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2021年5月

『メリリー・ウィー・ロール・アロング』(2)

2021.5.22(Sat.) 17:30~20:25
 新国立劇場 1階2列30番台(センター)

2021.5.23(Sun.) 12:00~15:30
 新国立劇場 1階7列50番台(上手側)

2回目・3回目の観劇で、日曜日はホリプロステージ貸切公演ということで、同い年3人組のトークショーも付いてきた回。玲奈ちゃんFCでは落選し、ホリプロステージ無料会員枠での確保です。
2回目はまさに最前列(1列目は非使用)ど真ん中という、そりゃメアリー様に気づいていただけますよね的な場所です。

トークショーで玲奈ちゃん自身も仰っていましたが、2回見ることで見逃していたところが繋がる感覚がとても面白い。1回目だと頭が混乱して、逆再生が理解しきれなくて、いかに人間「時系列」で物を理解しているかが如実に分かるんですよね。

「この選択があったからこの事象が起きる」、人生はこれの繰り返しですが、この物語ではそれを逆に見せて、「この事象が起きた。その理由は…」と見せているので、よく考えると倒置法と同じ考え方なんですよね。正しくは「この事象が起きた。その理由と想定され『一つの要因』はこれである」でして、原因と事象を逆に見せる結果、「この要因がこの結果を引き起こしている」と「思い込みやすく」されているのかな、とちょっと感じました。

ミュージカルはハッピーエンドで!と言っているモードから考えると、ラストがハッピーなんですが、この作品の場合はラストがハッピースタートになってるという(笑)

3回見てようやく逆再生を順再生に変換できるようになったので、順再生でこの物語を語ってみたいと思いますが、当然のことながら超ネタバレなので、お気にされる方は回れ右で!




では、始めます。

メリリー公式でもお客さんからの質問に答えてたりするので、今日それが言及されていたのですが、
ラストのフランクの立っている姿は、実は若いころの姿ではなく、今なんですよね。
逆再生ではあるのですが、実は今(40代)→若いころ(40→30→20代)→今(40代)という構成になってます。本編が回想シーン(逆再生)とも言えるわけですね。

学生だったメアリーの住んでいるアパートに越してきたフランクとチャーリー。屋上で見たスプートニクは1957年に世界で初めて打ち上げられた、ソビエトの人工衛星なので、2年の「無駄な」兵役を過ごしたフランクの任地はおそらく朝鮮(1953年停戦)。舞台後半のニュースでいきなり語られる「ベトナム戦争停戦」(1975年)と無関係ではなく。

「もし人生にifがあったら」がこの物語の主題ですが、「もし戦争がなくて2年間の無駄がなければ、自分は2歳若く音楽に没頭できていたであろう」というフランクの思いが伝わってきます。

ニュースでもう一つ語られていたテーマが「アメリカ最高裁が中絶を合法化」。

フランクがベスと結婚を決断する直前、ベスはフランクを試していますよね。

「妊娠していなかったら私と結婚することを決めてくれた?」という問いかけのとき、一度は「妊娠していない」と嘘をつき、それでもフランクは結婚を決断します(全般的にフランクはNoと言えない人に見えます。こと女性に対しては)
フランクがその後の過ちでベスとの決定的な気持ちの乖離を迎えたときに、息子であるフランキーの存在に取り乱すフランクの様を見ると、「子供がいなかったらどうなっていたんだろう」ということを感じさせます。

フランクとベスの結婚直前、フランクはよりにもよってメアリーに「自分の決断が間違っていないか」問うているという、何という無神経さ。それでこそフランクではあるんですけどね。名前が体を表しているのか、まさにフランクで誰をも惹きつける「人たらし」(この日のトークショーでチャーリー役のウェンツ氏がいみじくもそう語られてました)。そこでメアリーが自身の本当の気持ちを語っていたら、どうなっていたか。

メアリーは3人の「友達」としての関係を崩したくはなかったのでしょうね。すでに自分のルームメイト(イーヴリン)と結婚していたチャーリーとのことを考えたときに、メアリーとフランクが結婚しても何らおかしくはなかったのだと思いますし、若いころフランクがメアリーに初対面でかけた言葉なぞ、罪作り以外の何物でもないですよね。

メアリーはベスだから祝福できたのに、フランクは成功するたびに成功の波に溺れ、ガッシーという魔物に取り込まれてしまう。メアリーがいみじくもベスに言った「信用しちゃいけない時もある」という言葉の重さを考えると、メアリーはフランクの脆さを一番知っていた人なんだなぁと。

対してガッシーは、自分の成功のために相手を変えている人ですが、しかしながらフランクに言った言葉で「何を目標とするかを明確に定め、行動するべき」という言葉はまさに真実で、まぁそれが「優秀な作曲家であるフランクを手に入れる」という行動になってるわけで、まぁヤなキャラになりますよね(爆)。

この作品の音楽は言わずもがなのソンドハイム氏で、とりわけ2幕の結婚式でフランク、そしてメアリーとベスの二重奏になる「Not a day goes by」が鳥肌。希望に溢れたベスの「私は生きていく」と、メアリーの「私は死んでいく」のコントラストが凄まじかったです。

そういえば日曜日はフランキーが武蔵君だったので、玲奈ちゃんメアリーが寝室に連れて行くのがキム&タムだったし、昆ちゃんベスが隣で手をつなぐのもキム&タムでしたねー。

・・・

ということで、日曜日のトークショーはホリプロステージ貸切公演だったのですが、「司会の」平方元基氏が「え、今日ってホリプロステージ貸切公演だったんですか?」と初っ端言い出す不安な展開(笑)。いや、いつものモードなのは分かってるんですが。

ラストの衣装のまま登場で、上手側から玲奈ちゃん、中央に平方さん、下手側にウエンツさん。

初っ端から玲奈ちゃん大爆走。

玲「チャーリーが、結婚式のシーンでスベってたよね?」
ウ「いや、あれ台本通りだから。この作品アドリブないじゃん」
「いや、もっと笑いが取れたはず」(←厳しい笑)
平「(笑)」

「ほかの人のシーンで気になるところある?」な質問に

平「ガッシーの「Hmm~」みたいなとこ」
玲「まぁちゃん明日からやりにくいじゃん」
平「ウエンツは?」
「俺、人の様子に興味ないもん」
2人「だよね(笑)」

そこから繋がってそれぞれの役と役者さん自身のリンクの話に。

平「ウエンツは出てくる言葉と持ってる感情にずれが少ないように思ってて信頼してる」
「え、俺の感情分かるの、いつ知ったの(笑)」

ウ「役(チャーリー)との関係だと「イヤなものはイヤ」と断言するところは似てる」

玲「(フランクが)平方元基なのかフランクなのか
  分からなくなることがある。
  昆ちゃんがガッシーとの関係を(フランクに)
  問い詰める時に「俺のこと愛してる?」
  って聞いてるじゃん。あれがホントにイヤ(爆)。
  顔見るだけでイラっと来る(笑)

平「役だから!(笑)」

「ごめんごめん、大好き」(←)

ウ「フランクは人たらしだからね。みんながフランクを盛り立てようとするわけだし」

…と、そんな感じのノリ良すぎなトークショー。

ウエンツ氏が「この3人だからこその深め方もある」と仰っていましたが、3人が話し合った裏設定で演じられている部分も多々あるそうで、脚本にないそんな面を見るのも面白そうです。

トークショー最後は3人からそれぞれご挨拶されていましたが、玲奈ちゃんからの「ぜひ2回見てほしい、2回見ることで「こういうことだったんだ」ということが分かったりする。もちろん1回見ていただいて逆再生を感じていただくことも素敵ですし、また2回目といってもやはり皆さまの健康、ご家族の健康が大事ですので、無理はなさらずできる範囲でご覧いただけると嬉しいです」の言葉が印象的でした。

新国立劇場は31日まで、その後名古屋・大阪公演が予定されています。

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『メリリー・ウィー・ロール・アロング』(1)

2021.5.17(Mon.) 18:30~21:25
新国立劇場中劇場 1階6列30番台

8年ぶりの再演初日、初見での拝見です。

2013年の時は天王洲銀河劇場でしたが、今回は新国立劇場中劇場。
前回のサブタイトルは「それでも僕らは前に進む」でしたが、
今回のサブタイトルは「あの頃の僕たち」
スタンスの違いをちょっと感じたりします。

緊急事態宣言の延長に伴い、開幕が危ぶまれましたが、舞台業界全体のご尽力で、何とか都内は無観客公演は免れ、50%上限(すでに販売済みは超過可)の条件のもと、この日初日を迎えました。

この作品、ポスターにもろネタバレがあるという(笑)なかなか勇者な作品ですが、テーマをネタバレしても楽しんでもらえる、という自信があるからなのかなと。

「逆再生ミュージカル」ということで、同い年3人が、40歳の今から、20歳の昔へ遡っていくストーリー。

1幕初っ端は、笹本玲奈ちゃん演じる売れない作家・演劇評論家のメアリーが、かつての友人フランク(平方元基さん)のパーティーで、むっちゃくだを巻くシーンから始まるのですが、玲奈ちゃん史上最上級のやさぐれが発動します。それでいて逆再生なので、1幕ラストは玲奈ちゃん史上最上級のはっちゃけで終わるという、その落差(笑)

かつての仲良し3人組、メアリーとフランク、そしてチャーリー(ウエンツ瑛士さん)の過去は時に楽しく、時に思い出したくなかったりする物語だったりで、時系列を逆にしながら見ると、あぁなるほどなぁと。平方くんは一つの過ちで昆ちゃんと別れるのですが役名で言いなさい笑)、そのきっかけが後から語られるので、「○○が起こりました。その原因は次にお話しします」的な流れになってます。

ただ、逆再生と言ってもパーツ1つ1つは順時間なので、例えば30分間の物語を、「21分~30分」、「11分~20分」、「1分~10分」というように展開するので、紙芝居を後ろから見ていく感じというとわかりやすいかなと。

やさぐれメアリー(ってどっかで聞いたぞ笑)が、実のところ以前は3人の先頭を切って走るポジティブメンバーだったことに、切なくなったり。玲奈ちゃんがここまで弾けたキャラというのも、言われてみると過去そうそうないかもしれません。昔にさかのぼれば遡るほど、笑顔も元気も出てきて、ありし日の思い出を感じさせる、ポップな存在感でした。

同世代(というか同級生)3人でわちゃわちゃできる現場というのもそうそうないわけで、はっちゃけられるところは玲奈ちゃんの素の笑顔が見られたりするところも微笑ましい。昆ちゃんと憎しみの瞳でぶつかり合ったりしないし(爆)、むしろまぁ様とバチバチしてますわな。

下手側にSTAGE DOORがあるのですがカテコ終了後、「1人残して扉を閉めてしまう(結果、舞台側に残される)」遊びが発動し、2回目で油断した玲奈ちゃんがしっかり舞台上に取り残された様がむっちゃチャーミングでした(爆)。

 

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