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『星の王子さま』

2020.2.11(Tue.) 13:00~14:55
東京芸術劇場シアターイースト
22列10番台(センターブロック)

水戸から始まった再演も、東京はこの日の翌日で千秋楽。あとは兵庫の2回公演を残すのみのこの作品。

初演では日程的にどうしようもなく泣く泣く見送ったこの作品ですがようやく再演で拝見。
本来であれば2回拝見できる予定だったのですが、やんごとなき仕事の事情でこの回1回きりとなってしまいました。

翌日同所で開催された「伊礼彼方の部屋」で興味深い話もたくさん聞けたわけですが、そちらはクローズドですので、そちらの内容にはあまり触れずに感想を。

・・

「星の王子さま」で昆ちゃん、と聞いたときにまず最初に感じたのが、「見た目も中身もぴったり」という印象でしたが、それは見終わった後もひとかけらも変わりません。

初演以来2年経ってしまって、初演ではありのまま出来たことも、作り上げる大変さがあった、と昆ちゃんは仰っていましたが、その苦労を感じさせないほどのフィット感がありました。

「星の王子さま」の作品内で有名すぎるほど有名な台詞に「大切なものは、目には見えない」という言葉がありますが、この日の舞台を拝見していて、「大切かどうか、目には見えない」のではないかと感じて。

他の星から地球にやってきた王子さまは、ずっと「何か」を探し続けるために、いろいろな場所を巡り、いろいろな人に会い、そして地球に降り立った1年後の日を前にして、サハラ砂漠で出会い、墜落直後だけに気が立ってる飛行士と、でもなぜだか通じ合っていく2人。

狭い世界の中だけで生きていた自分から、友人を知り世界を知り、優しさを知り温かさを知り、人を思いやることを知っていく。

キツネとの出会いはとりわけ王子さまの心と視野を広げていって、かけがえのない関係を築いていく様は、客席から見ても一緒に旅をしているかのよう。王子さまの旅は、「何が大切か知らなかった王子さまが、体験を通じて『大切なものが何か』を知っていく物語」に思えました。

突っ張っているようで、優しさに溢れた伊礼さん演じる飛行士。
暖かさと経験を併せ持った、素敵な大人を演じた廣川さん。
そして大人になることも悪くない、と思わせてくれる「成長する」王子さまを体現した昆ちゃん。
(大人になりたくない、というピーターパンとは違うベクトルの役に思えます)

一人一人のアンサンブルのキャラクターが立っていて、演奏するお2人も演じることがある場で、あたたかい音楽に包まれた空気感が何より素敵で、無理に物語の結論を1つに収斂させているわけではない進行に懐の広さを感じました。

きっと正しく大人になることって大変なんだろうなと感じたし、そして正しさなんてそもそも人生に付けるべき修飾句としては違うと思うし。

でも登場人物メイン3人を中心に、「生きる」ことへのポジティブな思いを感じさせてくれる、大人向けの作品。
それでいて、これから大人になる人たちへは一つの道標として見てほしい作品に思えて。

理屈から見ても面白くて、感覚で見ても面白い。そういう作品の一つとして、ぜひ3人、昆ちゃん伊礼さん廣川さんのライフワークとして上演され続け、色んな方の目に触れて、心を暖かく照らして欲しい作品です。

この後は2月15日・16日に西宮北口、阪急兵庫県立芸術文化センターにて上演されます。

 

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