« 『ドン・ジュアン』 | トップページ | 『et-アンド- Monthly LIVE 2021「RGB」 ~#0000FF#~』 »

『ソーホー・シンダーズ』(1)

2021.11.3(Wed.) 14:00~16:30
 東松山市民文化センター 19列30番台(センターブロック)

 再演のプレビュー初日、埼玉県は東松山市まで行ってまいりました。

 「都内から1時間」と言っても、池袋から東武東上線で東松山まで50分かかるので、そこから毎時2本のバスで5分ほど、と上手く乗り継いだ場合の時間なので、ちょっとした旅気分。
 バスを乗り継いでたどり着いたホールは、秋の澄み切った青空に映えるレンガ色の建物が印象的です。

 この作品の存在を知ったのは2020年2月、草月ホールで行われた『W FACE CONCERT』。レポこちら この時に綿引さやかさん(びびちゃん)が出演されたので見に行って、そこでびびちゃんはマリリンパートを担当されていました。普段は「この作品に出たい」とは仰らないタイプのびびちゃんが、『ソーホー・シンダーズ』については「曲が素敵」「ぜひ出たい」と仰っていたのが印象に残っていて、再演で出演が発表されたときに、驚くとともに嬉しかったのを覚えています。
 この時共演されていた豊原江理佳さん、西川大貴さんが初演キャストだったわけで、それ以来の再会、ということになります。

・・・

 コンサートでは2曲しか聞けていなかったので、今回全編通して音楽を聴けたわけですが、期待以上に曲が良く、聴いていて自然にわくわくする高揚感があって。ホールの音響はちょっと微妙だったので歌詞が聞こえにくいところは正直あったのですが、曲の良さでカバーしてたイメージ。

 作品の舞台はロンドンの「ソーホー」という街。この街で、亡き母から受け継いだコインランドリーを営むロビーは、義父の連れ子である双子の姉妹にいじめを受けている…という「シンデレラ」を下敷きにした物語。店で働くヴェルクロと、お客であるサイドサドルは彼のよき理解者。
 そのロビーは経済界の大物、ベリンガム卿に気に入られ資金援助を受けているけれど、ロビーには本命の恋人がいて、ロンドン市長選に立候補しているジェイムズ。そのフィアンセがマリリン、選挙参謀がウィリアム、スタッフがサーシャ、という人物関係。

 で、ロビーを巡ってベリンガム卿とジェイムズが鉢合わせすることとなり、事態が露見して…

 といったあたりが一幕。

 当然ロビーもベリンガム卿もジェイムズも男性なわけで、その三角関係が露見すれば、上へ下への大騒ぎになるのは必然なわけで、二幕はそんな事態の露見から、どう話が展開していくかが自然に作られていて、いい感じ。

 1幕はその事態が露見する前ということなので、ジェイムズ演じる松岡さんと、びびちゃんのマリリンのデュエット、M6「Remember Us(いつでも二人で)」がうっとりするほどバランスが素敵。二人は以前からの知り合いで、ロンドン市長選に出るジェイムズと、フィアンセのマリリンの関係は衆知のものなので、市長と市長夫人となっても自然な、その収まり具合が素敵です。

 それでいて、事態が露見してからのマリリンの立ち振る舞いがとても人間的で。ジェイムズを大上段から責めてもおかしくないところに、少しの本音(「みんなのいるところでは話を聞きたくない」と震えながら言うさまは本当に心に響きました)と、それでも必死に感情を抑えて振舞うさまに心惹かれます。

 迷い悩み苦しみ、それでたどり着いたコインランドリー。サイドサドルが見守る中、ヴェルクロの優しさに救われ、自ら道を決めていくさまが女性としてとても素敵で。弱い脆さと、強い立ち直りを見せてくれる。そしてジェイムズにも責める時にも少しの余白を持たせているところが、「強い中に優しさを決してなくさない」びびちゃんの女性としての人間力が反映しているように感じられて、これからのツアー公演・東京公演での役の進化がとても楽しみです。衣装もとても素敵で、「デキる女性」で着こなしがどれも良くて、ドレスだったりネグリジェだったり、それに弁護士ということもありパンツスーツの似合い方が素晴らしい。立場的には上から見下ろす感じになってもおかしくない立ち位置なのに、全くそれを感じさせないのが、流石です。

 豊原江理佳さん演じるヴェルクロとの芝居の相性がもう抜群で、マリリンからヴェルクロへの恩返しも、とても素敵でした。

 この後はツアー公演(名古屋、山口、香川、大阪、神奈川)を経て、東京は11月25日から12月12日まで、紀伊國屋サザンシアターです。

 

|

« 『ドン・ジュアン』 | トップページ | 『et-アンド- Monthly LIVE 2021「RGB」 ~#0000FF#~』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 『ドン・ジュアン』 | トップページ | 『et-アンド- Monthly LIVE 2021「RGB」 ~#0000FF#~』 »