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『笑う男』

2019.4.13(Sat.) 13:00~15:50
 日生劇場 2階F列10番台(下手側)

『レ・ミゼラブル』と同じヴィクトル・ユゴーの作品で、音楽はフランク・ワイルドホーン氏。
韓国でミュージカル化されて大ヒット、という基礎知識のみで拝見してまいりました『笑う男』。

TipTap主宰でお馴染み、上田一豪さん(東宝演劇部所属)演出です。音楽監督は小澤時史氏で、2月クリエ・3月全国ツアー公演の『キューティ・ブロンド』と同じコンビですね。(音楽スーパーヴァイザーに塩田氏が入られています)

山口祐一郎氏演じるウルシュスに拾われた子供・グウィンプレン(浦井さん)はその時既に顔に傷を持ち、まるで笑っているかのように見える子供だった。その時、グウィンプレンが抱えていた幼い娘・デア(夢咲ねねさん・衛藤さんのWキャスト)は生まれつき盲目な少女。ウルシュスが指揮を取る見世物小屋で、グウィンプレンは「笑う男」として、デアとともに興行の出し物として人気を博していく。

いつしかグウィンプレンはデアを愛し、デアもグウィンプレンを愛していく。
しかし運命の歯車は2人の間の関係を変えていく…

という物語。

グウィンプレンは見た目で笑われ、見世物になるという時をずっと過ごしてきた。でもデアは盲目なのでグリウィンプレンの見た目の醜さは見えない。でも醜いことを見えないからデアはグウィンプレンを愛せているわけでは決してない。

この日のデアは夢咲ねねさん。
制作発表で「デアは目が見えないけど、目が見える人が見えないものが見えている」と仰っていて、その時点でデアの本質をはっきり見抜いていたからこその素晴らしい佇まい。

脆くて儚くて、でも強い。全く両立しないはずの3つの要素を自然に切り替えられるのが、ねねちゃんの技術であり魅力。

ウルシュスとグウィンプレンの愛情をたっぷり注がれ、一座の仲間、ヴィーナスやフィービーにも大切にされ、周囲からも大切にされる様は、デアの優しさあってこそ。

流石に一度、グウィンプレンが朝夏さん演じるジョシアナに誘惑されてから帰ってきた時のデアは怒りを隠せず(苦笑)。実は、ねねみさとも「最初は許さない」って思ってるけど、演出の(上田)一豪さんは「最初から許そうとしていてほしい」って言ってて、受ける浦井さんは「最初は許さなくていい」って言ってるあたりが、とってもそれぞれ「らしくて」ツボに入りました(爆)。

浦井くんとねねちゃんのペアは『ビック・フィッシュ』で夫婦役として共演して以来2度目ということもあり、抜群の空気感。ねねちゃんは宝塚娘役当時から相手役に委ねるのが上手な方だと思っているのですが、とりわけ浦井くんに対する心からの委ね方が凄くて、疑うことを欠片もしないデア。
でもグウィンプレンが戻って来ないことを一座のみんなが取り繕う様を淋しそうに、でもみんなを慮って「もう無理しなくていいよ」と言う様は、ただただ壮絶でした。

ねねちゃんの役者としての魅力って「邪気がない」ことだと思っていて、心のままありのまま、気持ちをストレートにぶつけるからこそ、相手役にそのハートが突き刺さる。浦井くんのグウィンプレンも、祐一郎さんのウルシュスも、ねねちゃんデアのハートだからこその慟哭の揺れが伝わってきて。

貴族と民衆がはっきり分かれていた時代のイギリスの物語で、金持ちと貧乏人は一生交わらない中、金持ちは貧乏人を笑う自由を謳歌し、それを権利だと思い込んでいる。グウィンプレンは金持ちに「笑われる男」としてその屈辱を表に見せないけれども、黙って耐えることで「笑う男」を嘲笑っているようにも見えて。

自分を「笑う男」を「嗤う男」みたいに思えて印象的でした。

出演者で印象的だったのは、一座の看板娘・ヴィーナスを演じた清水彩花ちゃん。デアととっても気持ちが近い場所にいて、デアとハートが伝わっている感じがとっても良くて。華やかさもあって優しさもあって、先日ねねちゃんが演じてた『ラブ・ネバー・ダイ』のメグ・ジリーを彷彿とさせる華やかさで、是非やって欲しいなぁと思いましたです。

東京・日生劇場公演は4月29日まで。その後、5月いっぱい地方公演となります。
重厚で素敵な作品でした。

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