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2019年5月

『アイリスオーヤマ スペシャルコンサート2019』

2019.5.20(Mon.) 19:00~21:05
サントリーホール 2階C7列20番台(センターブロック)

「オーケストラ・サウンドと光のスペクトラム 仙台フィル meets 新妻聖子」のサブタイトルが付いたオーケストラコンサート。

サントリーホールに来るのは久しぶり。
直近は3年前の4月、玲奈ちゃんが出た『とっておきアフタヌーン』以来。
学生時代はクラシックを聞きに来たりしたことがあります。大学の恩師がクラシック好きで何度か来たことがあるので、クラシックのイメージが強いホール。

つい先日のコンサートツアーファイナル@オーチャードホールから1週間経っていない状態での聖子さん登場、ということでしたが結果的に曲目は1曲以外は全てお久しぶりに聞く曲、来て良かったです。

聖子さんパートのセットリスト
●第1部
1.Let It Go/アナと雪の女王

●第2部
2.My Heart Will Go On/タイタニック
3.I Dreamed A Dream/レ・ミゼラブル
4.Nessun Dorma/オペラ『トゥーランドット』

まさに歌い上げ系全力。

すべて英語歌詞で、聖子節全開で歌い上げる様で満場の拍手を受けられていました。
アイリスオーヤマさん主催ということで背広姿の男性が多く(つか自分もそうですが笑)、恐らく代理店関係の招待の方も多く見受けられましたが、それでも掛け値なしの満場の拍手を贈られる姿を拝見できるのは嬉しいものです。

サントリーホールということで、英語歌詞がしっくりくる上、当然伸びる声が存分に発揮できるわけで、選曲もコンサートとほぼ被らず(M4のみ被り)。最初はちょっとホールの音響に戸惑っていた感じがあったけど、2幕は微調整をした上での歌唱だったのが流石でした。

フルオケだったので本音では『GOLD』を期待したんですけどね、次に期待です。

ともあれ、歌声全力なのと双璧で売り(爆)になるのがMC。
司会をされていた柴田アナ(元TBSのアナウンス局次長をされた方です)に「MCお上手ですね」と言われるミュージカル界のMC姫(笑)の本領発揮。

2幕2曲の途中のMC、レミゼ「夢やぶれて」の曲紹介はご自身で。

「さきほど司会の柴田さんも『ニューシネマパラダイス』が年齢によって感じることが変わる作品と仰っていましたが、今からお聞きいただく『レ・ミゼラブル』も年齢によって感じることが変わる作品のうちの一つです」

と仰られ、

「ファンテーヌは夢破れていますが、それでも自分の足で立ち上がろうとする。人生はなかなか上手くいくことばかりではないですけど、それでも立ち上がろうとする強さを感じていただければと思います」

というMCからの歌唱。

頭いいなぁと思うのは、1幕での司会の柴田さんの言葉を引用され、共通点を説明しながら「レミゼ」について「年齢によって感じることが変わる作品『のうちの一つ』」と仰っているところ。つまり、そういう作品は「レミゼ」だけじゃない、ということをこの言葉で表現してるんですよね。

「1幕で説明されていたことと、実は同質のもの」ということでお客様の関心を引き、そして「レミゼ」以外にもそういう作品がある、ということでミュージカルへの興味も湧かせる。この日、レミゼは映画音楽の流れで紹介されていたのですが、そこにミュージカル側の説明も加えるのが流石で、更にそれが客席みなの関心を呼ぶように「人生で立ち上がることの大切さ」につなげるのが素晴らしいです。


歌唱後の柴田さんとのMC

柴田さん「お喋りお上手ですね」
聖子さん「すいませんうるさくて(笑)」
柴田さん「(経歴を拝見して)王様のブランチ経験は役立ってますか」
聖子さん「えぇもちろん。天職だと思ってました。1日7軒とかのグルメレポ、女の子はみんな辛そうにしてたのに、私は天国じゃないかと思ってました(笑)」

聖子さん「食レポ褒められたので、職にあぶれたら、食レポに転職しようかと思ってます」からの、歌声で度肝を抜いて満場の拍手をもらうスタイル(笑)

司会の柴田さんのポケットにCD「colors of life」が…

柴田さん「あれ、こんなところにCDが(笑)」
聖子さん「すいません、さっき横から入れちゃいました(笑)」
こちらサントリーホールの上にある、ワーナーミュージックさんからCD出させていただきまして」

…どこまでも澱みない(笑)
確かに、サントリーホールの横、アークヒルズサウスタワーの20階にワーナーミュージックさんの本社があります。姫のMCの情報量ハンパない(笑)

柴田さん「(帯に書いてありますが)関ジャニさんの音楽番組で6回優勝、あの『ラマンチャの男』すごかったですね」
聖子さん「ありがとうございます。このCDには入ってないんですけど(笑)」

…とかいうのまでありました。

聖子さんのMCをよく聞くと、よくプレゼンテーションの本で書かれている「まずは聞き手と共感できるところを共有して、自分に関心を持ってもらうのが大事」ということとかなり共通している部分があるんですよね。

ただ歌を聞いてもらうだけでなく、歌の周りの物語も一緒に持って帰っていただく。
聖子さんが自身のコンサートでも、コンサートのゲストでも常に感じられる哲学。
自分を、音楽を、そしてミュージカルを、理解してもらうための労を惜しまないからこそ、聖子さんは強く光っているのだろうな、という気持ちを再認識できた素敵な時間でした。

仙台フィルさんの演奏も迫力で、特にラストの『スターウォーズ』の「帝国のマーチ」は圧巻でした。
素晴らしかったです。

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『Before After』(13)

2019.5.18(Sat.) 19:00~21:20
渋谷J'z Brat

初めてのコンサートバージョンでの開催となった、
『Before After In Concert Vol.1』。

ミュージカル座さんの作品としては異色の少人数、2人ミュージカル『Before After』のコンサートバージョン。

日本初演は2014年11月で、今年11月で上演5年を迎えることを記念してのコンサートで、この後Vol.2が6月に天王洲で、Vol.3が8月に南青山で開催されていることが決まっています。

この日のペアは、ベンが上野聖太さん、エイミーがRiRiKAさん。
本公演ではBAではお馴染みの吉祥寺・スターパインズカフェで2016年2月にたった2回出演されたペアです。

この作品は2016年夏にクラウドファンディングでCDが製作されていますが、この日のセットリストは基本的にそのCDの収録曲・収録順そのままに構成。

大好きな作品であるBA、そのコンサートバージョンとして拝見して思ったのは、意外な感情で。

この作品はミュージカルで、そして当たり前のことに歌で物語が紡がれていくわけで、そしてどの曲も素敵な曲なのはわかっているのに、でも1幕は正直言ってしまえばかなり混乱したんですね。

思うに、作品ファンであり、またこの日のエイミーを演じたRiRiKAさんのファンでもある自分から見ると、視点が拡散したのが理由かなと。

かつて付き合っていたベンとエイミーが、お互いの気持ちの行き違いによって別れて、思い出の丘で再び出会った2人。でもベンは記憶喪失によりエイミーのことを全く忘れていて、ベンを忘れられないエイミーは再びベンとの物語を紡ぎ始めようとする物語。

この物語は記憶喪失の前(Before)と後(After)を行き来しながらベンの感情、エイミーの感情、そしてお互いの感情の噛み合い・噛み合わなさをあたかもジェットコースターに乗るかのように共有することに醍醐味があるのですが、だからこそ、そこに演じる本人の感情が入ってきてしまうと、見ている方としてはもはや消化しきれなくなっちゃうんですね。

今のシーンが「Before」か「After」かは、本公演同様にバックのセットに表示されるんですが(席によっては見えないことがあったそうですが)、MCに関しては「エイミー」と「RiRiKA」のランプが欲しいぐらいの振れ幅で(笑)。

この日は2回公演で、マチネを踏まえてのソワレだったはずですが、1幕は「(RiRiKAさんが)MCもあくまでエイミーとして回す」ということにきちんと徹しきれてなかったように見えました。(RiRiKAさん本人も、MCで「自分の感想を入れるとエイミー(のあるべきポジション)と違ってしまう」と仰っていたので、意識はされていたようですが)

2幕ではきちんと修正されていて、2幕のエンディングは本編同様に、感動を強く感じられて嬉しかったです。

1幕のMCで「RiRiKAさんとして」仰っていた話として、「コンサートの第1弾がなぜ自分たちなのか(笑)」というセルフのツッコミ(笑)がありましたが、「歌先」で考えたときに、歴代のエイミーで名前が挙がるのはRiRiKAさんか、準レジェンドの岡村さやかさんか、どちらかと思います。

ただ、(岡村)さやかさんはエイミーとしての登場回数・共演したベンともに多いので、BAの世界と強く結びついていて、コンサートとはいえ、この作品との付き合いの長さが自然に見えてしまうのかもしれません。

歌で紡ぐ作品とはいえ、実際に歌だけで(正しくは曲を間引いて)繋いでみると、そこには表現されにくいものが出てしまうというのは、歌にパワーがあるRiRiKAさんのエイミーだったからこそ強く感じさせられて。

埋め切れなかった余白をどう感じていただくのかが、Vol.2以降の課題ではないかと思います。

この日、会場のJ'z Bratおなじみのスペシャルカクテル、そのノンアルコール編として登場していた「Dr.ジョナサン・テート」。

「Dr.ジョナサン・テート」は今回のセットリストではエイミーが頻繁に電話をしていた相手としてしか登場しないので、RiRiKAさん曰く、マチネを見たお知り合いから、「(ジョナサン・テートと)浮気していたんでしょ」と言われて(爆)、ソワレでは弁解MCが加わっていました(笑)。

エイミーがベンと同居するにあたり父と疎遠になっていたものの、父にガンに見つかり、父の主治医であるジョナサン・テートと頻繁に連絡を取っているエイミー。そのエイミーの携帯電話をベンが観て、修羅場に次ぐ修羅場の末の別れになるわけですね。

そこに「他人の携帯電話覗くなんて最低ですよね」とか「やけになって飲酒運転とか最低ですよ」とか”RiRiKAさん”としてMCでぶっ込み、客席を笑わせるというね。客席忙しすぎ(笑)。

何にしろ、BAはやっぱり流れが大事な作品なので、MCを細かく挟むより、長くMCを取って曲をまとめた方がよいように思いました。

2幕では長めにMCを取っていた分、物語パートとMCパートが明確に分離されて入り込みやすかったですが、その中でも印象的だったエピソードが、バンドメンバーのうち初演からの”レジェンドメンバー”の1人であるチェロの石貝さん。

石貝さん曰く「チェロの旋律はエイミーの心情を表現している(エイミーの心情と同期するように弾いている)」という話を、実はRiRiKAさんは知らなくて驚かれていたのですが、その様にこちらもびっくり。
”知らない”ということより、”演出的に知らせることを必要としていない”ことの方に驚きました。

演出の中本さんは役者さんの自由さを優先されるタイプの演出家さんと認識してはいますが、それでも「伝えるべきこと」であれば伝えるはず。それなのに言っていないのは、少なくとも「エイミーを演じるうえで、知らなければならない情報ではない」 わけで、非常に驚きました。

また、MCで興味深かったのは、RiRiKAさんが仰った「エイミーは自分と随分違う」というのはやはりそう意識されているのだなと。
RiRiKAさんのBA愛は随所に溢れんばかりにありましたが、それは「自分と似た役だから」ではなくて、「自分と全く違う役に入り込めるから」こそかと思えて。

・・・

短期間の登板が多い『Before After』。

台詞も歌詞も膨大で、今までの歴代キャストの皆さまは、漏れなく高すぎる壁にぶち当たりながらも、最後は皆さん「またやりたい」と仰っているのは、役者さんが本能的に持っている、「自分と全く違う役に入り込める」渇望を満たしてくれる、”飲んでも飲んでも湧き出る泉”のような作品であるからなのだろうな、と改めて感じて。

この日のベン・エイミーペアである上野聖太ベン&RiRiKAエイミーを本公演でまた拝見できることを夢見つつ、コンサートバージョンで初めてこの作品を見た人が本公演を見るチャンスにつながりますように、コンサートバージョンでも作品の解説を、短くて良いので配布したらいいのでは、と感じたのでした。

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「中井智彦 トーク&ライブ -uta friends! -vol.2」

2019.5.16(Thu.) 19:30~21:10
November Eleventh1111 Part2(赤坂)

何度かライブゲストでお見かけしたことがある中井さん、ソロライブにお伺いするのは初めてです。
会場もお初な赤坂、一ツ木通り沿いのライブハウスですが、いい雰囲気の箱です。

では、セットリストから。

●セットリスト
1.Lullaby of broadway/42nd Street(中井)
2.ラマンチャの男/ラマンチャの男(中井)
3.Another day of the sun/ラ・ラ・ランド(中井)
4.Audition/ラ・ラ・ランド(岡村)
5.手を取り合って/Queen(岡村)
6.エルヴィス・プレスリーメドレー(中井)
7.I'll cover You/RENT(中井・岡村)
7.A Stud and a Babe
 /I LOVE YOU, YOU'RE PERFECT, NOW CHANGE
 (中井・岡村)
8.Follow You Star/A Class Act(中井・岡村)

●アンコール
9.Stars/レ・ミゼラブル(中井)
10.糸/中島みゆき(中井・岡村)

気心知れた方をゲストに、ということで今回のゲストは初舞台が2007レミで同期の岡村さやかさん。
ソロライブと思いきや、岡村さんがほぼ出ずっぱりでびっくり。

レミで初舞台同期ということもあったけれど、久しぶりに共演したのは去年の『A Class Act』。

中井さん「『コーラスライン』の作者にフォーカスを当てた作品ですが、『コーラスライン』ご存知ですか?あの『One』です」
会場「へぇー」
岡村さん「それで通じるって凄いですね(笑)」

という絶品な突っ込みで会場を沸かせ。

岡村さん「文房具屋巡りが趣味で、稽古場が三鷹だった『A Class Act』で、有名な文房具屋が三鷹にあって行きたくて、稽古入り時間ぎりぎりに入ってたダメな私で(笑)」

という暴露をしつつ。

中井さん「岡村さんを掘り下げる中井製Wikipedia、『なかぺでぃあ』からということで『小4まで九九が覚えられなかった』」

岡村さん「(爆沈)。言いましたっけ?よく覚えてますね!

中井さん「覚えてますよー。九九を覚えなきゃと思ったきっかけは?」

岡村さん「父が私のところにやってきて、『お前は職人になりたいのか』と言われて、(これはいかんと)目が覚めた(笑)」

という初聴のエピソードが面白すぎる(笑)

質問コーナーでは
岡村さん「(中井さんに)前向きに取り組む秘訣は何ですか」

中井さん「前向きに見えてるんだね(嬉しそうに)。あえて気にしていることとしては『ディスカッションをする』ことにしてる。お互いが話し合うことで道が開けると思ってる」

中井さん「※アンケートから(岡村さんに)安らげる場所はどこですか」

岡村さん「家ですね。ベランダが好きで、好きすぎて、もっと快適になるように鉢植え持ってきたなんだりしてたら、気持ち良くてそこで寝てしまって(笑)。『さすがにそれはやめて』と、母に言われて止めました(爆)」

中井さん「※アンケートから(岡村さんに)やりたい役は何ですか」

岡村さん「いつも言っているんですが『ダディ・ロング・レッグス』のジルーシャは大好きすぎる役で、やりたい役です。『ボニー&クライド』のカッコよさにも憧れます。あとは天使みたいに振る舞っているのに途中から悪魔に変わるような役もやりたいですね」

中井さん「スイッチ入ることあるよね」

岡村さん「違う自分になることを楽しんでいるところはあるかもしれないです」

…そんな感じの、心の距離がとっても近いトークがとても楽しく。

心の距離は歌の距離でもあって、お互いを信じて委ねて、それでもそれぞれ自身の持ち味は消えることなく並立する、素敵な競演に酔いしれました。

いつかまた、ライブでも舞台でも共演したい、という言葉、信じてます!

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『新妻聖子コンサートツアー2019 See Ya!』(2)

2019.5.14(Tue.) 19:00~21:30
 オーチャードホール 15列1桁番台(下手側)

2019.5.15(Wed.) 19:00~21:10
 オーチャードホール 8列1桁番台(下手側)

新妻聖子コンサートツアー、東京2daysにて、ついにツアーファイナルです。
3月の初日、武蔵村山からほぼ2ヶ月ぶり、色々な変化も聞いていつつの、聖子さんの1年半ぶりのオーチャードホールへ(前回は2017年11月)。

前回もそうでしたが、オーチャードホール2500人を、しかも平日に2days埋められる聖子さんってホントに凄いなと。コンサート会場で以前からのファンの皆さまとお会いすると、懐かしさと同様「われらの聖子さまがこんなになってくれて…」な思いが共有できまして(笑)。

さて、まずはセットリストです。

●Act1
1.ラマンチャの男
2.星に願いを
3.Colors of the wind/ポカホンタス
4.アヴェマリア
5.童神(わらびがみ)/沖縄の子守歌
6.あの人からの手紙/かぐや姫
7.着飾って、輝いて
 (Glitter and be Gay)
  /キャンディード

●Act.2
8.Never Enough/グレーテスト・ショーマン
9.あり、か/中島みゆき
10.ビリー・ジーン/マイケルジャクソン
11.聖子のアイドルコーナー
  USA/DA PUMP(with客席)
12.Sisters(with新妻由佳子さん)
13.いのちの理由/さだまさし
14.On My Own/レ・ミゼラブル

●Encore
15.Nessun dorma
 ~誰も寝てはならぬ~

それにしても、色々な意味で変わらないのが聖子さん。

1幕、「ディズニープリンセス風な衣装で」とご自身を紹介しながら、
初日は客席からの笑いを見て取るや、
「なんで笑うんですか(笑)、ディズニープリンセス『風』って言ったのに」と客席にツッコみ、更なる笑いを誘い
楽は客席がクスリともしないことを見て取るや、
「いつもはここで笑いが起きるんですが、今日は起きないんですね」とわざわざ言及して客席から笑いを吸い上げるところとか、いつもの新妻聖子MCモード(笑)。

動きまわるUSAの前に至っては、「15cmヒールを脱ぎますね」と言って脱ぎ、「ほらちっちゃい」と”わざわざ”言及して客席のどよめきを誘っているという。それまで堂々と歌い上げていた聖子さんが、「小さい」なんて客席のほとんどは知らないからのギャップですよね。「いいんです、(小さいことを)受け入れて生きていきます」ってやるあたりが、いつもの新妻聖子MCモード(リプライズ)

歌声に関しては火曜日(初日)よりは水曜日(千穐楽)の方が喉の調子も、マイクの調子も良さそうに感じました。席としては7列後ろになったのですが、特に2幕「あり、か」は初日はかなりくぐもった感じに聞こえ(元々聖子さんとしては歌わない系統の歌ではありますが)たのに比べれば、千穐楽は流石の出来に感じました。

MCで流石だったのが、1幕ラスト『キャンディード』の作品説明。「哲学的で難しい作品ではあるのですが、”人生の教訓がちりばめられている作品”」と要約した千穐楽での説明は、「あ、上手く説明できてる」と本人が仰る(笑)のが十分なほどに簡にして要。

「最近ミュージカルに出ていないので、”ミュージカルってただ歌い上げる”だけじゃなくてこういうものもあるというのを知っていただきたくて」

「むしろ、『ただ歌う』だけなのは恵まれたことで、私たちミュージカル俳優は”何かをしながら歌う”ことを求められる仕事ということを知っていただきたくて」

という言葉が流石で、ポジション的に”ミュージカル界の女王”となってきたところに相応しいMCで。

「まるで『ミュージカル講座』ですね」と仰っていましたが、ある意味『ミュージカルMC講座』という感じの、見本的な絶品MC。歌の背景をきっちりと説明したうえで、歌声を含めた歌を理解してほしい、そのためには出来得る限りの(必要十分な量の)インフォメーションをする、というのが聖子さんの聖子さんたる、かつ聖子さんらしいMCで素晴らしかったです。

・・・

そしてこの2日間の白眉は、何といってもお姉さま、新妻由佳子さまご登場での姉妹デュエット『Sisters』。
アルバム『アンダンテ』に収録されているオリジナル曲ですが、作詞作曲がお姉さまの由佳子さん。

姉が妹を思って、その時に書いた詞…と聖子さんも思っていたそうですが、実は由佳子さんが明かしたところによれば「聖子が生まれた時(由佳子さんは2歳半)にとても嬉しくて、その時『いもうと』ってタイトルで言葉を書き留めてた。そこからこの曲の歌詞は生まれたんです」と話されていて、実は聖子さん自身も初耳だったそうで、感動されていました。

「私はいつも姉に助けられてきて、姉がいるから私は今ここにいられると本当に思っています。
中学高校時代を過ごしたタイのバンコクから帰国して(上智)大学に入り、歌手になりたくて努力したけど全く上手くいかなくて。当時、渋谷のここから5分ほどのライブハウス『take off 7』で5人ぐらいしかいない客席で歌っていて、『夢を諦めなきゃいけないんだろうか』と思っていたんです。
そんな時、姉が来てくれて。『私には聖子がもっとたくさんの人の前で歌う姿が見えたよ』って言ってくれて、その言葉を支えに頑張って。ひょんなことから『レ・ミゼラブル』のオーディションのお話もいただいて、合格させていただいてから今まで、姉をはじめ本当に多くの皆さまに助けていただいて、今日これだけの皆さまの前で歌を聞いていただけていることに、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

と仰られていて。

この話はFCのお茶会で一度だけ話されたことがあり、前回はお姉さまがゲストではなかったこともあり、同じオーチャードホールとはいえ話されなかった話なのですが、「あのとき諦めていれば、今の自分はない」と言う言葉は、長く拝見しているからこそ胸に迫るものがありました。

ともすれば、”歌える”だけに歌と「戦う」ようなところもあった若き頃の聖子さん。

時を経て、沢山の経験もされて、歌えることへの感謝を言葉にしてくださる頃になったころから、聖子さんの歌はより温かく、深くなったように感じます。

いい曲をリスペクトして、ご自身が歌う意味をよりはっきりと考えられたからこそ、より考え抜かれた、この日へのセットリストの変化につながったのかな、と思えて。
全力で壁を打ち崩そうとしていた頃の曲や姿に懐かしさを感じはしつつも、今回のツアーの意味からすると、東京ラスト2daysのセットリストは、腑に落ちた部分があったのでした。

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『レ・ミゼラブル』(25)

2019.5.12(Sun.) 17:00~20:05
帝国劇場 2階L列1桁番台(下手側)

令和初観劇は『レ・ミゼラブル』。
平成ラスト観劇が先月28日の『笑う男』なので、期せずしてどちらもヴィクトル・ユゴー作品。

観劇をリピートし始めて以来、2週間も間が空くのは初めての経験ですが、GW明けに大きなシステムプロジェクトのリリースがあり、GW期間の状況が読めなかったので、いっそのことと観劇を一切抜いた2週間にしたことで、自分にとっての観劇を改めて見つめ直す時間になりました。

 

・・・・・

まずは、2週間以上空いたレミの感想から。

一番驚いたのは、唯月ふうかエポニーヌのスピード感。

歴代屈指の戦闘力を仄めかす、驚くほどの敏捷さ。新演出になってから、エポニーヌは「盗賊団の中でも一目置かれる存在」というのを強く見せる役になっていますが、目にもとまらぬ速さで動き回り、テナ以外は全く相手にもならないほどのやり手感。

それでいて、海宝マリウスが「彼女と行くか、仲間と行くか」と言ったのを聞いて、「あ。やっぱり私と行く選択肢はないのね」と身体ごと語ってる説得力が凄い(笑)。

ふうかエポからは「諦め力」の強さみたいなものを感じるんです。自分は汚れた人間だから、自分が望む恋なんてかなうはずないという諦め。だからこそ、罪深いマリウスさまの実は思わせぶりと捉えられても仕方ないかのような優しさに、心の底からぱぁっと喜んでしまう、そんなふうかエポに泣かされます。

この日のコゼットはまゆコゼ(小南満佑子コゼット)で、今期一番好きなコゼット。

かつ、まゆコゼとふうかエポが組むこの日の組み合わせが今期イチオシで、

愛されることに自信いっぱい(無意識)のまゆコゼと、
愛されないことに確信いっぱい(意識的)のふうかエポ、

という形になるのが、とっても印象的。

それでいて、この2人が、それそれ自分が「想像もしない形」の「幸せ」を得るのが、まさにレミだなぁ、と思うんですね。
コゼットは愛する父を失う(自分が「父」と思ってきた人が「父」ではなかったことを知る、それでもいいとコゼットは思うのでしょうが)けれど愛する人と生きる道を得るし、エポニーヌも恋は実らなくても、大好きな人に思いが伝わった上で、その人を救うことができたことに、自身の生きる意味を得ることができただろうし。

そういえば、カテコだと結構シングルポジションになることが多いエポだけど、今日はふうかエポに上山アンジョが「Nice Act!」モードで寄って行ってて萌えた。ラストはふうかエポ&まゆコゼがお隣で顔寄せあって笑顔でいてくれて、嬉しかったです。

この日の公演でお初だったのは橋本じゅんテナルディエ。
伊礼ジャベールを煽りまくって怒らせたことに怯み、染谷警官の警棒を自分に寄せて「いっ、いつの間に!?」って小芝居やって客席の笑いを取り、しまいには染谷警官に蹴り入れられてて笑いました(笑)

そしてその伊礼ジャベール。

伊礼ジャベールを見ていると、「逃れたい早く、ジャン・バルジャンの世界」という言葉が深く伝わってきて、「バルジャンの世界」でしか生きられなかった哀しみを感じてしまったのでした。思えばバルジャンは、ジャベールより少しだけ世界が広かったのかも。ジャベールほど自分で自分を縛らず、100%の聖人君子ではないからこそ、罪を償った上で、罪よりも大きい「自らの生きる意味」を産みだそうとしたのかと感じたのでした。

・・・

ここからレミ以外の話も含んだ話になりますが、2週間観劇しなかったことで感じた、自分の中の「観劇」に関する思いを少し。

「なぜ芝居を見るのか」と言うことを改めて考えてみたのですが、こと仕事に追われる日常において、自分が志向せざるを得ないことって、「結果を出すために、いかに行動するかを考えること」であり、「それに対する理由づけを考えること」

常に成果を求められる日常に比べて、芝居を見ること自体、何かの成果を求められるわけではないんですね。むしろ、まずは受け取ればいい。それが心の栄養になるんですね。しかも、以前は自分自身「見に行くからには何かを得なければ」と思っていたけれど、最近は「何も得られないか、得られるものが少ないこともあり得る」と割り切っていて。得られるものの大小は、作品の質だけでなく、見る側のコンディションも大きく影響しますし。

かつては「見に行ったものは必ず感想を書かなきゃいけない」という風に思っていた(実践していた)時期もありましたが、現実的な時間の限界もあって、数年前にその枷も外しましたし。

チケット代を出して時間を費やして見る、という行為は、誤解を恐れずに言えば、何かを言う自由も、何も言わない自由もあると思っていて、願わくば、コンディションとして、常に新鮮な感想を言える自分でいたい、という思いをもちながら、自分なりのペースで観劇していきたいな、と改めて感じたのでした。

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