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『久田菜美 Birthday Live』

2019.3.25(Mon.) 20:00~21:50
吉祥寺スターパインズカフェ


ミュージカル座などのミュージカル作曲家としてご活躍の久田菜美さん30th Birthday Live。
ご本人初めてのソロライブ、ということで行ってきました。


「ソロライブなんて自分には縁がない」と菜美さん自身思っていたそうですが、この日ドラムを担当された波多野さんのお勧めもあり、今回ソロライブと、初CD「Another Day, Another Start」もリリース。CDは昨日の銀座ボンボンのライブで初お目見えとなりました。「Nami-0001」というIDが興味深いです。


思い返すと、菜美さん作曲の作品を拝見する機会は実はそれほど多くなくて、『野の花』『AWARD』の2作品だけだったりするのですが、逆に言うと、多士済々な顔ぶれとなったこの日のセットリストはとても新鮮で面白かったです。


ゲストも豪華で、中本吉成さん、菊地まさはるさん、伊東えりさん、木村花代さん、綿引さやかさん。
普通、吉祥寺スタパといえば舞台がもっと高い位置にあるのですが(『Before After』の上演時はそう)、実はその時は嵩上げしているのだそうで、本来の高さはこの日の高さなのだそう。


菜美さんメインのライブなので、ピアノがセンターに配置されて、バンドさんが左右に配置された結果、なんと歌い手さんが上手上段から見下ろすという、歌い手さん全員がびっくりする(笑)配置になってまして。「こんな風景初めて」とびびちゃんも仰ってました(笑)。


その歌い手さんの前方にはギターの成尾さんがいらして、その前で歌いたいと仰った某菊地まさはる氏はこの日の主役様からダメと言われたそうです(爆)。


それでは、セットリストから参ります。


●セットリスト
1.プロローグ/野の花
2.始まりの日に/Instrumental
3.Night Express/Instrumental
4.今の私に/AWARD(伊東)
5.ファンレター/スター誕生(綿引)
6.君へ/スター誕生(菊池)
7.パンダのマーチ/スター誕生(全員<メイン:木村>)
8.三世諸仏/ハートスートラ(伊東・中本・木村・綿引)
9.マスターピース/AWARD(菊地・伊東・綿引)
10.君を守るよ/original(木村)
11.空の彼方に/Instrumental
12.Another Day, Another Start/Instrumental


12曲でほぼ110分ということで、演奏時間は1曲平均5曲なはずなのに(笑)な、思った以上のMC祭りなこの日の菜美さんライブ。菜美さんは元々は出身の東京音楽大学ではクラシックをやっていたそうなので、後からミュージカルをやるようになったせいなのか、ミュージカルに対して独特の距離感があるように感じるのですね。
音楽的な面もそうですが、MCについても、どことなく「ミュージカルにどっぷり漬かっていない」心地よさがあるように思うんです。


ミュージカルでずっと歩んできた人ではなかなか出てこない発想というか、例えばいつの間にやら菜美さんの代表曲の様になって本人が多少不本意らしい(笑)「パンダのマーチ」にしても、ミュージカルとちょっとだけ距離を取った末での面白みみたいなものを感じます。そういえばその「パンダのマーチ」はこの日のメインボーカルは必殺飛び道具な(木村)花代さんで、そのおかしみがたまらない(笑)。


ゲストのうち男性のお2人はいずれも演出家と音楽監督という関係ですが、スタッフでもありある意味キャストでもあるからか、制作過程も適度にマニアックでとっても面白い。中本さんとの話で面白かったのは、『野の花』と『スター誕生』がなぜか同じ時期に上演されてばかりだったので、自分はずっと『野の花』の演出やってて、『スター誕生』の演出に縁がなかった、でも今回ようやく『スター誕生』演出やった、という話で…


『野の花』は第二次世界大戦中のドイツでの、ドイツ人の女の子とユダヤ人の女の子の物語で、とにかく静かな作品で、場面転換の音一つにも気を使うのに、隣で『スター誕生』で大音量で稽古してる(笑)
中本氏曰く、めでたく『スター誕生』で大音量で稽古できて嬉しかったとのこと(爆)


女性3人とはそれぞれ、菜美さんとの関係が違ってそれぞれ特徴的。


最初に登場された伊東えりさんは、菜美さん作品に3作出演されているということもあって、「菜美さん作品で演じられた関係」からの『AWARD』からの曲。『AWARD』の「今の私に」は舞台で拝見したこともあって印象的だった曲ですが、”かつての舞台女優が歳をとって地方に帰った、その女性の元に「今のあなたで舞台を作りたい」とやってくるプロデューサー”という舞台設定の中、かつてのパワフルな様を取り戻すかのような(伊東)えりさんの歌声の力強さは圧巻でした。


2番目の登場は綿引さやかさん。最初の出会いは「『BA(Before After)』ですよね!」と断言した菜美さんに自信満々に「違いますっ!」といたずらっぽく反論するびびちゃん。舞台作品ではBAが初(というか唯一)ですが、実は2015年レミ博多座の時に、菊地まさはるさんのライブ(博多)にゲスト出演されたのが初なのだとか。それ以来、最近はびびちゃんライブの演奏でお馴染みですが、びびちゃんライブで今後も恒例にしていきたいあの「即興曲」の話をされていました。「ポジティブからネガティブまで、あらゆるキーワードを曲にしていく菜美ちゃんは天才」とびびちゃんが仰れば、菜美さんも「びびちゃんの即興メロディーラインも凄い」と返される。なんだか「音楽で遊びあえる関係」に感じました。


3番目の登場は木村花代さん。以前はよくご一緒していたこともあるそうですが、実は最近は疎遠になっていたそうで、今回、菜美さんからの出演依頼を機会に「一緒に曲を作ろう」ということで、花代さん作詞で菜美さん作曲で曲を作ることに。でも実は花代さんの歌詞が(ご自身曰く)納得いくものではなくて、菜美さんも曲がそこから作れなかった。それじゃだめだと、花代さんは自身の言葉を見返して、自身の気持ちを見返して、きちんと詞を書こうと思って詞を書いた、と。
お互いを真剣に思い合っていたからこそ、厳しいことも言い合えたし、だからこそ詞も書けたし曲も書けた、と仰って披露された新曲『君を守るよ』。”花代さんの本当の気持ち”を菜美さんがしっかり受け止めた素晴らしい曲で、「音楽で高め合う関係」に感じました。
(なお、本日の演奏曲中、この曲が唯一CD未収録)


なお、花代さんとギターの成尾さんは、この日『キューティブロンド』の移動日。前日の24日(日)が福岡・久留米公演で、翌日の26日(火)が長野入りの日で、成尾さん曰く、スタッフに頼み込んで唯一空けた奇跡の1日がこの日だったそうです。凄い。


・・・


セットリストでは、何といってもM5の『ファンレター』。
びびちゃんは実際に手紙の便せんを持ちながらの歌唱でしたが、ファンからスターへのいじらしさと、見返りを求めない気持ちと、でも自身の存在をちょっとは分かってほしい本音を、少しのお茶目に込めた感じが流石です。


M7『パンダのマーチ』は先述しましたが、花代さんのリードボーカルという名のリードパフォーマンスが絶品すぎです。客席全部が「パンダだよー!」で返す空気、流石(笑)


M9『マスターピース/AWARD』も好きな曲。本編では沼尾さんが歌ったマーガレット・ミッチェル(「風と共に去りぬ」の作家)が伊東さん、そしてヴィヴィアン・リーは「びび」ということでびびちゃん(本当にそういう話になっていた笑)(スカーレット・オハラを演じた女優)ですが、本編で歌っていたのはびびちゃんの高校のミュージカル研究会の後輩、尾川(詩帆)さんなんですよね。そんな縁も感じつつ、「代表作」という意味の「マスターピース」を歌う女優役のびびちゃん、素敵でした。伊東えりさんとの声の相性も絶品でした。


・・・


ジャンルを絞らずに多種多様な菜美さんの曲は次にどう出てくるか予測できないのが楽しくて、そして駆け付けたゲストの皆さん、バンドの皆さんの作り出す空気も温かくて、ほっこりが集まった時間でした。


「30歳になったら楽しいって皆さんいうので楽しみです」という菜美さんの背後から忍び寄り(笑)、「30代は楽しいよー、40代になったらもっと楽しいよー」と仰っていた花代さんが流石すぎたのでした(大笑)。

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