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2018年12月

2018年もお別れ。

年末大晦日恒例の、一年間振り返り企画です。
最終的なカウントは2019年年明けに更新します。
※出演者はフルネームの場合は原則として敬称略です。

●アクセス回数統計(2018年は12月28日まで)
  2018年(平成30年) 87,569回(累計1,165,471)
   2017年(平成29年) 91,787回(累計1,077,902)
  2016年(平成28年) 86,075回(累計 986,115)
  2015年(平成27年) 93,427回(累計 900,040)
  2014年(平成26年) 149,636回(累計 806,613)
  2013年(平成25年) 171,881回(累計 656,977)
  2012年(平成24年) 97,881回(累計 485,096)
  2011年(平成23年) 71,845回(累計 387,215)
  2010年(平成22年) 115,763回(累計 315,370)
  2009年(平成21年) 39,312回(累計 199,607)
  2008年(平成20年) 40,276回(累計 160,295)
  2007年(平成19年) 21,640回
  2006年(平成18年) 30,996回
  2005年(平成17年) 66,481回
 *2007年以前はPCのみ、2008年以降はPC+携帯

 *今年は去年から少しアクセス数が減りました。

 去年に現職場に異動して、今年は仕事がさらに多忙になり、ブログよりtwitterで呟く頻度が多くなったこともあり、ブログの更新回数の減少が影響しているとは思いますが、変わらず拝見いただいてありがたいです。
 なお、月別PV回数は以下の通りです。8月~11月に山が来ているのは明らかにMA効果ですね。

   1月 7,458  7月 5,466
   2月 6,735  8月 9,194
   3月 6,702  9月 8,491
   4月 6,261  10月 9,185
   5月 6,859  11月 8,340
   6月 7,688  12月 5,190(12/28まで)

●日別アクセス数上位
(日付の後は更新日直近の記事)
 1位 3,061回/8月10日(金):『ナイツテイル-騎士物語-』
 2位 1,821回/9月17日(月)
   :『マリー・アントワネット』(4)
 3位  863回/10月10日(水)
   :『マリー・アントワネット』(5)
 4位  821回/7月4日(水)
  :『Takuya IDE with RiRiKA ツーマンライブ・DELIVER』
 5位  766回/1月24日(水):『TENTH』(3)
 6位  675回/2月15日(木):Galaribbon「Another Door」
       &『リトルマーメイド・イン・コンサート』
 7位  674回/8月12日(日)
   :『岡村さやかライブ スキップ6』
   &『東京ディズニーリゾート35周年
   ”Happiest Celebration!” イン・コンサート』(4)
   &『大和田美帆 ミホステSpecial Live』
 8位  653回/6月2日(土):『モーツァルト!』(32)
              & 『ソレイル』(1)
 9位  608回/11月12日(月)
        :『ジャージーボーイズ』(4) 
 10位  603回/10月14日(日)
     :『マリー・アントワネット』(6)
     & 『さらだやんライブ「音の葉*7まいめ」』

  *2年ぶりに3,000アクセス越えがありました(2016年の『寝取られ宗介』以来)。今回も『ナイツテイル』での3,000アクセス越えということで、普段ご覧いただいていない方にご覧いただいたときでないと、中々この数字まで行かないことが分かります。

  2位の『マリーアントワネット』(4)は9月開幕の博多座公演での記事。今回は帝劇での開幕でなく、博多座開幕だったため、注目度が高かったことが窺えます。

●ページビューランキング(2018年up記事)
 1位 5,034PV 『マリー・アントワネット』(4)(9月)
 2位 3,628PV 『ナイツテイル-騎士物語-』 (8月)
 3位  623PV 『東京ディズニーリゾート35周年
    ”Happiest Celebration!” イン・コンサート』
    (1)(4月)
 4位  607PV 『リトルマーメイド・イン・コンサート』
    (2月)
 5位  492PV 『マリーアントワネット』(5)(10月)
 6位  447PV 『マリー・アントワネット』(6)(10月)
 7位  439PV 『ジキル&ハイド』(6)(2月)
 8位  434PV 『ジキル&ハイド』(7)(3月)
 9位  413PV 『ジャージーボーイズ』(3)(9月)
 10位  395PV 『モーツァルト!』(33)(6月)

 次点  389PV 『舞妓はレディ』(3月)

 *2強で10,000近いPVという、驚くほどの寡占度。

 MAは9月博多座での開幕ということで、その時肌で感じた気持ちと、初演との比較への反響が大きかったです。実際のところ初演をはっきりと覚えているわけではないとはいえ、感覚としてのポジティブな印象を受けたことを発信できたことは、本心ホッとしたのを覚えています。
 ナイツテイルは2回見ましたが、一度書いたblogが自分でも「この作品でこれ以上の文章は書けないな」と思って、2回目は書かずにfixしました。目の前の舞台で繰り広げられたものが、その時の自分にぴったりとフィットすると、筆がのる瞬間があるのかなと思います。昔『二都物語』でも同じことを感じた記憶があります。

●ページビューランキング(2016年以前up記事)
 ※400アクセス以上
 1位 1,895PV 『「相棒」3rd Series最終回』
          (2005年3月)
 2位  580PV 『MOZART!』(10)(2005年8月)
 3位  529PV 『新妻聖子クリスマスディナーショー』
          (2017年12月)
 4位  510PV 『オリンピックコンサート2017』
          (2017年6月)
 5位  494PV 『1789~バスティーユの恋人たち~』
          (2016年4月)
 6位  491PV 『モーツァルト!』(31)
          (2014年11月)
 7位  484PV 『レ・ミゼラブル』(22)(2017年5月)
 8位  414PV 『愛と死をみつめて』(2006年3月)

*書いて何年も経ったページが一気にアクセスが入るのは何かきっかけがあるわけですが、それにしても400以上のPVがこれだけあるのも驚きです。

 相棒3rdは高橋惠子さんと高橋由美子さんが母娘を演じた回で、最近は再放送もされない回ですが、そろそろまた見たいですね。

 『MOZART』や『レミゼ』は再演絡みで発掘された記事ですね。私の場合、過去の記事のリンクはあまり張らない(別にポリシーというわけではないのですが)ので、記事のどこから話題に上ったのか興味深いところです。『1789~バスティーユの恋人たち』も同じパターンですね。

●観劇回数で見た2018年
 舞台(イベントを含む)は、
   82作品157回(去年84作品144回)。

 うち舞台作品
   43作品104回(去年32作品78回)。

  それ以外
    39作品53回(去年52作品66回)

 *回数は完全に史上最高回数です(爆)。
  年100回を越えたのは2013年以降6年連続ですが、144回だった昨年を越えてついに150回越えです
  そんなに増やした記憶はないんですが、どこでこんなに増えたんだろう…

  月別は、
 1月(8回)、2月(11回)、3月(15回)、4月(16回)
 5月(8回)、6月(15回)、7月(5回)、8月(9回)
 9月(16回)、10月(19回)、11月(20回)
 12月(15回)
  でした。やはり、9月~12月に山が来ていますね。

●キャスト別よく見ました順(女性編)
※( )内は去年の回数
 1位 綿引さやかさん 30回(18回)
 2位 笹本玲奈さん  14回( 4回)
 3位 岡村さやかさん 13回(18回)
 4位 RiRiKAさん   10回(19回)
 5位 清水彩花さん   9回( 7回)
 6位 青山郁代さん   7回(10回)
 6位 唯月ふうかさん  7回( 6回)
 8位 新妻聖子さん   6回(16回)

 *今年の1位は綿引さやかさん(びびちゃん)。
  多いとは思っていましたが、まさか30回とは…(笑)
  過去振り返っても年間で30回拝見したのは、
  2014年の玲奈ちゃんしか記録にありません。
  2週に1回拝見している計算ですね(笑)

  玲奈ちゃんが舞台復帰でほぼ舞台作品で14回。
  こちらの皆さまはコンスタントに見ている印象です。

●2018年私的ランキング
 <作品部門>

  1位『In This House~最後の夜、最初の朝~』
    (4月、東京芸術劇場シアターイースト)
  演劇の醍醐味、音楽の躍動感に胸掴まれた作品を1位に。
  考えさせる余白を強く残した素敵な作品でした。

   2位『夜、ナク、鳥』
    (2月、吉祥寺シアター)
  ほぼ女性だけの芝居で、日常生活の隙間にある恐怖を
  余すことなく展開した作品を2位に。痺れる芝居でした。

   3位『生きる』
    (10月、赤坂ACTシアター)
  主人公の生きざまと、周囲が心動かされていく様が素敵
  でした。日本的なのに確かにミュージカル、感動です。

   4位『HiGH FIDeLITY』
    (12月、すみだパークスタジオ倉)
  TipTapのワークショップ公演のチャレンジさに感服。
  若い役者さんのエネルギッシュさに感銘を受けました。

   5位『マウストラップ』
    (6月、ウェストエンドスタジオ)
  痺れる芝居という点でこの作品もランクイン。予想通り
  でない裏切られ方も爽快で、演劇の醍醐味でした。

   6位『AWARD』
    (11月、シアター1010)

   7位『ソレイル~太陽の王様~』
    (6月、江戸川橋絵空箱)

   8位『恋に落ちたシェイクスピア』
    (10月~11月、自由劇場ほか)

   9位『野の花』
    (1月、中目黒ウッディシアター)

  10位『ジャージーボーイズ』
    (9月~10月、シアタークリエほか全国公演)

  *6-10位はミュージカル座が2作、東宝が1作、四季が1作と結果としてバランスを取った配置になっています。
 作品としてのエネルギー、他にないメッセージ性、といった印象から選びました。

 <女性キャラクター部門>

   1位『マリー・アントワネット』
    マリー・アントワネット役
     /笹本玲奈さん

 産休からの舞台復帰2作目で堂々の初帝劇タイトルロール。役作りや佇まいが何周りも大きくなり戻ってこられた姿に拍手。

   2位『夜、ナク、鳥』イシイ役
     /高橋由美子さん

 久しぶりに痺れる芝居を引き出していただいたこの役を。松永玲子さんとの極限までのぶつかり合い、凄かったです。

   3位『レベッカ』わたし役
     /大塚千弘さん

 8年前の姿を瓶に詰めたかのような、再演からの華麗な復帰。純粋さはそのまま、威厳とオーラを纏い戻って来られ嬉しいです。

   4位『In This House~最後の夜、最初の朝~』アニー役
     /綿引さやかさん

 迷いながら悩みながら、道を見つけようとする等身大の女性の役がリアルで魅力的でした。

   5位『舞妓はレディ』春子/小春役
     /唯月ふうかさん

 初座長の重責をしっかり務められ、皆に愛される魅力的なヒロインを体現されていた姿に感動です。

   6位『BLKLYN-ブルックリン-』ブルックリン役
     /RiRiKAさん

   7位『ソレイル~太陽の王様~』マリー役
     /清水彩花さん

   8位『七色いんこ』イナコ役
     /岡村さやかさん

   9位『HiGH FIDeLITY』リズ役
     /飯野めぐみさん

  10位『メリー・ポピンズ』ウィニフレッド・バンクス役
     /三森千愛さん

  *6-10位はかなり僅差での5役です。

  自分自身の選択として、10位まで同じ人を2役入れないのを決まりにしているので、それぞれの方のベスト1が入っています。
  また、同じ作品から2人選ばないようにもしているので、清水彩花さんは『HiGH FIDeLITY』のローラ役と迷いましたが、この作品はいいめぐさんのリズ役を選び、そして同じく同作出演の三森さんはメリポピのウィニフレッド役を選びました。

  玲奈ちゃんのジキハイのルーシー、びびちゃんのジャージーのメアリー、岡村さやかさんの『おとなのけんか』のアネットも相当迷いましたが、結果として上記に決めました。

 <男性キャラクター部門>
   1位『マリー・アントワネット』フェルセン伯爵役
    /田代万里生さん

   2位『HiGH FIDeLITY』ロブ役
    /染谷洸太さん

   3位『生きる』役
    /新納慎也さん

   4位『Before After』ベン役
    /多田直人さん

  5位『タイタニック the musical』バレット役
    /藤岡正明さん

  *男性はほぼ迷うことなくすらすらと5役出てきました。
   いずれも”男気”を感じた役が上位に並びました。

 <ライブ・コンサート部門>
   1位『東京ディズニーリゾート35周年
    “Happiest Celebration!”イン・コンサート』
    (4月~、市川市文化会館ほか全国ツアー)

   2位『小南満佑子 First Live』
    (6月、吉祥寺スターパインズカフェ)

   3位『TENTH』
    (1月、シアタークリエ)

   4位『LIVE SPINNER
    (ディズニー&ダディ・ロング・レッグス)』
    (4月、渋谷J'Z BRAT)

   5位『さらだやん「音の葉*7まいめ」』
    (10月、Sound Creek Doppo)

   6位『綿引さやかソロライブ』
    (6月、六本木クラップス)

   7位『みっつの森の音楽会 おだやかな森』
    (10月、北参道ストロボカフェ)

   8位『In Japanese,Please Vol.2』
    (11月、原宿ストロボカフェ)

   9位『新妻聖子ディナーショー』
    (12月、ホテル椿山荘TOKYOほか)

  10位『M's Musical Museum Vol.4』
    (7月、TIAT SKY HALL(羽田))

  *ライブ、コンサートは”ただ曲を並べる”のではなく、どこまで人柄を含めた”自然な流れを作り出せるか”がポイントと感じています。
  手弁当で作るライブは、それだけに”作られる過程”が見えてくるものだと思っていて、ほんわかできるライブは、センターに立つ方の人柄がそうでないとなかなかできないものと感じています。

 <ライブ・コンサート楽曲部門>
   1位『Happy Day Are Here Again/Beautiful』
     (綿引さやかさん/『綿引さやかライブ』)

   2位『All I ask of you/オペラ座の怪人』
     (小南満佑子さん、原田優一さん
      『小南満佑子 First Live
        ~peace begins with music~』)

   3位『流れ星のかなた/マリー・アントワネット』
     (池谷祐子さん、本井亜弥さん
      『親の顔が見てみたいVol.33』)

   4位『Hero/安室奈美恵』
     (RiRiKAさん
      『Takuya IDE with RiRiKA ツーマンライブ
        ・DELIVER』)

   5位『Last Night Of The World/ミス・サイゴン』
     (綿引さやかさん、藤岡正明さん
      『M's musical museum Vol.4』)

   6位『Luck Be A Lady/ガイズ&ドールズ』
   (岡村さやかさん、
    『岡村さやかライブ スキップ6』)

   7位『A Whole New World/アラジン』
     (新妻聖子さん
      『新妻聖子クリスマスディナーショー2018』)

   8位『Get out and stay out/nine to five』
     (綿引さやかさん、『In Japanese,PLEASE』)

   9位『You're the music in me
    /ハイスクール・ミュージカル2』
     (岡村さやかさん、上野聖太さん
      『LIVE SPINNER』)

  10位『Thanks To You』
     (綿引さやかさんほか、
      『東京ディズニーリゾート35周年
     ”Happiest Celebration!” イン・コンサート』)

  *ライブの選曲としては、”すごくあっている”か、”意外性でその方の魅力を引き出していただいた”かを重点に選びました。
  意外性で言うとM1、M8のびびちゃん曲、M9の岡村さやかさん曲でしょうか。

 2018年も1年間お世話になりました。

 先ほども書きましたが、仕事に益々追われる中、劇場やライブハウスでの時間は、心をホッとさせられるかけがえのない時間でした。お知り合いに声を掛けていただくことも増え、ほとんどの場所でどなたかとお話ししているひとときは、心の支えになっています。ありがとうございます。

 心身共に無理をしすぎないよう、楽しめるようにスケジュールをコントロールしていきたいものです。
 来年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

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『HiGH Fidelity』

2018.12.23(Sun.) 13:30~15:30 青盤
 C列1桁番台(下手側)

2018.12.24(Mon.) 13:30~15:30 赤盤
 B列1桁番台(下手側)

2018.12.24(Mon.) 18:30~20:30 青盤
 B列2桁番台(センター)

TipTapワークショップリーディング公演と銘打たれたこの公演。
公演開始前に主宰・演出の上田一豪さんから趣旨についてのご説明。

「普段はオリジナル作品をやっている劇団だけれど、世界には日本には知られていない面白い作品がたくさんある、それを皆さんに紹介することで、みんなで良い作品を作っていって、いずれは他のカンパニーでやってもらえるような機会にしたい」とのこと。

「リーディングと銘打っているのですが、役者の皆さん素晴らしくて、ほとんど(台)本を持っていなくて(役者席から『えー』とブーイングあり(笑))、まぁ私が台本を持ってたらやれないような演出を付けたからですけど(笑)…もし良かったら”良かったよ”と、良くなかったら”良くない!”と声を上げていただければ(笑)」との由。

実際のところ「リーディング」と言ってますが、ほとんどブロードウェイミュージカルそのものでございまして、初っ端からガンガンに攻めまくります。作曲トム・キットは今回の音楽監督・小澤時史氏も大好きとのことで、かつては『Count Down My Life』作曲の時にインスピレーションを受けたということもあるそうで、ブロードウェイミュージカルにしては、TipTap的な過去の作品の様も感じるという、不思議な作品です。

主人公・ロブはこだわりのレコード屋店主。音楽に一家言あるせいか、ビジネス的な才覚は全くなく、ただ好きな音楽に囲まれて生きている。そんな中、付き合っていた彼女・ローラから突然の別れを告げられ、狼狽える彼。なぜローラが自分の元を去ったのか分からないロブは、かつてローラと自分を引き合わせた親友・リズに縋るが、リズは冷たく突き放す。以前付き合った元彼女との関係を忘れられないロブ。過去の彼女トップ5に、どうしてもローラを入れたくないロブ、それはなぜなのか…

そんな(本人にとっては)シリアスなテーマをポップな曲調で見せていくのですが、とにかくエネルギーに満ちた若いカンパニーで、その熱量が心地よいです。今回は青盤と赤盤という2キャスト(レコードがアイテムなので「盤」という表現)で、メインパートを進めるキャストはWキャスト。

青盤のロブは染谷洸太氏。ローラに捨てられるダメっぷりをリアルに見せていますが、それでいて憎めない感じが濃いです。そんなロブに別れを告げる青盤のローラは清水彩花ちゃん。デキる女な彩花ローラが、なぜあそこまでダメさ満開な染谷ロブと付き合っていたのが、序盤ではとっても不思議なぐらい、染谷ロブのダメさオーラが素晴らしいのですが(褒めてます)、ロブが不幸になっていく様と、ローラから笑顔が失われていく様がシンクロしているようで。特に2回目拝見した時の彩花ローラは、最後になって初めて笑顔になっていて。付き合ってきたロブに感じていた違和感を、一度離れて、そしてロブも進歩することで初めて埋めることができたのだろうなと。

ローラが心の隙がある中に入り込んでくる霊能者のイアンは岸さんがシングルキャストで演じてますが、面白さ極大(笑)、反則過ぎる面白さ。

「ローラの素晴らしさは私が一番知っている」と豪語するイアンだけれども、ローラが感じ続けていた違和感は消せなくて。ローラにとってとても大きなショックがあった時、ローラが寄り添ってほしいと感じた人は、”自分のことばかりを考えなくなった、進歩した”ロブだった…そのストーリーが自然に感じられたのは、染谷ロブと彩花ローラの演技の相性あってこそ。

ラストシーン、彩花ローラが染谷ロブにジャンプして飛びつく様にびっくり。ローラが求めていたのは、”自分のことをきちんと思ってくれる”ロブだったんだなぁ、という様が感じられて感動的でした。

そして、ローラにも増して素晴らしいのが、2人の引き合わせ役、リズの飯野めぐみさん。この作品に登場する女性はもれなくカッコイイのですが、これほどまでに漢前で親友思いな様が素晴らしいです。

青盤はロブ&ローラのペアからして、演技方面の要素が強かった気がします。

赤盤のロブは神田恭兵氏。染谷氏のロブが「ダメだからローラに振られた」方向性に比べ、「ローラに振られたからダメになった」感じの雰囲気を感じます。赤組ローラは実は私は初見な谷口あかりさん。今までチャンスがなく一度も拝見できていなかったのですが、とっても素敵な佇まい。ダメな男性に対して、それを見抜いた上で動かす様が巧みで、劇中のカッコいいローラのシーンの躍動感に度肝を抜かれました。

赤盤は歌方面の要素が強かった感じです。

メインの中で岸さんとともにシングルキャストだったのが、ロブのDIVA的なポジションになるマリーで、三森千愛さんが演じられていました。ロブの心の淋しさを埋めた存在で、自身も彼と別れて淋しさを感じた中で出会った相手…という位置で、ロブによって接し方が違っていたのが印象的。突き放すと本当に壊れそうな染谷ロブには慎重に優しく接していたように見えて、対して神田ロブには突き放しても大丈夫と思っていそうな接し方に見えてみたり、興味深かったです。

・・・・・

ロブの人物像で初見で思ったのが、今回の演出家である上田さんになんだか印象が被ったこと(爆)。

もちろん氏を作品を通してでしか知りませんが、作品作りに対するポリシーの貫き通し方とかは、ある意味ワンマンでないと進まない部分があると思っていて。

特に”やりたい作品”をやろうとするにはエゴがないと進まないと思うわけですが、きっといつでもそれでは通らなくて。

劇中、リズはロブに言うわけです。

「あなたは全てを自分の物語で語ろうとする。でもどのステージでも自分が主役な訳じゃない。この出来事についてはローラの物語である」と。

それに対してロブは答えて曰く
「自分の物語を貫いて何が悪い、そうじゃないと自分が生きている意味がない」と。

Tiptap作品の中で「Life3部作」と言われる作品群がありますが、その3作目である『Play A Life』のテーマが”自分の人生は自分で作っていくしかない”で。

ただ、”だからといって自分の人生を自分だけで作っていけるわけではない”、”ましてや自分の人生のために他人の人生まで自分に従わせていいわけじゃない”ということをアンサー的に言っているように、この作品は思えて。

今回の作品の中で、ローラは「これからもロブと付き合って行って良いのか」という迷いに対して、何か答えを持ってロブと離れたようには見えなくて。

ふと口を突いて出たロブの言葉に持った傲慢さから出た、ローラの中に浮かんだ違和感。

その違和感の正体を見極めるために一旦別れてお互いを見つめ直して見た時に、ロブも変われたし、ローラも変われたし、だからこそ2人は最高の相手としてこれからを歩みだせるようになった、そう思えたのでした。

・・・・

躍動感あふれる作品の後押しを受けて、出演者みんなが笑顔で前を向く姿が素晴らしくて、役によって大きく成長していくキャストの皆さんの姿を見られることが何より嬉しくて。

ワークショップ公演と銘打ったこの作品のパワーが、この後も受け継がれていくことを願ってやみません。
素晴らしい企画でした。

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『Before After』(12)

2018.12.22(Sat.) 18:30~20:50
 宮島・中村ペア(最前列下手側)

10ヶ月ぶりの再演、『Before After』今年3ペア目です。

作品初演は2014年11月で、私は2015年8月公演(吉祥寺)の内藤大希さんベン&岡村さやかさんエイミーで拝見して以来、ほぼすべてのペアを見ており、この日もマチネ観劇を終え、いそいそと吉祥寺へ。

同作の上演は今回10回目(北千住1回、吉祥寺5回、日暮里1回、中目黒2回)。
歴代のキャストはベンが18人、エイミーが15人、ペアは19ペア。
そのうちベン15人、エイミー13人、14ペア見ています。ずいぶん見てますね(笑)。

ちなみに見ていない5ペアには、レジェンドの初演ペアの染谷ベン&田宮エイミーが含まれています。
染谷氏、ベンとしてびびちゃん(綿引さやかさん)エイミーとのペア(2015年)で拝見、田宮さま(この日客席からご観劇されていました)は寺元ベン(2016年)と法月ベン(2017年)で拝見しています。

ご贔屓さんが出ていなくても見たくなる、それは作品の力あってこそ。
もちろん、大好きな作品世界の中で大好きな役者さんを見たいというのも本心ではあるのですが、自分が普段知ることのできないキャストの魅力をこの作品を通して見られるというのも、毎回の楽しみなのです。

今回のベンは宮島朋宏さん。ヒコプロさんに出られていて名前だけは聞いていたのですが実は初見。
そしてエイミーの中村美貴さんも、ピーターパン経験者ですからお名前は存じ上げていますが、意識して拝見するのは今回が初めて(レミゼのアンサンブルさんで拝見はしているはずですが)。

作品の中で「エイミーはまだ28だから」な歌詞があって、中村さんを当初お若いと思い込んでいたんですが、実はけっこうベテランな女優さんで(今年35歳)。逆に言うと、若くフレッシュに見えたエイミーとも言えて。歴代のエイミーキャストでは華花さんが印象が似ていましたが、アングルによってはびびちゃんもかなり似てました。キャラクター的にはしっかり者な、はきはきとした印象があって、宮島ベンのどこに惹かれたかがちょっと薄かったように思えました。いわゆる「一人で生きていけるわ」系(爆)で、タイプ的にはRiRiKAさんや、やんさん(池谷祐子さん)が似ていたかも。

宮島ベンはとにかく自由。軽やかに生きているけれども、実はバックボーンがないことを自覚することが怖いように見えて、意識して軽く振る舞っている感じが新鮮。傷つきたくないから軽く接する、かのようなたたずまいが印象的。それ故、エイミーに心を打ち明けられていないと知った時の激しさ、落胆を強く感じました。そういえば背の高さでは歴代ベンでトップかな。見上げる中村エイミーが大変そうなシーンもちらほら。

宮島ベン&中村エイミーペアを見ていて浮かんだのが、「肯定」と「否定」という言葉。

何等のバックボーンを持つことが出来ず、浮かぶように生きてきたベンは、いわば自分の存在意義を「肯定」されずに生きてきた人で、これ以上「否定」されることに傷つかないように、感情を排除して生きることに慣れていて。

エイミーは父の庇護の下、何不自由なく生きてきたように思えるけれど、実際のところ自分自身に自由はなくて、自らの存在を「肯定」されているようでも、実のところ「否定」されてきた女性であって。

そんな、実際のところ自分の存在を「否定」されてきた2人にとっては、実は本当の意味で自分を「肯定」してくれた相手こそが、ベンにとってはエイミーであり、エイミーにとってはベンであったのだと。

ベンが自らの言葉故に自分の前から去り、後悔に沈むエイミーの前に、ベンが再びやってきたとき。
下手側に立つ中村エイミーを背中から拝見できたのですが、身体を小刻みに震わせ、ベンが戻ってきてくれたことへの信じられなさと、どうしたらベンと再び歩き出せるかの不安さを感じさせて。
ベンがエイミーを受け入れてくれると知った時の喜び、それが全身に現れた姿は感動的で、素敵なペアでした。

・・・

キャスト毎に新しいBAの風景が見えてくるこの作品。
歴代キャストもまた見たいけれど、
新キャストでやって欲しいなと思っているエイミーは、

・小南満佑子ちゃん(関西人だからコメディパートお手のもの)
・小林風花ちゃん(芝居勘とっても良い)
・青山郁代ちゃん(やってないのが不思議なくらい)
・唯月ふうかちゃん(まだ若いけれど、その頃になったら)

…実現しないかなぁ。

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『新妻聖子クリスマスディナーショー2018』

2018.12.18(Tue.) 19:00~21:30
ホテル椿山荘TOKYO・バンケット棟5F グランドホール椿

1年ぶりの新妻聖子さんディナーショー、東京は再びホテル椿山荘TOKYOでの開催です。
前半1時間30分(20時30分)までがディナータイムということでしたが、ショータイムの初っ端MCでの、

「私も別室でお客様と同じメニューをいただきました。
 『お客様の視点に立って』が新妻聖子のモットーでございますので」

のコメントに「食べたいんですよね…」な反応が客席から伝わる、そんな空間(笑)

1年前の同所では、既に息子さんがお腹におられたということでしたが、その時点では非公表だったため、「これから歌うよー、すんごく大声で歌うよー、出てこないでねー」と思いながら歌ぶっ放してたという話(笑)。この日は息子さんも一緒に来られていたということで、「1年は早いなぁと思って歌ってます」と仰っていました。

さて、セットリストです。
あと1日、23日の名古屋公演を控えていますので、気にされる方は回れ右で!




【本編】
1.ラマンチャの男
2.アヴェマリア
3.天地(あめつち)の声
4.Billie Jean/マイケル・ジャクソン
5.サウンド・オブ・ミュージックメドレー
 5-1.私のお気に入り
 5-2.エーデルワイス
 5-3.サウンド・オブ・ミュージック
6.A Whole New World/アラジン(デュエット)
7.夢やぶれて/レ・ミゼラブル
8.糸/中島みゆき
9.私だけに/エリザベート

【アンコール】
10.Time To Say Goodbye/サラ・ブライトマン

M4以外は聞いたことがある曲ということで、全体的には保守的な選曲。
とはいえ、「先日のFNS歌謡祭でミュージカル特集ということで歌わせていただいた曲ですが」の前振りにテンション上がる客席、そしてそのM9をテレビ通りに高音上げるものすごさ。原曲通りのキーだそうですが、生で聞けてさらにテンション上がりました。

今年の客席練り歩き曲は、M5「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー。
去年はクリスマスソングメドレーでしたが、去年同様、練り歩きは外周のみ。500人越えの会場だけに、センターラインも練り歩いてほしかったなぁ(実際のところ、去年と同様、席は内側だったので)。

今回、ディナーショーとはいえど、ぴあとイープラスでの取り扱いもあり、500人越え(つまり50テーブル越え)、いつも会うメンバーだけでなく、「ディナーショーだから来られている」という方もかなりお見受けして、いくつもある椿山荘クリスマスディナーショーの中から選んでいただくのはありがたいこと。

それもあってか、MCで印象的だった言葉が、聖子さんからの、足を運んでくださったことへの感謝の言葉。
「皆さまが時間を作ってくださって、都合を付けてくださってきてくださるからこそ、歌を歌わせていただけている」という感謝の気持ちを何度も口にされていて。

立場が色々変わり、ディナーショーを出来る立場になっても変わらない、姫の”真ん中”な気持ちなのだろうなぁと、ホッとさせられたのでした。

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『レベッカ(3)』

『レベッカ』(3)

2018.12.1(Sat.) 17:00~19:55
シアター1010 1階9列1桁番台(下手側)

再演から8年、この日が2018-2019公演のプレビュー初日です。

もともとシアタークリエオープニングシリーズの作品だっただけに、今回の上演そのものも「シアタークリエオープニング10周年記念シリーズ」のラストを飾るもの。つまり、初演から10年なのですね。

同作としては初のシアター1010(北千住)での公演。
この日のプレビュー公演ではファヴェル役の吉野圭吾さんが休演、アンサンブルの後藤晋彦(くにひこ)さんが代役を務められました。

開演前には演出の山田和也さんから挨拶があり、その旨の報告が。

「今回の公演で吉野さんが休演するということで代役を誰にするか色々考え相談しました。先だって、新橋演舞場の『江戸は燃えているか』で女優さんが休演された時に代役を三谷幸喜さんがされましたけども…(会場から何かを感じた笑いが)…いや、彼は出たがり(同期だそうです)ですが私はそうではないので出ませんよ(笑)…後藤さんにやっていただくことになりました。

この作品はサスペンスですが、別のサスペンスが起きるかもしれませんが、温かく見守ってください」

という挨拶に拍手が贈られ、幕が上がりました。

初演、再演とシングルキャストでずっとヒロイン「わたし」を務めてきた大塚千弘さんが初日キャスト。
今回はトリプルキャストとなり、(平野)綾さん、(桜井)玲香さんとの3人で上演されます。

開幕前「緊張する」と語っていらしたちーちゃん。
実際、走り出しは少し緊張した感じもありましたが、もともと「わたし」が使用人の立場から、マキシムに見初められ新たな妻として走り出す期間は、「わたし」がおどおどしている時でもあるので、シンクロしているようでもあり。実際のところ、8年のブランクを感じさせないピュアな様が素晴らしいです、ちーちゃんの「わたし」。

「わたし」も「マキシム」も、そして屋敷にいる誰もが、何かに不安になっている様な1幕を経て、マキシムへの真の助けになろうと決意していく「わたし」。

初演では「若い女の子が必死に、愛する人のために強くなろうとするさま」がはっきり見えていて、それはちーちゃんが若いゆえの魅力であったわけですが、今回、初演から10年経ち、「愛する人のために女性が強くなるのは当たり前」と語るかのような立ち方が素晴らしくて。

初演当時(2008年)22歳で、祐さんの相手役としてシングルキャストで配役され、役とともに祐さんに寄り添ってきたちーちゃん。マキシムにも、祐さんにも頼り切らずに、でも甘えるところは甘えて、支えてもらえるところは支えてもらってきて、頑張るところは頑張ってきただろうからこその、言葉を越えた説得力が素晴らしくて、理屈を超越した説明不要の「わたし」の存在感に、ただただ感動でした。

初演の頃は、向かってくるダンヴァース夫人に対して真っ直ぐぶつかって泣くことしかできないかのような「わたし」だったのに、再演を経てさらに今回、ダンヴァース夫人、そして背後にいるレベッカに対して「私はマキシムに愛されている新しい妻ですが、何か」と申すような、それでいて過剰な存在感を出さない、その「ちょうどいい塩梅」が、”経験”というもののなせる業なんだなぁと思いました。

セット以外は全般的に演出に大きな変更はなく、音楽面でもそれほどの変更はなかったです(ちなみにシアター1010では、オーケストラピットは舞台上の紗幕の裏という、新たな技を開拓していました)。

この日のトピックは何といってもファヴェル役を急遽演じられた後藤晋彦さん。山田さんのご挨拶にもかかわらず、全く危なげのない演技。吉野さんと比べると少し真面目寄り(吉野さんはいい意味で遊ぶので)ですが、レベッカの秘密に深くかかわる役だけに、たった1日の稽古でここまで仕上げられたことに拍手です。

で、実際のところ後藤さんが抜けた以上、アンサンブルシーンはそれ以外のアンサンブルさんが支えたわけで、その点もカンパニーの総合力に拍手です。

カーテンコールではセンターの祐さんの右隣で、カンパニーみんなの様子を確認するちーちゃんの姿があって、”マキシムのよき妻”であると同時に、”レベッカカンパニーへの内助の功”な様を見られて、感慨深いものがありました。

そして、カーテンコール祐さんご挨拶
「開演前に演出の山田和也さんが話しましたが、心配なかったですね(会場拍手)。後藤君は昨日から今日までの稽古で(会場内驚き)‥え、ご存じなかったですか。

「今日は後藤君の日です!
プロデューサーが『こんな感じなら2~3日でできるね』って言ってて、日本演劇界がこういうスケジュールでやるようになったら後藤君のせいです(笑)」

…といいつつ、「立ち位置が違うよ!」ってご自身と涼風さんの間に後藤さんを押し出す祐さんが素敵でした。

休演された吉野さんも明日、12月2日公演からの復帰が発表されており(事務所公式)、ひとまず一安心となりました。

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『おとなのけんか』

2018.11.27(Tue.) 19:00~20:45
2018.12.1(Sat.) 13:00~14:45
渋谷・ギャラリールデコ

渋谷駅新南口にほど近いギャラリースペース。以前One On Oneのリスタート公演『左手を探して』で来たことがありますが、改装されてより小劇場らしくなっており、エレベーターがリニューアルされていました。

今作に出演もされているまどかさん主宰の「まどかselection」旗揚げ公演で、女性2人男性2人の4人芝居です。岡村さやかさんが6月に出演されたアガサ・クリスティ原作の『マウストラップ』で、まどかさんと共演されたのがきっかけで今回出演とのこと。

実のところ、初日は仕事が終わらずに20分遅刻。舞台の途中から入る形になったためご迷惑をおかけしてしまいました。当然、舞台上では話が進んでいるわけで、逆算してどんなシーンからここに結びついていくのか、ある意味推理サスペンス的な要素も勝手に楽しんだりして(苦笑)。もちろん、2回目は最初から見られたので、「あぁ、これはこういうことだったのね」にようやく納得できたりしました。

息子同士の「子供の喧嘩」について話し合うために、”被害者”の両親、バロン家(夫:ミッシェル、妻:ベロニカ)に出向いた、”加害者”の両親、ライリー家(夫:アラン、妻:アネット)。

責める側の母親・ベロニカを演じるのがまどかさん、責められる側の母親・アネットを演じるのが岡村さやかさん(Wキャスト)。責める側の父親・ミッシェルが片岡大和さん(Wキャスト)、責められる側の父親:アランを演じるのが大島宇三郎さん。

ライリー家の一人息子・フェルディナンドが、バロン家の長男・ブルーノを棒でつつき、歯を2本折った、ということでの、親同士の話し合いが持たれたというのが導入部。

当初は主にベロニカのまどかさんが、アネットの(岡村)さやかさんを責める構図で、アネットさやかさんが丁重にお詫びしながら合わせていくのですが、途中からその丁寧さにベロニカなまどかさんがイライラし出すあたりから、物語は動いていきます。話し合いをしている途中にかかってきた携帯電話の対応を止めない弁護士のアラン、娘が大事にしていたハムスターを前日に殺めたことを暴露され、アネットにまで責められるミッシェル。

弁護士という職業柄、あえて気に障るような用語を入れてくるベロニカ(職業は作家)の一言一句にいら立ったり、気が強いベロニカの前では、地味な仕事(自称)をしているミッシェルの立場がなかったり、夫で弁護士であるアランには、家のことをすべて任されているアネットにしてみれば、「外で起きていることにしか関心がない」、つまり「中で起きていることには関心がない」と夫を責めているような状態。

元々が息子同士のいさかいが原因とはいえ、集まった4人が4人、いずれも余裕がなく、ささいなことにいら立つ分、誰かが絶対的に勝者ではない状態で、攻守が頻繁に切り替わる様が面白い。主軸はベロニカなまどかさんとアネットのさやかさんですが、ここがまるで勝負事の様に頻繁に有利不利が入れ替わるんですね。たぶん、観ている側からは「今はこっちが有利」「今度はこっちが有利」とかって考えながら見られるのが面白くて。

そこをちょっと掘り下げると、ベロニカはどちらかというと直接的で、まっすぐに攻撃する型なのに対して、アネットはかなり回りくどく巧妙に攻撃する型。なので、アネットの攻撃は後になってじわじわ効いてきて、相手に攻撃が効いたところで、アネットなさやかさんが、とっても黒い顔(満足そうな笑み)をするのがツボ過ぎてですね(笑)。

もう一点言うと、ベロニカは表面上の利益を求めるのに対して、アネットは実利上の利益を求めているように見えました。「私たち夫婦が子供をきちんと教育できなかったことに謝罪します」という(実際はこれはなかった)アネットからの”謝罪”を求めるベロニカを”表面上”と表現するなら、アネットにとって”自らのすべて”である子育てを否定されたかのような言葉に対して、ベロニカが”自らの大切なもの”としている美術本を汚すことで、”実利上”相手にダメージを与えている、そのように見えて。

いわば「おとなのけんか」というのは、体面上の満足と、実利上の利益と、どちらを勝利と判断するかで勝ち負けが変わる、”勝ち負けがはっきりしない戦い”なのかなと思って。

もともとの「こどものけんか」というのは、手を出す分、はっきりとした始まりも終わりもあるんですよね。手を出したことで納得するようなところがある。
「おとなのけんか」は手を出さない分、終わりさえもあいまいになるところがある、そう思えたのでした。

この作品のほぼ最後、全く交わり合わないような4人が、意外な結末を迎えます。ネタバレになってしまいますが楽を迎えたので…

崩れ落ちたアネットに、メガネケースを渡すミッシェル。夫のアランからはそんなことをしてもらったことがなかったかのようなアネットの反応。それを見てアランは、アネットが巻き散らかしたチューリップを拾い集める。いままで中に関心がなかった人なのに。そんな中、バロン家の娘カミールから電話を受けたベロニカは、「ミッシェルが殺めた」ことを庇うように、”本当のことは言わず”、結果夫をかばう。今まで夫をバカにすることしかなかったろうに。

男同士だからわかること、
男同士だからこそ分かり合えないこと。

女同士だからわかること、
女同士だからこそ分かり合えないこと。

夫婦だからわかること、
夫婦間だからこそ分かり合えないこと。

他人だからわかること、
他人同士だからこそ分かり合えないこと。

…全く混じり合うはずのなかった4人、4つの関係が、別の軸で出会うことで少しだけ変わった、そんな結末は、「おとなのけんか」ならではの、「喧嘩したならではの果実」に思えて、とっても意味深いように感じられました。

出演者の皆さん、魅力的でしたが、何より、岡村さやかさん。
エレガントに溢れた、(女性としての)真っ黒な笑顔が素敵でした(笑)。

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