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『ボクが死んだ日はハレ』(2)

赤坂REDシアター
2019.10.6(Sun.) 18:00~20:40
 B列1桁番台
2019.10.7(Mon.) 19:00~21:40
 D列1桁番台

とうとうmy楽を迎えてしまいました。何とか捻出した3回の観劇の機会も、実は最終日は仕事の都合で2幕からの観劇となってしまい、少しく心残りはありつつも、満喫しました。

びびちゃん(綿引さやかさん)が出演されると聞いて、初演の感想を拝見してからというもの「できるだけ見たい」と努力したものの、何と言っても人気作、しかもメインキャストほとんど変わらないとあってはチケット難になるのも道理。

「この作品がとっても素敵な作品で、そしてこの作品でのびびちゃんがとっても素敵であることを全世界に伝えたいよ!」と思うわけです。この作品の主人公と同じHNを持つ自分としては(笑)。

と言うわけで容赦なくネタバレ参りますよー。回避される方は回れ右で!




かつて一世を風靡した女性3人のソングユニット「ハレバレハレルヤ」。
その最年長であるミミの様子がおかしい。一人息子・ひかるを喪ってから1年も経つのに、まるでひかるがいるかのように振る舞い、そしていきなり意識を失ってしまう。特に3人で歌っているときに。

いわばミミは自分の中のひかると無意識の中で会話しているような状態なわけですが、実はひかると本当に会話できているのは、元子役、びびちゃん(綿引さやかさん)演じる歌織。

歌織はいつしかひかると心と心で会話しあえるようになるのですが、なぜ歌織なのか、が見ていての最大の疑問でした。

確かに気持ちは抜群に通じ合っているし、シンクロ率最高だし、でもそれって何でなんだろうって。

そこに現れる鍵が「母」じゃないかと思うのです。

ひかるにとって大切な人である母だけれども、時にぶつかり、時に反抗し、本当の気持ちを告げないままこの世を去ってしまったから、母もひかるとの思いに区切りをつけられずにいる。

歌織にとっても子役時代、大人たちが喜ぶ姿を見て面白がっていた反面、自分自身(三田村歌織)が何者か分からなくなってしまい、母親の期待に応えられずに壊れて芸能界から一時身を引いてしまう。

登場人物の中で「母」を語っている人はもう一人いて、彩吹さん演じたすみ絵さんが「母」とのエピソードを出しているけれども、そのエピソードはある意味、「自分と母が同じ結論に達した」ことだったので、「自分にとっての母」と「母にとっての自分」が合致している分、ひかるにとって自分をゆだねる相手ではなかったのかなと。

ひかるにとっては「母」との距離感を図りかねている人で、自分の母であるミミとも関係がある人「分かり合える相手」として選んだんだなぁと思うと、ひかるが歌織を選んだ理由がわかる気がします。

2人は2幕最初で向かい合い、お互いのことを話します。いる世界が違うから恋人じゃないのに、あたかも恋人以上に何でも話せるような間柄。それは2人が「ミミさんが大好き」という共通認識に立っているからなのだろうなと。

「死んでる人の前でイキイキしないでよ」とひかるは歌織を茶化しますが、そんなひかるも死んでるのにイキイキしてる。ミミさんはみんなに愛されてて、もちろん2人にも愛されていて、そんなミミさんに愛されたひかるは幸せで、だからこそひかるはミミに、「死んだように生きるんじゃなくて、生きたいように生きてほしい」と語りかけるわけですよね。

そしてミミとSHOKOに圧倒されていた歌織も、周りを見て萎縮するんじゃなくて、自分らしさを出せばこそ光ることに気づく。
他人を演じることを楽しむんじゃなくて、自分を楽しむことを楽しむ。

そんな、歌織のはじけた姿が本当に魅力的だった2幕「ハレバレハレルヤ」のステージ。
ゴージャスなドレスを身にまとい、堂々たる様でアイドルポジションで歌う様は、本当に見られて良かったです。

2幕、あのカメハメハポーズも最高です(笑)



大切な人を失うと、
最初は泣くことも笑うこともできなくて。
泣けるようになるまで時がかかり、
話せるようになるまで時がかかり、
笑えるようになるまで時がかかり、
そして泣くより先にやるべきことがあると思えて初めて、乗り越えたんだと思えるのではないかなと。

生まれてきてくれてありがとう、
そんな暖かい空気に包まれた中、暖かい音楽にふわっと包まれる瞬間は、まさに至高のひとときでした。


ミミ役、浦嶋りんこさん。歌声と人柄が表裏一体の凄い方。まさに魂の思いの強さに圧倒されました。

ひかる役、百名ヒロキさん。この作品の初演が初舞台とは驚愕するばかり。しなやかさと技術とハートを併せ持って素晴らしかったです。

すみ絵役、彩吹真央さん。今回の新キャストなのが信じられないほどの嵌まり役。格好良さに酔わないからこその格好良さ。8月のTipTapで光ってましたし、ショーシーンも流石です。

SHOKO役、小野妃香里さん。りんこさんがソウルなら小野さんはロック。その格好良さがタイプ違いで栄えます。パワフルの向きも違うんですよね。

篠原役、上野哲也さん。サイゴンのアンサンブル時代から知ってますが、本当に何でもできる方ですよね。あの役柄で一切寒くならず(笑)、前座で劇場一杯から大拍手を贈られるのは人柄のなせる技ですよね。

そして歌織役、綿引さやかさん。新キャストながら初演から役設定が若干彼女寄りにした(演出の石丸さん談)こともあってか、特に公演始まってからの進化が凄くて。本当に緊張してるのかと思わせる(笑)1幕の緊張演技も、2幕の遠慮ないはじけっぷりも、この役で新境地だったなぁと嬉しい限りです。

明日で千秋楽。既に当日券は完売ですが、10月24日(木)に鶯谷の東京キネマ倶楽部で「『ボクが死んだ日はハレ』打ち上げライブ」が昼夜であります。本編ごらんになれなかった方もぜひ拝見いただきたいです。

 

 

 

 

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