『とある飛空士の追憶』

2011.10.1(Sat.)
12:00~14:05
シネリーブル池袋 シアター1 F列

毎月1日は映画の日、その日に公開がぶつかって更に舞台挨拶も付いて、さらに新妻聖子さんの歌披露まであるという、これ以上お得な回はないと思われるこの日の池袋。
1週間前に劇場で前売りを買ったときは3列目中央が取れましたが、最終的には完売でした(多少席の空きがありましたが)。

事情があって2枚目を買いに行ったら、「(特典付)前売り券を購入されてから席指定されますか?」と言われて普通なら「はい」答えるところですが、もともとキャラ萌えでこの作品を見ることにしたわけじゃないので、安い方にしました(笑)。←300円差。

主人公・狩野シャルルを演じるのは神木隆之介さん。舞台挨拶で知ったのですが、18歳ということで若いんですね(役柄の設定は21歳)。皇女・ファナを12000km離れた本国に単機で送り届ける任務を任せられた、国随一の実力を持つ飛空士。

ヒロインの皇女・ファナを演じるのは竹富聖花さん。声優初挑戦ということで初々しさが随所に感じられました。舞台挨拶でもとても初々しいながら、端々にしっかりした感じを漂わせ、いつかこの方のデビュー作を見たことがあると言えるような声優さんになってもらえたらなと思ってみたり(今となっては新妻さんの舞台デビュー初回を見ているのがプレミアになったかのように)。

そういえばファナのことを「男性はこういう女性が好きですよね」とCDのインタビューで語っていたのが新妻さん。感想が新妻さんらしすぎて笑いましたが。

基本、この2人の心の通い合いがストーリーの本軸ですが、敵の哨戒網を突破(最初「紹介網」と漢字変換されてなんじゃそれ(笑))するわけですので、アクロバティックな映像がとても綺麗です(むろん、スクリーンの中はそれどころじゃないわけですが)。

その点は舞台挨拶で、宍戸監督(ちなみに作品監督は初だそうです)が「一番苦労したところは」と問われて、「空と2人と海しかない、どう画面を展開していいかとても困った」と言われていたのが印象的。

最初は画面進行も堅いのですが、それは主人公とヒロイン、シャルルとファナの距離感を大きく反映している感じもあって。
この飛行機は水素燃料を航続距離1日分しか積めないので、途中、敵から見つからないように夜を明かす必要があるのですが、初日の夜明かしのシーンで、飛行機から不注意で落っこちたファナ。この時、身につけていた防具を水中に捨てて、シャルルが助けるのですが、その後の件が面白かったり。

ファナ「私、住まいから見下ろす海が綺麗で、いつか泳いでみたいと思っていたんです。こんな形で叶うなんて」
シャルル「泳いだんじゃなくて溺れたんですけどね」
ファナ「(いじわるぅ・・・)」

みたいなところがツボ(笑)。

この作品のヒロインに必要な要素は視力2.0(推定)だったりしますが、箱入りのお嬢様な割りに実戦適応力が高く、逆に言うと見張りの訓練は受けていても、射撃訓練は受けていなくて、それでも結果的に敵機の翼片方吹っ飛ばすとかご都合主義ていたりしますが(爆)。

本国の手前で全滅した第八艦隊の生き残りの艦船にファナを引き渡し、貧民街育ちのシャルルは足蹴にされて報酬だけ渡されて、ファナの願いである「一緒に凱旋する」を妨害されるシーン。その時にファナが言う言葉は印象的。

「必死になって命をかけて私を守ってくれたのよ。あんたたちはただふんぞりかえっているだけじゃない」

そしてファナが甲板に出るのを妨害され続けるんですが、船長(艦長)は偉かった。
シャルルも漢だったけど、船長(艦長)もそれ以上の漢。

ファナの言うことをちゃんと聞いて、自らの責任で「道を開けるように」と命令した姿は「この国にもちゃんとした軍人がいるんだ」と思えて、ファナじゃないけどちょっとほっとした気持ちになったりして。

ラストは「そうなるだろうな」と思っていたことをシャルルがやって。
うん、非常にスッキリするラストでした。

んで。

タイトルクレジットが流れる中、流れる曲は新妻聖子さん「時の翼」。

この曲、本編でも実は鼻歌で何度も歌われる、実はシャルルとファナの関係に大きく関係する曲だったりするのですが、実は実は。

タイトルクレジットのトメが何と新妻さん。

ちなみにご本人に「映画初トメおめでとうございます」ってツイートしたら「トメって何ですか」って返されましたが(笑)。
「基本的にトップクレジットのことです」(正確には役者か役のどちらかがトップクレジット)と説明したら「畏れ多いです」って返してもらって超思い出です(笑)。

そう、実はこの作品で新妻さんは声優をしているんですね、わずか1シーンなんですけど、超重要シーンです。

舞台挨拶で紹介されるときに司会者から最初は「声優を演じられ、主題歌も歌われています新妻聖子さんです」とされていたのですが、新妻さんはご自身が声優をしたという認識が全くないようで、全く触れなかったためか、2回目以降は声優シーンについて話を触れられることはなかったという・・・(爆)

というわけで舞台挨拶ネタです。

宍戸監督「初めての監督で、とにかく全てが苦労でした」

神木さん「自分自身18歳で、21歳の役は未知の領域。声を低くしたりして想像して演じました」

竹富さん「初めての声優で、台本に書かれていない、ファナの息づかいだったりがとても難しかったです」

富澤さん「初めての声優でしたが楽しめました。皆さん、良かったと思う方は拍手をお願いします(拍手)。良くなかったと思う方は拍手(拍手なし)。・・・はい、ありがとうございます(笑)」

新妻さん「監督さん以外初めてご一緒するので(※)、シャルルだ、ファナだー!と思いながら見ていました」

富澤さん「僕(千々石)は言ってくれないの?」

新妻さん「いやいや、富澤さん声素敵でした~。(突っ込まれてしどろもどろ) 後でこっそり言おうと思っていたんですよ~。・・・あれーご挨拶、こんなはずじゃなかったのに(笑)。これから歌をご披露するということで緊張しています。よろしくお願いします。」

場を全部持っていった姫に完敗(笑)。
富澤さんも「突っ込むならこの人だ」と思っていたんでしょう(笑)。

ちなみに
富澤さん「普段俺はボケなんだけど、何でツッコミしてるんだろう」
も面白かったです。

答えは「そこに天然ボケさんがいるから」ですね(爆)。


(※)9月22日に一ツ橋ホールで開催された試写会は、台風の影響によりアメリカからの飛行機が飛ばず、新妻さんは欠席でした。ですから元々は、この日が初対面じゃなかったはずだったのでした。


ひとしきり会話された後、新妻さんによる生歌ご披露。

とにかくガチガチの究極(新妻さんの歌う風景なんて50回超えるほど見ていると思いますが、上位3位にまでは入る緊張ぶり)でした。世界観と合っている曲ですが、立場的には「お客さん」で、作品に迷惑をかけちゃいけない、絶対に間違えられない、と緊張しているのが肌で伝わってきました。

最初はおそるおそる歌っている感じでしたが、「好きに歌っていいよ」とCDでも言われたというラストは本領発揮。全般的に歌いにくそうな感じはありましたが、それでもやっぱり綺麗な歌声。

作品の爽やかさを増幅させるかのような主題歌、とても清々しい気持ちで映画館を出たのでした。

そういえば「時の翼」、タワーレコード特典の栞を入手し損ね、ちょいしゅんとしていたりして。某店の店員さん、言わなかったからくれなかっただけのような感じもしたけど。何はともあれ、祝3枚目(爆)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『釣り刑事2』

2011.5.9(Mon.) 21:00~22:54
TBSテレビ「月曜ゴールデンドラマ」

端っから宣言しときます。

ゲストの女優さん目当てです(笑)。

由美子さんが2時間ドラマのゲストというのは本当に久しぶり。

以前のように2時間ドラマのレギュラーを持っていないので、2時間ドラマは年1回かそれ未満という感じですが、今回はそのものずばりの女優役。

身辺に変な話が起きててストーカー被害にあっていると言えば、ファンなら誰もが知ってるリアルな話なのですが(5年間ストーカー被害に遭っていて最終的には犯人は逮捕されました)、それでいてこういう役どころを仕事として普通に受けてしまうのが何というのか、「これでも女優ですから」ってのがそのものでした(苦笑)。

少女をいびり倒す継母とか、ハマりすぎて嫌になってしまいますが(笑)、このドラマ、アイドルファン向けと申しますか、このいじめられてた少女を演じていたのが、AKB48の仲川遥香さん。
そして婦人警官役に石川梨華さん(モーニング娘。)
ということで2010年代→2000年代→1990年代揃い踏みと、ある意味狙い所がはっきりしすぎてて面白い。

由美子さん演じる楓のマネージャー役の柊瑠美さんも、子役としては有名な方だそうで、それをストーリー的に組み込むあたり、脚本さんのアイドルヲタぶりというか嫌らしさというか(笑)

それにしても、ゲスト役だから出番が少ししかないと思いきや、意外や意外に出番が多くて、アップも多かったのでやいのやいの言う人の気持ちはよく分かるのですが(舞台だと引き締まってるのになんでテレビだとこうなるんだろ・・・)、それでもストーリーとして締めるところはちゃんと締めるのはさすが。

由美子さんの演技の強みって、”空気を止められる”ことだと思うんですね。

印象的だったのは喪服姿で夫について語るシーンの、淡々と恬淡と空恨むあたりが、とてもリアルで。
なんで結婚も離婚もしてないのに、夫婦役と未亡人役が上手いんだか意味が分かりませんが(笑)。

幸いというのか声のトーンが低くて、しかもコントロールできるので、シーンが凄く落ち着くのですね。
反面、激しい演技は昔から苦手で、どうしてもわざとらしくなるきらいがあったのですが、夫の自殺未遂を止めるあたりのくだりはどうして、今まで余り見たことがない激しさでそれでいて自然だったのが意外でした。

それで今作の白眉といえば、女優・楓が"お世話になった"磯貝社長を接待するシーン"、と思いきや、実は「真犯人をあぶり出す」演技。

この手の「裏で舌を出しながら演じる」(爆)演技はずいぶんぶりに見た気がするのですが、今回の演出さん、さすがは由美子さんの活かし方を分かっていらっしゃる(実は「相棒」チームだったりする)。

ちなみにこの磯貝社長を演じたのは小林高鹿さんだったりして、由美子さんとは2004年「真昼のビッチ」、2008年「空中ブランコ」で共演したことがある俳優さんなのですが、その当時、2人一緒に飲んでたのを知っているので、個人的にはなおさら爆笑でした。

「これでもまだ私、女優ですから」って控えめに言ってる楓が妙に可愛かった(笑)。
だって本当に言いそうだしご本人(爆)。

そして刑事さんから脅しの犯人(実はマネージャー)から夫殺しの犯人に至るまでみんなが楓さんファンというのも面白すぎて。

小笠原さんが(楓の夫の作品を模倣した犯人によって娘を殺された父親。床屋。)刺され、店での第一発見者が警察に電話してきた声のことを「俺があの声を聞き間違えるはずがない」と言った刑事さん。
そりゃずっとファンだった、女優さんの声じゃ間違えるわけないよね(笑)とか、随所に隠し味利いてて面白かったです。

結局のところは由美子さん演じる楓がみんなを振り回しているようなところがあるんだけれど、振り回された方は全くそう思っていなくて。しかもそれを利用したりするようなところが欠片もないあたりが、なんか(由美子さんと)そっくりだなぁと思ってしまったり。

何というのか、小悪魔なんだけど小悪魔を利用することはしないみたいなところが(笑)。根底にそういう芸能人らしくない”押しの控え目さ”が自分にとって心地いいってことなのかも、とふと思ってしまったのでした。

あ、井上高志さんがさりげにいらしてびっくりでした。小笠原さん刺しちゃった人(せんべい屋の剣持さん)。
由美子さんとは「もう一つのJリーグ」→「ガイズ&ドールズ」に続いての3作目の共演です。

今回の作品を見ていると、由美子さんが昼ドラも朝ドラもやったことがないというのはもはや意外の域に達しつつある気がします。
時間に余裕も出来たことだし、そろそろやってみてもいい分野じゃないだろか。
予想外のハマリ方だったし>継母役(笑)。

・・・
ちなみにどうでもいい話。

ドラマ中に出てきた、あの寂れた商店街。
あそこ、実家の地元の駅前です。
12万都市の駅前徒歩5分って信じられますか(笑)。

み○ち通り。八○八○神社の横。
見覚えあると思ったんだよなー
毎年正月の初詣はずっとそこでした。

「白夜行」映画版に続いて、「寂れた」テーマでばっかり使われる我が町(笑)。
よく見てみたら脚本の入江氏、「白夜行」の脚色でもあったのね。
そりゃ一致するはずだ。

・・・

追記。
14.5%も取ったらしい。(前作は13.4%)
月9より高くて同時間帯トップだそうで。(前作も月9より高かったそうな)
めでたひ。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

『シマシマ』

2011.4.29(Fri.) 24:20~24:50 TBSテレビ

4月22日放送が第1話、そしてこの日が第2話。
第1話にもちょっとだけ登場していましたが、第2話のゲストが笹本玲奈嬢。


ちなみに東京地区以外はこれから放送ですのでネタバレ注意




第1話での登場シーンと予告が壮大なネタバレで、「私の職業を聞いて態度を変えないでくれたのは彼(ラン)だけだった」って言ってただけに、そういう系統なんだろうなと思ってはいましたが、デビュー以来初の下ネタ系(爆)というわけで、野本蕗(フキ)という本名のAV女優でした。

このドラマは”添い寝屋さん”ということで、不眠の女性に寄り添う男性を派遣する業というわけで、その経営者が主役・汐(シオ)役で、矢田亜希子さんが演じています。

まぁそれにしたところで、主役の名前が「しお」で、添い寝を頼むのが「らん」というのが、「プライド」フリーク的には激笑なわけですが(笑)。

蕗が居酒屋でランをみつけて「ランちゃん!?」と叫んでる玲奈嬢は、12月に聞いた声そのまんまだったわけで(笑)

ちなみに、ここで素の声が出てるから居酒屋のお客さんに気づかれてるんですね。

このドラマはイケメン鑑賞会という側面があるので、演技とかはまぁ、そういうもんだよね、というところなんですが、さすがはキャリア豊富な矢田さんと笹本さんは頭抜けています。というか、2人だけ演技が浮いているというか。

ゲストという立場から見れば、主役である矢田さんの汐の”悩み”を浮き上がらせるための存在で、いわゆる”ワンポイントリリーフ”の役目は、玲奈嬢はしっかり果たしていて、実は添い寝屋役・ランを同事務所の菊田大輔君がやってるからの”応援出演”だったりするんですが(この動画の菊田君へのいじり方が絶妙すぎる。PS3買ってなくて良かった(笑)。こちら)、深夜だから玲奈嬢の普段の仕事を知ってる人も少なくて、いい意味で勉強になる仕事かも、と思ってみたりしながら見てました。

玲奈嬢的には着こなしが似合っててさすがだなーって思ったりしましたが。
ウェディングドレス見てる時のドレス姿も、某シーンの白い衣装も。
そういや三つ編みもあまり見た記憶ないなぁ。
blogに載ってた赤い服は私服かな?本編にはなかったけど。

ちなみに1話目、2話目と見ましたが、「いいなぁ」と思ったのは実は音楽だけでした(爆)。

役柄的には、「日本人のへそ」のストリッパー役の次が、このAV女優役だったわけですが、今まで清純系の役が多かったせいもあって、影響が出ない程度に役の幅を広げておきたいということなのだろうなとは思います。

ドラマ的には某所にモテキ的な演出やってたり、でもなんか弾け切れてなくてちょいと微妙な感じもしましたが。

「他人の不眠をなくそうとしてるのに、自分は不眠と離れられない」という汐も、どことなく綺麗事の女性というか、そりゃ蕗にしてみりゃ頭に来るタイプなんだろうなと思うけど、蕗から汐に伝わったことも、汐から蕗に伝わったこともあるんだろうなと思ったりすると、なんかいいなぁと思う(ちなみに蕗は原作にもある役だそうな)。

なんかこういう感じなら、汐と蕗が親友になって、沈みまくった汐を蕗が救ってあげるようなことがあってもいいなぁとか思ったりする。

まぁ多分次からは見ないのですが(爆)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路』

2011.4.12(Tue.) 10:40~12:55
渋谷ル・シネマ(bunkamura)ホール1

もう一つのモーツァルトの物語。
といっても、マリア・アンナ、ナンネールこと
ナンネル・モーツァルトの生涯を脚色した物語です。

公式サイト
 
ミュージカルファンの中ではすっかり「ナンネール」の呼び名が定着していますが、もともとのニックネームは「ナンネル」(Nannel)が近いようで、映画もそのネーミングに沿っています。

今月9日が東京初日で、初回に行くとチョコレートが一粒貰えたらしいのですが(笑)、時間が取れずにこの日に。

平日1回目の回の割に、100席近い客席の7割強が埋まっていて、ロビーも予想外に賑やかです。
パンフレットは700円、サウンドトラックCDが2,000円です(こちらは買いませんでしたが)。

上演前日まで発売されていた前売り券を買っておいたのですが(クリアファイルが付いていた110116_182912_2 図← ので)、実はこの日は火曜日でサービスデー。1000円で見られた日だったので、ちょっぴりだけ損した気分。

ナンネルの物語は何十回となくミュージカルで見ていて、関係書籍もそれなりに読んではいるのですが、もともと「弟の影に隠れた存在」だっただけに、パンフレット1冊まるごとナンネルというのは嬉しいものがあります。

ストーリーは、モーツァルト一家のヨーロッパ演奏大旅行の3年間を拾い上げたもの。
ヴォルフガング(演じたのは実際音楽家の卵、神童だそうで)はやんちゃながきんちょです。
ナンネルは優れた音楽的才能を持ちながら、女性であるがゆえに作曲法も教えてもらえず、とこの辺りはミュージカルとほとんど同じシチュエーション。

ナンネルを演じるのはルネ・フェレ監督の長女、マリー・フェレ。
そして彼女の親友となるルイーザが監督の末女、リザ・フェレというわけで、女優さんが普通に身内という、家内制手工業的キャスティングではありますが、まぁ2人とも可愛いし(爆)、ナンネルの設定を借りて自由にイマジネーションしている作品なので、もろもろ突っ込みどころはあれ、興味深く拝見しました。

そういえば見ていて違和感があったのが、母親が意外に長生きしてる!ってことだったのですが、これは実は勘違いで、映画版の時期である演奏旅行中に母親がパリで亡くなったわけではなくて、ザルツブルグに帰った後、少し大人になったヴォルフガングと母親がパリにいた時に亡くなっているんですね。

ミュージカル版では演奏旅行って最初のM1(「奇跡の子」)だけですからね。
描いているスパンが違うことになり、その意味で新鮮に見られたのかもしれません。

この映画ではオリジナルストーリーとしてナンネルが王太子と恋におちるというシーンがずいぶん長い時間続きますが、この時代の女性ですから「女性にして音楽家」ということは許されることはなくて、男装して演奏なり作曲なりするわけですが、これが意外に似合っているという。
男装向きの顔立ちな気がしました。

この作品の論評記事で「モーツァルト、ナンネルの物語でありながらその両方ともの曲を使っていない」ことを書かれていた方がいらっしゃいますが、それを言えば実はミュージカル「MOZART!」もモーツァルトの曲を一切使っていなくて。

ナンネルの曲はそもそもが残ってもいないので当たり前で、この作品の音楽はナンネルを想像して新たに作られていますが、いわゆる中世風で、それでいて優しげで、「音楽からナンネルの人物像を感じさせる」ことには一定程度成功しているように思えます。

この作品、演奏旅行の3年間をほぼ2時間で見せるのですが、その3年間を「ナンネルにとってとても濃かった時間」として見せている代わりに、78歳というこの年代にしては長寿の年齢まで生きた、16歳からの62年間を、わずか2分弱で見せているところに、まさに「ナンネルの哀しみ」を感じずにはいられなくて。

女性であるが故に音楽家の道を閉ざされ、恋も成就することなく(この作品は創作としてそうなっていますが、現実にも最愛の人とは結ばれずに35歳まで独身、ようやく結婚した相手は子持ちのバツ一。ミュージカル版には登場しますが判事のベルヒトルト)、弟の名誉を守るため奔走し、父の支えとなって生涯を全うしたことが、ほんのわずかしか語られずに「2分」で語り切れてしまう側面を持っている、それこそがまさに「哀しみ」だなと。

「時代が違えば、あなたは音楽で、わたしは政治で、世界を変えられたかもしれない」とルイーザが語っていますが、ルイーザの聡明さも、ナンネルの才能も、それが嘘ではないと思わせるだけの描かれ方をしているのは、逆説的に、はかないものだなと思えてしまうのでした。

パンフレットの中で書かれていたことで改めて思い知らされたのがレオポルトとの関係。

息子・ヴォルフガングに惜しみない愛情という名の束縛をするけれども、ヴォルフガングからは必要とされず省みられることもなく、自らの限界を知らしめられることしかない。
比べてナンネルは音楽家としての道を閉ざされたとはいっても、それが父のただ勝手な思いでなかったことは分かっていて。自分の立場の弱さを嘆きはしても、それはある意味ではしょうがないことなのだと思っているからこそ、父の面倒を最後まで見ているのですね。
ちなみにナンネルがヴォルフガングの葬式に出てない話は今回初めて知りましたが、まぁミュージカル版の「決して許さない」がものすごくリアルに感じることからして、不思議でも何でもないですね。

レオポルトは何もしなくても伸びていく(逆に言うとどうしようもできない)ヴォルフガングを育てるより、ナンネルの音楽家への道を作ったら、別の意味で歴史に名を残したかも、とものすごくありえないことを想像したりもしたのでした。

この作品、公開前はチラシがA5両面でしたが、公開後はA4の中折り両面になっており、見開き面にはナンネルゆかりの皆さまのコメントが出ています。

ミュージカル版の出演者からは井上芳雄さん(ヴォルフガング役)、市村正親さん(レオポルト役)からのコメントが。

ここにご当人である高橋由美子さん(ナンネール役)のコメントがないのは、「一人称」になってしまうからなのかもしれないけれども、それはそれで、またまた「哀しみ」なのだなと思ってしまう。
日陰の存在の更に日陰の存在って、ちょっとシンクロし過ぎ(苦笑)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『白夜行』

2011.2.13(Sun.) 16:10~18:40
HUMAX池袋 シアター4 10列目センターブロック

ドラマ版に大塚ちひろ嬢が出ていながら見てもおらず、今回の映画化でようやく原作本を読み出したにわか白夜行ファンといいますか、堀北真希嬢隠れファンといいますか(爆)

前日、東京都区内一周の間にバス車内で文庫本を読み終え、この日観に行ったのですが、原作を読んでないと「?」が点灯する代わりに、サプライズは薄くなるという、まぁ当たり前の話でもありました。

質屋殺しの被害者の息子・桐原亮介と、容疑者の娘・西本雪穂。
その2人の成長とともに巻き込まれていく人々たち。
闇に生きる亮介と、光を浴びる雪穂の対照的な人生の行き着く先とは・・・

こう、事前予告的に書いてしまうわけですが、この作品、「救い」とかいう甘いものはほとんど存在しません。読後感とか見終わった後の爽快感とか、求めるだけ無理。

とはいえ、そういうのって自分は結構好きだったりします。全部の作品がファンタジーである必要もないし、見た客に結論を委ねる作品だって、別にいいと思うクチ。

なので何らかの結論を「与えてもらおうとする」見方にはとんと向かない作品ですが、意図をほじくろうとするといくらでもほじくれる作品。
この事件を探る刑事・笹垣の気持ちになって作品をたどるという見方が、文庫本以上に映画版にはしっくりきます。

若干のネタバレを含みますので取扱注意でお願いします----



今作品のヒロインにして「悪女」という言われ方をする主人公・雪穂役には堀北真希さん。まぁ、映画版を観に行った理由の80%ぐらいがこの役を堀北さんがやるからですが(笑)、何と言いますか、容易に他人になびかないといいますか、独自の空気を持つことに何のためらいもないといいますか、誤解されることに引け目を感じないといいますか(ここまで来ると褒めてるんだか何なんだかわかりませんが)、なんというか堀北嬢へのイメージはこの作品の雪穂そのものなんですね、私的に。

いわゆる女優的な不器用っぽさみたいなところが、なんか若い頃のご贔屓さんと重なるようで妙に気になる女優さんだったりします。

今回、深川監督がおっしゃっていますが「彼女に関しては監督いらず、本人の感性で演じてもらった」というのはある意味いい選択だなと。

彼女自身も「あえて雪穂を全部理解しようとせずに演じた部分がある」ともおっしゃっていますし、その意味で、雪穂が「すべてをさらけ出さない(むしろ全く表に見せない)」からこその不気味さ、怖さを醸し出せているのは、監督と女優の方向性のフィットにあるのだろうと思います。

実は「ミステリアス」とまでは感じなかったのですが、原作を読み進めていくと感じる「あれもこれもそれもこっちも、雪穂が全部手を引いてるよね、これ」とまでは映画版には感じず、その意味での悪魔的な落差というような印象は薄かった気がします。

雪穂はラストシーンでまさに”勝ち組”を象徴するかのような純白のドレスを着て現れますが、このときのことについて堀北さんが「女性はああいう(豪華な)衣装を着てしまうと、もう二度と以前の自分に戻りたくないと思うもの。ずっと着続けていたいと思うもの」と語っているのですが、これがまさに雪穂だなと。

ある意味、女性の欲望を一直線に体現した役が雪穂で、それをかなりの点において堀北さんが認識していたからこその、この役の完成度なんだろうなと、そう思わされたのでした。

映画版で印象的だったシーンを1つ。
桐原の質屋で働いていた松浦(田中哲司)が、成長した雪穂を見つけて、舐め回すように「あんたはどんな思いで今生きてるのかな」というシーン。雪穂が心底嫌悪しながらも、それでも一切の嫌悪感を表に出さないように振る舞うあたりが、いかにも雪穂だなぁと。
しかし田中哲司さん、気持ち悪いよなぁここ(役者的には褒めてます)。

その雪穂の親友が川島江利子役。この役がドラマ版では大塚ちひろ嬢がやっていた役なんですね。そのちひろ嬢はドラマ公式で「自分が頑張らなくていいと言うか、ダサくていいみたいな所が楽だった」と語ってて、いやまぁ何というか女優って神経が太くないと務まらない仕事だなぁとつくづく(爆)。だって江利子役って雪穂の親友でありながらただ一度だけ雪穂の前をふさいだという理由だけであぁなる役なんですから・・

原作の記述で一番衝撃だったものが、「それが手っ取り早く”魂”を奪える方法だと信じるから」というものだったのですが、ある意味この作品は「魂を失った2人がさまよい、2人に立ちはだかる人間の魂を奪っていく」物語なのだと思うのです。

それはもう一つの言い方だと”愛”なのかもしれないけれども。

映画版は基本的に原作に忠実ですが、尺の関係もあって登場人物がすっぱり削られていたり、原作上極めて重要な役なのに映画版ではちょい役になっていたり、というところがあり、その中でも印象的だったのは雪穂の夫・篠塚一成の娘にあたる篠塚美佳という女の子。

雪穂を疑う存在はこの作品の中では全編に亘って疑い続ける刑事(元刑事)・笹垣を除いてしまうと、恐らく表層的に最も強い抵抗をしているのがこの美佳という少女。

学生時代に雪穂をライバル視したあまりに、悲惨な目に合う藤村都子という同級生がいますが、彼女が雪穂に対して強く当たらなかった代わりに、その藤村さんのポジションを含めて美佳に重ねています(映画版では美佳がバイオリンを弾く設定ですが、原作は藤村さんがバイオリンを弾いています)。

父である一成に、雪穂を指弾しているその後ろにはいつの間にか雪穂がいて・・・
という後半部の1シーンは、原作を読んでいただけに見ていて恐怖でした。

ただあえて言うのだとすれば、この作品の真骨頂は後半部分、今枝という探偵、笹垣(刑事)、そして映画よりはるかに鋭い篠塚一成の3人がもたらす、「雪穂という女性の本質を明らかにし、追い詰める過程」だと思うんですね。原作ではそれがほとんどあと一歩のところまで雪穂を追い詰め、ですがぎりぎりのところで雪穂は逃げ切る。

映画版でも基本そこは変わらないのですが、印象という観点で言うと、映画版の雪穂にはまだ余裕があった感じがして。確かに押されてはいるんだけれども、土俵際まではまだまだ距離があったような気がして。
そこが何か「甘さ」に見えて、ちょっとだけ惜しかったかなと思ったのでした。

そういえばこの作品、昭和50年代~平成に入るまでの20年間なので、基本的に画面が暗くて重苦しいのですが、そんな中、自分の実家がある町が撮影協力に名を連ねていて噴き出してしまいました。
今回のロケ地、R&Yのきらびやかさを表現した長野県松本市、学校通学シーンを撮った千葉県市川市を除いては、そんなに明るい場面が残ってないんですね。

ということは、やっぱりうちの地元はくすんでるってことなのか(苦笑)。
まぁ、東京から近い割に昭和の香りが強いことは認めますが。

ちなみにラスト、どうでもいいひとりごと。
世の中で怖いものは多々あれど、やっぱり暗闇に響く女性のハイヒールの音はちと怖すぎる。
というかあのハイヒールの音って、なにがしかの意図を持って聞こえますよね。

・・・と、某舞台の喪服姿のご贔屓さんの冷たい足音を思い出した今日。

さーて、ドラマ版レンタルの手配でもしよう(爆)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『告白』

2010.6.5(Sat.) 11:55~13:55
池袋・テアトルダイヤ 初日2回目

映画というものをあまり見ない自分にとって、わざわざ初日に足を運ぶ作品は多分初めて。
銀座・渋谷の舞台挨拶付回はいとも簡単に抽選に外れたので、前売券ではなく劇場WEB予約にて鑑賞。
前売券って必ずしもその回見られるとは限らない(舞台挨拶回に限らず、ここのところの前売り券の利用条件の不自由さは大名商売以外の何物でもないと思う)ので、時間の自由がない勤め人にとっては、ちと高くても席も選べるWEB予約を使ってしまう。(先日の横浜のゲキシネ「SHIROH」もそうでした)

この作品、原作自体が2009年のベストセラーですが、その当時は気にかけていなくて今回、映画化が決まった後、先月出た文庫版で読みました。

ストーリーはシネマトゥディより
ある中学校の1年B組、終業式後の雑然としたホームルームで、教壇に立つ担任の森口悠子(松たか子)が静かに語り出す。「わたしの娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではなくこのクラスの生徒に殺されたのです」教室内は一瞬にして静まりかえり、この衝撃的な告白から物語は始まっていく……。

・・・

本編が終わった後、後ろの列から聞こえてきた「胸くそ悪い」という言葉と「二度は見られない」という女性の感想が、おおむね最大公約数的な感想なのだと思います。

私自身、原作で先に読んでいたからこそ冷静に映画を見られた、逆に言えば原作なしで映画を見たら、相当の衝撃を受けたと思います。

基本的にホラーを選んで見に行くような人間ではないので、映画という”閉じた空間”で逃げ場所のないまま、映像と音がまともにぶつかってくる空間で、ここまで悪意の連鎖を見ていると、確かに初見なら気持ち悪くなるのも道理で、R-15になったのもむべなるかな、という感じです。

ここからはネタバレありです。
ご注意下さいませ。





この作品は主要登場人物のモノローグがそれぞれ独立していて、別々の視点から悪夢の数ヶ月を描いています。これは書籍版とほぼ同じで、ただ書籍版ではこと細かく書かれていた気持ちの表現が省かれていたりと若干の違いはあります。全般的に言うと原作をきっちり把握して、上手く取捨選択されている印象を受けます。

女性教師・森口瑶子役の松たか子さん。
実は映画で見るのは初めてです(ゲキ×シネも含めると「メタルマクベス」があります)。映画でのオーラを見るのが怖くて今までわざわざ回避していたのですが、今回は間違いなく役にドはまりしていたように思えたのと、やはり松さんが演じる”私刑執行人”としての姿は見たかったんですね。

パンフで彼女自身が語っていますが、「復讐は自らをもひたすらに消耗させる」ことはわかっていつつも、最愛の人に止められても、でも復讐にしか生きられない女性。
心から愛した最愛の人は先に天に召され、その彼と一緒にいられた唯一の証を、自ら担任を務める教室の教え子に奪われた女性。
彼が最後まで「聖職者」として自らを止めたことを裏切ること、すなわち自分が愛した彼の本意ではないということを分かっていて、それでも走らざるを得ない女性。

予告編などで見ていれば松さんと対になる女性と言えば、犯人の1人・少年Bの母親役をやった木村佳乃さんになるわけですが、それよりも印象的だったのは学級委員長・北原美月役を演じた橋本愛さん。

原作を読んだときもこの生徒は飛び抜けて印象が強かったのですが、何がそうさせるのかと言えば、登場人物の中で最も常識的だからかと思います。犯人の一人と恋仲になるのどこが常識的かと言われれば、それはそうなのですが、森口先生から見て意外に手強かったのは、彼女じゃないかと思うのです。

自分の全てを否定している人と対峙するのには良心は痛まないもの。
自分の全てを肯定している人と対峙するのは簡単。

なのに彼女は学生にして、ただでさえ複雑な森口の心情と状況をきっちりと分析して、ほぼ正確に事実を把握している。
映画版で森口と美月はレストランで会話していますが、原作版にないこのシーン(原作は美月が森口に一方的に語りかけるモノローグで構成)は、あたかも「私刑執行人」である森口に対して、美月が裁いているかのような印象さえ感じたものです。

全編に亘って全てのシーンが森口の支配下にあるかのごとく見えるのは、原作の中における森口の存在感ゆえですし、また松さんの女優さんとしての力量ゆえではありますが、少年Bの母親相手には冷静に、時に冷酷にただ事実だけをぶつけることができたのに対すれば、自分を認めつつも自分の良心を翻そうと事実をぶつけてくる美月の追求は、ぼろぼろになった森口の心にとって、凄まじい破壊力だったのだと思います。

だからこそ、その美月の追求をしのぎきった森口の涙は、「最後の一線を自ら超えた、最後の踏みとどまるチャンスを自分は失ったのだ」ということを示す涙だったのだと思います。

美月は少年Aの手によって命を落としますが、森口曰く「あなた(少年A)の唯一の理解者」だった美月の命を奪ったことで、森口の暴走も止められなくなったし、森口の復讐はそれによってある意味完成することになった皮肉。

「悪意の連鎖」が紡ぎ出す、悲劇の物語である今作。
今回、映画版で印象的だったのは、9月1日・始業式の日に少年Aが催した企みを、森口が見破るところの映像です。

発明少年である彼の発明の中に「逆回し時計」というものがあります。
その逆回し時計によって、その瞬間から時が戻っていき、そして彼が起動のスイッチを押したほんの少し前から再び時が動き出す・・・・

正直な感想を言ってしまえば、この絵を紡ぎ出した中島監督には、ある意味、森口とも、そして原作者の湊さんとも違う意味での悪意を感じました。
「森口の思いを忠実に再現するために必要な画にするにはどうすればいいか」を考え抜いて作られたシーン。
映像というものの力、怖さを存分に感じました。

ただ、そのシーンは映画版「告白」で最も意味があるシーンと思えます。
映画化した意味はこのシーンにあったとさえ思います。

精神が壊れて母親を殺めた少年Bに対しては、森口も当初から「与しやすし」と感じていたところがあります。

それに比べると少年Aに対しては「とにかく弱点はないかと探した」とまで言われるほど。

「ただ苦しめようとしたところであなたは何とも思わない」という言葉を聞いたときに、ふと感じたのは、実は森口と少年Aは似てるのかもしれない、という漠然ながらも否定できない気持ちでした。

少年Aを支えていた一つの人物の存在。
その人に認めてもらいたかった事実だけで突っ走っていた自分。
捨てられたと思っていた自分が、その人物の心の中に生きていたと知ったときは時既に遅く・・・・

自らの才能に溺れ、自分しか好きになれなかった少年の、ただ一つの救いを、たった1秒で終わらせて、戻っていた時の流れを正しくする。

現実にはありえない「時の流れ」の逆流・停止、そして再開。

「時は巻き戻せない」

を言葉でなく映像で見せたこのシーン。

最後5分、松さんのモノローグで語られるラストは神がかり的で。
原作とは少し違った表現もされていたりするのですが、文庫本の特別付録で中島監督が話している「エンディングに救いも解決も残していない」原作版ともまた違った、良い意味で含みのあるエンディングだったように思えました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

スジナシ

2010.3.16(Tue.) 24:59~25:59 CBCテレビ
2010.3.19(Fri.) 26:55~27:55 TBSテレビ

高橋由美子さんゲスト回の#154「ベビーベッドのある家」。

初回放送は2004年1月で、実に6年前。
名古屋のCBCテレビのみの放送で、当時、この番組を見るためだけに名古屋のホテルに泊まりに行こうとさえ思った(笑)番組。

結局その時は「録画できるわけじゃないしな~」と思って行かなかったのですが、期待していたDVD収録もならずに、自分にとっては「幻」になったこの回。

現在の新作はCSのTBSチャンネルで放送中で、過去分はCBCテレビで火曜日深夜、TBSテレビで金曜日深夜に放送しているわけですが、どうもこれも順番通りではないようで、2週間前に山本陽子さん(#152)の予定が出て、TBSテレビの番組表が発表(放送日2週間前)になるまではちょっとどきどきでした。

※なお、この回のスジナシはプレビューシーンだけ、youtubeに上がってます。

この番組は設定だけあって台本とストーリー一切なしの即興ドラマというのが「売り」ですが、鶴瓶さんと由美子さん、演技初共演です。

ストーリーは番組公式(「過去のスジナシ」)にありますが、なぜだか衣装はラーメン屋の出前のおかもち。
(本人いわく「とんでもない方がいいかなと」。)

この番組は1時間番組で、前半が即興ドラマ、後半がその即興ドラマの出来を見ながら鶴瓶さん+ゲストで振り返るプレビューシーン。つまり、後半は「2人がどうしてこういう場面展開か」を話すわけで、これがとても興味深い。ある意味、DVDの副音声みたいなもんですね。

それを聞いていると、由美子さんの演技プランは「期待をちょっとだけずらすことで、自分のペースに引き込む」のが一番やりやすいんだなということを再認識。
「鶴瓶さんは奥さんとか娘とかの設定にしたいんだろうなとか思って、あえてこの衣装(おかもち)を選択した」という時点で既に先制カウンターパンチ放って自分のペースにしちゃってるし・・・。

出前なのに家の中にまで上がり込み、由美子さん演じるおかもちはただラーメン食べるだけ(笑)。
場面設定から作成まで鶴瓶さんに丸投げしまくって楽する由美子さん。「丸投げした割に作った設定をことごとく否定しやがって、『最低な女』(笑)」とは鶴瓶さん談。

劇中、ベビーベッドにいる子供の父親を「よしお」と由美子さんが呼んだあたりでようやくドラマが転回開始。

ところが鶴瓶さんが「この子の父親」とつい口走ってしまったことに「またまたぁ」と聞き流しつつ、「えらいこと言うてしもた」って呟きを聞き逃さない(つか素で笑ってた由美子さん)あたりはさすがの芝居勘。

攻め一辺倒だったにもかかわらず、わざわざ隙を見せておいて鶴瓶さんの失言誘って、聞き逃した振りして一瞬間を置いてかさにきて攻めにかかるあたり、初共演とは思えない呼吸の合いっぷり。
基本、自分のペースでただひたすらやっているように見えて、途中で鶴瓶さんのやりたいような動きも入れて、完全に鶴瓶さんを掌の上で遊んでいるように見えるわけですが、鶴瓶さんもそれを分かって乗ってくれるのが嬉しい。

後のプレビューシーンで鶴瓶さんが由美子さんを複数回「最低の女」と言ってますが(笑)、多分に「人に全部丸投げしやがって」があるわけですが、それにしたところで随所に挟み込まれる「相手に芝居させる間を設定する上手さ」に言及しています。

2人の会話がベビーベッドの子供である「タクヤ」に集中してるところへ、「あえて外に芝居投げた方が良いかなと思って」電話を使い出すあたりは上手い。

「ふざげてないとそんなこと出来へんで」と鶴瓶さんがプレビューで言ってますが、ここでいう「ふざけて」は罵倒的な意味じゃなくて、スタジオとかシーンとか、相手の関係とかを全部見て芝居してる、って意味の褒め言葉だろうと思います(そのニュアンスを理解したのか、最初は罵倒だと思った由美子さんも2回目言われたときは普通に反応してた)。

それなのに追い詰められた鶴瓶さんが子供の声を真似てあやすあたりを放置したところは「もう限界なのかな思うて。これはいったん更に戻した方がいいかな思うて(今回、基本的に関西弁。)」そのままにするあたり、追い詰め過ぎないのも上手いです。

しまいには要素全部出させておいて、ラーメン代の名目で強請りまくる時の由美子さんのイキイキっぷりに噴き出してしまう。
つかもう可愛すぎる(←私、ダメな人だ(笑))。

「私、そんな恐ろしいこと考えているように見えます?」とほっぺたに人差し指立てて微笑むあたり、完璧に小悪魔の笑み(爆)。

高橋由美子さんという女性に悪女を演じさせるととてつもなく嵌るというのは昔からの持論なんですが、でも、いままで悪女らしい悪女ってやったことがないんですね。
こういう小悪魔的なところって、アイドル時代の経験の賜物というか、先ほども言ったのですが「他人からの期待を十分に理解しつつ、自分もやりやすく相手にも不満を持たせないで翻弄する」あたりが達人級の上手さで。

多分やったらシャレになりそうもないので、現役時代はやらせてもらえなかったように思うのですが(笑)。
アイドルデビュー前にTBSでやった「ちょっぴりセクシーガール」(アイドル歌手の役だけど実は吸血鬼だったって話)がほぼ唯一の小悪魔ちゃんでしたかね。
由美子さんは小悪魔系の方がイキイキするんですが、正統派な役ばかりやってきてるから、その意味ではもったいないなぁと思うんですよね。

最近このイメージの女優さんで言うなら満島ひかり嬢がこんな感じかな。
安達祐実さんも似てる感じ。

鶴瓶さんが評して曰く、「相手の出方で芝居を変えられる役者」と言ってましたがこれは至極納得。
「モーツァルト!」の時に芝居プランを聞かれて、「井上君と中川君は(あまりに違うし日によっても違うし)、その日のヴォルフガングの気持ちに合わせるんです」と言ってましたし。
逆に言うと由美子さんの長所も短所もそこで、「相手がいないと成立しない」ところが、飛び抜ける役をやりにくいという点があるのかなと。

プレビューシーン含めて、あそこまで鶴瓶さんをやり込めまくったからDVDに入らなかったのかなーとちょっと納得。

知り合いに聞いたらプレビューシーンであそこまでやったのは福田麻由子ちゃんぐらいだったらしい。(本編は感動物だったそうな。)
あー、もう名前聞いただけで想像がつくからDVD(8巻に収録、#190)見たくなってしまったのでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『アンダンテ~稲の旋律~』(2)

2010.1.23(Sat.) 12:30~14:40
ポレポレ東中野 上手側端

公開初日、舞台挨拶付につられて2度目の鑑賞。
試写会の時に前売り券を買い忘れ、先週、映画館まで行って前売り券を購入。

その時、初日舞台挨拶の日が、10時10分から整理番号設定(前売り券・制作協力券への受付)ということは頭の片隅で覚えていたのですが、全く間に合わず、映画館着は12時。
整理券番号は100番を超えていて、ぎりぎりセーフ。

この映画館、定員110人ですがこの回は完全に満席御礼。パイプ椅子から階段の座布団席まで登場して117番までの整理番号で打ち止め。

何とかぎりぎり座席を確保して座れてほっとしつつ、2回目の鑑賞です。
試写会で既に1回見ているせいか、見ていてもかなり安心できます。

ちなみにこの「ポレポレ東中野」の「ポレポレ」は新妻さんご自身がラジオで触れていましたが、「ゆっくりと」という意味です(ケニア・タンザニアの公用語であるスワヒリ語)。この作品の「アンダンテ」と同じ意味なのです。

笹本さんがテレビドラマ(「ぼくの妹」)に出た時も「意外に似合うなぁ」でしたが、新妻さんの映画も、同じく「意外に似合うなぁ」という感想です。

1回目の感想はこちら

基本的に新妻さんという女性は、監督始め皆さんおっしゃってる通り「陽」以外の何物でもない女性なので、「引き籠もり」をどう表現するかに興味はあったわけですが、この作品の藪崎千華役は、舞台作品でいうと「骨歌」の栞役に似ています。

今回の相手役の筧さんがパンフで語っていますが、「ああいう娘は親にとってホラーですよ」って表現してますが、前回も言いましたが、もろに貞子です(笑)。

劇場公開されましたのでネタバレあります。







2度目に見て気づいたところ。

千華が筧さん演じる農業家・広瀬さんに最初に会いに行ったときに、迎えに来た男性が広瀬さんじゃないと気づいた理由。
千華が「メールで連絡したい」と言ったときに広瀬さんが「携帯電話もパソコンも持ってない」と答えたのに、目の前で携帯電話が鳴ってるわけですからね。
あ、そんな単純な演出だったのかと納得。

この作品の軸は一つに「千華(引き籠もり)と晋平(農業)」で、もう一つに「千華と母」の関係の見せ方があります。

この後者の「母親の重圧と潰れる娘」の関係は、最近の流行なのか、今年正月にTBS系で放送された「筆談ホステス」も全く同じ図式で。
あちらはあちらで作品に恵まれない感のあった北川景子さんの最高傑作だと思うのでありますが。

ある意味「映画」における普遍的なテーマと思われる「家族の絆」はやっぱり最強。

こういうテーマで最初に見たのは由美子さんが主演だった「時の輝き」で、主人公・由花が橋爪功さん演じる父親に反抗するシーンだったなぁ(1995年松竹系公開)。

今回、食卓のシーンはある意味その時に随分似ていたんだけど、父親の比重の低下というか、今の家族における父親の存在の難しさを垣間見たような感じで。

作品が違うとはいえ、確か10年前に見たときは「父親の言い分にも一理ある」と思ったはずなのに、今回の父親の言い分があまりに強圧的だったせいもあるのか、それとも母と娘を軸にした物語構成のせいなのか、とても父親が”無色”に見えて。

重圧を与え続けた母親だから、最後は真の意味で娘と分かり合えたのかも知れない。
向かい合おうとしなかった父親と娘は、まだ分かり合えないのかも知れない。

(後者は監督が「問題は問題として残しておくべき、とあえて父親を横芝光に行かせなかった」とコメントされています。「母親と娘も全てを分かり合えたわけでもない」とも)

・・・と思えて。

今回の映画、パンフレットがシンプルながらとても出来が良くて、新妻さん・筧さん・金田監督それぞれが実に味のあるコメントを残されています。

筧さんなんて新妻さんについて「お互いにいつ歌い出してもおかしくない」とか言ってるし(笑)。新妻さんが筧さんについて「役に近づいていくというより役にご自分を近づける方」と表現しているのは、広瀬役が原作と違いまくりになったことをとてもオブラートに包んで表現しているように思われます(苦笑)。

いや、でも筧さん&新妻さんの「ミス・サイゴン」コンビが、まさかここまで全然似つかない役柄もぴったりはまるとはちょっとした驚きです。

新妻さんはあまり演技的には相手役との相性の良さを感じさせるタイプではないように思われるのですが(その点が笹本さんと対照的。新妻さんだと多少感じたことがあるのは石井一孝さんと照井裕隆さんぐらい)、筧さんとは凄くバランスが良いです。




1回目の鑑賞で度肝を抜かれた千華ちゃんPV(当方命名)「アンダンテ~稲の旋律~」の曲の醍醐味を存分に堪能した後、この回は舞台挨拶が控えています。

待ち時間の間、客席から聞こえてくる声に耳を澄ませると、やっぱり最後の曲の威力は絶大なようで、「知らない女優さんだったけど歌が上手いわね~」としゃべってるおばさん、プロフィール見つけて「『ミス・サイゴン』やってたこともあるんですって」と答えてる人がいたりして、ちょっとした即席新妻ファン作成市と化していました(笑)。

10分ほど待って上手側に司会者が登壇、下手側から新妻聖子さん、紗綾さん、旭爪あかねさん(原作者)、金田監督と4人登壇。

監督が女優2人に喋らせようとするも「横芝光町の皆様が毎日ご飯作って下さって美味しいんですよ」(新妻さん)、「まるかじりの野菜がこんなに美味しいなんて」(紗綾さん)、「食べ終わったらすぐ(新妻さんが)お腹すいたーって言ってるんですよ(笑)」(紗綾さん)と終始食べ物話(爆)。

「ねー」と言い合ってる新妻さんと紗綾さん、写真見ると本当に姉妹みたいですが、仲すごく良さそうです。

これではいかんと監督自ら方向転換。「撮影時のエピソードを」ということで、

「監督らしいことをしようと思いまして、新妻が祭り寿司を食べるシーンで一番いい顔をさせたい、と思いまして。『ご飯断ちしろ』、って言ったんです。
でも見てたらいっつも何か食べてるし、
何食べてもすっごいいい顔をしてる(笑)
もういいや、それでいいよってなった(笑)」

結局食べ物話(爆)。

「監督はあんなこと(何も演出してないって)おっしゃっていますけど、手の動きで千華の感情の動きを見せるところとか、とても事細かに指示してくださって。千華の8割は監督でできています」と新妻さん。

新妻さんは先週のラジオ(NHK「サタデーホットリクエスト」)でもおっしゃっていましたがこの回が初鑑賞ということで後方の「関係者席」での鑑賞、途中から自分が出てるのに自分だったのを忘れた、この作品について皆さんとこれから1時間でも語り合いたい、といつもの通り程々暴走モードで飛ばしてました。

歌のシーンはあの曲だけでなく、夕暮れ前のあの風景が大好きだそうです。
ご自身が千華ちゃんの視線から歌詞を書いた、というところも客席から「へー」という声が上がっていました。

この日の舞台挨拶の締めは新妻さんからのいつも通りのプロフェッショナルな締め挨拶があり、その後、プレスの写真撮影に移行。

多少写真が撮られた後、舞台下手側でちょっと暗い空間だったのを新妻さんが気がついて、「ちょっと中央にずれましょうか」と皆さんを舞台中央(ここだけ明るかった)に移動。それに気づいた一部の観客からは「凄いわねぇ」と感心する声が上がっていました。

この回が終わり映画館から出ようとすると、2回目上映の列が映画館の外までつながっていて、恐らくこれも満員。3回目以降の状況は分かりませんが、キャパを小さめに絞った分、上々な出足じゃないでしょうか。
これから順次全国上映となっていきますが、新妻さんがお話された通り、この作品が1人でも多くの方に見ていただけますように、願っています。

2010.2.25追記
劇場公開の第2弾は、名古屋だそうです。
名古屋駅西口駅前の「シネマスコーレ」という映画館で、4月3日から3週間の予定とのこと。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

『アンダンテ~稲の旋律~』(1)

2009/12/11(fri.) 10:30~12:40
有楽町・朝日ホール 2列目上手側

完成記念有料試写会に、新妻FC枠で参加。

この日は平日昼間、午前中と午後に試写会ということで、よくある「夕方18時30分開始」の類の試写会と時間が違って、予想通りというか客層がまるで違う。
基本的にシニアの方、ご夫婦など年齢層が高め。

最近、芝居関係だと販促の嵐というか平日にごろごろイベントが入ってきますが、さすがに行きたい物全部行ってたら、財布も仕事も問題ありすぎってことで、月1回が休暇というペースにしてます。
今月はこの試写会を休暇日に決め、雨の降りしきる中、有楽町へ。

この作品の主演、新妻聖子さんは舞台挨拶の後、徒歩5分のル・テアトル銀座の「nine the musical」の初日ということで、この日は試写も見られなかったようで、売れっ子は辛いですね(公演は13日に見る予定)。

この日は試写会ということで開始前に出演者メインどころから6名。原作者の旭爪あかねさん、ロケ地の千葉県横芝光町町長氏、そして監督、プロデューサー。でここに司会もいるので11人が登壇。

新妻さんのみ青色のドレスで、他の方は期せずして皆黒系統。

「トークの達人」新妻さんはこの日はさすがに緊張していたようで、今までから想像つかないほど緊張しているのが丸わかり。無難に無難に挨拶。

「いつもの舞台のお芝居と違うので、毎日が緊張で、監督さんに手を取り足を取り教えてもらった」とのこと。実際に映っている映像を見てもわかるぐらいですから相当なもの。

隣におわすは、新妻さんとは「ミス・サイゴン」で共演経験のある筧利夫さん。
が、今回はその話はあえてかどうか触れず、いつものキャラで暴走しまくります。
両隣の新妻さんと秋本奈緒美さんが噴き出すのをこらえているのがかえって面白かったりする(笑)。

ちなみに監督さんが苦労談を問われて曰く、「天気と筧さん以外は順調でした(笑)」という話だそうで。「筧さん言うこと聞いてくれないんだもん」と冗談まじりにおっしゃっていました。(監督さんと筧さんは同じ大阪芸術大学の出身。ちなみに新感線の古田新太さんもここの大学出身です)

「『農業は非効率です。』って筧さん演じる農業家さんが言うシーンがあるのですが、『映画ってなんて非効率なんだろう』と思った」と言って笑いを誘ってみたりします。

存在感と笑いを持っていったのは松方弘樹さん。
「50年近く役者やってると、『あっ』って指を指されることの方が多いんで、海とか山とか、自然の中にいるとほっとしますね」と。で、「いつもは漁師をやってますが、今回は農業をやってます」ってくだりが最強です。

意外にキャラが立ってたのがロケ地・横芝光町町長の佐藤町長。映画の中にも出演されているそうですが(実は見つけられませんでしたが)、映像の中の横芝光町の空気を体現されているような感じで、地元の全面協力という言葉がお題目に聞こえない印象でした。

ちなみに横芝光町がロケ地になったのは、原作者の旭爪さんが農業体験をしたのがこの町だったからだそうです。

ただ、列車だけは同じ千葉県の小湊鐵道を使っており、映画で横芝光町駅となっている駅は、上総鶴舞駅(市原市)が使われています。2日間だけ実際に営業しながら駅名を変えて撮影したんだそうで、列車に乗っていたお客さんは何が何だか分からなかったとか。新妻さん、顔知られてるわけじゃないからなぁ(先日NHKの「歌謡コンサート」に出たから多少顔と名前は知られたかも)。→参考リンク

稲を相手にするわけですから撮影は1年がかりで、今年5月から10月まで。新妻さんが主演に起用されるのが決まってからも、正直ここのところの経済情勢でちゃんと映画が見られないかもと心配していたので、とりあえず上映にはこぎつけられたようで何よりです。

ストーリーは新妻さん演じる主人公・藪崎千華がひきこもりから農業と出会って再生していくまでの物語。千華を受け止める農業家・広瀬晋平役が筧利夫さん。千華の元同僚(というか恐らく先輩)にあたる女性・堀川逸子役に秋本奈緒美さん。晋平の農業の師匠にあたる農業家が松方弘樹さん。とこの4人がメインとキーパーソンということになります。

映画初出演で初主演の新妻さんですが、千華の役作りは「自分の中にある千華らしい部分を表現するようにした」と舞台挨拶で話していたのですが。

基本的に彼女は能動的というか陽気というか、苦労とか悩みとかをあんまり表に出さないタイプの人なので、「そんな私にも悩みはある」という側面で切り取った新妻さん、という意味で、今まで見慣れた彼女のはずなのに、ずいぶん違ったように見えました。
引き籠もってたところはなんか貞子みたいだったし(爆)。

いやーしかし千華が荒れまくるシーン、あれ撮り直しあったら大変だろうな・・・(場面の詳細はネタバレのため省略)。

千華が農業と向き合って再生していく・・・というストーリーが直線的に続くとちょっと飽きちゃうかもな、と思っていたのですがそこはそれ。ちゃんと一ひねりしてあって、ヒロインたるもの悩まずに終われるわけはありません(笑)。

遠目に、いじらしく、諦めたかのように晋平を見つめる感じが良い表情だったなぁ。

最後のシーン、千華が自らのハードルを跳び越えて田圃の中(!)のピアノを弾くシーン。「あの千華がこんなに立派になって。」と母親役の方の気持ちが分かるような気がします。

そして最後のシーンから主題歌のシーンに移行してからが新妻さんの真骨頂。
本編95分を力業でねじ伏せる姉妹初の共作。主題歌、「アンダンテ~稲の旋律~」。
作曲が実のお姉さん、新妻由佳子さん。作詞は新妻さん本人。
主題歌をコンペしたら姉も応募してて、皆が気に入ってこれになったそうです。

本人いわく「姉による妹いじめじゃないか(笑)」とFCイベントで言っていた、超絶スコア。この曲をまともに歌える歌手なんてそうそういないと実感です。
FCイベントで生で聞いて今回2回目(歌の途中で「え、まだ上の音階行くの?」と思ったらマジに上まで行って仰天した)。
姉と妹の無条件の信頼というかが伝わってくる曲なんですね。
姉も妹の力量と魅力をきちんと理解しているし、妹も姉の思いをきちんと受け止めている感じで。

新妻さんの歌詞も良いんですよ。イベントで英語曲に日本語詞を付けるのが彼女の得意技ですが、今回は何しろ千華が歌詞書いてるような感じですからね。

「思うようには生きてゆけない」って歌詞がいちばん好きかな。
昔の新妻さんだとここを全力で歌ってたと思うけど、彼女の歌い方もデビュー時に比べると随分変わりましたからね。抑揚で転回させるのが実に上手になりました。テクニックっぽさが減ったのは、余裕が出来たからなのでしょう。

本編の千華ちゃんは自分に自信がもてない少女だったわけですが、ピアノと自分なりに向き合うことを決めたことで一つハードルを越えて、そして最後に歌い上げるところが、新妻さんではなくて千華ちゃんの「乗り越えた喜び」を表現しているかのようで、ものすごく印象的でした。

最後の主題歌が新妻さんじゃなかったら、映画本編の感想もかなり違ったかもしれない、と思うほどに千華ちゃんPVの主題歌の威力は絶大でした。

さすが歌姫。

この映画は単館上映型の作品で、最終的には全都道府県での上映を目標としているとのことで、東京は1月23日から2月12日まで、東中野のミニシアター、ポレポレ東中野で上映されます。(横芝光町では1月中旬から上映、以後全国各都道府県上映)→作品公式

最後のシーンを見にまた行こうかな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『バンデラスと憂鬱な珈琲』(1)

2009.10.26(Mon.) 19:00~20:00
番宣/フジテレビ系「ネプリーグ」

11月2日から世田谷パブリックシアターで公演が始まるシスカンパニー公演。

チケットは壮絶に入手難だったのに、なぜか今になって番宣に登場したのがこの日のフジテレビ系「ネプリーグ」。

ちなみにこの日の視聴率、これまた破天荒に高かったそうで、何とまぁ24.5%。
高橋由美子さんが出た番組で民放でこんな数字が出たことは・・・
自分の記憶する限り一番高い数字です(主演ドラマで一番高かったのはTBSの「おかみ三代女の戦い」の最終回、22.3%。出演ドラマではテレ朝「点と線」の第1話、23.8%)。

彼女はアイドル当時は結構クイズ番組に出ていまして、フジ系の「クイズ!年の差なんて」では当初ゲストだったのが、準レギュラーにまでなって、しまいには若手チームのキャプテンをやっていた前歴があったりするのですが、その実、バラエティが苦手で、10年以上もブランクがあれば、緊張するのも致し方なし、といったところでしょうか。

ちなみに地方局で未放送の皆様、以下はネタバレ注意ですので、よろしくお願いします。



緊張しまくって予告動画でナベアツにぶち切れてたので大層不安だったのですが、何というか無難に終わらせるあたりはさすが。

この番組と言えばチームプレーですが、さすが稽古で培ったほのぼの仲良しムード、いい方向に左右してるようで、芝居もなんか想像できる感じでいい感じです。

ナベアツにだけプレッシャーかけられているのかと思いきや、原田泰造氏からもプレッシャーかけられているとは・・・35になって「負けないもん」はちょっと痛かったけど(爆)、、、何しろいじりやすいというところと、対戦相手のネプチューンチームからすれば、バンデラスチームの崩し所が、ちょうどどちらも由美子さんだったということなのでしょう。(ムードメーカー兼キーマンといったところ。)

あんだけプレッシャーかけられまくって、その割に実は崩れていないのが不思議なところ。「全問即答の手練れ」じゃないので正答率が低いように見えますが、全編通して11問中8問正答ということで、全然ブレーキになってないのが意外です。
むしろ中村君の方が不思議にブレーキだったりします。

表情もころっころと変わって正に愛玩動物って感じで(笑)、思ったよりずっと自然に番組に溶け込んでいたのが意外中の意外。バラエティに出慣れていないだけに新鮮さもあるのでしょうね。
ボケも適度に面白くてきっちり拾ってくれるので面白い。まー、フジには今やボケの女王となった、はいだしょうこさんがいるから敵わないけど(笑)。

この日の本編最後のクイズとなった、ファイブボンバーの最終3問目。

あと2回正答で勝ち抜けとなったことが何を意味するかに同時に気づいた3名。
高橋克実さん、マギーさん、そして高橋由美子さん。

由美子さん、いたたまれずに回答席から逃げ出そうとする(笑)。

逃げ出す由美子さんを役得で捕まえに行く克実さん(こっちも笑)。

こともあろうに

「高橋由美子さん正解の時点でボーナスステージ進出」(おぃ)。

謀ったかのようなこの事態。

どーしてこんなことになるのよぉ
よりによって私のところで決めなきゃいけないなんてあんまりよぉ
これ最終問題だから自分ができなかったら全責任私じゃん

・・・という表情を的確すぎるほど的確に表現した由美子さん、緊張していてもさすがは女優さんです。

回答席にひょいっと顔だけ出して「どーすりゃいいのよぉ、こんなのってあんまりよぉ」って首振ってた姿は再び愛玩キャラ満開(爆)。

「”ご”で始まる四字熟語」に克実さんは「極楽浄土」で一抜けした後、追い詰められた由美子さんの第一回答は「五重の塔」(笑)

パニくったあげくに答えた「五分五分」って見事正解。
誰もが正解できると思わなかった土俵際からのびっくりのうっちゃり。

早速名倉さんから「正解だと思って言ってないでしょ」って突っ込まれ、結局、最後の最後までいじられまくって美味しいところだけもらった感じでした。

緊張しまくって後半は第二自国語の関西弁で通してましたね(緊張すると、言うのが楽な関西弁が口から出てくるそうな)。

始まる前は心配で心配でしょうがなかったのですが、始まってみるとテンポも良くて、いい意味でマスコットキャラとしていじられて&ボケ全部拾ってもらえて、とてーも楽しい時間でした。

何はともあれ開演まであと1週間を切りました。
作品自体、ノリと勢いで笑わせまくるようなコメディ風らしいのでとても楽しみ。

それに今回をきっかけにたまにはバラエティに出てくれてもいいなぁ、と現金なことを思ってみたりして。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧