は変わらない

その後の

「面倒くさいですね」

でも会場内の爆笑を誘っていました。

で、そんなさやかさんの毒舌に対して、そのちょっと前に大希くんが発したクリーンヒットが、

大希くん「なんだか交通情報みたいですね」
    「なんか心がない感じなんですよ」

さやかさん「(撃沈)」

小澤さん「さやかさんのその(淡々とした)感じでラジオやればいいと思うんですよ。
  ゲスト呼んで毎回さやかさんがバッサリぶった切る(笑)」

さやかさん「いやそれ、私嫌われるんじゃないですかね」

そこに世界の小澤(時史さん)がチャチャを入れて、時々ギターの成尾さんがツッコむという面白い事態に流れていき、何とさやかさんがそれに乗っかり…

さやかさん「(ラジオみたいに)東名高速で渋滞が発生しております(会場内拍手)」

成尾さん「進行に渋滞が発生しておりますので早く進めましょう(会場内大拍手)」

ってあたりが大喜利的にスパーンと決まって会場大爆笑でした。

MCではバンドさんまで巻き込んでの大立ち回りをしながらも、もちろん歌はこの2人ですから第一声から安心のブランド。

M1のボニクラは前見たときも思いましたがさやかさんのめぐさん(本役の濱田めぐみさん)風な雰囲気はカッコよくて色気も艶やかだし、大希くんからのアプローチをさらりと躱す小悪魔感も堂に入っています。

『Alone With』は歌詞が全部片島さんバージョンなので、日本語で聞き馴れたM2、M5、M7も歌詞が違って新鮮です。

『Alone With』は3回やってきて、これからの展望を昼夜間でみんなで話したそうなのですが、なぜだかさやかさんだけが入っていないことが判明してさやかさん「?」な感じに。
「次は私も入れて話させてくださいね」と仰っていました。

大希くんとさやかさん、3回目を迎えて更に心の距離が縮まった感じがありますし、第1部の朗読劇ではないですが、お互いがお互いを必要としあって、頼り合って、それでいて頼り切っていないバランスが素敵です。

”走り出すこと”には長けている大希くん。自身もレミ名古屋の直前の大変なタイミングなのに、それでも「やりたい」と言い出せることが凄い。最初に「走り出そう」と言える人って貴重で、それでこそ周囲も動かされる。

とりわけ、さやかさんは背中を押されて走り出すタイプに思えるだけに、大希くんがいてこそさやかさん、そしてスタッフの皆さんにもエンジンがかかる。走り出せばさやかさんもスタッフさんもこれでもかというぐらいに全力で突っ走る、そんなバランスがとてもいいなと。

ここでしか見られない発見が毎回見られる『Alone With』。
また次の機会を期待しつつ、一つ気になる点を。
会場がここ吉祥寺RJGBに固定化することになると、今でさえ難しいチケット入手が、更に難しくなることが予想されるので、そこだけが気がかりですが、そんな点も次回は改善されますように。

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『綿引さやかライブ 綿と木』

2017.9.30(Sat.) 13:05~14:55
六本木クラップス

綿引さやかさん&木原健太郎さん、お2人のみでは初のライブ。
六本木クラップスさんは、今月2回目。前回は岡本悠紀さんのライブにRiRiKAさんがゲストでこられていたとき、以来です。

木原健太郎さんが参加されている「ベリーメリーオーケストラ」に何回か綿引さん(びびちゃん)がゲスト出演したり、一昨年のコンサート『森ノ音、風ノ声』(マイクを向けられてタイトルを無茶ぶりされましたが答えられなくてごめんなさい(笑)>びびちゃん)でも共演していますが、2人きりは初めてです。

ライブタイトルはお2人のお名前から1文字ずつ取って、『「綿」と「木」』。

ライブ冒頭のMC、このライブタイトル「綿と木」について、びびちゃんは「ずいぶん考えたんです!」と触れてましたが、お客様方からはなぜか反応が薄くて、びびちゃん何だか肩透かしな感じ(笑)。

実際ライブが進んでいったところでライブタイトルはなるほどなぁと思う部分が多くて。
「綿」も「木」も”包み込む”ということでは似ているんですよね。

ふわっと包み込む、びびちゃんの「綿」の肌触り。
しっかりと根を張って護る、木原さんの「木」の頼りがい。

癒し系のびびちゃんの歌声と、木原さんのピアノの優しい音とのバランスは凄く素敵で、とっても癒されます。

さて、それではセットリストです。

<第1部>
1.The Rose/ベット・ミドラー
2.I got Rhythm/クレイジー・フォー・ユー
3.Some Kind of Wonderful
 /キャロル・キング『beautiful』
4.So Far Away/キャロル・キング『beautiful』
5.I Will Be Loved tonight
 /I Love you,You're perfect,Now change
6.Calm/ordinary days
7.smile/チャップリン
8.アヴェ・マリア
 /original(木原健太郎さん作曲)

<第2部>
9.Can't Take My Eyes Off Of You
 /フォーシーズンズ『ジャージー・ボーイズ』
10.cross to you/カーペンターズ
11.once upon a time/東京ディズニーランド
12.part of world/リトルマーメイド
13.on my own/レ・ミゼラブル
14.糸/中島みゆき
15.ハレルヤ~In My life/ビートルズ

<アンコール>
16.You've got a friend
 /キャロル・キング『beautiful』

つい先月まで出演していた『beautiful』から本編に2曲、アンコールに1曲。
びびちゃんご本人が歌っていたマリリンの曲ではなく、キャロルの歌った曲で新鮮。

春に出演した『リトルマーメイド』のM12もそうですが、その舞台の一員として立たれて、主演キャストの横で聞いていたであろうびびちゃんの歌声で聞くのは新鮮で、本キャストとまた違った色が見えるので嬉しい限り。

びびちゃんのキャロルとしては基本は水樹さん寄りなチャーミングな感じですが、途中に入るシャウトは平原さんぽくて、そのミックスぶりがとっても興味深いです。『You've got a friend』は”友達”をとっても大切にされているびびちゃんらしく、本編で歌われていた時のシンシア(ソニンちゃん)の空気も感じたりして。

ちなみに男性パートはすべからく木原さんが担当されていましたが、びびちゃんの歌声との相性もとても良くて、至福の時。

出演作としてセットリスト的には異色な2幕歌い出しの『ジャージー・ボーイズ』からの1曲。
この曲、実は客席みんなに「一緒に歌ってくださいね」が出たのですが、いやまぁこの時の手拍子といい、(歌詞じゃなくていいと言われたからというのもあると思いますが)盛り上がること!
会場みんなでこの曲で盛り上がれたのは何より楽しかったですね。びびちゃんももうとっても嬉しそうで。

「ミュージカル、今来てますよね!」という言葉が本当に心から「そうですよね!」言えるこの空気がいいなぁ。

いつも通り飾らないびびちゃんの歌声に癒され。
ちなみにびびちゃんのMC曰く「いつもより飾らないってことで、いつも履いてる高いヒールは今日はなくて(笑)」というのも面白かったです。

セットリストが異色と言えばオフブロードウェイミュージカルからの2曲(M5・M6)の時の、M5のMCが全般的にお昼に向いてない(大笑)。

10月にscoreさんで再演される『I Love you,You're perfect,Now change(”なうちぇんじ”と略される)』の作品(”恋愛あるある”作品)で、男性が部屋に来ることになった女性が、そういう方向(詳細略)で妄想力全開というMCでしたが、これをびびちゃんがMCするから笑えてしょうがない(爆)。

ちなみに日本語で歌うとあまりにアレなので英語で歌われる、という話でしたが(笑)
え、本編は日本語ですよ(笑)

M6の無茶苦茶ぶりも久しぶりに聞けて楽しかったー。藤倉梓さんお得意の「文字数上限まで日本語で歌詞を埋め尽くして歌わせるところが面白みを醸し出す」な歌詞。もともと曲が無茶苦茶なテンポの曲で、びびちゃん曰く「どんな曲でもドンと来い!な木原さんが、この曲だけは怯んだ(笑)」というのも納得です。
リハーサルでは1度も成功しなかったそうで、本番も本人的には1か所不本意だったそうですが、言われないと気づかないレベル。言わなきゃ大丈夫だったかと(笑)

「夢を叶えるための原動力」そして「夢そのもの」なディズニー曲からも2曲。

M11はディズニーに初めて公式で関わった『Friend Of Disney Concert』で歌われた日本語バージョンで懐かしい。びびちゃんとディズニーって、”心から嬉しい”って空気がこれほどまでにシンクロすることはない、ってぐらいな相乗効果。そんな場が広がることを心から願っています。

びびちゃんのMCは、言葉がとても優しくて、言葉選びに品があって、客席の女性率が高いのもミュージカル女優さんとしては異色と言っていいぐらい。
ただ、この日仰っていたのはご自身の年齢について珍しく言及され、びびちゃんには珍しく少しの迷いを吐露されていたのが印象的。過去の人生を振り返る部分も出てくる年頃になって、「でも今までの人生は楽しかったし、周囲の人生の先輩の皆さま(客席を見回したら客席笑)がとても楽しそうにされているのを見ると、歳を取るのが楽しみ」と仰られていたのが心に残りました。

「今までの選択に対して『こうしておけばよかった』と思うこともあるけど」とおっしゃりながら、でも結局は前を向くことの大切さを本能的に感じられているからこそ、びびちゃんはキラキラされているのだろうなと。

来月から公演が始まる劇団四季さんの『ソング&ダンス65』への出演を控え(出演日は未発表。ディズニーパートがあるようなのでそのシーン?)、この日もライブ後は稽古に直行されたようですね。

来年1月にはシアタークリエ『TENTH』、4月には東京芸術劇場シアターイースト『In This House』、そしてソンダン全国ツアー公演(出演されるかは正式には未発表)、その後は9月の『ジャージーボーイズ』と、1年先までほぼ予定が詰まっているという多忙ぶり。

先の作品が決まっているからこそのやりやすさと、やりにくさは両方あるように思いますが、新たな活躍の場も含めて、びびちゃんだからこそできる存在感を確立していっていただくことを願える、そんな素敵なライブでした。

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『ファインディング・ネバーランド』

2017.9.24(Sun.) 17:00~19:50
東急シアターオーブ 1階21列40番台(下手側)

来日公演、この回が千穐楽。

開幕して好評の評判を聞きながらも、行く日程を決められずにいたら、あと2日というところまで来てしまい、前日のマチネを取っていました。

ところが、観劇前に不用意にも職場に顔を出したら、ちょうど障害が発生していて対応に捕まり観劇が叶わず。そのまま見られないまま終わるとあまりに据わりが悪いので、急遽、千穐楽のこの回を確保。土曜日がB席、日曜日がS席でしたのでえらい高い観劇に付いたのですが、何だか直感というか、今の自分にとって見ておかなきゃいけない作品だろうなというのもあって、無理しても見てけきたかったのでした。

結論から申せば、自分の直感を信じて良かった!

ふとした瞬間に涙が流れて止まらなくなってしまった自分に、戸惑いつつもやっぱり今見逃さずに良かった作品だったんだなと思えて。

・・・

「ネバーランド」という言葉が語る通り、この作品は”ミュージカル『ピーターパン』ができるまで”をテーマにした、作者J.M.バリと、彼を取り巻く人たちの物語。

ミュージカルで続編というのはよく聞きますが(『オペラ座の怪人』→『ラブ・ネバー・ダイ』とか)、今回の場合は本編の前というわけで、Ver.0みたいなパターンで珍しいです。

ただ続編を見る時以上に、本編を見ておかないと、という面はあって、見ていて思うのが『ピーターパン』を見て知っていることが前提なんだなと。さすがはホリプロさんのミュージカル製作歴。

ストーリーに触れますと、最近スランプ気味なバリ氏が、公園で子供たちとその母親・シルヴィアと出会い、自分の中の少年を呼び覚まされていく。今までの焼き直しのような作品群ばかりと喝破され、自分が作品を作りだした頃のワクワクした部分に気づかされ、少しずつ自分を取り戻していく彼。

子供の言っていることだからと言って馬鹿にせず、下に見ない彼。子供を1人の立派な人間として認め、しっかりと向き合う彼に、子供たちも心を開き、シルヴィアとも心が通じ合っていく。

物語中盤、知らず知らずのうちに頼りにしていた子供たちやシルヴィアと会えなくなったとき、バリの中の荒々しい部分を具現化した、『ピーターパン』のとある登場人物と対峙することで、バリは自らの進むべき道を認識して歩きはじめる…

そこまでが1幕で、実際の作品作りは2幕から。
脚本を上げてこないことで信頼を失ったバリの言うことに、最初は取り合わない役者連だったけれども、シルヴィアの言った一言に支配人の心が動かされ、役者たちの心に火をつけていくシーンは圧巻。

”役者は演じる喜びに満ちて役者を始めたのだ”

そんな当たり前のことに目覚めさせられていく、その躍動感が素敵です。

子供たちやシルヴィアのハートで、大人であるバリが子供の気持ちを思い出し、『ピーターパン』の物語の原型が生き生きと動き出すパートは心躍ります。ところが、シルヴィアとバリがとある”秘密”を抱えたことから、子供たち、とりわけピーターはバリに対して心を閉ざしてしまいます。

「大人は嘘つきだ」と。

心を閉ざしたピーターに対して、バリは小手先の弁解では心を動かせないことを認識します。
バリは子供を1人前の人間として認めてきたし、子供相手だからと言って真剣に対峙しないことは、彼を認めないことだと。

バリはピーターにその”秘密”を告げます。
そのことを告げたときのバリとピーターのやり取りを見ていて、不意に涙が溢れてきました。

ピーターは、この時、子供から大人になったのだと。
 その覚悟を決めたのだと。
バリは、この時、
 大人にして子供の気持ちを取り戻したのだと。

バリはピーターから教えられ、ピーターはバリから教えられた。
お互いが心に犠牲を払い、お互いから大切なものを受け取った。

バリにとって、「子供の気持ち」をピーターのおかげで自分が取り戻せたからこそ、この物語に『ピーターパン』という名前、そして役名を付けたのだと思うと
…今まで見てきた『ピーターパン』の物語が自分の中で走馬灯のように押し寄せてきて、涙が止めようにも止められませんでした。

「大人だからって傷つかないわけじゃない」という言葉も今の自分には重かったなぁ。

見ていて「子供だからって自分の自由に生きられるわけじゃない」ことを再認識したし、大人にして子供の気持ちを持つのも、子供にして大人の気持ちを持つのも、どっちも大事でどっちも難しいんだなと思えたのは大きかったな。

それでいて、役者さんたちが生き生きと「演じることの初心」を全開に、楽しそうに演じているエネルギーの爆発を浴びられたのは心から嬉しかったし、理屈以外の何かが確実に心に宿った気がして。

・・・

初演初日、作品を作り出す大きな原動力だったシルヴィアは、とある事情によって劇場に行けなかったのですが、そんな時バリが提案した一つの行動が、この物語の意味を昇華させるかのごとくな素晴らしさ。

心が通じ合った2人だからこその幸福感。

そしてカンパニーみんなの温かい思いが表現されたシーンは、圧巻で圧倒的で、素晴らしく感動的で。

父が亡くなって以来自分に厳しかった母からも、心からの気持ちを贈られたシルヴィアは、嬉しかっただろうなと思うと、ポスターに載っている「シルヴィアが妖精の粉を全身に纏うシーン」の意味を実感して、「本当に良かった」と心から思えたのでした。

・・・

「この作品を上演してくれて感謝申し上げます。『ピーターパン』の一つの一つのシーンが思い出されて、大切なものをまたいただけたようです」という言葉をアンケートまでに書いたのは久しぶりのこと。

一度は見られずに終わりそうだったのに、意地を張ってでも(もう1回取ってまでしても)見られて本当に良かった。

バリ役のビリー・ハーリガン・タイさん。自由に子供の心を纏うその様が素敵でした。日本版(2019年上演予定)は石丸幹二さんが演じられます。

シルヴィア役のクリスティン・ドワイヤーさん。母親の慈愛と、バリへの好意がとても自然で、この作品を温かさで満たされていた功労者の筆頭かと。素晴らしい役者さん(ブロードウェーの『ウィキッド』エルファバ役)でしたが、役としてもとても素晴らしい役。

本音を申しますと、この作品を無理してでも見に行った理由に、この役を玲奈ちゃんがやることがあり得るかということを自分の眼と耳で確かめたい、ということがありまして。

正直言って、玲奈ちゃんがやる可能性はかなりあるし、ぜひやって欲しい役と感じます。

元ピーターパンである玲奈ちゃんが「母」になった後、この役での「母」の役どころを演じられる日が来るのなら、シルヴィア役として子供たちや、バリに対して渡せるものはとても大きなものがあると思うし、『ピーターパン』をホリプロさんがここまで続けたことの意味を拡げられる意味があると思うし、玲奈ちゃん自身も役の幅を大きく広げることができるのではと思い、心から祈る次第です。

あ、ちなみにシルヴィアの母、モーリエ夫人はシルビア・グラブさんがイメージぴったりです。
娘に意地悪そうに思えて、でも実は愛情たっぷりという感じが、上手く表現できそうで。

*実際に両方とも実現したら稽古場がシルヴィア役とシルビアさんで混乱しまくりそうですが(笑)

・・・

会場に響き渡る物凄い拍手に感動し、心から嬉しそうに手を振るキャストの皆さん。
大楽を素晴らしい形で終えられたことを拝見できたことが、とても幸せな時間でした。

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『豪雪』

2017.9.14(Thu.) 19:20~21:00 B列2桁番台
2017.9.23(Sat.) 19:20~21:10 F列1桁番台
下北沢駅前劇場

14日に初日を迎えた「good morning No5」10周年記念公演。

初日に拝見したものの、blogを書けずにいました。

そういえば、初日に見てblogを書けなかったのは過去かなり珍しいのですが、この日は自分の事情と言いますか、体調がよくない上に仕事が多忙、何とかたどり着いた下北沢で、由美子さんからチューハイを手渡しいただいたことに酔い、缶に口を付けたが運の尽き。劇中、体調の悪化にひたすら悩まされ、初日が終わるのを必死で待った…こともあり、初日には物語を読み込もうにも付いていけなかった、のでした。

楽を目前にして、ようやく拝見できてなんとか自分の中で初日がようやく開けた、そんな感じです。

今回、高橋由美子さんがゲストということで拝見することにしたこともあり、こちらの劇団作品で拝見するのも初めてということになり、過去作品がどういったものなのか、パンフレットからしか想像できないわけですが、何となく今回はちょっとマイルドそうな気がしています。

10周年を振り返る作品ということですが、実際には澤田さんの前説に劇団の歩みがあるぐらいで、本編は「10年間という期間」をテーマにしています。

劇中「退屈な女」と言われることに、ことさらに強く反発するシーンがありますが、そのシーンを見ていて、「退屈と言われたくなくてやってきた」ことがメインテーマだったんじゃないかと感じさせられます。

同じく劇中で「コスパを重視するべき」と言及されるシーンもありますが、空気感を感じている限り、コスパを追求すること自体が、劇団が目指して”こなかった”道なんじゃないかと感じて。

コスパ、つまりコストパフォーマンスというのは、掛けたコストに対するリターンの割合が高い方が良いという考え方ですが、パンフレットを拝見する限り、むしろ”楽しいこと”を実現するためにはコスパ無視、そう語っているように思えて、それがそのまま10年間の歩みだったのかなと拝察します。

この作品で10年間の歳月の長さを語っているパートに、由美子さんの学生当時(とっても若いコスチュームです(爆))の約束と、10年後の再会のシーンの対比があります。

由美子さん演じる鶴子は、同級生(異性)曰く、元から大人っぽいタイプで、可愛いけれど精神的に大人なタイプ。「10年後会っても、生きる世界が違っていたら、知らない振りをする」と宣言するタイプ。対する鶴子を好きな男子は「10年後も変わらず好き」と言っている子供なわけですが。

いや実際、10年という月日は人も取り巻く環境も変えるわけで、先のことなんか分からないし、約束なんてできるはずもない、それが実態な訳ですね。

逆に言うと、若い時の約束は、それに捉われ続けるなら、お互いを自由にしないかもしれない。人と人との付き合いが、未来を縛っちゃいけない、そう語っているように見えて。

コスパを重視せず、やりたいことをやってきた、それは劇団の中の人だった澤田さんと藤田さんが語り、10年間の関係を変わらずやってきたことがどれだけ難しいかを、劇団の外の人な由美子さんが語っているのは、何だか対比として印象的でした。
難しいことをやってきた本人たちが語ると、なんだか手前味噌になるような気がしますし、由美子さんが今回の場に呼ばれた理由の一つは、「劇団の外から客観的に10年間の重みを出せる女優さん」という位置づけだったのかなと思いますし、その狙いは一定以上当たっているように思います。

先ほど「人と人との付き合いが未来を縛っちゃいけない」と書きましたが、逆に言うと、「人と人との付き合いが自分たちの今までを作ってきた」面は強いだろうし、その上「これからの未来を作っていく」ために大切な財産となるのだろうなと感じます。

この作品だけでどれだけ突き抜けたか、どれだけ突っ走ったかを見せて頂ききったわけではないとは思いますが、10年間突っ走ってくるにはそれだけの熱量も必要だし、方向性も必要だし、”時に”か”いつも”か、向かい風の中過ごしてこられた姿を「豪雨」でも「暴風」でもなく「豪雪」で表現されたのも何だか興味深かったです。

由美子さん、前半の長台詞は流石の一言ですが、やっぱり外せない、小劇場をたちまち帝国劇場風にするという、歌唱シーンも後半に登場。あぁいう懐メロ風といいますか、ムード歌謡風なのは十八番ですね。
三姉妹の実は最年長、妹の幸子から「姉から『姉さん』と言われる妹の気持ちにもなってや」と冗談半分に責められるシーンが個人的にツボでした(笑)。その幸子役の宮下今日子さんも素敵でした。

澤田さん、藤田さんの両翼の存在感は勿論流石で、野口かおるさんのイレギュラー感もインパクト大。男性陣では市川しんぺーさんの規格外感が相変わらずなのと、久ヶ沢さんの「見た目だけじゃないカッコよさ」が素敵でした。

10年の重みを感じさせつつ、軽く吹き飛ばしてお祭りにしてしまう感じも、この劇団の方向性なのでしょうね。色々面白く楽しみました。

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『しゃばけ弐』(2)

2017.9.6(Wed.) 19:00~21:20 E列2桁番台
2017.9.9(Sat.) 18:00~20:20 L列1桁番台
2017.9.10(Sun.) 17:30~20:10 M列1桁番台
紀伊國屋ホール(いずれもセンターブロック)

「しゃばけ弐」終わってしまいました。
初日以降、全部で4回の観劇。

うち1回は会場の紀伊國屋ホールがある紀伊國屋書店新宿本店2階で行われていた「しゃばけツイートキャンペーン」(コーナーの写真をツイートすると抽選で招待)のご招待をいただいての観劇でした。

初日拝見してからの変化も感じながらつれづれと綴ってみます。

前回書いたときに「タイトルは『空のビードロ』『畳紙』の順になっていて、舞台版は逆の順序」としたのですが、確かにそれはそうなのですが、元が”長崎屋”が主の舞台なので、最初のシーンが長崎屋から始まって、最後が長崎屋で終わる。長崎屋に出入りしている一色屋の娘さん・お雛さん(岡村さやかさん)がメインなのが『畳紙』、長崎屋の若旦那と浅からぬ縁がある東屋の実質的な手代・松之助(平野良さん)がメインなのが『空のビードロ』ということで、サブストーリー2つを繋げて、今回は声だけの出演の長崎屋の若旦那の存在感の大きさを見せている物語。

お雛さんを苦しみから救ったのは若旦那の知恵だったし、松之助を苦しみから救ったのは若旦那の心だったし、そんな若旦那の存在の大きさが次の『しゃばけ参』に繋がっていくわけですね。終演後発表がありましたが、来年4・5月に東京・大阪で上演されることになったとのことです。

今回の本編に戻ると、2つの物語共にテーマになっているのが、実はポスターにも載っている「居場所」というキーワード。お雛に関しては、両親ともに亡くして、育ての親に対しての距離を感じ、心引きこもった末での「白粉(おしろい)」。

自分の素顔を見せないことで、他人を遠ざけるようにしか生きられなくなったお雛。婚約も決まった自分は「傍から見れば満たされている、でも私の心には届かない」と。
そんな”自分”に閉じこもりながら、どうにもできない苦しみを屏風のぞきだけには吐露できる。

一時は「このままの自分でいい」と開き直ったお雛、ただでさえ頑固者なだけに言い出したら聞かない。
そんな頑固者な一面は、さやかさんにも感じる一面なだけに、そんなシンクロも見ていて微笑ましくて。
さやかさんとお雛の印象が被るのは、「不器用だけど、分かっているけど、どうにもできない自分」といった印象が少なからずリンクして見えるところ。実のところ、さやかさん自身はもっと実行力あるお方ですが、何というのか「袋小路に入らせたら説得力がハンパない」あたりが別人物と思えない(笑)

「私は幸せ」という歌詞が何度も出てきますが、最初は心細く、「自分自身を幸せと思い込もうとしない限り自分は幸せになれない」と思っている風。そして助けを求めることしかできなかったのが、だんだんと”幸せになるにはどうしたらいいのか”を屏風のぞきとの”忌憚ないやり取り”から感じ始める。
他人に対して心を閉じずに、他人を信じて進み始めたとき、さやかさんのお雛が歌う「私は幸せ」が、強がりでもなく実感につながっていったのだなと。
その辺りの歌い分けをハートで出せるのが、岡村さやかさんの最大の歌力なんだと思います。

自分の居場所が分からなかったお雛が、実は自分の居場所を作れなかったのは自分が理由だったと、そう向かい合えたことが本当の笑顔につながったんだなと。

屏風のぞきの藤原さんのテンポもとても良かった。きっとお雛だけだと湿っぽい祭りと言いますか、な空気を軽いテンションでポップに仕上げてくれる。見ていて安心できる存在です。

もう一方の物語、『空のビードロ』の松之助を演じた平野さん。東屋の”小僧”といいつつ実質的には”手代”レベルの中堅どころで一目置かれる存在ながら、今や育ての親もなく、自分の居場所がどこかを見いだせない様を、丁寧な脚本とともに演じられていました。松之助が真摯だったからこそ、見えない力も含めて松之助を応援してくれたのかなと。

ストーリーとしても大好きな物語ですが、とりわけ『空のビードロ』の感動的な場面は、若旦那に受け入れてもらった自分、ようやく居場所を見つけた自分の喜びのバックに流れる「ここにいていいんだ」のコーラスに、前半でお雛さんをやっていた岡村さやかさんが入られていること。

自分の居場所を見つけられずにいたお雛が、一足早く自分の居場所を見つけて、今度は松之助を応援するかのように後押ししているように感じて、『居場所を探した同志からのエール』のように聞こえて。

ラスト全員で歌い上げる場面でも、自分の殻に閉じこもっていたお雛とは別人のように「誰かを愛したい、誰かの力になりたい」と歌い上げる様は、”自分の居場所を見つけようとして、生きる様”をはっきりと見せているかのようで、毎回感動させられたのでした。

浅井三姉妹(岡村さやかさん、田宮華苗さん、千田阿紗子さん)もそれぞれ大活躍。

田宮さん演じるおみつの役柄上の腹黒さが嵌りすぎて困る(笑)
擬音で言うところの「きしし」って感じの策士ぶりが流石です。

表面上の策士ではなく世渡り上手ということで言えば千田さんも流石なポジション。
奉公人を上手くまとめ、おみつに逆らわない辺りはイメージぴったり。
パフォーマー(アンサンブル)だけでなく、演出助手も兼任されていたとのことで、八面六臂の活躍も流石です。

この日は千穐楽ということで、各キャストからお1方ずつご挨拶。

何だか最初の美木さんが「○○スキー」をテーマに付け始めたもんで、諸々大爆笑な展開が。

両思いだったのはお雛←→正三郎だけで、あとみんな片思いってのも笑いましたが(笑)、

さやかさんが「正三郎スキーで行きたいと思います。あ、今日までそうじゃなかったわけじゃないですよ」と慌てて否定していたの可愛かったです。

珍しく何を言うかすっ飛んでしまったたみさん。「もう明日から他人を騙さないで生きていけると思うと嬉しいです(笑)」

平太くんの成長が凄いと感心していた千田さんだったり。

藤原さんが最後に仰っていた「しゃばけの最初から出ている我々としては、どうやって物語を継いでいくかを意識した」との言葉がとても印象的でした。

「今回は仁吉も若旦那(植田さん)もいないし、『畳紙』やるよって言われて、相手役は岡村さやかだよって言われて…前回はただ楽しんでいれば良かったのに、今回はいきなりメインで、しかもこんな歌上手な方が相手役ってプレッシャーしかなかった」とも仰っていたのも印象に残りました。

ダブルアンコール(歌)もあり、ほっこりとした印象のままでの千穐楽。千穐楽の模様はDVD事前予約特典として収録されます。

来年春の再演は『ねこのばば』原作にて上演となります。今回と同じように2作混成になるかは未発表ですが、どんな感じになるのか興味津々です。

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『HIBARI』

2017.9.3(Sun.) 14:00~16:10
東京芸術劇場プレイハウス
2階C列30番台(センターブロック)

NBAバレエ団公演で2部制になっているこの公演。
第2部で美空ひばりさんをフューチャーしており、第2部の部分が今回再演です。

第1部は「The River」を日本のバレエ団として初上演。
普段バレエを見ない私のような人間でも、身体ってここまで自由自在に動くものか感嘆させられます。
優雅さや鋭さ、キャストそれぞれの持ち味が見えてくるようで、新鮮な体験でした。

第2部は前回好評とのことで2年ぶりの再演となった「HIBARI」、このパートが再演部分ですが、美空ひばりさんの生涯を、曲とバレエのコラボレーションで振り返る作品。
前回のナビゲーターは元宝塚の和央さんでしたが、今回のナビゲーターは綿引さやかさん(びびちゃん)。

曲のテーマにあわせて、ご自身初だそうな燕尾服をお召しになり登場し、各曲と各曲の「間」をつなぐように、主にナレーター的なポジションで作品を進行されていきます。衣装は中盤の真紅のドレスから、最後の黒い喪服風の服へ。真紅のドレスは以前、ヤマハホールや福岡のコンサートで着られていたものかと思いますが、あとの2着は初めて拝見します。

初演同様、台本は一切持たない志向とのことで、台詞から歌まで台本なしの進行ですが、美空ひばりさんという存在の大きさに萎縮せず、ひばりさんの魅力に魅せられた一人という立場で取り組まれていたように見えたびびちゃん。

美空ひばりさんといえば、日本復興の道のりとともに、皆の中、特にお年を召した年齢層にご自身の歴史とシンクロする大きな大きな存在で、きっとそのひばりさんを分かった振りをして取り組んでも意味がないし、感動してもらうこともできないと思うんですね。

ひばりさんの苦しみも喜びも、まるでそばで見てきた娘さんかのように、心からの尊敬の念とともに進行されたびびちゃんの姿はとても光っていて。過剰に感情を押し付けることは決してなくて、観客の皆さんのなかにある「ひばりさんの存在」をすっと浮き上がらせるように、表情と感情と言葉で優しく温かく伝える姿はとても素敵で。

そしてもちろん、NBAバレエ団の皆さんが作り出す、ひばりさんの空気を再現するバレエとの融合も意識されていて、「演じる側の気持ち」として、「お客さんあっての私」と仰ったひばりさんのハートにも寄り添われていて。

歌こそ少なかったですが、その中でもとりわけ『愛燦燦』の歌唱パートはとても深くて、演技と歌とハートにいつも接されているミュージカル女優の面目躍如で。そのうえ「テーマに寄り添い、お客様に寄り添い」というびびちゃんのポジションがどれだけお客様に伝わったかは、最後の拍手の温かさにすべて現れていたかと。

この公演が発表されてからずっと思ってきたことで、実際に拝見しても思ったことが、びびちゃんが先日まで出演されていた『Beautiful』との共通点。

『Beautiful』の主人公であるキャロル・キングがアメリカの魂を体現する存在だからこそ熱狂されることと、『HIBARI』の主人公である美空ひばりさんが日本の魂を体現する存在だからこそ熱狂されることはとても似て感じて。

そう考えると、そんな2作品に出演されて、主人公に近い位置で佇んだ経験は、いろいろな点でびびちゃんのこれからへの大きな財産になるように思えてなりません。

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