« 『山崎育三郎 LIVE TOUR 2019~I LAND~』 | トップページ | 『天才作曲家~Composer~』(2) »

『天才作曲家~Composer~』(1)

2019.1.30(Wed.) 19:00~20:40
六本木トリコロールシアター
C列20番台(センターブロック)

OneOnOne久しぶりの本公演。

六本木に出来た新しい劇場、初めてお邪魔しましたが、今まで六本木と言えば「芋洗坂を下らない」ことをモットーにしてきた結果(先だって閉館した六本木ブルーシアターが芋洗坂側から入れなかった)、芋洗坂がそもそもどこか分からず迷いました(笑)
とはいえ平日19時開演はとってもありがたいです。最近は18時30分開演だとほぼアウトなので。

見終わってから知ったのですが、この作品、もともと13年前に『Composer~君のいる世界・モーツァルト』で初演されていて、いわゆる「コードシリーズ」の初期の作品なのですね。

観はじめてすぐ「あ、コードシリーズぽい」と思ったのは思い違いでもなかったのだなぁと。

”天才”作曲家モーツァルト(内藤氏)と”秀才”作曲家サリエリ(染谷氏)を軸に描く物語で、ミュージカル『モーツァルト』を見ているかどうかで理解度が左右されそうな作品。

すらすらと書き直しもなく、次々と曲を生み出すモーツァルトに対して、嫉妬を隠せないサリエリの対比。

感性型の役者さんに思える内藤氏のモーツァルトと、理性型の役者さんに思える染谷氏のサリエリはお2方ともイメージぴったり。その上、モーツァルトに対して「闇」として存在する、いわゆる「アマデ」のようなポジションに坂口湧久くんの存在感が印象的です。

コードシリーズでは複数の作品を交差させてテーマを浮き出させますが、もう一つの軸が「人魚姫」パートで、こちらを担当するのが絶品の女性陣のお2方。いかにもな(爆)魔女の蔵重ねぇさんと、驚くほど人魚姫なたみーこと田宮さま。人魚姫はベーシックな人魚姫のストーリーで、「自分の願いに忠実」であり、海の中にその身が消えようとも、満ち足りた様でその命を終える様が、もう一つの世界とのコントラストできらめいて見えてきます。

もう一つの世界とは現世の世界で、法月氏演じる”男”と、千田さん演じる”女”との関係。2人は音楽の場で出会った(おそらくは音楽大学とか)後、いわゆる天才肌の”女”-実のところ天才であることにそこまでの満足を感じていない-”女”と、天才になりたいと望む”男”とがすれ違っていく光景。

その3つの世界を繋ぎ、”物語る者”としてストーリーテラーとして動くのが岡村さやかさん。
これで登場人物8人勢ぞろいというわけです。

8人が皆ほぼ舞台から去らずに、シーンが繋がる反面、感情は激しく動いていって。

特に、
「天才」であるからこそ持っているもの、持たざるもの。
「天才」でないがゆえに持っているもの、持たざるもの。

自分で自分のことは見えない分、他人の持つものは良く見えるし欲しくなる。

だからといって自分の欲望のままに他人の良さを欲しがれば、待っているのは”満ち足りた様”とはかけ離れた世界。

モーツァルトが求めた「天才でないもの」、サリエリが求めた「天才」
だが何かを掴みとろうとすれば何かを犠牲にせずには成り立たない。

今作のストーリーテラーにあたる岡村さやかさんは、それぞれの登場人物の間でただひたすらに中立を貫くので、是非の判断はしないのですが、それはある意味では正義なのだけれども、もう一面では冷酷にも感じて。
衣装が白かったこともあって、「闇」のわっくんとの対比で、とっても「天使」に見えました

ただその「天使」というのが曲者で(爆)、善悪併せ持つ存在というのが、ブラック属性も垣間見えるという意味で、さやかさんの役らしいなぁと思いましたです(爆)。

女性陣はそれぞれキャラ全く被らず流石な陣容で、ある意味4人が4人ともそれぞれの意味でラスボス感(笑)。
千田さん演じる”女”の明るさに気持ち救われつつ、彼女の”助け”に気づいたころには手遅れだった”男”というのも、実際のところそういうものなのかもしれないな、と感じました。

『モーツァルト!』ではアマデ(才能)の存在に押しつぶされ、レクイエムという重荷の中に壊れていくヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトだけれども・・・今回のこの作品を見ていると、モーツァルトにとって「レクイエム」を書きあげてしまうことは、自己矛盾だったのではないかと感じさせられました。

「天才」が知らず知らずのうちに自分の存在価値としていたもの、それを否定するぐらいであれば、「レクイエム」を未完のままで世を去る事こそ、モーツァルトが大事にした美学だったのではないか、と思えたひとときでした。

公演は2月3日までですが、幸いもう1回見られるので、違った視点から覗けるのが楽しみです。
至高の歌と歌声、そして胸揺さぶられる作品ですので、お時間がありましたら是非。

|

« 『山崎育三郎 LIVE TOUR 2019~I LAND~』 | トップページ | 『天才作曲家~Composer~』(2) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『天才作曲家~Composer~』(1):

« 『山崎育三郎 LIVE TOUR 2019~I LAND~』 | トップページ | 『天才作曲家~Composer~』(2) »