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2021年8月

『王家の紋章』(7)

2021.8.15(Sun.) 13:00~15:55
 帝国劇場 1階D列30番台(センターブロック)

2021.8.18(Wed.) 18:00~20:55
 帝国劇場 2階J列30番台(センターブロック)

2021.8.22(Sun.) 13:00~15:55
 帝国劇場 2階K列40番台(上手側)

2021.8.27(Fri.) 18:00~21:10
 帝国劇場 2階XB列50番台(上手側)

帝劇王家も、回数を絞ったはずなのに、振り返ってみると6.5回。
帝劇前楽が、新妻聖子さん女王アイシスの帝劇楽だったので、この回がmy楽になりました。

今回の再再演は、やはり何といっても王族代表の聖子さんのアイシスへの転生(@浦井さんカテコご挨拶)
実はたった4年前までキャロルをやっていて(35歳~36歳でキャロルやってたのも驚きですが)、アイシスの方がむしろ現在の役者さんのキャリアとしては妥当だと思うのですが、それもキャロルができる、ヒロイン格の女優さんが出てきてくれたからこそ。

今回は神田沙也加さん(初演の聖子さんの1歳年下、34歳)と、実は一回りも違う、若手の木下晴香さん(22歳)という、キャリア十分な2人がキャロルを務めてくれたことで、安心して聖子さんもアイシスが演じられたのではないかと感じます。

思えば、10年近く聖子さんと帝劇ヒロインをほぼ2分していた笹本玲奈さんも、『マリー・アントワネット』で貧民街のマルグリットから、権力の頂点、マリー・アントワネットへ「転生」しており、これもソニンさん、昆夏美さんというキャリアを積んだ若手の方がマルグリットを務められるようになったからこそ。
聖子さん、玲奈さんともに結婚して役がキャリアチェンジした要素もありますが、感慨深いものがあります。

そして何しろ初演・再演王家はシングルキャストでアイシスを演じた濱田めぐみさんのエネルギーたるや凄かったわけで、めぐさんと違うアイシスをどう作られるのか、というのか興味と心配が混在していたわけですが、聖子さんは当たり前ですが、常人ではなかったことをつくづく感じさせられる凄さで。

「愛するメンフィス」を最後まで貫き通すさまは壮絶で、「わが愛の崩れ行くさま」を感じさせながらも、最後の瞬間までメンフィスから自分への思いを諦めない様が重い

そしてそれに輪をかけたのが、浦井メンフィス限定で公演後半から始まった、1幕「イシスとオシリス」であろうことか、浦井メンフィスがアイシスの指に指輪を嵌めるという事態。
歌詞にも歌われていますが、古代では血統の維持ということから、姉弟で結婚することも何らおかしいことではなく、むしろ「道理」とまで歌われ、メンフィスもそれを不自然と思っていないのですね。

だからアイシスがメンフィスと結ばれることを願うことも、「王国の繁栄を築く」ためであれば、何らおかしいことでもなく、周囲もそれを願っているかのようにアイシスが思っても不思議はない。その日を夢見て指輪を嬉しそうに撫でる聖子アイシスの姿は、1幕では全く不自然に見えず、逆に2幕ではメンフィスがキャロルを求めた結果、手のひら返しをしたかのような弟に、心に刃を向けられる日々。

未来の看護術でメンフィスの危機を救ったキャロルは、イムホテップさえも味方につけ、メンフィスの伴侶としての道をひた走るわけで、王国の皆もメンフィスの危機に、祈祷しかできないアイシスより、実際に救ったキャロル支持に傾くのも、むべなるかなといったところ。

「イシスとオシリス」リプライズで弟からこっぴどく振られたアイシス様の嘆きの「想い儚き」の歌は絶品で、特に聖子アイシス帝劇楽となった27日ソワレはただただ、悲しみの空虚感が伝わる、「愛に生きる女性」の凄まじさを感じて。1曲の中で、夢が叶うかのように空想した後、現実に苛まれる様は、歌詞に「恵みの雨」と出てくるからというわけでもないですが、あぁエポニーヌ役者さんだなぁ聖子さん…と思うわけであります。

そんな聖子アイシスをこっぴどく振ったメンフィスも、四重奏の「もどかしい想い」の前半では、姉君に気づかれないようにじっと姉君を見つめているんですよね。自分の本当の気持ち(キャロルを伴侶とする)からには、姉の想いに応えることはできないけれども、今まで自分と一心同体であるかのように一緒に生きていた姉君のことを、嫌っているわけでは決してなくて。特に浦井メンフィスだと、過去のキャロルとして一緒に生きた経験もひっくるめて、「傷つけてごめん、姉さん」と背中で語っているかのように思えたことが印象的でした。

Wキャロルも、二次元の達人の沙也加キャロルの完成度は最後までとどまることがなく、勝気なさまは「聖子キャロルの血を沙也加キャロルは引いているんだな」(爆)と思わせる様で、ヒッタイトにつかまりに行くときに、いつ「私はここにいるわ!」と叫びだすかと思っちゃいました(笑)。

晴香キャロルはテーベのノリノリさが新鮮で、「あー、いつもは、はっちゃけ方分からないのね」的な生粋のプリンセスの「さが」が微笑ましく。今回はテーベは沙也加キャロル回では手拍子多かったですが、不思議なほどに晴香キャロルでは体験しなかったのが意外です。

そしてここからは前楽のカーテンコール。
動画はこの後youtubeに上がると思うので是非見ていただきたいんですが、

そつなき、さーや(沙也加キャロル)
あいされ、げんき(平方イズミル)
いつもの、せーこ(聖子アイシス)
さすがの、けんじ(浦井メンフィス)

という感じです(そうまとめるか笑)

普通この4人なら、アイシス→イズミル→キャロル→メンフィスの順になりそうなカーテンコールご挨拶(いわゆるキャスト表の下から順)なのですが、まぁ王家の呪いのなせる業と申しますか(爆)、一番面白いであろう順序になったことで否が応でも期待が高まりますが、否が応でも大うけなカーテンコールでした(笑)。

神田沙也加さん
「実は緊張しぃな私なんですが(舞台上で若干みんな首傾げる笑)、キャロルは本当に楽しかったです。色々仕掛けがいがあって演じるのが毎日楽しみでした。(迷ったときは)先輩キャロルの聖子さんがいてくださって、何でも聞ける聖子さんに助けていただきました。(聖子さん)本当にありがとうございました。」
…いきなり振られてむっちゃ照れる聖子さんがキュートでした。

平方元基さん
「本日はありがとうございました。こういう挨拶苦手なんです…。(聖子さんから『汗すごいかいてる』と突っ込まれ舞台上爆笑)…博多座でも皆さまを『待ち構えて…(あっ)』(舞台上笑)『お待ちしております』」と言い直してました(笑)。

新妻聖子さん
まずは浦井さんからの紹介で「前回のキャロルからアイシスに転生した聖子さん」という振りに会場も本人も笑う(笑)

「ご観劇いただきありがとうございます!弟に毎回ひどくやられて(浦井さん謝罪ポーズ爆)、ミヌーエも最近はキャロル派になってしまって(編注:原作ではミヌーエはアイシスに恋慕しております)、舞台上での私の見方はアリ(お付きの女官)ぐらいで、でも、お客様は皆さま私の味方で!!!(会場内大拍手)

楽のご挨拶をするにあたりまして、何を話せばいいのだろうと、数日前から王家の原作を全巻読み直しましたら、とっちらかっちゃって、何を言えばいいのか分からなくなり、原作の時系列もわからなくなっちゃって、アイシスも原作では子供がいますので11か月ということだと、18歳だった弟はもう成人しているわけで、死なないんですね。そうなると『生きていれば歴史は変えられる』んです。『今日を必死で生きていれば明日は変えられる』、それに気づけたことは新鮮な気付きでした。

こんな状況でございますので、ご観劇いただけなかった皆様にもご覧いただきたく、本日のカーテンコールはyoutubeで後ほど配信させていただきます。カメラ位置はこちらでよろしいですね?(笑)『生きていればまた会える』、そう改めて感じています。本日はありがとうございました!」

…途中「こんなに長くていいんですか?」ってもっと長いエピソードもぶら下げてたので多分3分越えています1人で(爆)

そして最後は浦井健治さん。

『戦うものの歌が聞こえるか』

…これを言ったときに、舞台上から客席まで、皆が一瞬、何が起きたのだろうと時が止まりまして。

仲間たちが色々な場所で悔しい思いをしています。そんな中、演劇の力を信じられるのはお客様のおかげです。心から感謝申し上げます。エンターテイメントは不滅です。ありがとうございました!」

その挨拶の中、浦井さんの真意を感じた舞台上と客席の空気がぴんと張りつめ、浦井さんがファラオであるかのように、皆が尊敬のまなざしで見つめる姿に、『王家の紋章』の奇跡を見た気がしました。

この日はカーテンコールは4回。

今日はイズミル王子のアイシス女王エスコートは2回あったのですが、アイシス女王のご機嫌が麗しかったからなのか、毒蛇さんの発動がなく(笑)、唯一、このイベント(爆)だけ見られずじまいだったのが残念です。
(エスコートしてもらった後、アイシス様が飼いならしている毒蛇さんでイズミル王子をかぷっとやる、というのが平方イズミル&聖子アイシス回の後半の定番でした)

自分が見た回では唯一、平方イズミル回で4人ご挨拶(上手側からキャロル、メンフィス、イズミル、アイシス)になった回。いつもは恥ずかしそうな聖子さんも、この日は帝劇楽の高揚感からか、両手でガッツポーズしてて面白かったです(笑)。

もっと面白かったのが、その最終回カーテンコールで沙也加さんが浦井さんになんと「握手」を求めるという珍事。ハグではなく、「握手」で「お世話になりました」を伝えるのが、律義な沙也加さんらしいなと、なんだかとっても興味深い回だったのでした。

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『王家の紋章』(6)

2021.8.5(Fri.) 19:40~21:00
 帝国劇場 B席2階L列30番台(センターブロック)

2021.8.9(Mon.) 13:00~15:55
 帝国劇場 B席2階L列30番台(上手側)

2021.8.9(Mon.) 18:00~20:55
 帝国劇場 B席2階H列30番台(センターブロック)

3回目の上演となる今回。

初演(2015年)・再演(2017年)とキャロル役(Wキャスト)だった新妻聖子さんがアイシス役になるということで心待ちにしていましたが、初日は仕事の都合で残念ながら2幕からの合流。
初見の作品でもないし、2幕からでも理解できるかとちょっとだけ思ったのですが、全然気持ちが入らず、改めて9日にマチネを追加してのマチソワで見ました。

つくづく思いますが、舞台は全編見て初めて満足するものだな(笑)と改めて実感。
『王家の紋章』に限ってみても、1幕がないと特にアイシスの苦しみは本当に理解しにくくて、今後は平日ソワレはなるべく午後休み取るようにしたいと心に決めました(爆)。

では、参ります。

帝劇0番、エジプトの王・メンフィスを演じるのは今回は浦井健治さんと海宝直人さんのW。初演は浦井さんシングルでしたが、今回から海宝さんが加わり、海宝さんは今回が初の帝劇0番(センターポジション)です。

王としての佇まいの違いが印象的で、年齢の違いもあるのか、浦井さんは「青年王」、海宝さんは「少年王」という感じを受けます。実際、浦井さんの方が「王慣れ」(←)しているわけでファラオとしての説得力はさすが浦井さんに一日の長がある感じですが、キャロルとのバランスということで言うと、浦井メンフィスと沙也加キャロル、海宝メンフィスと晴香キャロルが良さそうです。

キャロルは今回もWキャスト。初演・再演は新妻聖子さんと宮澤佐江さん(元AKB/SKE)のWキャストでしたが、今回は再演から4年も経過しているということもあり、神田沙也加さん、木下晴香さんのWキャスト。

ふと見ていて気付きましたが、どちらもディズニープリンセスなんですよね(『アナと雪の女王』のアナと、『アラジン』のジャスミン)。さすが「王家」ということもあり、「王女」で揃えたわけで、初演・再演が舞台女優・アイドルの組み合わせだったのに対し、再々演が(他での活躍もあるとはいえ)舞台女優2人のWというのは、感慨深いものがあります。途中から売り止めになったといえ、一般層へ名前も売れている2人ですからね。

キャロルの違いについては、キャロルの舞台オリジナルキャストである(新妻)聖子さんが公式パンフの座談会で語られているのがまさにそのものずばりですが、漫画原作を色濃く感じさせるのが沙也加キャロル。元々アニメ声ということもありますが、それをいい意味で隠していないのが、とってもキャロル風味を感じさせてとても良いです。どこか突拍子がなくて、どこか普通じゃなくて、どこでも目を惹きつけるヒロイン力は流石の一言。そういえば、さーやキャロルが特にぷくーっと膨れたときの怒り顔、初演・再演の佐江キャロルに似てますよね。だからどうって話でもないですが(爆)。

初日と9日マチネは聖子アイシスと沙也加キャロルという
「聖子が沙也加を許さない」(笑)回ではあったわけですが、聖子アイシスの重い怨念をしれっと見て見ぬふりするあたりが流石です(爆)。

片や晴香キャロルは、とっても歌える方なわけですが、キャロルという役としては固すぎる印象で、2幕のテーベからようやく調子掴んでいい感じになってました。が、ラストの場面を改めてみると、晴香キャロルは「生粋のプリンセス」そのものなんですよね。
今までの歴代キャロル(他に3人しかいませんが)が、現代の女の子が3千年前のエジプトに飛ばされて、多くの奇跡を起こして王女となる、というのに比較すれば、晴香キャロルは「元々プリンセス」な女の子が、好奇心で古代遺跡の発掘に出かけてるように思えて、噴いてしまいました(笑)。最後の説得力は流石なので、前半、特に1幕の動きがより「作品の中の心の動き」になればよくなるのかな、と思います。

アイシスは今回はWキャスト。初演・再演は濱田めぐみさんのシングルでしたが、今回は朝夏まなとさんと新妻聖子さんのW。9日ソワレは朝夏さん(まぁ様)でしたが、ビジュアルと存在感の説得力が素晴らしかったです。アイシスでは初めて宝塚トップスターが登板ということで、トップ娘役からトップスターが斬りつけられるという、王家では初の出来事も発生しており、ビジュアル的に興味深いところです(組は違いますが)。

新妻アイシスはキャロルからの役変わりという、今となっては驚天動地ですが、初演のオファーが来たときに聖子さん自身が「アイシス?」って聞いたぐらいだそうですし、今とあってはいいクラスチェンジかなと。公式パンフの座談会を見る限り、相変わらずの「王族」を活かした座内監修者のようですので(爆)。

新妻アイシスは思った以上にメンフィスへの愛が重すぎて、なのに、「かつては私もメンフィスに愛される立場だったのに…」を1ミリも思わせないのも流石で、今はアイシスとして愛されないと意味がない、という思いの強さがびんびんに伝わってきます。

メンフィスを誘惑するヒッタイトの王女・ミタムンを容赦なく排除するのは今に始まったことではないですが、あーちゃんミタムンには容赦なく敵対するのに、特に後半、さーやキャロルには勝てない感じ出してくるのも興味深い。

ミタムンの誘惑を歯牙にもかけないメンフィスだから、ミタムンを排除してもメンフィスに対するウィークポイントにはならないけど、キャロルを排除したことをメンフィスに知れたら、メンフィスが自分を見てくれなくなるかもしれない…ということかと。

劇中で宰相イムホテップがいみじくも語る「聡明なアイシス様も恋をすればかくも愚かに」というのは、「『(ミタムンを)亡き者にすれば外交関係に影響しエジプトの危機となる』にも関わらず、メンフィスに影響がないからと即手を下したことをも言っているのだろうなと。

新妻アイシスは、『メンフィスとは「孤独」という点で立場と感情を共有してると信じてて、王家でもないキャロルにメンフィスを拐われると思ってもいない』様が印象的。

「奴隷にでもすればいい」と問うて「愛してる、妃にする」と返されて目が点になってました

キャロルに直接危害を加えてもおかしくないのに、キャロルに手ぬるいのが不思議。
それがキャロルの強みを身体全部で知っているからこその金縛り感なのかは、興味深いところです。

・・・

9日ソワレカーテンコールでの一コマ。

カテコフィナーレ、平方元基氏、「2人」に残すよう促し、結果、国王王妃のW投げキスが起きまして!
晴香ちゃんの投げキスは初めて見ました(興奮)
元基氏さすがデキル男です。

そういえば、アイシスとイズミルはカーテンコールで隣同士ですが、新妻さん&平方さん限定で、平方さんが新妻さんの手を取ってエスコートしてきて、隣に立つや否や、新妻さんが女王感全開に平方さんの手を振り払う様が(毎回ではないかもしれませんが)楽しみです(爆)

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