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『屋根の上のヴァイオリン弾き』(9)

2021.2.6(Sat.) 17:00~20:25
日生劇場 2階I列10番台(下手側)

2021年シリーズの初日です。

実のところ、2021年始まって日比谷に縁がなく、初日比谷だったので、HMV日比谷でパンフレットを買ったりMAグッズ(チケットホルダー)を買ったり、キャトレーヴ日比谷できぃちゃん(真彩希帆さん)の写真を買ったりする時間を多めにとった挙句に時間が余り(笑)、開場時間(16時15分)に劇場入り。

客席2階でパンフレットを読みながらいたら、客席オープン時間(16時30分)に日生劇場特有の鐘がなってびっくり。素敵な満足感。

私が『屋根の上のヴァイオリン弾き』(屋根ヴァ)を見始めたのはテヴィエが市村さんになった2004年、この年の三女チャヴァが(笹本)玲奈さんだった時からですが、それ以降の6キャストは次女ホーデル、三女チャヴァのどちらかに必ず気になる女優さんが入っていて、実はコンプリートを続けています。

2004年以降の長女ツァイテル、次女ホーデル、三女チャヴァを並べるとこんな感じになります。

     長女     次女      三女
2004年 香寿さん(O)、知念さん(E/C)、笹本さん(E)
2006年 匠さん(O) 、剱持さん(C) 、安倍さん
2009年 貴城さん(O)、笹本さん(E) 、平田さん(E)
2013年 水さん(O) 、大塚さん  、吉川さん
2017年 実咲さん(M)、神田さん(C) 、唯月さん(E)
2021年 凰稀さん(O)、唯月さん(E) 、屋比久さん(E)

これ、アルファベットで書いたのは、長女がすべて宝塚出身者で、(O)が男役トップスター、(M)がトップ娘役出身なことで、唯一、前回の実咲さん(みりおん)だけが娘役なことがわかります。

次女と三女は、『レ・ミゼラブル』でエポニーヌ経験者を(E)、コゼット経験者を(C)と表記してみましたが、次女も三女もどちらも経験していなかったのは2013年の大塚千弘さんと吉川友さんの組み合わせだけ。とはいえ、ちーちゃんは帝劇ヒロインも経験している(『ダンス・オブ・ヴァンパイア』)ので、実質的には同じクラスの女優さんでしょう。

で、今回の次女(唯月)ふうかちゃんと、三女の屋比久ちゃんは、3回目の「次女・三女ともにエポニーヌ経験者」(2004年、2009年に続く)なのですが、これ、何が凄いって、芝居も歌も分厚くなるんですよ、とてつもなく。

その期待は大きく…そして、期待通りの初日!でした。

ふうかホーデルは1幕は芯の強さをそれほど出さず、ふわっとした感じのバランス型。同じくチャヴァからホーデルになった玲奈ちゃんに似た印象を受けます。ふうかチャヴァが目の前で見つめた神田(沙也加さん)のホーデルはとっても堅物で強いタイプだったので、引きずられていない感じが心強いです。

印象的だったのは長女ツァイテルに持ち込まれた縁談の話を、家族みんなで聞いてしまう場面の、ふうかホーデルの反応。身体を一気に緊張させ、戸惑う(知奈ちゃん)チャヴァを手で制し、ツァイテルに「おめでとう」と声をかける、その声色の深さに痺れます。

ツァイテルは本当は幼馴染のモーテルと一緒になりたいことは、妹としてわかっていて、でも持ち込まれた縁談に対して、喜ばなきゃいけない「娘」という立場もある。大好きな姉も傷つけちゃいけない、だからこそ妹が取り返しがつかないことを言うまえに、自分が言わなきゃいけない、それを瞬時に見せていたさまが、さすが、ふうかちゃんが演じるホーデルでした。

4年前、2017年の初日で見たとき、実はここで(神田)沙也加さんホーデルが、(唯月)ふうかちゃんチャヴァに対して、ほとんど同じ行動をしていることを自分はblogに書き留めてまして、チャヴァからホーデルになることの大切さ、受け継がれているさまを感じられて、本当に嬉しかったです。

で、1幕はふんわりしなやかだったのに、2幕の自らの結婚を認めてもらおうというシーンではがらりと変わり、今度はさーやホーデル譲りの意思の強さを覗かせます。「絶対に(大好きな)パーチックと一緒になりたい」という強さがびんびんに伝わってきます。

面白かったのは、「姉(ツァイテル)が結婚を認めてもらったから、自分(の結婚)も認めてもらえると思ってるだろ?」というテヴィエの言葉に、【即座に】うんと頷くふうかホーデルがお強い(笑)。
そしてその頷き方がむっちゃ可愛すぎて、ふうかホーデル無双になっていた(爆)。

それでいて、ホーデルの見せ場である駅のテヴィエとの別れのシーンは、大好きだった(笹本)玲奈ホーデルばりにパパ大好きな気持ちが身体全体からあふれていて、それでも大好きな人のために自分で踏み出すんだ、という様が強く強く伝わってきて、素晴らしかったです。

で、(屋比久)知奈ちゃんのチャヴァ。チャヴァって実のところ見せ場がそれほど多いわけではないのですが、別れのシーンの芝居の濃さをもう一段高められるとかなり変わるのかなと感じます。歌はもちろん流石なわけで。

正直、自分はチャヴァの初見が玲奈ちゃんで、前回がふうかちゃんなわけで、チャヴァへのハードルはむちゃくちゃ高い(爆)わけですが、”愛され力”というチャヴァに必要な要素をしっかり満たしているので、更に期待したいところです。

・・・

久しぶりに屋根ヴァを見ていたら、ふと感じたのですが。

ホーデル1人の「愛する我が家を離れて」が、最後は皆の「愛するふるさと離れて」になってしまうのが苦しいなと。

ホーデルが先に皆と別れただけだったはずなのに、ユダヤ人という理由だけで、愛する故郷を奪われる物語が、2021年の今上演される意味を改めて深く感じたのでした。

終演後は市村さんからご挨拶。

「稽古場ではずっとマスクだったので、初めての方とは全然表情が分からなくて、昨日初めて分かった(笑)」

「今はお客様はマスクで見ていただくことになっているけれど、これからワクチンもできてくる、そうすればお客様とも顔と顔を突き合わせて芝居を見ていただける日がくる」

「今回は日生劇場の後、名古屋公演、そして私の生まれ故郷、アナテフカ(←カンパニー一同笑い)、いや川越公演まで、皆で走り続けたいと思いますので、応援よろしくお願いします」という流石な締めで初日は幕を閉じたのでした。

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