『恋におちたシェイクスピア』
2018.11.8(Thu.) 18:30~21:30
自由劇場 13列10番台(センターブロック)
2018.11.18(Sun.) 13:00~16:00
自由劇場 15列1桁番台(下手側)
劇団四季さんでストレートプレイを拝見するのは初めて。
もともと劇団四季さんは結団当初ストレートプレイで始まったというお話は『ソング&ダンス65』でもお聞きしていましたが、実際にストレートプレイを拝見できる機会がなかなかなくて。
11/6から、ヒロインのヴァイオラ・ド・レセップス役に磯貝レイナさんが登板ということもあり、見に行ってきました。
劇作家であるシェイクスピア(ウィル)と、彼を取り巻く芝居に関わる人々の熱さを見せ、そして彼にとってのミューズ、エネルギー源ともなるヒロイン、ヴァイオラが劇中劇『ロミオとジュリエット』では男装してロミオを演じる(役者名はトマス・ケント)という構造。
ヒロインのヴァイオラは資産家のお嬢様で、芝居好き。貧乏貴族のヴェセックスから結婚を申し込まれ、逃れようのない立場の中、男装してロミオを演じることでウィルとの距離を縮めていき、ウィルとヴァイオラはお互いへの恋におちていく…、そんな導入部。
作品の元敷きは『ロミオとジュリエット』なので、ロミジュリを見ていればある程度、物語の構成は分かります。ロミオを演じる時の男装役、ケントの凛々しさも、お嬢様としての勝気な様も、レイナちゃんのキャラクターはこれでもかというぐらいにぴったり。彼女はレミのコゼットの時もそうでしたが、恋する役どころが一番光る女優さんなので、恋に恋しながら、でも実のところとてもしっかり者なところがとても良いです。
演出側の要望らしくコミカルさを抑えているので、ヴァイオラが資産家の娘ならそうなってもおかしくない、我がままな様には見えないのが良くて、自分の果たすべき役割は分かりはしながらも、許される範囲で自由奔放に振る舞う様がとっても魅力的で、応援せずにいられない、そんな素敵なヒロインでした。
エンディングに向けて、ウィルがどんどんヴァイオラに惹かれていって、全てを自分にささげようとする姿を見て、でもヴァイオラは全く自分の取るべき道に対しての迷いなく、ウィルを導く様が本当に凛々しくて、強くて。
愛しい人(ウィル)の本当の幸せを思うこと、それは彼を縛り付けることではなくて、彼を解き放つこと。
なぜなら、ヴァイオラはウィルのおかげで「自由」になれたから。
自分の未来は結婚相手と共にすることしかなくても、芝居を演じたことで、”心を開放して得た「自由」、「真実の愛」”を感じ取れたことで、ヴァイオラの心の中にウィルがずっと生き続けていけるし、ウィルにとってもヴァイオラが「理想の女性、ミューズ」として生き続け、劇作家としての大切なピースであり続けられるから。
ウィルと本当の妻との関係が冷え続け、ヴァイオラと本当の夫との関係は事実上の政略結婚で、お互い「結婚」というものがかりそめな中、ウィルとヴァイオラの中には確かに「真実の愛」があり続ける、そんなラストがとても素敵でした。
ヒロインのヴァイオラ・ド・レセップスを演じた磯貝レイナちゃん。
思えば2015年10月に四季に入団されてからちょうど3年。
『リトルマーメイド』のアンサンブルキャスト(アリエルのお姉さま、次女・アンドリーナ役)はじめ、いくつかの役を演じられてきましたが、プリンシパルキャストは初めて。
しっかりとした芝居心で堂々とした姿を拝見できたのがとても嬉しく、今度はミュージカルでのプリンシパルキャストでも見てみたいと思わされました。
東京公演は今月25日まで、その後福岡・キャナルシティ劇場が12月から1月、年越し公演となります。
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