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2022年3月

『メリー・ポピンズ』(2)

2022.3.25(Fri.) 13:00~16:00
東急シアターオーブ 3階5列10番台(下手側)

2018年以来4年ぶりの再演、この日がプレビュー2日目、笹本玲奈メリーの初日です。

玲奈ちゃんと言えば、去年のオーブの「マリー」から「メアリー」になって、「メリー」になるという、なんだか「M」にご縁があります(爆)。

シアターオーブって結構作品を選ぶ劇場だと思ってるんですが、メリポピは群を抜いてオーブ向きな作品だと思っています(次点はシスアク)。劇場の立ち位置的に、エンタメ寄りの作品との相性が凄く良く、家族連れでやってくるのにぴったりな作品だなぁ、と思ってます。内容も深いのに考えなくても見られる、とっても好きな作品です。

初演のメリーは今回も続投されてる濱田めぐみさんと平原綾香さんでしたが、今回、再演では平原さんが出演されず笹本玲奈さんに。

玲奈ちゃんがめぐさんの後任というのは過去もあります(『ジキルとハイド』のルーシー役)が、Wキャストは今回が初めて。めぐさんの凄さと有難さを感じながら、「手順の鬼」と言われるメリーを、きっちり仕上げてくる玲奈ちゃんの凄さも感じました。

実際のところ、プレビュー初日なので硬さは拭えなかったですし、特に1幕は緊張のせいなのか、役柄的なせいなのか、子守であるメリーが、バンクス家の子供2人にかなり厳しめに当たってて見えました。
意識的に隙を見せないような様の役が今まであまりなかったので新鮮です。

今回、玲奈ちゃんが何度もインタビューで語っていますが、4年前にオーディションを受けたものの、キャメロン=マッキントッシュから「君の印象はエポニーヌかキムという少女のイメージだからメリーには合わない」と言われて涙を飲み、「いつまでもエポニーヌやキムをやってちゃいけない」と卒業を決断したと、ご本人が仰っていました。が、その4年間の間に結婚もされ、お子さんも生まれて、「母」という立場になって表現できるようになった様が確実にあって。

同じオーブの『マリー・アントワネット』でのマリーの時も、Wキャストのお相手である花總さんに教えを請いながら、でも「母」ということが、玲奈ちゃんしか持っていない役作りの「武器」になっていたように感じていて、今回、とてもそれと似た印象を持ちます。

今まで同じ役(エポニーヌ、キム)をやってきた知念ちゃんがバンクス家の奥様、ウィニフレッドということで、玲奈ちゃんが知念ちゃんを諭すという、未だかつて見たことがないシーンもあったりします。年齢的には知念ちゃんが上ですからね。でも、2人とも「母」だからこそ、「母」として苦悩する様が言わなくても通じ合える、みたいな空気感はとても新鮮でした(今回、メリーとウィニフレッドで、女優さんがリアルに「母」なのはこの組み合わせだけ)。

この日は1幕、寝室にメリー、子供たちが入ってくる直前で音楽がループして場面が先に進まなくなり、一旦舞台が中断するトラブルがありました。この作品はすべて自動制御(コンピュータ制御)の舞台機構なので、安全を考えての再開に相当時間がかかるかと心配しましたが、当作品のプロデューサー(女性)のお詫びの挨拶が入り、5分足らずでの再開になりました。

再開直後、玲奈メリーが先頭切って入ってきたのですが、それまでの少しばかり緊張した様とは変わり、堂々としたメリーで入ってきて頼もしい限り。「さっ、いくわよ」がスパッと嵌った瞬間というか、玲奈ちゃんの役者魂を感じて、そこからどんどん勢いに乗った感。

スパカリの陽の空気もぴったりなんですよね。元々踊りに定評があるので、すっと立つ様と、ダイナミックに振付を展開する様がきれいに嵌る。アンサンブルさんも続投の方含めていっぱいいらっしゃるので、懐かしみながら楽しめます。緑色の青山郁代さんの動きがみられて嬉しい。プレビュー初日から手拍子が入ってたのも客席流石です。

そして相棒のバート・おのりゅー(小野田龍之介氏)は、「初演もバートで出てたよね(違います笑)」ってぐらいの安定感なので、玲奈メリーと、おのりゅーバートを組ませたのは大正解だよなぁ。

2幕は玲奈メリーにも笑顔が見えてきて、おのりゅーバートに茶目っ気見せて、ちょっと弄ぶようなポジションを楽しんでる様が、見ててとても楽しい(笑)。

プレビュー初日ということもあってか、メリーの人となりというか、判断基準みたいなものは、まだ「手順をこなすのにいっぱいいっぱい」という感じもあってか、これからに期待と言ったところです。

この回の席は3階5列目の下手側ということで、意識して取ったのですが、知る人ぞ知る「メリーがステージから飛んでくる到達点」のすぐそば、なのです。1階席の上を旋回し、2階席の上を旋回した後、いきなり3階席の上にぐいっと現れる玲奈メリーにびっくりする(笑)わけですが、本当に近かったので目が合ったと信じてる、それだけ。他には何もいらないの(←おい笑)

プレビュー日程が後ずれになった関係で、いつのチケットを取ってあるんだか混乱してるので、これから再チェックしようと思います(笑)。

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『千と千尋の神隠し』

2022.3.20(Sun.) 18:00~21:00
帝国劇場 2階G列10番台(下手側)

ほぼ1か月ぶりの観劇は、観劇休み期間入り前(『笑う男』帝劇前楽)と同じ帝国劇場。

ここ1か月は仕事が入社以来一番大きなプロジェクトの稼働ということもあり、意図的にチケットを取っていなかったので、ようやく戻ってこられた、という気持ちでいっぱいです。(本当に帰ってこられないかと思った…苦笑)

この日はおけぴ・チケットぴあ合同貸切公演ということで、チケット難のこの作品、おけぴさんのお陰で唯一取れたのがこの回。感謝感謝です。

せんちひは映画で一度は見ているものの、そこまですごく好きという作品ではないですが、実際に帝劇で繰り広げられるこの作品を見ていると、帝劇にしっくりくる作品というか、『千と千尋の神隠し』を上演されていることに、帝劇が喜んでいるような、そんな印象を受けました。

この回の千尋は上白石萌音ちゃん。
もう、登場1場面目から千尋で、ラストまで千尋で。
愛され力の天才な萌音ちゃんですが、実体化した油屋の世界で、客席みんなが千尋の頑張りを応援してる様が半端なくて、そこにいるのは萌音ちゃんじゃなくて10歳の千尋で。

「10歳を頑張って演じていると見えないようにしたい」と萌音ちゃん自身が言ってましたが、そのために大変な努力をされたものが結実しているんだろうなと、その演技力の高さに脱帽します。

萌音ちゃんがキャラクター的には昭和が合う人なので、この作品の世界観ともぴったりしていて、少し昔の日本の空気感ともしっくりきているのも大きいですが、今回の舞台版の大きな特徴が、あらゆる点でのアナログ感。演出のジョン・ケアードが志向したのだと思いますが、場面の展開も、表現も、人を使って見せていて、今の技術ならCGで出来そうなことも徹底してアナログなので、空気感がぶれない良さを感じます。
釜爺(この回は橋本さとしさん)の長い手をアンサンブルさんが何人もかけて動かすなんて、普通考えませんよね(笑)

そんな萌音ちゃん千尋を生き生きとさせた共演者の中で、とりわけ目を引いたのはリン役の咲妃みゆさん(ゆうみさん)。宝塚トップ娘役(雪組)当時から、憑依的な女優さんとして有名な方ですが、キップのいい姉御肌の存在感がとても魅力的。不安がる千尋を時に優しく、時に厳しく支える様がとても良くて、千尋の母役との2役兼任というのも、実は全くつながっていない設定とはいえ、「千尋を支える」って点で共通してて、とても素敵でした。

この日はおけぴ・チケットぴあ合同貸切公演ということで、ご挨拶があるわけですが、それを忘れて何人かが舞台から捌けていきそうになり…

「貸切公演ですよ、みんな!(笑)」

足止めする敏腕座長(笑)。

「本日はおけぴ、チケットぴあ合同貸切公演にご来場いただき、ありがとうございました。帝劇公演も折り返し過ぎ、本当にあっという間です。みんなはどうですか?」

と振っておいて、あまりに多種多様の意見が来たので

「みんなそれぞれ色々あるみたいですけど」

でまとめる萌音ちゃんの強心臓(笑)

「毎回、こんな素敵な作品の世界にいさせていただける幸せを実感しています」
「お客様も感染対策へのご協力をばっちりしていただき、本当にありがとうございます」

「何より、今日皆様をここに連れてきていただいたおけぴ(さん)、チケットぴあ(さん)に最大の感謝を申し上げ、ご挨拶に代えさせていただきます。本日は誠にありがとうございました!」

…と、完璧すぎるご挨拶の後、ぴょんぴょん跳ねて捌けていった上白石萌音座長。

舞台本編も挨拶も何もかもが完璧な方ってそうそういなくて、私が思い浮かぶの他に1人しかいません。
だいたい舞台本編でエネルギー出し切って挨拶がぽわぽわになる方が多いんですよね…(笑)

・・・

どきどきとわくわくが詰まってて、
帝劇らしいザ・和風の雰囲気にマッチした作品。
この日はWOWOWさんのカメラが入っていたようですが、何らかの形で映像に残ることを願っています。

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綿引さやかライブ『春のありか』

2022.3.19(Sat.) 14:00~15:30
六本木クラップス

びびちゃん(綿引さやかさん)の六本木クラップスでのライブは2019年8月以来なので2年半ぶり。
びびちゃんライブはピアノが久田菜美さんの印象が強いですが、ここ六本木クラップスでのライブは男性の方と組むことが多くて、今回は伊藤辰哉さん。

渋谷Living Room Cafe & Dining での「リビングルームミュージカル」にびびちゃんがゲスト出演してセーラー服を着られたときにピアノを弾いていたのが伊藤さん。びびちゃん曰く「こんなに楽しそうにピアノを弾く人がいるんだ」というのが凄い印象的だったそうで、今回お声がけしたそうです。

まずはセットリストから。休憩なしの90分です(途中、換気タイムあり)。

●セットリスト
1.春のメドレー
 春よ来いetc
2.Fighter/アンジェラ・アキ
3.僕が一番欲しかったもの/槇原敬之
4.Think of me/オペラ座の怪人
5.Nothing/コーラスライン
6.Popular/Wicked
7.Imagine/ジョン・レノン
8.You've got a friend/キャロル・キング
 ~『Beautiful』より
9.Natural Woman/キャロル・キング
 ~『Beautiful』より
10.幸せのありか/メリー・ポピンズ・リターンズ
11.桜散る、また歩き始める
 /最高はひとつじゃない~SAKURA~

Enc.a little waltz
 /DREAMS COME TRUE

 現地で聞いて特に思ったことですが、とにかく選曲が新鮮。

 今までライブで披露されたことがあるのは1月のビルボードライブ横浜ライブでも披露された、ソプラノが素敵なM4「Think of me」、定番化しつつあるM6「You've got a friend」ぐらいで、あとはほぼ初めてかと。

 これまではエルファバ曲をやることが多かった『Wicked』から、初のグリンダ「Popular」。抜群のコメディエンヌぶりとキュートさ満開でとても良かった。ミュージカル女優さんだと、やっぱりパワフルなエルファバを選ぶ方が多いわけで、グリンダを嫌味なくやれる方って実はすごく少ないんですよね。オリジナルキャストの沼尾みゆきさんもそうですが、品があって、チャーミングで、ドジすらもカワイイというのは才能だと思うので、とってもいい選曲かと。

 びびちゃんの歌声の特徴って、「とっても聞きやすい」ところだと思っていて、構えないで聞けるというか、歌声に身を委ねられる感じというか、優しさでふっと寄り添ってくれる感じが、特に大変なときほど癒しになる有難さを感じます。どちらかというと、ミュージカル女優さんの歌声ってパワフルな押せ押せ系が多いので(誰のことを言っているかは私の保身のため言及しませんが…笑)、こと「綿引さやか」ライブの色が、「終わった後にみんなが心からの笑顔になる」空気感、それが個性になっていることを感じます。

 歌にも人となりにも、コアに「優しさ」があるから、歌もMCも心配りに溢れていて。

 でも、そんな心配りをする裏には、ミュージカル女優として悔しい思いもたくさんしてきていることを、今回はMCでも言及されていて。
 成功ばかりじゃないからこそ、何が正解なのか教えてもらえない厳しさとも直面しながら、自身なりの良さをどう表現されるかに苦心されていることを感じます。元々バランス力に秀でた方なので、きっと試行錯誤しながらも自身の形を作られていくものと信じていますが、ここで、私の推しさんが一人の女性を大きくポジティブに変化させた一言を贈りたいと思います。

 「足りない点はすべて伸びしろ」

・・・

 選曲にこれまでにないチャレンジを感じた今回のライブ。
 今後はこれまでのような定番曲中心よりも、新たな曲を選ぶことでライブの可能性が広がる、それを感じた素敵なライブだったのでした。

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