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2021年3月

『ひめゆり』(4)

2021.3.27(Sat.) 18:00~20:30 1階L列20番台
2021.3.28(Sun.) 18:00~20:30 1階H列10番台

彩の国さいたま芸術劇場大ホール

昨年10月に公演中止となった『ひめゆり』、ミュージカル座のリスタート公演は同じこのホールでの『ひめゆり』。

去年の公演ではメインがシングルキャストだったこともあり、公演を中止せざるを得なくなったことを踏まえて、今回は完全ダブルキャスト制で、月組・星組がまったく動線が交わらないようにと、公演日も完全に別です。そのため、以前は月組・星組でマチソワも物理的には可能でしたが、今回は必ず別日ということで、結果、遥か埼玉の与野本町まで、2日間通うことになりました。

2回目の2018年(シアター1010公演)でマチソワをやったことがあって、『ミス・サイゴン』に負けず劣らずマチソワが精神的に苦しすぎるこの作品なのですが、今回は前後の予定の関係上、どうしても

・土曜日ソワレ『ひめゆり』月組
・日曜日マチネ『アリージャンス』東京千秋楽
・日曜日ソワレ『ひめゆり』星組千秋楽

…という構成になってしまい、何と戦争物3連続という、何をとち狂ったのか、という日程にした結果、結構精神的にダメージがきました(苦笑)。

無理なスケジュールを強行した理由は、メインのキャストが個人的に待望のキャストが揃っていたから。

月組のキミは黒沢ともよちゃん。前回2019年(戸田市文化会館公演)で好印象だったバランス感の良さは健在。今回は初『ひめゆり』出演のふみ、大胡愛恵ちゃんがとても頼もしい存在で、キミがふみを頼りにするさまがとってもしっくり来たかな。ともよちゃんキミは最初からクラスの中でも精神的な支柱というか、笑顔でみんなを明るくするさまがぴったり。

そして月組の上原婦長は三森千愛さん。責任感に富む、でもふわっとした優しさも兼ね備えた素敵な婦長さん。ともよちゃんのキミを最初から頼りにしてた感じがあって、キミは唯一ふみだけを頼りにしていて、しっかり者のキミを上原婦長が頼りにする、そんなバランスが良い月組。

そして、星組のキミは清水彩花ちゃん。自分は2013年(シアター1010公演)から『ひめゆり』をほぼ見ていますが、少なくとも2013年以降では初めてのふみ経験者のキミ。ふみはキミの支え、だからこそふみを知ってる彩花ちゃんのキミは、繊細かつ大胆。最初こそおずおずとしているけれども、杉原さん、檜山さんとの時を経て、ぐんぐんと頼りがいのある女性に変わっていくさまが印象的。

星組の上原婦長は平川めぐみさん。こちらも、少なくとも2013年以降では初めての「四季経験がない」婦長さん。とにかくオーラが凄い!背筋がぴんと伸び、その若さゆえに婦長としての優秀さを身にまとわせる存在感が凄いです。だからの印象なのか、何気に色々なことにとっても厳しそうな感じも窺えて(爆)。最初は彩花ちゃんのキミを認めていないさまも感じられるのですが、どんどん成長してくる彩花ちゃんキミを認めて、自然に一目置いていくさまがとっても良くて。
「よく頑張ったわね」という言葉の温かさは、めぐみさんだからこそのものだなと。

逆に言うと、若いからこその脆さも感じさせて、病院を離れ、皆を元気づけるときは本当に限界そのものを感じたし、洞窟にキミが来たときに、あれほど安堵した上原婦長を初めて見た気さえするぐらい、「若さゆえの張りつめたもの、またその脆さ」を強く感じて。だからこそ、上原婦長が彩花ちゃんのキミに託す様が何の違和感もなく感じられて、そういう点で星組の方がまとまり感を強く感じました。

※2013年以降の歴代のキャスト(2018年観劇blog)はこちら

・・・

今回、従来に比べて30分以上上演時間が短くなっていることもあり、かなりコンパクトになった印象はあり、特に初めて短縮版を見たとき(土曜ソワレの月組)には、相当な違和感を感じざるを得なかったのですが、2回目の星組では意外にしっくりと来たので、元々の作りがしっかりしているのだなぁということを改めて感じました。

生きるパッションを強く感じた、黒沢ともよちゃん率いる月組、それを『ひめゆり』経験者の三森さんの上原婦長がしっかり支え、『ひめゆり』初挑戦とは思えないしっくり感を見せた大胡ちゃんがナイスアシスト。月組はその3人のトライアングルのバランスが絶品。

生きるエネルギーを強く感じた、清水彩花ちゃん率いる星組、それを絶品の相性で並び立った、こちらも『ひめゆり』初挑戦と思えない平川めぐみちゃんの上原婦長。星組は2人の思い合いが、お互いサバサバなところがぴったり合ってて、同世代の戦友!って感じがぴったり。今まではキミより上原婦長が年上のケースがほとんどでしたが(2013年の彩乃かなみさんキミと木村花代さん上原婦長がほぼ同い年だったケースがあるぐらい)、同世代の近い関係性もいいなぁ、と改めて感じたのでした。

上演時間が短くなって初めてということもあって、色々この後、試行錯誤も軌道修正もあるのでしょうが、きっと、今『ひめゆり』を幕を開けることこそ、ミュージカル座さんにとって必要な歩みだったのだと思いますし、まずは公演の無事終了をお祝いしつつ、2週間後の「完全終了」までつつがなく終えられることを願っています。

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『BARNUM』

2021.3.6(Sat.) 17:00~19:20

東京芸術劇場プレイハウス
1階H列20番台(上手側)

興行師バーナムの半生を元敷きに作られたブロードウェイミュージカル、この日が初日です。

主演バーナムを演じるのは加藤和樹さん。ほぼ口から「イカサマ」(自称)で次々と企画を実現していくあたり、なぜかわからないけれどハマっている(笑)

そんなバーナムの奥様は元宝塚宙組トップの朝夏まなとさん。和樹氏とまぁ様の掛け合いが絶妙で、遠すぎず近すぎず、夫婦のお互いの違う様を認識しながらも、愛し合って必要としあっている様がとっても見ていて楽しい。テンポもいい。

派手な興行をぶち上げるバーナムに全面的に賛成しているわけではない奥様だけど、何だかんだ言いながらも最後はやりたいようにやらせてあげてる様がカッコ良くて、口げんかでつい旦那様も「何年もこんな『男』とやってきて」とか言って会場内の笑いを誘ったりしますわな(笑)

※和樹氏曰く「間違い」って言ってましたが台本じゃないですよね(笑)

そんなバーナムの興行の中でもとりわけ輝きを放つのがスウェーデンのオペラ歌手、ジェリー・リンド役。Wキャストで、この日は綿引さやかさん(びびちゃん)。明日はフランク莉奈さん。

本編のアメリカに連れてきたときの説明で紹介されるときに「スウェーデンの王様に2度も拝謁し」という話になってて、リアルすぎる…と思ったり(びびちゃん自身、スウェーデン王閣下・王妃様の前で歌を披露されたことがあります)

オペラ歌手ということで今までと違う音域ということもあり、どんな感じかと思っていましたが、澄み切った高音と、ドレスをまとった高貴さ、そして異国から来て、良い意味でふわふわした感じがぴったり。英語が通じないわけで、バーナムの和樹氏と「ズレた会話」するんですが、そのすれ違いぶりが超面白いです(笑)。

そんなコメディエンヌぶりも発揮しながら、しっかり堂々と存在しつつ、バーナム夫妻の間に微妙な空気感を持ち込むあたり、どこかで見たことがある役の系統な気も(爆)

ともあれ、興行師の物語だけにエンターテイメントの目指すものというか、前向きなエネルギーをたっぷり持った作品で、楽しく見られたのでした。

 

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