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2019年3月

『久田菜美 Birthday Live』

2019.3.25(Mon.) 20:00~21:50
吉祥寺スターパインズカフェ


ミュージカル座などのミュージカル作曲家としてご活躍の久田菜美さん30th Birthday Live。
ご本人初めてのソロライブ、ということで行ってきました。


「ソロライブなんて自分には縁がない」と菜美さん自身思っていたそうですが、この日ドラムを担当された波多野さんのお勧めもあり、今回ソロライブと、初CD「Another Day, Another Start」もリリース。CDは昨日の銀座ボンボンのライブで初お目見えとなりました。「Nami-0001」というIDが興味深いです。


思い返すと、菜美さん作曲の作品を拝見する機会は実はそれほど多くなくて、『野の花』『AWARD』の2作品だけだったりするのですが、逆に言うと、多士済々な顔ぶれとなったこの日のセットリストはとても新鮮で面白かったです。


ゲストも豪華で、中本吉成さん、菊地まさはるさん、伊東えりさん、木村花代さん、綿引さやかさん。
普通、吉祥寺スタパといえば舞台がもっと高い位置にあるのですが(『Before After』の上演時はそう)、実はその時は嵩上げしているのだそうで、本来の高さはこの日の高さなのだそう。


菜美さんメインのライブなので、ピアノがセンターに配置されて、バンドさんが左右に配置された結果、なんと歌い手さんが上手上段から見下ろすという、歌い手さん全員がびっくりする(笑)配置になってまして。「こんな風景初めて」とびびちゃんも仰ってました(笑)。


その歌い手さんの前方にはギターの成尾さんがいらして、その前で歌いたいと仰った某菊地まさはる氏はこの日の主役様からダメと言われたそうです(爆)。


それでは、セットリストから参ります。


●セットリスト
1.プロローグ/野の花
2.始まりの日に/Instrumental
3.Night Express/Instrumental
4.今の私に/AWARD(伊東)
5.ファンレター/スター誕生(綿引)
6.君へ/スター誕生(菊池)
7.パンダのマーチ/スター誕生(全員<メイン:木村>)
8.三世諸仏/ハートスートラ(伊東・中本・木村・綿引)
9.マスターピース/AWARD(菊地・伊東・綿引)
10.君を守るよ/original(木村)
11.空の彼方に/Instrumental
12.Another Day, Another Start/Instrumental


12曲でほぼ110分ということで、演奏時間は1曲平均5曲なはずなのに(笑)な、思った以上のMC祭りなこの日の菜美さんライブ。菜美さんは元々は出身の東京音楽大学ではクラシックをやっていたそうなので、後からミュージカルをやるようになったせいなのか、ミュージカルに対して独特の距離感があるように感じるのですね。
音楽的な面もそうですが、MCについても、どことなく「ミュージカルにどっぷり漬かっていない」心地よさがあるように思うんです。


ミュージカルでずっと歩んできた人ではなかなか出てこない発想というか、例えばいつの間にやら菜美さんの代表曲の様になって本人が多少不本意らしい(笑)「パンダのマーチ」にしても、ミュージカルとちょっとだけ距離を取った末での面白みみたいなものを感じます。そういえばその「パンダのマーチ」はこの日のメインボーカルは必殺飛び道具な(木村)花代さんで、そのおかしみがたまらない(笑)。


ゲストのうち男性のお2人はいずれも演出家と音楽監督という関係ですが、スタッフでもありある意味キャストでもあるからか、制作過程も適度にマニアックでとっても面白い。中本さんとの話で面白かったのは、『野の花』と『スター誕生』がなぜか同じ時期に上演されてばかりだったので、自分はずっと『野の花』の演出やってて、『スター誕生』の演出に縁がなかった、でも今回ようやく『スター誕生』演出やった、という話で…


『野の花』は第二次世界大戦中のドイツでの、ドイツ人の女の子とユダヤ人の女の子の物語で、とにかく静かな作品で、場面転換の音一つにも気を使うのに、隣で『スター誕生』で大音量で稽古してる(笑)
中本氏曰く、めでたく『スター誕生』で大音量で稽古できて嬉しかったとのこと(爆)


女性3人とはそれぞれ、菜美さんとの関係が違ってそれぞれ特徴的。


最初に登場された伊東えりさんは、菜美さん作品に3作出演されているということもあって、「菜美さん作品で演じられた関係」からの『AWARD』からの曲。『AWARD』の「今の私に」は舞台で拝見したこともあって印象的だった曲ですが、”かつての舞台女優が歳をとって地方に帰った、その女性の元に「今のあなたで舞台を作りたい」とやってくるプロデューサー”という舞台設定の中、かつてのパワフルな様を取り戻すかのような(伊東)えりさんの歌声の力強さは圧巻でした。


2番目の登場は綿引さやかさん。最初の出会いは「『BA(Before After)』ですよね!」と断言した菜美さんに自信満々に「違いますっ!」といたずらっぽく反論するびびちゃん。舞台作品ではBAが初(というか唯一)ですが、実は2015年レミ博多座の時に、菊地まさはるさんのライブ(博多)にゲスト出演されたのが初なのだとか。それ以来、最近はびびちゃんライブの演奏でお馴染みですが、びびちゃんライブで今後も恒例にしていきたいあの「即興曲」の話をされていました。「ポジティブからネガティブまで、あらゆるキーワードを曲にしていく菜美ちゃんは天才」とびびちゃんが仰れば、菜美さんも「びびちゃんの即興メロディーラインも凄い」と返される。なんだか「音楽で遊びあえる関係」に感じました。


3番目の登場は木村花代さん。以前はよくご一緒していたこともあるそうですが、実は最近は疎遠になっていたそうで、今回、菜美さんからの出演依頼を機会に「一緒に曲を作ろう」ということで、花代さん作詞で菜美さん作曲で曲を作ることに。でも実は花代さんの歌詞が(ご自身曰く)納得いくものではなくて、菜美さんも曲がそこから作れなかった。それじゃだめだと、花代さんは自身の言葉を見返して、自身の気持ちを見返して、きちんと詞を書こうと思って詞を書いた、と。
お互いを真剣に思い合っていたからこそ、厳しいことも言い合えたし、だからこそ詞も書けたし曲も書けた、と仰って披露された新曲『君を守るよ』。”花代さんの本当の気持ち”を菜美さんがしっかり受け止めた素晴らしい曲で、「音楽で高め合う関係」に感じました。
(なお、本日の演奏曲中、この曲が唯一CD未収録)


なお、花代さんとギターの成尾さんは、この日『キューティブロンド』の移動日。前日の24日(日)が福岡・久留米公演で、翌日の26日(火)が長野入りの日で、成尾さん曰く、スタッフに頼み込んで唯一空けた奇跡の1日がこの日だったそうです。凄い。


・・・


セットリストでは、何といってもM5の『ファンレター』。
びびちゃんは実際に手紙の便せんを持ちながらの歌唱でしたが、ファンからスターへのいじらしさと、見返りを求めない気持ちと、でも自身の存在をちょっとは分かってほしい本音を、少しのお茶目に込めた感じが流石です。


M7『パンダのマーチ』は先述しましたが、花代さんのリードボーカルという名のリードパフォーマンスが絶品すぎです。客席全部が「パンダだよー!」で返す空気、流石(笑)


M9『マスターピース/AWARD』も好きな曲。本編では沼尾さんが歌ったマーガレット・ミッチェル(「風と共に去りぬ」の作家)が伊東さん、そしてヴィヴィアン・リーは「びび」ということでびびちゃん(本当にそういう話になっていた笑)(スカーレット・オハラを演じた女優)ですが、本編で歌っていたのはびびちゃんの高校のミュージカル研究会の後輩、尾川(詩帆)さんなんですよね。そんな縁も感じつつ、「代表作」という意味の「マスターピース」を歌う女優役のびびちゃん、素敵でした。伊東えりさんとの声の相性も絶品でした。


・・・


ジャンルを絞らずに多種多様な菜美さんの曲は次にどう出てくるか予測できないのが楽しくて、そして駆け付けたゲストの皆さん、バンドの皆さんの作り出す空気も温かくて、ほっこりが集まった時間でした。


「30歳になったら楽しいって皆さんいうので楽しみです」という菜美さんの背後から忍び寄り(笑)、「30代は楽しいよー、40代になったらもっと楽しいよー」と仰っていた花代さんが流石すぎたのでした(大笑)。

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『新妻聖子コンサートツアー2019 See Ya!』(1)

2019.3.16(Sat.) 16:30~18:40
武蔵村山市民会館(さくらホール)

1年半ぶりとなる新妻聖子さんコンサートツアー、2019年の初日は東京西部、武蔵村山市民会館・さくらホール。

武蔵村山市といえば、東京にある市の中で唯一鉄道の駅がないことは知っていましたし、北側はすぐ埼玉県(所沢市)というぐらいの知識しかありませんでしたが、改めて行き方を調べてみると、どの駅からもそれなりに時間がかかることが判明。結局迷った末、往路は西武新宿線東大和市駅から都営バス最長路線・梅70系統(青梅車庫行き)で武蔵村山市役所へ。復路は狙っていた市内循環バス上北台行きにちょうど飛び乗れて、上北台駅から多摩都市モノレールで立川に出るという経路になりました。往路は別ルート(特に立川)から入った方は道路渋滞で間に合わなかった方もいらしたようなので、比較的良い選択だったかと思います。

・・・

聖子さんはMCでも言及されていましたが、産休を挟んでのコンサートツアー復帰ということで、ほぼ1年半ぶり。単発のコンサートやテレビはあったものの、ご本人、「(レミゼでの)デビュー以来というぐらいに舞台袖で緊張した」と仰っていた通り、MCは大人しめでのスタート。とはいえ、「武蔵村山、熱いですねー!」と言うほどの会場からの大きな拍手に身体もほぐれたようで、最初から絶好調の歌とあいまって、素晴らしい初日になりました。

ミュージカル女優としてだけでなく、歌手として幅広い皆さんに歌を聞いてもらいたい、その思いからのコンサートツアーで、もちろんその点をいつも以上に感じながらも、今回は「今まで応援してきてくださっている皆さま」へのはっきりとした言葉が強く出ていて、そして選曲もいままでの聖子さんのこだわりからすれば、考えられない選曲になっていたことに、感動で言葉もありません。

それでは、セットリストに参ります。初日ですしネタバレですので、お気にされる方は回れ右でお願いします。





よろしいですね?

では、参ります。

●Act1
1.ラマンチャの男
2.アライブ
3.Colors of the wind/ポカホンタス
4.君をのせて/天空の城ラピュタ
5.アンパンマンのテーマ
6.童神(わらびがみ)/沖縄の子守歌
7.命をあげよう/ミス・サイゴン
8.着飾って、輝いて(Glitter and be Gay)
  /キャンディード

●Act.2
9.Never Enough/グレーテスト・ショーマン
10.あり、か/中島みゆき
11.聖子のアイドルコーナー
  USA/DA PUMP
12.Sisters
13.いのちの理由/さだまさし
14.On My Own/レ・ミゼラブル
15.心の声/マリー・アントワネット

●Encore
16.Nessun dorma~誰も寝てはならぬ~

…たぶん、以前からのファンの方ならセットリストを見ると信じられないんじゃないかと思います(笑)。
実際、会場でリアルタイムで聖子さんのこの歌声を聞いたとき、いい意味で衝撃が凄かったです。もう涙が流れるほどに。
せっかくなので、思い入れも含めまして全曲レビュー参ります!!(笑)

●Act1
M1「ラマンチャの男」。
ご本人自ら「新妻聖子のテーマソングとなってまいりました」と言及されていましたが、それに笑い声があまり上がらないこの日の客席。そう、余りに嵌ってて疑問を挟む隙がなかった(笑)、というか客席が「初めて新妻さんを拝見する」率がかなり高かった感じです。それ故、ガツンとぶっ込むこの曲で一気に客席のハートをつかんでいました。この曲に特徴的でしたが、以前は聖子さんの歌い方は「この曲をこんな風に歌えるなんて凄いでしょ」って感じが否めなかったのですが、この日のこの曲は新鮮で、「この曲を歌える場に戻って来れて嬉しい」というエネルギーに満ちていて、ワクワクさせられました。

M2「アライブ」。
「皆さまの前に1年半ぶりに登場ということで、『生きている』という意味も併せて、また母となったことでこの曲を今歌いたいと思って選曲しました」とのMCでこの曲。聖子さんの歌の深み、変わられましたよね。

M3「Colors of the wind」。
5月に出るカバーアルバムのタイトル元がこの曲だそうです。振り返ってみると聖子さんのディズニーってあまりイメージないかも。新鮮でした。個人的には、今月から始まった『ブラバンディズニー』でびびちゃん(綿引さやかさん)が回によって歌われている曲なのですが、初日の山形公演では投票の結果別の曲(『メリーポピンズリターンズ』の「幸せのかけら」)になったので、被ったようで被ってない曲。

M4「君をのせて」。
聖子さん自身「大好きな曲」と言われ「この曲嫌いな方っていないんじゃないでしょうか」とまで仰ったこの曲、実際、聖子さんの伸びやかな声がぴったりです。

M5「アンパンマンのテーマ」。
「アニソンと言えば」のフリで、てっきりプリキュアの話でも持ちだすんじゃないかと思ったのは私(笑)。「去年年末位にテレビ番組『一周回って…』でやったら、ちょっとバズりまして」のMCの言葉選択が新妻ワールド(笑)。

「スタッフさんから『なんかミュージカル風にやってみて』的な『ざっくりな(笑)』ふりをされまして、今回の音楽監督もやっていただいている五十嵐宏治さんにご相談して、あらゆる曲を試したんですが、結局これになりまして」。歌い終わった後の、ものすんごい拍手に「この日一番の拍手ってどういうことですか」とツッコむのがこれまた新妻ワールド(笑)。

M6「童神(わらびがみ)」。
母になった新妻さんということで、子守歌でこの曲。前の曲との落差すごい(笑)。さすが聞かせます。

M7「命をあげよう」。
ヘリコプター音からのこの曲への入りは新妻聖子コンサートの定番ですが、聞く方も作品世界にすっと入れますし、聖子さんの気持ちの入り方に使われているようにも思えます。ここまでミュージカル曲は2曲だけ、ある意味想像の範囲の選曲でした。が…

M8「着飾って、輝いて」。
新妻さん曰く「ある意味凄いチャレンジングな曲」と仰ったので高速で「何の曲が来るかな」と脳内検索しましたが(笑)、まさかのこの曲!1幕ラストが「命をあげよう」は、普通の人ならチャレンジですが、さすがと言いますか、仰天しました。

「2010年に出演して、再演が叶っていない」という言葉には、何となくキャストとしての責任を感じている様も感じられて、それでも、今回解禁されることにはとても大きな意味があるように感じられました。

ご本人、「久しぶりのこれだけ緊張する場にこの曲の封印を解くなんて」と仰っていましたが、歌うのを決めた時点でそんなことは全く意識してないのは分かっているわけで(漢ですから笑)、いやまぁ、歌声も当時以上なのはもちろんのこと、役柄を踏まえた曲説明から、too muchが面白すぎるぶっとんだクネゴンデのパワーといい、「This Is The Greatest 新妻聖子」で(笑)、1幕ラストに相応しい出来に、1幕最大の拍手が贈られたのでした。

●Act.2
M9「Never Enough」。
もう聖子さんが男歌歌うことについて、誰も異議を唱えないどころか、積極的に拍手で後押しするというのが、新妻聖子コンサートのお作法でございますが、初めてご覧になった皆さまもその空気はもうお分かりのようで、な2幕スタート。もうこの辺り、何が「普通」なのか分からなくなってくるわけですよね(笑)

M10「あり、か」。
今年1月の中島みゆきさんリスペクトコンサート「歌縁」で初披露されたロック曲。この曲入る前に「2幕は攻めていきますから」と言っていて、「え、1幕はあれで攻めたんじゃないの」とフォロワーさん一同みんな同じことを心の声でツッコんだみたいです(笑)。コンサートでは恐らく初めてのパンツルックな衣装も新鮮で、ロックもめっちゃ行けます。歌の上手な方は何でも決まるんですね、ですが、やっぱり以前から比べればずっと「見せ方」にこだわっているように感じます。

M11「USA」。
新妻聖子コンサートでは定番になった「聖子のアイドルコーナー」。
「可愛い子大好き」ということで今までは女性曲ずっと来ましたが、今年は何とDA PUMP!

「DA PUMPさんはアイドルですよ!沖縄アクターズスクールど真ん中世代ですから」のトークが完全にヲタモード(笑)。そして新妻聖子コンサートの初のスタンディングで客席も踊っての大盛り上がり!まさか新妻聖子コンサートで踊ることになるとは思っていませんでしたが(笑)、全世代対応の曲ということで完全にホールの空気を温めることに成功した感があります。逆に言うと、一般の方が多い武蔵村山だからこそのヒットなのかと思いますので、東京・オーチャードホールでどういう感じになるのか、興味深いところです。

M12「Sisters」。
実姉・新妻由佳子さんがコーラス吹き込みという新機軸での歌唱。以前は「姉がどれだけ私を好きかを私が歌う曲です」と説明されていましたが(笑)、最近は仰っていないですよね。何となく、MCも注意深くなられているというか、曲に変な先入観が入らないようにMCをコントロールされているように感じます。

M13「いのちの理由」。
この曲を歌われると言われた時に客席の一部から拍手が上がり、「良い曲なんです」と嬉しそうに仰っていました。歌詞を大切に歌われる聖子さんに、さださんの詩はぴったりと感じます。生さだ、お呼ばれしてくれないかなぁ。

M14「On My Own」。
”自分の辿ってきたミュージカルの原点に立ち返る”ということでデビュー役のこの曲を久しぶりに。「「夢やぶれて」が有名とは思いますが、ミュージカルとしてはこの曲の役、エポニーヌの方が知られている役」というのは、正に一般の方向けのMCでした。

M15「心の声」。
これがもう、最大最強のサプライズ!!
新妻聖子さんというお方を帝国劇場デビューからずっと見続けているファンとして、絶対に歌うはずがないと思い込んでいた曲が、まさかまさか聞けるなんて!!

ここからちょっとMAについて語ります(笑)

私にとっての「心の声」の歌い手は新妻聖子さん、なんですよ当時から。

「心の声」は2006-2007『マリー・アントワネット』初演の曲で、日本での本役は新妻聖子さんと笹本玲奈さんのお2人。でも当時から「100万のキャンドル」は笹本玲奈さんの曲だと思っていて、「心の声」は新妻聖子さんの曲だと思っていて、それは今でも変わっていないんです。

2人とも2曲とも歌っているのは勿論なのですが、それぞれ「しっくり来る」んです。
役者としての生き方というか、役へのアプローチが違うというのか。

「100万のキャンドル」は、貴族の豪華な様を目にしたマルグリットが、民衆を奮い立たせる曲で、「投げかける」側。

「心の声」は、恩人を殺されたマルグリットが、怒りをエネルギーに民衆を鼓舞する曲で、「立ち上がる」側。

笹本玲奈さんの役作りというのは相手に投げかける演技が多いんですね。相手との関係性で自分の役を作っていく。マルグリットとして現状認識型。

新妻聖子さんの役作りというのは相手を引っ張る演技が多いんですね。自分の役を作って相手を動かしていく。マルグリットとして行動型。

2人のマルグリットは、再演ではそれぞれ、玲奈マルグリットが昆マルグリット、新妻マルグリットがソニンマルグリットに引き継がれていたように感じたのはそれゆえもあって。
曲としては得意分野でこそ光る、そう感じていました。

再演では「100万のキャンドル」はそのままですが、「心の声」は「決して許さない」に変わり、この日聖子さんが歌われたのは当たり前の如く初演の歌詞。

1幕の『キャンディード』の時の言及と考え合わせると、11年間再演が叶わなかった作品が無事再演され、マルグリットとして喜びも苦しみも分かち合ったであろう(笹本)玲奈さんがマリー・アントワネットを演じ切ったことで、聖子さんにとっても、この曲をようやく歌える気持ちになったのではと思えて。
なんだかもう、感動の上の感動に打ち震えたのでした。

・・・

M16「Nessun dorma~誰も寝てはならぬ~」。
アンコールは定番のこの曲ですが、客席の度肝を抜く歌唱は健在。「また聞きたい」と思わせるに十分な歌は、今回のコンサートツアーのネーミング「see ya!」(またお会いしましょう!)にしっかりつながる、素敵なエンディングになりました。

新妻聖子さんというお方は、全方位的に気配りをされる頭のいいお方という認識はずっとしてきていますが、その上、ご自身のこだわりを非常に強く持っていらっしゃる方で、それが魅力でもあり、ただ、逆にそれ故に、行動が制限されるようなところがあったように感じます。

それが、結婚され、母親にもなられて、MCにも、歌にも、心の余裕というか、「こうあらねばならない」楔(くさび)から解き放たれたような身軽さを感じて。今までと違った意味での「自由」さが、聖子さんの歌をより聞きやすく、お客さんに伝わりやすくしていたように思います。

過去の自身に誇りをもって、未来へ向かわれること。その時に、時を一緒に過ごしてきたファンのことを気に留めてくださる聖子さんを拝見できたこと、それが何より感動的でした。

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『キューティ・ブロンド』(6)

2019.2.27(Wed.) 18:30~21:20
 シアタークリエ 16列10番台(センターブロック)

2019.3.3(Sun.) 13:00~15:50
 やまぎんホール 2列40番台(上手側)

キューティクリエmy楽、そして今期my楽です。

クリエ公演は2月28日マチネが楽公演でしたが、私的に定めているmyルール、「1カ月に半休2回まで」の制限を既に使い切っていたために参加できず(※これ以上休むと大概仕事的に支障を来たす)、前日の前楽がクリエmy楽となりました。

が、何だか自分の中でキューティを見納めた感じがしなくて(1回減った上におけぴ観劇会も行ってないせいもあるかと思いますが)、もやもやして気付いたのが、あれ、全国ツアーの初日の山形、日程的に行けて、しかも前日がびびちゃんの『ブラバンディズニー』の初日となれば、2つ組み合わせられるやん、とこの日の観劇中に気づきまして(笑)、観劇当日に現地の山形中央郵便局留で受け取るという離れ業をかまして行ってきました。

前日が山形市民会館、この日が山形県民会館(ネーミングライツで「やまぎんホール」となっている)という、不思議な巡り合わせですが、どちらも年相応の風格があるホールです。やまぎんホールは約1500人収容のホールで、シアタークリエの倍の客席数ということもあり、何か所か変更がかかっていました。

セットは基本的にそのまま使っていますが、インターンメンバー発表時の張り出し先が柱ではなく、キャスター付きの黒板になっていること(何となくホールの備品感がちょっとする笑)。開始前のアナウンスから「シアタークリエには(録音機材を持ち込んだ場合に)没収する合法的な権利が与えられているんだ」が当然消えていること。そして、カーテンコール時のブルーザーを連れに行く先が、クリエと全く逆で、クリエが下手側でしたが、山形は上手側でした。ここは会場毎に違うでしょうね。あと、UPSの配達人(上野聖太氏)が「これが雪国の運び方だ」ってやって大きな拍手を受けてました(笑)。

カーテンコールが通常の2回に加えて、何とスタンディング2回という、全国ツアー初日の盛り上がりに相応しい盛り上がりで、さーや初めキャストの皆さん感激されていました。山形の方は比較的おとなしい方が多い、と前日の山形市民会館で理解していましたので、本編が少し静かめだったとはいえ、カーテンコールで満足度に客席爆発、って感じでとっても嬉しかったです。

さーやからご挨拶もあり、「この綺麗なホールで」というところでなぜか客席から大きな笑いが上がってさーやが困惑され「あれ、なんかおかしいこと言いましたっけ」って感じで、途中でその空気を軌道修正して「この素敵なホールで」と言い直されていました。

が、その後、山形の方のお話を聞いていると、この山形県民会館が建て替えとなり、山形駅西口前に、新山形県民会館(新名称は「山形県総合文化芸術館」)としてオープン(今年9月完成、大ホールは2000人収容)するから(詳細こちら)なのだそうで、いやまぁ確かに年季入ってたから、さーやのコメントに地元の方が苦笑されていた理由を理解しました。

さーやご挨拶から
「本日はご来場いただきありがとうございます。この素敵なホールで『キューティ・ブロンド』の全国ツアーの初日を迎えられましたこと嬉しいです。満員のお客様に入っていただいたこの景色が感動で、皆さんにもご覧いただきたいほどで(笑)。昨日のリハーサルでも広いホールに圧倒され、素晴らしい景色に感動しましたが、今日もそれとまた違った感動を受けて本当に嬉しいです。山形公演は残念ながらこの1回だけですが、これから3月いっぱい、全国を回ります。また他の場所でお会いできる方はお待ちしています。今日で最後という皆さま、お会いできて嬉しかったです、ありがとうございました!」

という素敵なご挨拶に、1500人びっちり満員の客席の笑顔と、大きな拍手が贈られました。

山形公演の音響はクリエと同じく爆音上演(苦笑)で、最初の音で初見の皆さまびっくりされたぐらいなのは結局変わらず。このクラスのホールのためにあれだけ音量が大きいのでしょうね。音響バランス、今のまま行くんですかね、ちょっと心配です。

今回、物語的に見ていると、エルが洗練されたというか、エルの立ち位置が定まったような気がしています。初演の時は、「振られた相手を見返すために自分が成功して思い知らせる」という要素が少し残っていた気がするのですが、再演の今回はその要素はほとんどなくて。「自分が振られたのは自分の努力が足りないせい、それに気づかせてくれた元カレ(ワーナー)にも感謝してる」という感じの立ち位置になっていて、よりエルが清々しい存在感になっているように見えて。

エルだけじゃなくて、エルを取り巻く人皆が成長していくストーリーをはっきりと見せているので、それぞれ「未熟からの成長」というのが分かる。

エルにしたところで、エメットからは最初は「同情できない」と言われるほど、ある意味舐めてるところがあるわけですよね。今回、元基エメットに強く感じるのですが、最初出会ったときに惹かれている感じがゼロ(笑)なのがいいなと思ってて。先輩指導員として、形式だけ面倒を見ている感じをはっきり出していて、それがだんだんエルの前向きさ、真剣さを知っていくことでエルに惹かれていく、そのストーリーが見えて。身だしなみに気を使わないところも、「自分のありのままを知ってもらうためには、きちんと相手に見てもらえるようにしなきゃいけない」ことをエルから学んで変わっていく。

敵対してたヴィヴィアンも、エルへの理解は初演以上に早く感じて。裁判の前半で「もしエルの言っていることが正しければ」で言及している様が、初演だとそれこそ形式ばった言い方に感じたのに、今回は正直にそれを見せている気がする。だからこそワーナーがエルの取った行為を誤解したときに、あれだけ強くワーナーを否定する流れがしっくりくる。女性が法曹界で頑張ることの大変さ、エルが一番つらい時に一番かけちゃいけない言葉をかけるワーナーの無神経。

ヴィヴィアンにとっては、あの時「ワーナーがエルを振ったのはワーナーの見る目がなかったからで、自分がワーナーに惹かれていたのも自分の見る目がなかったからで、だからこそエルは正しいんだと納得できた」のだろうなと。

(青山)郁代ちゃんが言及してた話が、エルと店員女優として接触する2箇所のストーリーで、最初はエルを甘く見て売れ残りを押し付けようとして論破されて退場させられるけど、2幕のデパートではエルに頼られる店員として、エルのためにエメットに似合う服を仕立ててる。その2シーンにあえて同じ女優さん(郁代ちゃん)を充ててるのは明らかに意図的なんだろうなと思うわけで。
で、それは両面だと思うんですね。店員さんとしての成長という意味と、もう一面はエルの成長があるのかと。

エルはこの作品のヒロインですが、改めて見返してみると、実は登場当初は結構鼻持ちならない(爆)存在なんですよね。自分の意思が全てで、ヒルズ生まれのヒルズっ子のためか、無意識に見下すようなところがあったりして、イメージよりは全然完全無欠じゃないことに、今回は気づいたりして。小論文提出必須なのにプレゼンでごまかしちゃうところなんか、どさくさに何かやり過ごしちゃってますけど(笑)、本来はあり得ない話ですからね。

なんですが、ハーバードロースクールに入ってからは一つとしてズルがない。与えられたルールの中で努力を積み重ねて、信頼を勝ち取っていき、エルが外見だけでない魅力を高めていくからこそ、とっても清々しいエンディングになっていくのだと思うんです。

「みんなのおかげでここまでこれた」という言葉が、エル、そしてざっちょのさーやの居ずまいとリンクする至福の時間。全国ツアーの初日をこれ以上ない形で見守れたことが何より幸せな時間になりました。

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『”ブラバン・ディズニー!”コンサート』(1)

2019.3.2(Sat.) 15:00~17:00
山形市民会館 11列30番台(センターブロック)

 

今年の『”ブラバン・ディズニー!”コンサート』はこの山形公演が初日。

 

当初は3月23日の東京公演まで待つつもりだったのですが、今回MCを務めるびびちゃん(綿引さやかさん)もMCだけでなく歌われるという話だったので、どのぐらいのボリュームか気になったのと、幸いにも仕事が何とか切りがつく見通しが立ったので、山形遠征を決めました

 

決めた時点ですでにプレイガイド扱いが終わっていて、主催のキョードー東北さんに連絡して当日券予約をして受け取ったら、予想通り、すごいいい席が来てびっくりしました(まさに0番の先の席)。

 

ブラスバンド(吹奏楽)とディズニーのコラボで、全世代に向けたコンサート、という企画意図通り、客席の客層はお子さんからおじいさんおばあさんまで、幅広いです。演奏はシエナ・ウィンド・オーケストラで、今回CDも発売されていますが、生演奏での披露はこの日が世界初演、と仰られていましたが、さすがの迫力でした。

 

ディズニーの音楽って作品によるのですが基本的に”外に向かって開放する”ことがポリシーだと感じていて、それはブラスバンドの”音が広がる”さまと親和性が高いのでは、と感じました。なんだか、”迷うよりも先に進む”みたいなことの共通的な感覚をこの日感じました。

 

先月までの「東京ディズニーリゾート35th Happiest Celebration In Concert」の演奏と歌とのコラボレーションでも同じような感覚を抱いたことが思い出されます。

 

セットリストです。

 

まだ初日ですので、ネタバレNGの方は回れ右でお願いします!

 





 

では、参ります。

 

セットリストはAとB2通りありまして、この日はBでしたが、どこでどうAとBを使い分けるかは言及がありませんでした。

 

<第1部>
1.スターウォーズ メインタイトル
2.小さな世界
3.ノートルダムの鐘 メドレー
4.Today's Special (1) Up Tempo
5.Today's Special (2) Barade Tempo
  ※びびちゃん歌
6.ホール・ニュー・ワールド/アラジン
7.インクレジット2/インクレディブル・ファミリー

 

<第2部>
8.アナと雪の女王 メドレー
9.シュガー・ラッシュ メドレー
10.ディズニー・ワールドミュージックツアー
 ※うち1曲、びびちゃん歌
11.ライオンキング メドレー

 

<アンコール>
1.ディズニー ツムツムのテーマ
 ~みんなでブラバン・ディズニー!~

 

基本はびびちゃんがMCで説明して、指揮のオリタノボッタさん&演奏のシエナ・ウィンド・オーケストラさんの演奏に入る、という形ですが、びびちゃん&オリタさんの掛け合いMCも随所に入っていて、相性いい感じ。2月初めの深夜の番宣(BS朝日)のときが初対面で、最初はむっちゃぎこちなかったですけれども(爆)、オリタさんの自由っぷりを上手くいなす、びびちゃんがなかなか新鮮です(笑)。

 

初日ということもあり、山形の話をオリタさんが積極的に振っておられ、「芋煮おいしいですよね」「お米はつや姫大好きです」

 

そして、「実は山形って空港が2つあるんですけど(※)、『おいしい』空港ってアナウンスが入るんですよ」というオリタさんにびびちゃんびっくり、「新幹線で来たので聞けなかったですが、次回はぜひそのアナウンス聞きたいです。今回山形大好きになったので(山形にこられたのは初めてだそうです)」とコメントされていました。

 

(※)2014年に公募で愛称がつきました。「おいしい山形空港」「おいしい庄内空港」と機内アナウンスが流れているとのこと。

 

びびちゃんは過去ディズニー系のコンサートの出演を何度もされていますが、MCとしてだと今回が一番リラックスされている感じ。オリタさんとの相性がよいのと、かなり任されている感じがして、経験と実績のなせる業なのだろうなと。

 

今回のMCご指名も、「歌を歌える方を選びたい」ということで白羽の矢が立ったとのことですので、1部と2部で1曲ずつ歌を披露されているのが嬉しいところです。

 

2部ではM10「ディズニー・ワールドミュージックツアー」の中、世界一周してきたほぼ終着点、中国での『ムーラン』からの「リフレクション」。
一昨年10月、劇団四季さんの『ソング&ダンス65』客演時に初めて披露された曲ですが、びびちゃんの半ば持ち歌と化したかのような様は、まさに堂々としていて面目躍如。といいますか、ソンダンは終わってしまったので、「ブラバンディズニー」にくれば、確実にびびちゃんの「リフレクション」が聞けるのはうれしい限りです。

 

1部なのですが、ここ、実は「演奏曲をみんなで選ぶ」コーナーなんですね。その日の客席の拍手の量で勝ったほうを歌うという、結構な鬼企画(笑)。

 

びびちゃんが歌うのはバラードパターンの曲で、『ポカホンタス』の「Colors of the wind」か、『メリーポピンズリターンズ』の「幸せのありか」の2択。

 

選択肢が発表された後、オリタさんが客席に拍手を聞くのですが、メリポピ、曲名全部言い終わらないうちに大拍手で圧勝(笑)。
同作の中の子守歌ということで、丁寧に歌詞を紡ぐびびちゃんの表現力がぴったり。
素敵な2曲が聞けて嬉しかったです。

 

このコンサートは3月5公演、6月5公演、7月2公演、8月1公演の合計13公演。
楽器を持ってお客さんがステージ上に上がる企画も、段々とこなれていけばもっと盛り上がるように思います。
初日、素敵な走り出しだったことほっとしました。

 

なお、少なくとも山形公演ではアンコール時の写真撮影・動画撮影は可になっていました。
(今後もその運用になるかは分かりませんが。)

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