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2020年1月

『WEST SIDE STORY』(3)

2019.12.30(Mon.) 13:30~16:15 1列20番台(センター)
2020. 1.10(Fri.) 18:30~21:45 14列20番台(センター)
2020. 1.13(Mon.) 13:30~16:15 18列10番台(下手側)
 IHIステージアラウンド東京

『WEST SIDE STORY』Season1も、1月13日マチネで千穐楽。
結局は5回の観劇になりました。

当初予定していた12月頭の観劇が急遽親族の不幸で行けなくなったため、玲奈友さんにお願いして行っていただいた分、1月10日ソワレ(リピーターチケット)で入れました。
結果、玲奈マリアのシングルショットの写真と、アトランダム缶バッチで見事玲奈ちゃんを当てるという、神技を発揮して、しかもこの日は大人組トークショー付きという、我ながらまぁまぁな首尾となりました。

開幕当初、(北乃)きいちゃんの登板遅れもあり、最初の2回は玲奈ちゃんの身を案じながらの観劇で、玲奈ちゃんが”できる人”なのは分かり切ってはいても、自分より若い役を演じることはものすごいエネルギーを必要とするし、万が一ということもあるので、正直びくびくしながら見に行き…でもそんな心配を表に一切出さない玲奈ちゃんのマリアは、シングルキャストだった開幕期間も、そして年をまたいで年明けても衰えを見せることなどまったくなく、千穐楽にベストを持ってくるあたりはさすがの一言。

「Tonight」で全員が歌っていても飛びぬけて聞こえてくる玲奈マリアの歌声。
元はといえばアルト音域なはずの玲奈ちゃんが、『ジキル&ハイド』『マリー・アントワネット』で大変な思いをしながら磨き上げてきたソプラノが、WSSの大舞台で見られたことは、本当に幸せでした。

きっと、玲奈ちゃんが今回目指すことがなければ見られることはなかった玲奈マリア。年齢的にはずっと前に演じていたはずの作品がこれまで縁がなく、それでいて今このときに玲奈ちゃんがマリアを演じた理由を感じたのが、2幕のラストシーン。

ネタバレですが有名すぎる作品なのでご容赦くださいませ



トニーがマリアの目の前で撃たれ、駆け寄るマリア。
皆が遠巻きに見つめる中、チノから拳銃を奪い取ったマリアが叫ぶ。

「私たちみんなで、彼を殺したのよ!」

その時の玲奈マリアの叫びは、皆を責め、自分を責め、客席をも責めているように感じて。

自分以外への無関心。
アメリカ人とプエルトリコ移民の諍いを、身を挺して止めようとしたトニーの本心を、皆取り合おうとしなかった。

それでいて、玲奈マリアは引き金を引こうとはしない。
銃を持っても何かが変わるわけではない。
引き金を引いてさえ何かが変わるわけではない。
起きたことは変えられないし、大切な彼は戻らない。



ふと思うと、玲奈ちゃんという女優さんと「銃」というものにはとっても深い縁があって。

「銃」を持って、人に向けた役は4回目ですが、今回は初めて引き金を引かなかったんですね。
『ミス・サイゴン』のキム役で200回以上。
『ジキル&ハイド』のエマ役で50回近く。
『ラブ・ネバー・ダイ』のメグ・ジリー役で50回近く。
そして『WEST SIDE STORY』のマリア役で44回。
(※『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役(400回以上)では革命軍の中で銃を仲間に渡すことはしますが、人には向けていません)

「銃」を持ったのに、初めて理性で引き金を引かなかった。
マリアは幼い少女の役ではあるけれど、玲奈ちゃんが演じたことで、はっきりと意志の強さが見て取れた。
愛を知ったマリアが、愛を奪われたことで憎しみを知ってしまった。
でも、憎しみの連鎖が何も生まないことを、玲奈ちゃんはマリー・アントワネットを演じたことできっと身をもって知っている。

若い頃ではおそらく出せなかった玲奈マリアの感情の動きの厚み、それは今の年齢だったからこそだと思います。

にもかかわらずですよ、2幕頭の「I Feel Pretty」のお花畑の完璧さは何ですか(笑)。
千穐楽に至ってはいつもより長く空に浮いております状態(笑)で、テレテレな表情最高だし、足のバタバタ2割増し増量中だし、チャーミングな声色が絶好調だし、改めて玲奈ちゃん史上最上級にかーわーいーいー(笑)。

それにも増して「I Feel Pretty」終了後の”天国から地獄へのシフトチェンジ”が、あぁもう、これぞ玲奈ちゃん。

シュランク刑事に踏み込まれても怯むことなく、アニタに巧みに外部との連絡を依頼したばかりか、シュランク刑事に油断なく対峙する。あの時の表情、いつか見た「マリー・ヴェッツエラ男爵令嬢がターフェ宰相に向かい合う姿」(『ルドルフ・ザ・ラストキス』)そのものでした。



翻って、1月10日の大人組トークショーで印象に残ったことをいくつか。

・回る劇場なのでセットが複数同時に組まれているので、
 役者のスタンバイが早くできるby小林さん
 …これ、意外な話でした。
  「回る劇場」はデメリットばかり言われますが、
  実は方向さえ覚えておければ、役者さんにも
  メリットがあるのだとか。
  小林さん曰く、「cool」の前にはジェッツの皆
  が小林さんの前を通り、一回転してからセットに
  向かっていくそうです。
  (ウォーミングアップ的なもの)

・大人組は影コーラスをやっているbyTOBIさん
 …「せっかくミュージカルに出るので」という
  ことでTOBIさんと小林さんがお願いして実現。
  4人で2人ずつ、「Tonight」でジェッツと
  シャークスをやっているそうですが、
  小林さんはもう1曲、影コーラスに入っている
  そうです。

・みんな写真を撮ってるのにby堀部さん
 …プリンシパルは共演が終わりに近づいている
  のに、自分たちには「写真撮って」と声を
  かけてくれないとぼやいていましたが、
  その横で小林さん「ごめん、今日ジェッツに
  一緒に撮ってって言われた」
と(笑)。

・役名にも意味があるby堀部さん
 …この作品を作ったいわゆる「天才4人組」は
  みんなユダヤ人。
  なので、「シュランク」警部と「クラプキ」巡査
  はドイツ人の名前が使われてる。
  ユダヤ人の「敵」って意味ですね。

・切ない話
 …この作品は大きく分けると
  「ジェッツ」と「シャークス」と「大人たち」。
  でも、この作品のエンディングを思うと、
  「大人たち」は結局なにもできなかったんだな
  と思ってしまうby堀部さん

  自分の演じる「ドク」はジェッツの「Doc(tor)」
  という意味もあって、精神的な救いになりたい
  と思っている。
  みんなは無理でもトニーだけでも、と思って
  やってきたのに、あぁなってしまったことに、
  やりきれなさを感じるby小林さん


ということで、思ってみればあっという間だった『WEST SIDE STORY』Season1もこれで終了。

きいちゃん以外全キャストを見たことになりますが、両トニーの違いも楽しめて、宮野トニーとはなんといっても身長差が萌えだったし(あの玲奈ちゃんとあそこまで差があるのは珍しい。このブログも嬉しかったです)、蒼井トニーとは同じ方向に一緒に向かっていく雰囲気が良かった。樋口アニータは唯一玲奈ちゃんが頼れたのかな?という空気感が有難かったし、三森アニータとは念願の再共演で、当時を知る身としてはまさか姉貴分として共演すると思ってなかったので、とっても嬉しかったです(このブログも素敵でした)。

これからSeason2、Season3と続いていくわけですが、Season1で全く解消されなかった集客難だけが心配。平日ソワレを見たときは18列目以降一切お客さん入っていなかったですし、その客席を見ながら舞台に立つ役者さんに、心理的負担が圧し掛からないよう祈るのみです。

あと参考までに補足情報ですが、カーテンコールが千秋楽の日も(聞いたら前楽も)3回。
これは、回る劇場の機構上、お客さんが1人でも出てしまうと劇場を回すことができず、それ以上は幕が開けない。
当初決まった回数(この作品は3回)のカーテンコールまでしかできないようになっているという話だそうです。
(要はそこから先は、劇場を固定してしまって、お客さんが出場する)
そういうソフト面が残念な劇場ではありました。

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