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2019年7月

『笹本玲奈20thアニバーサリーコンサート「Breath」』

2019.7.20(Sat.) 19:00~20:50 4列20番台
2019.7.21(Sun.) 12:30~14:15 2列1桁番台
2019.7.21(Sun.) 17:00~18:50 8列10番台

よみうり大手町ホール

笹本玲奈ちゃん20周年記念アニバーサリーコンサート。

正しくは、去年が『ピーターパン』デビューから20周年なので、今年は21周年なのですが、まぁそれは置いておいて。10周年は当時ホリプロが持っていた天王洲銀河劇場でした。それから11年が経ち、23歳だった玲奈ちゃんは出産もされて34歳に。会場も当時はなかった、よみうり大手町ホールになりました。

よみうり大手町ホールは客席501席の中規模のホールですが、今の玲奈ちゃんにぴったりの空間。
大きすぎもせず小さすぎもせず、そしてファンクラブの方ばかりではなく、ミュージカルファンやそれ以外の方にも来てもらえる利便性、と至れり尽くせりのホールです。

実際客層も、いつも玲奈ちゃんのところでお会いする玲奈友の皆さまだけでなく、劇場でお会いするお知り合い、ドラマ効果もあって初めてと思われる方も含め、結構ばらけていて嬉しい限り。

それでいて初日、開演時間を過ぎてから静まり返る客席から、ただ一つの音も聞こえなくて。

1曲目が客席降り(客席後方)からの登場だった玲奈ちゃんが、「あまりに音がしないのでお客さんが入っていないんじゃないかと心配になった(笑)」と言っていた位の静けさは、客席の一丸さを見せて印象的でした。実際は2回目以降、ここでは音楽がかかっていたので、あぁBGM入れ漏れだったかぁとは思いましたが(爆)。

さて、セットリストです。

●セットリスト
1.I'm Flying/ピーターパン
2.あんなひとが/ジキル&ハイド
3.All For Laura
 /ウーマン・イン・ホワイト
4.スマイル、スマイル/ミー&マイガール
5.孤独のドレス/マリー・アントワネット
6.As If We Never Said Goodbye
 /サンセット大通り
7.僕こそ音楽/モーツァルト!
8.愛は死なず/ラブ・ネバー・ダイ
9.水着の美女/ラブ・ネバー・ダイ
9.翼が今/NHKみんなのうた
10.子守歌メドレー
 10-1.優しい羊飼い/ピーターパン
 10-2.心で見つめて/ラブ・ネバー・ダイ
 10-3.ララルー/わんわん物語
 10-4.明日は幸せ
    /マリー・アントワネット
11.命をあげよう/ミス・サイゴン

【回替わりゲストコーナー】
●7/20(土)19時
 withソニンちゃん
12.憎しみの瞳/マリー・アントワネット
13.Listen/Dream Girls(ソロ)

●7/21(日)12時30分
 with佐藤隆紀さん
12.夜のボート/エリザベート
13.神よ、何故/ミス・サイゴン(ソロ)

●7/21(日)17時
 with石丸幹二さん
12.All I Ask Of You/オペラ座の怪人
13.時が来た/ジキル&ハイド(ソロ)

【回替わりリクエストコーナー】
●7/20(土)19時
14.罪と罰/椎名林檎(1位)
15.On My Own/レ・ミゼラブル(2位)

●7/21(日)12時30分
14.100万のキャンドル
 /マリー・アントワネット(3位)
15.罪と罰/椎名林檎(1位)

●7/21(日)17時
14.Popular/Wicked(4位)
15.罪と罰/椎名林檎(1位)

【通常コーナー】
16.Somewhere/ウェストサイド物語

【アンコール】
17.ミッドサマー・イブ/PUCK
18.I Got Rrythm/クレイジー・フォー・ユー

・・・・

これでもかというぐらいの有名曲揃い。
それらの曲を構成の小林香さんが本当に巧みに整理して下さって、素晴らしいセットリストになっていました。

20年間、ひたすらにヒロインを演じ続けて、四季以外のヒロインをほぼ総なめにしたのではと思われることが反映してて、M2からM5の「今まで演じた役の中から」の4曲という時点でもう濃い強い。
役柄からして娼婦→姉→少女→王妃ってあたりも役が広すぎ(笑)。その4曲をほぼ間なしに歌いきる玲奈ちゃん、喉強いなーと感心しきり。

今までは苦手なのではと感じていた高音域も限界まで飛ばしてて、M8の「愛は死なず」のクリスティーヌ、石丸さんゲスト回のM12(こちらもクリスティーヌ)、今年の冬公演控えてのM16「Somewhere」のマリアと、歌声の可動域が広がっているのに驚きます。

一番の変化を感じたのはMC。
玲奈ちゃんのMCといえば、「ぽわぽわ」が代名詞だったりしますが(爆)、上手くいかなかったことを引きずるようなところがあったのが、今回はそこここで噛みつつも、強引に先に進める「Show Must Go On」ぶりが凄い。

「母親になってこの曲を歌うのは本当に辛い」と仰っていた、M11「命をあげよう」でも、回ごとに泣き方は違いがあったものの、一番泣いていた初回の時も、泣いて戻って来れないかという状況の中で、勢いよく「はい、次行きましょう!」ってやるあたりが意外な強者ぶり(爆)。

選曲の意外性では何といってもM7の「僕こそ音楽」。いわゆる少年系(ピーターパン系)の声で歌ってて新鮮。なんか玲奈ちゃんが背が低くてアマデが喋れたらこんな感じじゃないかな?って感じでとっても面白い。リクエストパートでは実は私も入れた、21日夜のM14「popular」の玲奈グリンダが天才ってぐらいなテンションで、むっちゃテンションが上がりました。M18「I Got Ryhthm」の盛り上がりも、玲奈ちゃんでは意外に感じる機会がないので楽しかった!

玲奈ちゃんの歌ってやっぱり役として歌ってこそ光るというのが、まさにミュージカル女優だと思うわけですが、M2~M5の「自身が演じた役」では役に入って歌われていて、例えばM2「あんなひとが」では娼婦ルーシーンが、少女のように想い人を思って「ふふっ」って笑う様が本当に可愛らしくて、玲奈ちゃんでしか出せない空気感。

・・・

それではここからは回替わりのゲストコーナーの話。

●7/20(土)19時
 withソニンちゃん

ソニンちゃんパートで何といっても面白かったのは、そもそも今回のコンサートにソニンちゃんをゲストに呼んだ理由。実は翌日のシュガーさん(佐藤さん)も同じだったのだそうですが。

MAの博多座はWキャストだったので、楽が1日前に片方のチームが終わり、そのメンバーが玲奈ちゃん、ソニンちゃん、シュガーさん(と古川くん)。

で、打ち上げがあった後、「何か話し足りないね(by玲奈ちゃん)」ということで、天神でお茶出来るところを探しても夜22時過ぎでは店が開いてなくて、ふと見上げたそこにあったのは「カラオケ館」。
せっかくだから入っちゃおっか、ということで3人で入り、温かいお茶を飲みながら人生について語り合い(笑)、午前2時過ぎには「シュガーさんの発声講座」も始まり(笑)」

でも「せっかくこんな歌上手な2人と一緒にカラオケ館にいたのに歌わなかったのが悔しくて(by玲奈ちゃん)、で、呼んだと(笑)」

それを受けてソニンちゃん「え、本当にその理由なの(笑)」

翌日のシュガーさんも「え、本当にその理由なの(笑)」という反応をして、玲奈ちゃんから「昨日ソニンも全く同じ反応した(笑)」と答えていて面白すぎました。

ちなみに、カラオケ館入った時の反応は「玲奈は歌いたそうで、ソニンは絶対歌わない、聞いてるからって感じ」だったそうです(笑)(byシュガーさん)

で、ソニンちゃんとの話に戻りますと、『ミス・サイゴン』2008年ではキム役として一緒にやっていたけど、去年の『マリー・アントワネット』が念願の初共演。稽古場では稽古終わった後も2人して残って、演技の話や芝居の話や、人生の話をたっぷりして、「スタッフさんが『早く帰ってよ』みたいな感じで電気消されちゃったり(byソニンちゃん)」「じゃそろそろ帰ろうか、みたいな(by玲奈ちゃん)」…

それでいてソニンちゃん曰く「玲奈とは以前から知っていて役者としてもずっと見てきて、でも同じ役をやってから初共演まで時間が空いて、でも稽古場とかでそういって2人で話すことでお互いの気持ちを知ることで、『マリー・アントワネット』での2人のMAの関係での「空白の時間を埋める作業」とシンクロすることができたかなと思う」と仰っていたのが、凄く印象的で。

玲奈ちゃんはソニンちゃんを呼んだ理由を笑いに変えていたけど、「ライバルでもあり友人でもあり」で一番心の中に残っている女性だからこそ呼んだのだろうな、ということが感じられてとっても良かったです。

デュエットはその『マリー・アントワネット』から「憎しみの瞳」。「いきなりじゃ難しいよねー」と言い合って玲奈ちゃん「じゃぁ部屋に入ってくるところからやるね」で「マドモアゼル~」からの台詞入り。まぁすんごい対決バトル復活。

終わった後
2人「本当はこんなに仲良しなのにねー
 
(肩を組み満面の笑み)」
玲奈ちゃん「続きが気になる方はDVDで」
ソニンちゃん「DVDはこのペアですんで是非」
…なんちゅう鉄壁のフォーメーション(笑)

ソニンちゃん
「この曲で玲奈が怯えている顔を見るのが楽しくて」
 (にやにや)
玲奈ちゃん「Sだねー(笑)」

そしてソニンちゃんの告知コーナー
ソニンちゃん「次は9月に世界初演になる『ファクトリー・ガールズ』という作品に出ます」
玲奈ちゃん「え、ファンテーヌいじめる人?」
 
(会場内大爆笑)
ソニンちゃん「違う違う(笑)でも「また戦うソニンか」と皆さんお思いかと思いますが、意外に後ろに控えているんですよ」
玲奈ちゃん「え、そうなんだ、意外(笑)」

…というあたりのMCも神ががっていました(笑)

●7/21(日)12時30分
 with佐藤隆紀さん

ソニンちゃんとの回に輪をかけて笑いの神が舞い降りていたのがシュガーさんこと佐藤さんの回。

シュガーさん「実は同学年なんですよ」
玲奈ちゃん「そう。85年組って多くて」
シュガーさん「僕は86年早生まれなので、同学年ということで」
玲奈ちゃん「最初は年上かと思って」

シュガーさん「実はジキハイを見に行って石丸さんにご挨拶した後、玲奈ちゃんにご挨拶しようかと思ったんですが、楽屋で『あれはこうすればよかった』とか仰ってたので遠慮して(笑)」
玲奈ちゃん「(撃沈)」

シュガーさん「『マリー・アントワネット』で初めて共演させていただくことになって、仲良くなりたいと思って親父ギャグとか言ったんですが、その時の玲奈ちゃん、『愛想笑いってこういうものなのか』という、そのものの笑顔をいただきまして(笑)」
玲奈ちゃん「(爆笑)」

シュガーさん「実はちょっとトラブルがありまして」
玲奈ちゃん「えっ?」
シュガーさん「僕はグループ(LE VELVETS)で活動しているんですが、実は今日、別のメンバーの衣装を持ってきちゃいまして(笑)」
玲奈ちゃん「(笑)」
シュガーさん「自分より身体が小さいメンバーのを持って来たらどうしようかと思いました(笑)」

シュガーさん「デュエットの曲をどうしようかという話になって」
玲奈ちゃん「『マリー・アントワネット』だと”蛇の歌”しかないですよね。あ、ご覧になっていない方は何のことやらと思いますが(笑)、マリーがどんどん怒って、(ルイが)大丈夫だよ、落ち着いて、とか何の役にも立たない合いの手入れてくる(←この表現が容赦ない笑)」
シュガーさん「で、ルイはおろおろするだけ(実演付きで面白すぎる)」
玲奈ちゃん「それ見てマリーが『キーっ!』ってもっと怒って(笑)」
シュガーさん「最後に『蛇ー』って叫ぶという(笑)」

…という経緯で、実はお2人からの希望が一致しての『夜のボート』。
玲奈シシィ&佐藤フランツ、素晴らしかった!是非本公演で見たい組み合わせです。

それにしても、MCから笑いの神が降臨してしまった玲奈ちゃん、

玲奈ちゃん「では『夜のボート』を・・・・
 (笑いが止まらない)」
 「こんな状態じゃ歌えないっ!(笑)」
シュガーさん「僕の衣装のこととか思い出しちゃダメだよー(にやにや)」
玲奈ちゃん「ちょっとっ!!!・・・(とシュガーさんが見えないところに退く)」

ってあたりがいかにも同学年尊しって感じで微笑ましかったです笑

そしてソロは「髭生やして歌う曲ではないんですけど(byシュガーさん)」な、『神よ何故』(ミス・サイゴン)。
前日までレミで一緒にやってたクリス・おのりゅー(小野田龍之介氏)に「何歌うの?」って聞かれて、この曲を歌う、と言ったら「へー」と(笑)
「先生、どう歌えばいいですか」って聞いたら「息を吸って吐いて歌えばいいんだよ」と言われたそうです(大笑)。

そういえばシュガーさんのペットボトルの水だけ、なぜかストローが挿し忘れてて

玲奈ちゃん「ごめんねー(といいつつ笑いをこらえきれない)

・・・で、シュガーさんはペットボトルをキャップ外して飲んでました(笑)

●7/21(日)17時
 with石丸幹二さん

他の2人がわちゃわちゃMCだったに比べると、少し大人しめな石丸さんとのMC。

玲奈ちゃん「ずっと客席から拝見してきたのに、最初の共演はミュージカルじゃなくて娘と父で(笑)」
石丸さん「『日本人のへそ』って作品で。自分も四季出て、あんながに股な役やったの初めてで(笑)」
玲奈ちゃん「やっぱり初めてだったんですね」

石丸さん「その後は『ジキル&ハイド』でミュージカル初共演で、最初は婚約者エマ役で、最初の関係性からすると2階層昇格で(笑)」
玲奈ちゃん「(笑)」
石丸さん「その次は同じ作品でしたが今度はルーシーということで、Wヒロインのもう一つの役で今度は僕のもう一つの役であるハイドと」
玲奈ちゃん「濃密な関係の役でしたね」

石丸さん「今回玲奈ちゃんの20周年に呼んでいただけて嬉しい限りで、今回のデュエットは僕のCDでデュエットしていただいた、『オペラ座の怪人』のクリスティーヌとラウルのデュエットで…それでは『アスペクスオブラブ』から・・・」
玲奈ちゃん「えっ(笑)」

…単純に言い間違えだったそうですが(爆)、CDよりもまた変わった高音域の出し方になっていた玲奈ちゃんのクリスティーヌ、素敵でした。2人並ぶとやっぱりタッパのバランスが良いというか、様になりますよね。

石丸さんのソロは「時が来た@ジキル&ハイド」。
玲奈ちゃん「ミュージカルの曲の中で一番好きな曲なんですー」と本当に嬉しそうで、ミュージカル好きな女の子に戻っていて新鮮。
石丸さん「じゃぁ玲奈ちゃんのために歌います」
玲奈ちゃん「いえいえお客様皆さまのためにお願いします」

…と、上手くまとまりました。

石丸さん曰く「この曲、本当はこの後、ハイドになるところまで繋がっているんで、普段はこの曲だけに全力というわけにはいかないんですが、今日は「時が来た」だけなので、全力で参ります」

と仰っていたままの物凄い迫力で、この日限りのフェイクも入れていて、玲奈ちゃんも大感動していました。

・・・

玲奈ちゃん本人が仰っていましたが今回の『Breath』は「立ち止まって、今までを振り返り、これからを見据えるための時」という意味を込めて構成の小林香さんと相談して決めたタイトルとのこと。

実際、出産を挟んで玲奈ちゃんの役もキャリアチェンジして、年下ばかりをやっていたところから、年相応の役もできるように変わってきたこのタイミング。そして『ウェストサイド物語』のような王道ミュージカルにヒロインで呼ばれ、地球ゴージャスでもヒロインに呼ばれ、今後の役付きの道のりを見える状態になってきたこの時期にこのコンサートが出来たことは、本当に意味があることだと思えて。

今まで本当に数多のヒロインをやってきて、エポニーヌもキムも干支1回り以上やる人なんて、未来永劫いないかもしれないし、でも過去のことに頼ることは決してなくて、今後の道に対してどう歩んでいくかを具体的に見つめ始めている玲奈ちゃんの姿は、先行きに迷っていた数年前とは全く違う、強さに満ちていて。

3回公演の最後、感極まって涙を流されたときに言われたことは本当に驚いたけれども、ファンとして拍手を贈る姿が、少しでも玲奈ちゃんが前に進んだり、立ち止まったりするための支えになればいいなと思えた、本当に素晴らしいコンサートでした。

ホリプロさんが今回、力を入れていただいたことにも感謝です。
いつも以上に色んなスタッフさんが関わってくださり、パンフレットも1200円とは思えない素晴らしい出来で、次の10年に向けて素敵なスタートになったと思います。

客席でご覧になっていた(唯月)ふうかちゃん、(小南)満佑子ちゃんといった、次に続く女優さんへの道しるべとして、今後も魅力あるミュージカル女優さんとしての先頭に立って、時には休みながら永く活躍していってほしいと願っています。

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『REEFER MADNESS』

2019.7.6(Sat.) 18:00~19:30
新宿村LIVE
XA列10番台(最前列センターブロック)

4日(木)が初日、そしてこの日の翌日7日(日)が千穐楽という、超短期公演。
映画演劇文化協会の制作の作品で演出は上田一豪さん。

実は初日の4日もチケットは取っていたのですが、仕事の都合で(というか上司が無理やり打ち合わせを19時近くまで引き延ばしたので)、途中から入るのも申し訳ないし、と泣く泣く断念、この回1回だけの観劇です。

昼間は都内某所で新妻聖子さんのファンクラブ限定コンサートを堪能し、フォローわーさんと泣く泣く別れて(泣く泣くばっかやな笑)西新宿へ。

相変わらず、東京メトロ丸の内線西新宿駅から徒歩7分はあり得ないと思いながら(初訪問だと15分は見た方が良い場所です)、ぎりぎり飛び込んだら既に上田さんの前説が始まってました。

閑話休題。

「麻薬ミュージカルに行ってきます」ってフォロワーさんに伝えて別れたのですが(爆)、それで伝わるこの作品。
麻薬(ルーファー)中毒に対する警鐘、というこの作品。

学校にはびこる麻薬への誘惑、優等生なジミー(水田くん)と純粋な少女メリー(この回は清水彩花ちゃん)、麻薬の元締めジャック(岸さん)、ジャックに精神的に服従する妻メイに保坂さん。この4人がメインの登場人物になります。

ジミーとメリーのカップルは正にお似合いカップルというか、優等生と美少女というペアリング。
それだけにジミーが麻薬の魔力に落ちて、警察に追われるお尋ねの者になったことを、知る由もなく魔の館に踏み込んでしまうメリー。観客からすると「なんでそんなに無防備なのー!?」って感じのツッコミをしたくなるぐらいなベタな展開。

麻薬に誘う元締めのジャック、岸さんが本当にクズでクズで(役柄に対して褒めてます)、保坂さん演じるメイを目の前に麻薬をちらつかせて服従させるところも含めて、本当にクズ過ぎて。それでいてシレっと逆サイドの役(もう1役として神様を演じています)と2役演じるのが、笑いのツボ的にズルすぎます(爆)。

まんまと麻薬の罠に落ちたメリーが、今までの美少女的なポジションから解き放たれ、大立ち回りをするあたりは予想してはいたものの、彩花ちゃんがあんな姿であんなことをするというのがなかなか見られないものを見たって感じなのと、今作は3D映像を映し出す(入口で3D対応メガネを配布)シーンがあり、その時も彩花ちゃんのあんな姿のあんなこと(詳細略)が見られるのがびっくりです。
彩花ちゃんの普段は出していないオラオラ系というか(笑)。

彩花ちゃんも岸さんも保坂さんも歌上手揃いでそういう意味ではノンストレスですし、猛スピードで圧倒言う間に終わって、いい意味で、なーんにも残らない作品とも言えて、その辺がB級ミュージカルと称されて、それは褒め言葉なのだろうなと思います。

ジャックに逆らえないメイが悲しみにくれながら、おもちゃのピアノで弾く曲が「Memory」だったり(グリザベラかいっ笑)、銃で撃たれたメリーが愛するジャックの腕に抱かれて息絶える様が、本気の「恵みの雨」だったり(彩花ちゃん未体験)、ちょいちょい小ネタも挟みつつ、オリジナル寄せっぽい、「過剰に説教臭く見せてなかった」ところが、上田さんの演出でいいなぁと思うのでありました。

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『Before After』(14)

2019.6.30(Sun.) 18:00~20:00
天王洲KIWA

「Before After In Concert」Vol.1の渋谷に次いで、Vol.2は天王洲KIWAでの開催。

名前に見覚えがあるなぁと思ったら、以前二子玉川にあったKIWAが移転したライブハウス。
「KIWA」というのは「東京の際(きわ)」という意味なのだそうで、二子玉川も多摩川を渡れば神奈川県でしたし、天王洲もすぐそこは東京湾で、向かいは千葉なので、名前がなるほどそのまま使えるわけなんですね(笑)。

前日までの宝塚&大阪での観劇を終え、元々入れてあったこの日のBAコンにどうアクセスするか迷ったのですが、普通なら新幹線なところ、天王洲なので伊丹から羽田空港に飛ぶことにしました。羽田空港から天王洲アイルは東京モノレールで1本ですからね。

当日まで大阪にいたのを知っている知人からは「なんでここにいるの」と驚かれましたが、自分でも無茶スケジュールという自覚はあります(笑)。

前回はベン&エイミーが経験者ペア。この日客席にもいらした上野聖太さんがベン、RiRiKAさんがエイミーでしたが、今回は2ペアで、経験者ペアではありつつも、昼夜のうちこの夜の回は相互乗り入れ(便利)での色々なパターンが楽しめました。

染谷ベン&田宮エイミーのレジェンドペア、
田村ベン&清水エイミーの一度きりペア。
とはいえ、清水エイミーは初演キャストでもあり。

田宮さんが4回3ペア(「他2人も付き合っちゃった」って発言がサマになるのが、流石たみさん)、染谷さんが3回2ペア(3回目が綿引さやかさん<びびちゃん>)、彩花ちゃんが2回2ペア(初回は小林遼介さん)、田村さんが1回1ペアという次第で、偶然ながら4・3・2・1とそれぞれのBAキャリアが異なるとのこと。

MCで興味深かったのは、この4人のうちただ1人、田宮さんだけが2幕版を経験されているという話。
当初は1幕制でしたが、1幕ラストと2幕最初の曲があまりに大曲過ぎて、今や2幕制になっています。

田宮さんは「本音では役者としては1幕で通したい」と仰っていてその気持ちもわかる気がしますが、あれだけの大曲を挟んでしまうと、力をセーブせざるを得なくなる役者さんも出てくるでしょうから、2幕になるのは致し方ないところなのでしょうね。

ちなみにここで田宮さん、MCに窮して「客席にベンをされた上野聖太さんがおられます。2幕制ってどうですか?」って聞いたら上野さん、「あ、僕は2幕制やってないんで」と返してて会場内爆笑。そうでした、前回のコンサートバージョンだけですね、2幕制。

では、セットリストです。

●Act.1
1.Comeing Back(田村&田宮)
2.A Little Longer(清水)
3.This Time(田宮)
4.For The First Time(田村&清水)
5.The Painting / Up Here(染谷&田宮)
6.No More Forgetting(田村)
7.As Long As You're There(染谷&清水)

●Act.2
8.Daddy, I Met This Boy(清水)
9.The Closer We Get(田村&田宮)
10.The Next Step(染谷&清水)
11.Three Long Months(清水)
12.Before After(田村)
13.Sketches(染谷・田宮)
14.Coming Back(reprise)(田村&清水)

●Encore
15.As Long As You're Here(全員)

本来のペア、浮気なペア(爆)が入れ代わり立ち代わり現れるVol.2、観ている方も大層忙しいわけですが、ベンとエイミーのペアは(本来のペアと入れ替えるかどうかはともかく)固定しておいた方が良かったかも、とはふと思いました。

物語として見ると、ベンが変われば、エイミーが変われば、そしてそのペアが変われば別の物語なわけで、歌だけ聞けば色々な組み合わせが観られてお得ではあったものの、「歌を通してBAの物語を知っていただく」ということに関しては、少しく落ち着きが足りなかった点があったかなと。

そんな中でも理屈抜きで気持ちを持っていかれたのは、2幕ラスト、田村ベン&清水エイミーのエンディング(M14.Coming Back(reprise))
。このペアは日暮里で組んだ1期きりのペアですが、当時、客席から見てても「温まり始めたところで終わった」感があって。BA経験者の彩花ちゃんがBA初心者の田村くんをお姉さん的にフォローしてるところが強かったんですよね。

でも、久しぶりにお互いが成長して臨んだ今回の場で、当時の「あと一歩」の想いを晴らすかのような、理屈では理解できないほどの高揚感が客席をぐわっと包み込んで、あぁ、これぞBA!という思いを感じられたことが何より嬉しかったです。

BAという作品はどこまで行っても正解に辿りつけないというか、その時々の正解があるというか、そういう深い作品なわけですが、若い頃の勢いで演じられることにも、その後しばらくたって、役者としてのキャリアを積んでこそ表現できることにも、どちらにも意味があるように思えて。

今年は5周年記念イヤーということでコンサートが続いていますが、ぜひこの勢いで本公演も催されることを期待しています。

自分の理想は(1)経験者同士のペア(2)片方経験者、片方新加入のペア(3)新加入同士のペアがいいかな。

長く続く作品には「作品のコアを受け継いでいく」要素が大事だと思うし、新加入の方だけで構成するのは色々な意味でリスクもある気がするし。つい全キャストをコンプリートしたくなる作品だからこそ、今までのファンとこれからの新しいファンを両立できる、キャストによって常に新たな風を起こされる作品であり続けることを祈念しています。

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『はい、丸尾不動産です。~本日、家をシェアします~』

2019.6.29(Sat.) 18:00~19:40
ABCホール(大阪・中之島)F列1桁番台

今年2回目の大阪遠征(1月の『マリー・アントワネット』ぶり)は、こちらの舞台。
青山郁代さん出演です。

関西テレビさん製作で、大阪のみの舞台ということもあり、遠征しようか一瞬だけ迷いましたが、「大阪人の郁代ちゃんがどういうポジションになるのか」めっちゃ楽しみだったので、来て大正解。むっちゃ笑いました。出演者に気づかれるほどに(笑)。

この日の昼は、東京でチケット難だった宝塚雪組『壬生義士伝/music revolution』を初めての宝塚大劇場で観劇してから、G20最終日の大阪の街を突っ切って、これまた初めてのABCホールへ。この2作品をマチソワした人は他にいないだろうな(笑)、な凄まじい振れ幅でしたが、どっちも正にプロの仕事、素晴らしかったです。

・・・

この公演は土曜日初日、月曜日楽という5回公演で、なんでこんなに短いのかと思っていたのですが、W主演の兵頭さんと吉弥さんが平日昼のレギュラー番組をお持ちだからなんですね。こういう感覚が大阪人じゃない人の限界なんですが(爆)、そのW主演のお1方、兵頭さんが不動産屋さん(菅谷さん)で、その不動産屋さんが管理するシェアハウスに入居希望でやってくる元エリートサラリーマンが吉弥さん(林田さん)。ただ、そのシェアハウスの住人はいずれも曲者ぞろい。

自称”ミュージカル女優”の亜美(青山郁代ちゃん)、自称”未来の弁護士”の沢田(三好大貴さん)、菅谷さん曰く”唯一の常識人”の守屋(宮下雄也さん)、そして自称”いい子ちゃん”の薫子(高岡凜花ちゃん)という4人がシェアハウスの住人。

…なんですが、林田さんがそのシェアハウスに見学にやってきて菅谷さん不在、という状態で、それが当たり前の如く歌い出す、自称”ミュージカル女優”な亜美ちゃん。当たり前ですが歌上手いです。知ってますが(笑)。

この作品の演出の木村淳さんは以前『それいゆ』で郁代ちゃんはご一緒されていますが、その時の役の凛としたイメージと一欠けらも一致しない亜美ちゃんの役どころの凄さに笑います。

興味深いのは「ミュージカル女優」という役どころが、数年前に比べて市民権を得ているので、「どういう人?」という説明があんまりいらなくなっているんですよね。昔ほど「変わった人」と見られなくはなっているけど、でも、やっぱり「いきなり歌い出す」を初めとして、多少「変わった人」要素が残っているので、エピソードを作りやすいという。

ピンク一色の派手な衣装で歌い踊りまくる様に圧倒されながらも、役柄上「『自称』ミュージカル女優」となっているところの理由がだんだん見えてくる様が面白いです。歌上手で、売れても不思議はないはずなのに、それでも売れずにスナックで働いて稼がなければどうにもならないのはなぜか。

自信いっぱいに振る舞っているけども、売れない現実と向き合わざるを得なくて。同じ劇団に入ってきた(年下の)凜花ちゃん演じる薫子の(輝いた)存在を受け入れることなんかできなくて、周囲に気づかれるほどに薫子に対して嫉妬して虐める亜美。そんな亜美に対して反発するでもなく、純粋に疑問を投げかける薫子を見ていると、「絶対に敵わない」としか思えないだろうなぁ。

どこまでミュージカル女優あるあるなのか分からないけど(大阪の舞台なので同業の方はほとんど見てないと思うので)、郁代ちゃん、よくこの役を受けたなぁと思いながら見てました(爆)が、逆に言うとこの作品のテーマである「他人を羨むより、自分を上げないと」というポジションに既に辿りついているからこそできる役、見せられる役だと思えて。きっとそれが、大阪からミュージカル女優を目指して上京した郁代ちゃんの10年間の経験がなせる業なのだろうと思えて、嬉しかったです。

一部では有名ですが、郁代ちゃんが就職活動当時、アナウンサー試験を受けたうちの一つがこの関西テレビさんなんですね(アナウンサー試験受けてたのは知ってましたが総合職も受けてたのは初めて知りました)。それを言える立場(&気持ち)になったのって良かったなぁと。

適度に痛々しくて、適度にずれてて、適度に売れてない役どころから、いかにして自分を変えていくか。

自分だけでは抜け出せないトンネルから抜け出すときに、”シェアハウス”という、人と人とが「少しだけ」密着している空間でいることが、”気づき”をくれて。

演出の木村さんも書かれていますが、このシェアハウスの住人は「過去から目を背けたい」「現実からも目を背けたい」「未来からはもっと目を背けたい」人たちばかりなんですね。それは、とある事情でこのシェアハウスにやってきた林田さんでさえ同じ。

「自分は頑張ってる」「周りが認めてくれない」「自分は間違ってない」...

郁代ちゃん演じる亜美の台詞にある「承認欲求」と言う言葉、そして凜花ちゃん演じる薫子の問いかけにある「幸福はどうすれば掴めるか」はリンクしているように思えて。

他人から、社会から自分がどれだけ認められるかは誰かと比べるようなものでもないし、それこそ兵頭さんがいみじくも語っていた「幸福は上を見ればきりがないし、下を見たって仕方がない」、だからこそ「自分なりの幸福を、他人に振り回されすぎずに得ようとしていくしかない」というこの作品のメッセージはすごくしっくりきて。

「家」を舞台にしつつも、実は家に集まる「人生」を紐解くストーリーはとても新鮮で。「家族」だとどうしても物語が縮こまってしまうのに比べて「シェアハウス」を舞台にしたことで、種々多様な人を集めて物語を展開できた、素敵な作品でした。

この作品はシリーズ化ということで、11/30-12/2に第2弾「本日、家に化けて出ます」が公演予定です。
兵頭さん、吉弥さん以外は別メンバーかな。

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