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『レベッカ』(5)

2019.1.20(Sun.) 13:00~15:50
 シアタークリエ 21列20番台(センターブロック上手側)

2019.1.31(Thu.) 18:30~21:20
 シアタークリエ 22列10番台(センターブロック下手側)

2019.2.3(Sun.) 13:00~15:50
 シアタークリエ 7列1桁番台(下手側)

my『レベッカ』観劇が終わってしまいました。

北千住のプレビュー1回、シアタークリエ6回。
うち、ちーちゃん「わたし」が5回、綾ちゃん・玲香ちゃんが1回ずつ。

楽公演を見ることは残念ながら叶いませんが、チケット入手難公演にしては満足いくまで見れたかなと思います。

気付いたことをつれづれに。(完全にネタバレです)





「わたし」がマンダレイに着いてお世話役を拝命したのが、島田彩ちゃん演じるクラリス。

お付きのメイドを連れてこなかったからお世話役になったという偶然ではあるんですが、もう一点として興味深いのは、「わたし」が仮装舞踏会でなぜ致命的なダメージを負うのかとリンクしているんですね。

というのも、クラリス自体が新入り(マキシムが帰宅した時に「新入り」と指摘している)なので、去年の仮装舞踏会で何があったか知らないわけなんですよね。ベアトリスにも内緒にしているし、その時点では味方と思っているダンヴァースにもわざわざ口止めした結果、「わたし」は致命的なダメージを負うことになります。

ダンヴァースが全てを仕込んだのは流石に考えすぎかと思うけれど、軌道修正のチャンスをことごとく逃していることは間違いなくて、クラリスと悪戯っぽく微笑みあっている様が、その後起きることを知っているといたたまれなくて仕方ない。「明日には平凡な私に戻る」という歌詞がもう痛くて痛くて。

それでいて、「わたし」が覚醒してダンヴァースをガン無視して部屋の模様替えを強行したとき、クラリスはレベッカのナイトガウンを抱えてダンヴァースと鉢合わせ。ダンヴァースに目で殺されそうになるんですが、勇気を振り絞って奥様側に付くんですね。

クラリスにしてみれば、自分のせいで奥様に恥をかかせてしまったという思いは強くあっただろうし、それでもまだ奥様のお付きとして続いているということは、「わたし」が強く慰めて、「あなたの責任じゃない、わたしの責任」とはっきり言っていることは間違いないだろうし、そうでなければ、ダンヴァースを振り切ることができるなど考えられない。

レベッカの影に怯え、ダンヴァースの威光に逆らうことができなかった皆にとって、はっきりと「マキシムのために」強くなると踏み切った奥様に”光”を見たわけですよね、みんな。

・・・

ちーちゃんの「わたし」はシーンと感情に一貫性があるのが素敵なんだなと言うのを、もう2人の「わたし」見て改めて感じます。特に掴みかけた幸せがこぼれ落ちそうな感情で歌われる「幸せの瞬間」が最高で。何しろ「幸せ」は「瞬間」でしかなく「継続」が保証されていないですからね。

もう帰る先はない、自分はマンダレイで生きていくしかない、そう腹をくくる。だけれども「私はもうどこにもいけない」という「私の思い」で生きている1幕から、「マキシムのために生きる」とさらに腹をくくってからの「わたし」は圧巻のひと言。

マキシムから、レベッカとの愛について真実を告げられ、「わたし」は自分の思い違いに気づいたんじゃないかと。自分はレベッカに敵わないと思ってばかりいたけど、フランクが自分にかけた言葉を思い出し、自分の本当のすべきことに気づいて。愛するマキシムのために何でもするのが自分の役割。ちーちゃんの「わたし」はマキシムと出会うまでは善悪で生きてきたように思えるのですが、マキシムを愛することを知って、世間的に非難されようと、使命に生きる様が凄いです。

それ故に、ちーちゃんの「わたし」が倒れるときは、まさに図ったタイミング。マキシムとレベッカの夫婦関係が明らかになればどうなるか。…マキシムの名誉も守りたい、自分も聞きたくない、マキシムも傷つけたくない、そのタイミングを図って意識的に倒れたように見えました。

その後、ファヴェルの悪だくみと対する時も、ちーちゃんの「わたし」は3人の「わたし」の中で飛び抜けてファヴェルに嫌悪感を示すんですね。なぜあそこまで敏感に反応するかと言えば、「マキシムにとって最大の敵」だから。

そういえば1月31日ソワレでは、圭吾さんファヴェルが撒いたお金がひらひらと、ちーちゃんの「わたし」のスカートの上へ。フランク禅さんは奥様に一度目配せして「お取りしてよろしいでしょうか」と確認してからの取り去り。さすが執事、素晴らしかったです。匠の技。

1月31日ソワレは実のところハプニング祭りで、キューピッドを最初に落としたときにまさかの事態で、「壊れず」。とっさに、ちーちゃんはキューピッドをへし折って(笑)、引き戸にジャストタイミングで放り込みました。これぞ経験のなせる技でした(笑)

・・・

今回、綾ちゃんと玲香ちゃんとのトリプルキャストで拝見できて良かったのが、今までちーちゃんだけが「わたし」だったために、それが唯一スタンダードだったのが、2人の姿を拝見して、違った表現の仕方があったり、場面それぞれで心情を表現するのが実のところ凄い難しいということを理解することが出来たり。

ちーちゃんは「わたし」を「演」じていたように感じて、綾ちゃんは「わたし」を「技」で見せていたように感じて、「演技」の極め方が違う2人だったのかなと思います。

綾ちゃんの勝気な様も、玲香ちゃんのいたたまれない様もそれぞれ素敵で、それでいてちーちゃんが「わたし」を演じられる時期に、複数キャストで拝見できたことは何よりの僥倖で、ちーちゃんの負担も下がって全力投球できたのは何より良かったです。この体制ならまだできるんじゃないかな?と期待しています。

・・・

カーテンコールは日々おもしろカーテンコール発動(笑)

1月20日マチネはおけぴ観劇会ということで、祐さんが背広の内ポケットから「家宝をもってきました」と仰りながら「おけぴ観劇会」のフラッグを取り出して「辛い時にはいつも見てます」のご発言に大盛り上がり、横のちーちゃんは大撃沈(笑)。

1月31日ソワレはイープラス貸切。「2つイベントやりますね」と祐さんご発言。
さくら組のみなさーん、チューリップ組のみなさーん、『いー』と言ったら『(ポーズ付きで)プラス!』と返してくださいね!」…の横でちーちゃんが再び爆笑い落ち(笑)

もう一つはオーケストラさんの話。
「指揮の方がキャストの前におられて、オーケストラが上に本当にいるのか皆さん不思議だったと思います。実はキャスト向け映像を防犯カメラで(笑)隠し撮りしております。それでは私のキューで『レベッカ』の曲を出します」からのオケさん演奏で会場大盛り上がり!でした。

2月3日マチネは通常回なはずですが、祐さん&ちーちゃんのみのラストカーテンコールで、ちーちゃんが両手広げて「飛行機ぶーん」やって会場中の拍手をもらい、その後祐さんも同じことやってました(笑)

・・・

そんな楽しい時間もあと2日。最後は見届けられませんが、日々ほとんど満員の中、これぞ「クリエのミュージカル」と称せるスタイリッシュなこの作品がこれからも拝見できますことを。そして願わくばちーちゃんがまだ「わたし」を演じられる間に、ギュッと詰め込んだ「わたし」の思いを瓶から取り出していただいて(瓶の中身は悪魔じゃないと信じて!笑)、拝見できる日が来ることを心から待っています。

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コメント

全てが完璧 あの方こそ 生れながらの「わたし」

なんて。それくらい完璧な「わたし」でした。
プレビュー最終日の時は「ペースがつかめない」ようなことをおっしゃってましたが、慣れてしまえばやはり負担はかなり減ったんだなあと思いました。
クリエでも最初は堅かったと聞きますが、私が観た全ての公演が(キューピッド割りのハプニングはありましたが)完璧でした。

帝劇の時に書いた文を読み返して振り返っていたのですが、シングルでロングラン。後半やはりキツそうに感じる部分はありましたね。あと初演から再演で告白後の「わたし」が「静かな強さ」に変わったことを歓迎されていたり、でも回を重ねるごとに今度は「強すぎる」と言われていたり・・・。
歌と台詞が繋がっている(自然)のは以前からそうなのだけれど、今回は歌に関しては全く何の心配も不安もなかったのも、経験値に加えて負担が減ったことは大きかったのかなとも思います。それだけに終わってしまうのが本当に淋しい(彼女に関してはまだ明日からもやれそう)。

投稿: ぴらふ | 2019/02/04 11:41

ちーちゃんの「わたし」の完璧さは、言及すると贔屓の引き倒しになってしまうかと心配で、ここに来るまで控えていたのですが(笑)、クリエ後半は完璧以外の言葉が出なくて、経験という財産と、トリプルキャストで得た余裕が、至高の「わたし」を作ってくれましたね。

比べられる立場になったことで、初演・再演で演じられていたことが、(当たり前なのですが)多くの努力をもってできたものだったと知ってもらえたことは、何よりの「幸せな瞬間」でした。

「普通の女の子を普通に演じられる稀有な存在」が、”普通”なだけに評価され切ってこなかったことも、すべては今評価されるためにあったのだと思うと、本当に良かったなぁと嬉しく思います。

投稿: ひろき | 2019/02/05 02:09

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