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『レベッカ』(4)

2019.1.6(Sun.) 13:00~16:00 大塚・涼風
 16列10番台(センターブロック下手側)

2019.1.6(Sun.) 18:00~21:00 桜井・保坂
 19列20番台(上手側)

2019.1.10(Thu.) 18:30~21:30 平野・保坂
 13列10番台(センターブロック中央)

シアタークリエ

「シアタークリエオープニングシリーズ」でシアタークリエで初演されてから10年、ついに『レベッカ』がシアタークリエに帰ってきました。そして、ちーちゃん(大塚千弘さん)の当たり役中の当たり役、「わたし」も10年ぶりにクリエに帰ってきました(2010年に帝劇で上演されているので、上演自体は8年ぶり)。

1月6日マチネがちーちゃん「わたし」の今回のクリエ初日。
シアター1010のプレビューからの地方公演を経てということで、すっかり「わたし」が板についたさま。

21歳設定の若妻を、全く不自然なく見せて、前半のおどおどした様から、一瞬にしてぐんと強くなる様への変貌が凄い。屋敷中が前妻・レベッカの影に怯え、レベッカの威光をあたかも嵩に来たかのような家政婦頭・ダンヴァース夫人の存在に怯えてきた中、愛するマキシムのために全身全霊で強くなった、ちーちゃんの「わたし」は、「レベッカ」が「影」なのに対してまばゆいばかりの「光」。

最初から「わたし」の人柄を見抜いていた、(石川)禅さん演じるフランクの「誠実さと信頼」が、禅さんの優しい歌声であればあるほど、「わたし」の人柄の素敵さ、屋敷での「光」を感じさせて、だからこそ1幕最後の衝撃は大きすぎて。

そこから2幕のマキシムの告白から、「わたし」が”私”を取り戻していく様を、「演じるように見せない」のがちーちゃんの「わたし」の素敵なところ。出すぎず引きすぎず、それを計算でしない様が、ちーちゃんと「わたし」がシンクロして、ここまで200回以上も愛され続けてきたことかと思います。

初演・再演はちーちゃんがシングルキャストとして「わたし」を務めてきましたが、今回はトリプルキャスト。(平野)綾ちゃんと、(桜井)玲香ちゃんの3人。ちーちゃんの「わたし」が好きすぎるだけに、他のキャストを見るのが怖い…とはならなくて、むしろ、ちーちゃんの「わたし」を信じるからこそ、他のキャストを見るからこそ分かる面があると思って、クリエ前半で一気に3人見ました。

3人の「わたし」を見るに、
ちーちゃん「わたし」:「優しいからこそ強くなれる」
綾ちゃん「わたし」:「強いからこそ優しくなれる」
玲香ちゃん「わたし」:「優しさと強さを同時に得ていく」
というように感じました。

ちーちゃんは初演からずっとそうですが、マキシムを思う気持ちに誠実で、生来の「優しさ」があるからこそ、マキシムを心から心配し、自分が助けになろうとして成長していく様が特徴で、それは3演の今回になってもぶれることなく。ちーちゃんは女性としてはもっと割り切ったサバサバした方ですが(爆)、ことさらこの役に関しては、理屈や技術を超越した、「わたし『そのもの』」であることを強く感じます。

綾ちゃんは今回、凄く期待していました。ちーちゃんとは真逆で、元々強い女性だったことを思わせる様が、さすがはクンツェ&リーヴァイ作品のタイトルロール経験者(『レディ・ベス』で帝劇主演)。

宝塚出身の方以外でそこに該当するのは、近年では綾ちゃんと(笹本)玲奈ちゃん(『マリー・アントワネット』)だけですからね(聖子さんは意外にも経験していない)。ダンヴァース夫人に対する戦闘モードの容赦なさが痺れます。置物に目もくれず、重力に任せて落とす様とか。それでいて、綾ちゃんのいいのは、不必要に強くないんです。「私の面子を潰した報いを受けてもらうわ」ではなくて、マキシムのために、屋敷から影を振り払うために、必要なことをしているだけ。そこにエゴを感じないバランスがとっても良い。恐らくは年齢的にちーちゃんも綾ちゃんも今回がラストだろうから、ちーちゃんにいい影響を及ぼしてくれる綾ちゃんの「わたし」が観られたことに感謝です。

玲香ちゃんは舞台経験はあって、赤坂ACTでやった『リボンの騎士』で生田さんの相手役をされてましたが、拝見する機会がなくて今回初見。

3人の中では若くて初演のちーちゃんのイメージと被る部分もちらほら。試行錯誤しながら作り上げる様は似たところもあって。彼女は乃木坂のキャプテンを務めていて、そちらでは頼られる側の立場かと思いますが、今回、彼女の「わたし」を拝見して思ったこととして、良いリーダーの素質って、「頼られることと、愛してもらうことのバランス」だと思うんですね。ただ堅いだけじゃ人は付いてこなくて、いい意味の「隙」がないと、周囲がなかなか盛り立ててくれないんですね。そこにキャプテンを務めるだけの素質とのシンクロも感じて。「愛されることが自然に成立する」ことは、「わたし」という役にぴったり合った適任な方に思いましたし、今後が楽しみな女優さんです。

・・・

クンツェ&リーヴァイ作品の特徴である「光」と「影」。

「影」に怯えるからこそ、「光」はより光り輝こうとするし、
「影」を理解するからこそ、「光」がより温かく輝くことができる。

「影」も「光」も苦しみを抱えるからこそ、
別の属性と交わることで、癒されることもある。

そんなことを感じた観劇でした。

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