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『ジャージーボーイズ』(4)

2018.11.10(Sat.) 13:00~16:30
 神奈川県民ホール 3階4列30番台
  (センターブロック)

2018.11.10(Sat.) 18:00~21:00
 神奈川県民ホール 3階4列1桁番台(下手側)

2018.11.11(Sun.) 13:00~16:45
 神奈川県民ホール 1階3列10番台(下手側)

ジャージーボーイズ再演、終わってしまいました。
クリエで5回、神奈川凱旋公演で3回、計8回の観劇。
その割にはブログを書いていなくて、実は初日の次が楽日、という不思議なジャージーストーリー。

クリエ前楽ぶりに見た神奈川初日が、whiteチームの楽。
初演からの日本オリジナルキャストで、言及はされていないけれども、恐らくこの4人が揃うのは最後であろうことを、舞台上も客席も阿吽の呼吸で感じているからか、物凄い熱気でした。この回は3階4列、といえ実は、最下手と最上手を除いては、この劇場の3階最前列。そしてコンサートホールということもあって音響が抜群。遮るものもなく、クリエではほとんど見えなかった、1幕ラスト前「Dawn」でびびちゃんが2階楽屋からひょっと身体を出して歌ってる姿も見られて嬉しかったり。クリエだと照明がまぶしくて見えなかったんですよね。

土曜夜公演は9月30日夜公演が台風で中止になったことに伴う代替公演で、キャパが違いすぎるため、残席は追加公演として販売されたため、観ることが出来ました。とはいえ、告知が十分だったかはいささか怪しくて、私の周囲でさえ「販売あるの?」という声を聞きましたし、実際に劇場ではそれなりに空席があった(クリエ公演返金分の座席は販売したかどうかわからないので1F中央部は分かりませんが、3Fはそれなりに空いていました)のは残念だったところ。クリエと神奈川ではチケット価格が違うため、差額返金がない代わりに、日付入りのタオルがお詫び品として配られており、カーテンコールで伊礼氏がタオルを広げて上下逆であることをびびちゃん&るんちゃんに指摘され(笑)、最後はspiさんの首に巻き付けて終わる、という面白い光景が見られました(笑)。

日曜公演は2018年大千穐楽で、その名に相応しいblueの楽でした。正直、前日のblue前楽が内容的には腑に落ちないところがあったのに比べると、新生ジャージーボーイズの楽として十二分な完成度を見せていて、カーテンコールで矢崎ボブが胸を張って仰っていたのも納得の素晴らしさ。やっぱり2018年ジャージーボーイズはblueで終わってこそ意味がある、と感じさせられました。

ちなみに、神奈川凱旋公演は全国公演発表後に後追いで発表されましたが、その前の久留米公演のラストもblueでしたので、その基本線に則ったものだったのでしょう。初演からの流れのwhiteと、初演のred、そして再演で新たに登場したblueで次に受け継ぐという意味だったかと。

・・・・

神奈川公演を見ていて一番印象的だったのは、太田ボブが放った「アイディンティティ・クライシス」という台詞。4人のメンバーが集まってはいるものの、まだヒットの端緒を掴めていない場面でプロデューサーから放たれるこの一言。For Seasonsにとって、「前」と「後」を区切るかのようなこの言葉は、「作り手として何を訴えたいか、誰に訴えたいか」が”ない”ことを指摘していて。

つまるところ、それがないグループには存在意義がなくて、それがないグループからヒットが生まれない、ということを暗示しているわけですね。

舞台の冒頭、トミーは「ここ(ニュージャージー)から抜け出すには3つしかない。」と言っていて、その一つに「スターになる」があるわけですが、それはつまり「自分が何物であるか、他の誰でもない自分であること」を確立する必要があるということ。

『ジャージーボーイズ』における4人、For Seasonsは、ニュージャージーから抜け出して”成功”した4人の物語で、それは「他の誰でもない自分」を確立できたからこそのパフォーマーとしての”成功”なのだということを、白青それぞれの今季完成形から感じさせられました。

ただそれはあくまでパフォーマーとしてのことであって、万有引力で引き寄せられるリアルな家族では幸せを掴めなかったフランキーとメアリー。ここのシーンが大楽で一気に変わっててびっくり。

フランシーヌから電話がかかってきたシーンでフランキーが冷静になれず、フランシーヌが電話を切る流れですが、びびちゃんメアリーが「やってくれたわね、パパ」とフランキーを責める、はずのシーンなのにもかかわらず、大楽は感じが違いました。

このシーン、観る側としてはずっと「フランキーは家庭をないがしろにして、メアリーは苦しんでいる」という先入観で見ていましたし、実際に今までのびびちゃんメアリーの演技はそうだったと思うのですが、大楽はフランキーの苦しみに寄り添っているように見えて。

本当の家族にどう向き合っていいのか分からない、そんな不器用なフランキーが、必死の思いでパパとしてフランシーヌと向き合おうとした姿に対して、結果としてこの時は上手くいかなかったかもしれないけれども、その思いは汲んであげるべきだ、からの「やってくれたわね、パパ」に聞こえて、むしろ『パパとして認めた』ように思えて、とても感動しました。

一面的に「メアリーとの悪夢」と他人は言うけれども、フランキーとメアリー、その2人の間の感情は2人にしかわからないわけで、周囲がどうこういう問題でも無くて。

メアリーとしては「自分が他の何物でもない」ことを証明し、「抜け出せるただ一つのキー」であったフランキーに対して、強く自分の思いを伝えられなかったこそ、すれ違ったまま終わったのかとも思いますが、この物語はあくまでFor Seasons4人の「光」に照準を当てた物語なので、それで正解なのではないかと。

大楽のカーテンコールでびびちゃんは「メアリーとして」と言い出されたのに、「家族として寄り添ってほしかった」とは”言わずに”、「For Seasonsの4人が、血が繋がっていないのに本当の家族のようにいる姿を見て、感動した」と仰っていたこと、メアリーとしては、フランキーの、そしてフランキーを含めた4人を影で支えたことこそ「自分が他の何物でない」姿だったのかと感じて。芝居心で『ジャージーボーイズ』とあっきーを支えたびびちゃんに拍手です。

振り返ると、「ジャージーボーイズ」という作品は「優しさ」で包まれていたんだなぁと。
音楽も無意味に先鋭的にはならずに、優しく温かく客席を包み込み、物語でも皆が皆をそれぞれ支え合い、一番大変なあっきーがいちばん周囲に気を配り、だからこそ「あたたかい」空気で最後まで完走されたと思うと、テーマである「愛」とのシンクロが印象的。

ただ、フランキーに関して言うと、特定の人に対して「愛」を与えることに不得手だったのかなと。

一番近くて一番遠い存在だったメアリーに特にそれを感じます。フランシーヌとはかろうじて分かり合えた感じですが、ボブとはビジネスパートナーだし、トミーとは再結成で会いはするものの、心を許し合った関係ではないし、ニックとは友人としての壁があったし(とはいえ、ニックが亡くなったことで初めて分かり合えるあたりがフランキーの不器用さの現れですよね)。

歌い手として「不特定多数の”誰か”」に対しては全力で愛を届けられるあたりが、フランキーだなぁと感じます(爆)。

・・・・

カーテンコールはwhite楽で30分、blue楽(大楽)で45分。

いずれも動画が出ているので正確なところはそちらにお任せしますが、white楽のあっきーのご挨拶は本当に素敵で。

要約すると、こんな感じ。

「whiteは初演から同じメンバーで楽しさも苦しみも一緒にやってきて、劇中にある『4人が声を合わせたとき、ただそこにあるのは音楽だけだった。それこそが最高だった』を正に昨日の舞台上で実感したのがwhiteだった。本当に嬉しいです」

「この場を最高の場にしていただいたのは、カンパニーの皆さん、スタッフの皆さん、初演から見ていただいているお客さま、再演からご覧いただいたお客さま、すべての皆さまのおかげです。そして僕をフランキーヴァリに選んでくれてありがとう(天を見上げて)」

座組は座長の人となりで決まるとよく言いますが、今のあっきーだからこそ、JBがこれだけの盛り上がりとまとまりで上演されていると実感させられるご挨拶でした。

大楽の最初では演出の藤田俊太郎さんが登壇。

「ここにいる15人と(whiteの)3人、その18人をこれからも守っていきたい、そういう演出家でいたい」の言葉に感涙。

JG(ジャージーガールズ)は4人4様。最初から涙声のるんちゃん(びびちゃんが背中さすってましたね)、真面目モードを貫いたまりちゃん、普通に話してたのに最後はとうとう感極まって涙声になっちゃったびびちゃん(男性の掛け声できなくてごめんなさい。修行が足りないです笑)、ひたすら笑いを突き進み、まだ挨拶残ってるのに一本締めやろうとするまりゑちゃん、とそれぞれの個性全開で面白すぎました。

・・・

一通りのご挨拶の後の何度目かのカーテンコール呼び出し。

あっきー「爆弾落としていいですか?」

で会場中に走る緊張感といったらない(笑)

あっきーの落とす爆弾の規模が全く読めないからですよね(笑)

からの、CD発売発表!

2500人、今回のJB最大会場が揺れに揺れ、歓声に包まれました。

その場を共有できた幸運に感謝と、キャストの皆さまも仰っていましたが、この作品がこれからも演じ続けていかれる作品になりますよう祈っております。

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