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『レベッカ(3)』

『レベッカ』(3)

2018.12.1(Sat.) 17:00~19:55
シアター1010 1階9列1桁番台(下手側)

再演から8年、この日が2018-2019公演のプレビュー初日です。

もともとシアタークリエオープニングシリーズの作品だっただけに、今回の上演そのものも「シアタークリエオープニング10周年記念シリーズ」のラストを飾るもの。つまり、初演から10年なのですね。

同作としては初のシアター1010(北千住)での公演。
この日のプレビュー公演ではファヴェル役の吉野圭吾さんが休演、アンサンブルの後藤晋彦(くにひこ)さんが代役を務められました。

開演前には演出の山田和也さんから挨拶があり、その旨の報告が。

「今回の公演で吉野さんが休演するということで代役を誰にするか色々考え相談しました。先だって、新橋演舞場の『江戸は燃えているか』で女優さんが休演された時に代役を三谷幸喜さんがされましたけども…(会場から何かを感じた笑いが)…いや、彼は出たがり(同期だそうです)ですが私はそうではないので出ませんよ(笑)…後藤さんにやっていただくことになりました。

この作品はサスペンスですが、別のサスペンスが起きるかもしれませんが、温かく見守ってください」

という挨拶に拍手が贈られ、幕が上がりました。

初演、再演とシングルキャストでずっとヒロイン「わたし」を務めてきた大塚千弘さんが初日キャスト。
今回はトリプルキャストとなり、(平野)綾さん、(桜井)玲香さんとの3人で上演されます。

開幕前「緊張する」と語っていらしたちーちゃん。
実際、走り出しは少し緊張した感じもありましたが、もともと「わたし」が使用人の立場から、マキシムに見初められ新たな妻として走り出す期間は、「わたし」がおどおどしている時でもあるので、シンクロしているようでもあり。実際のところ、8年のブランクを感じさせないピュアな様が素晴らしいです、ちーちゃんの「わたし」。

「わたし」も「マキシム」も、そして屋敷にいる誰もが、何かに不安になっている様な1幕を経て、マキシムへの真の助けになろうと決意していく「わたし」。

初演では「若い女の子が必死に、愛する人のために強くなろうとするさま」がはっきり見えていて、それはちーちゃんが若いゆえの魅力であったわけですが、今回、初演から10年経ち、「愛する人のために女性が強くなるのは当たり前」と語るかのような立ち方が素晴らしくて。

初演当時(2008年)22歳で、祐さんの相手役としてシングルキャストで配役され、役とともに祐さんに寄り添ってきたちーちゃん。マキシムにも、祐さんにも頼り切らずに、でも甘えるところは甘えて、支えてもらえるところは支えてもらってきて、頑張るところは頑張ってきただろうからこその、言葉を越えた説得力が素晴らしくて、理屈を超越した説明不要の「わたし」の存在感に、ただただ感動でした。

初演の頃は、向かってくるダンヴァース夫人に対して真っ直ぐぶつかって泣くことしかできないかのような「わたし」だったのに、再演を経てさらに今回、ダンヴァース夫人、そして背後にいるレベッカに対して「私はマキシムに愛されている新しい妻ですが、何か」と申すような、それでいて過剰な存在感を出さない、その「ちょうどいい塩梅」が、”経験”というもののなせる業なんだなぁと思いました。

セット以外は全般的に演出に大きな変更はなく、音楽面でもそれほどの変更はなかったです(ちなみにシアター1010では、オーケストラピットは舞台上の紗幕の裏という、新たな技を開拓していました)。

この日のトピックは何といってもファヴェル役を急遽演じられた後藤晋彦さん。山田さんのご挨拶にもかかわらず、全く危なげのない演技。吉野さんと比べると少し真面目寄り(吉野さんはいい意味で遊ぶので)ですが、レベッカの秘密に深くかかわる役だけに、たった1日の稽古でここまで仕上げられたことに拍手です。

で、実際のところ後藤さんが抜けた以上、アンサンブルシーンはそれ以外のアンサンブルさんが支えたわけで、その点もカンパニーの総合力に拍手です。

カーテンコールではセンターの祐さんの右隣で、カンパニーみんなの様子を確認するちーちゃんの姿があって、”マキシムのよき妻”であると同時に、”レベッカカンパニーへの内助の功”な様を見られて、感慨深いものがありました。

そして、カーテンコール祐さんご挨拶
「開演前に演出の山田和也さんが話しましたが、心配なかったですね(会場拍手)。後藤君は昨日から今日までの稽古で(会場内驚き)‥え、ご存じなかったですか。

「今日は後藤君の日です!
プロデューサーが『こんな感じなら2~3日でできるね』って言ってて、日本演劇界がこういうスケジュールでやるようになったら後藤君のせいです(笑)」

…といいつつ、「立ち位置が違うよ!」ってご自身と涼風さんの間に後藤さんを押し出す祐さんが素敵でした。

休演された吉野さんも明日、12月2日公演からの復帰が発表されており(事務所公式)、ひとまず一安心となりました。

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