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『In Japanese,PLEASE』

2018.11.24(Sat.) 16:00~17:35
2018.11.24(Sat.) 19:30~21:10
原宿ストロボカフェ

「日本未上演のミュージカルや、未ミュージカル化の曲を紹介する」コンセプトで今年7月に初開催されたライブの2回目。前回の会場は四谷のDoppoでしたが、発売直後に完売の人気ぶり。前回に引き続き、田村良太氏は引き続き。女性ボーカルは前回の千田阿紗子さんから今回は綿引さやかさんに。企画の西村淳さんと3人のライブになります。引き続きな田村氏のことを綿引さん(びびちゃん)は夕方の部は「田村先生」、夜の部は「田村良太大先生」と弄ってました(笑)。

今回のびびちゃんへのお声がけは以前、どうしても歌いたい曲があって、デュエットがしたい、ということでびびちゃんから西村さんをお呼びしたことがあったそう(2011年12月のクリスマスコンサート)で、その時以来のご縁で西村さんからお声がけされたとのこと。

今回は夕方、夜との2回公演ですが、2曲のみ別曲です。

びびちゃん、昼はオレンジのドレスで、夜はピンクのドレス。
特に夜はソロで登場された瞬間、会場中から「可愛いー!」の声が上がる(しかも客席は9割女性)、それも納得な装いでした。

では、セットリストです。

●セットリスト
1.Just Me/Six(綿引)
2.Waving through a window
 /DEAR EVAN HANSEN(田村)
3.Falling Slowly/ONCE(田村・綿引)
4.NeverLand
 /Finding NeverLand(田村)
5.Beyond The Nightmare
 /make me bad(西村)
6.I just can't stop
 /make me bad(西村・綿引)

【夕方(16時)回】
7.You'll be back
 /ハミルトン(田村・西村・綿引)
8.I'd rather be me/mean girls(綿引)

【夜(19時30分)回】
7.Dear Lucy/Circle(田村)
8.Dear Tom/Circle(綿引)

9.The other side
 /The Greatest Showman
 (田村・西村)
10.Get out and stay out
 /nine to five(綿引)
11.only us/DEAR EVAN HANSEN
 (田村・綿引)

【アンコール】
12.Come Alive
 /The Greatest Showman
 (田村・西村・綿引)

曲調としてロックな曲調が多い、とびびちゃんが仰っていたのですが、これは西村さんの好みだそうで(笑)、特段今のNYの方向性がこう、というわけではないそうですが、それでも「クラシカルなミュージカルらしい曲ばかりでなく、所謂ミュージカルらしくない曲もミュージカルに入ってきている」のが最近の傾向ではあるそう。

田村さんとびびちゃんは2013年・2015年のレミゼでマリウスとエポニーヌとして共演した関係(びびちゃんはプリンシパル初、田村さんもミュージカル初、ということで一緒に残って自主練することが多かったそうです)で、その後のネパールライブ(2人と三森千愛さん、杉山有大さんの4人)も一緒だったそうですが、夕方の部ではその時のエピソードをびびちゃんが。

田村さんは大の飛行機嫌いで、福岡さえ新幹線で行くそうなのですが、ネパールに行った帰り、現地でご一緒したお医者様方が心配されて、軽い睡眠導入剤をいただいたのだそう。で、機上ですぐ飲めばよかったのに、遅れて飲んだものだから効き始めたのが帰国後、飛行機降りてから。他のメンバーが帰国でハイテンションになっているのに、一人で帰れるのか周囲が心配になるほど。
その時、財布を落として「普通だったら取りに帰るはずなのに」(びびちゃん談)、「なぜか家に帰ったら(財布がある)と思ってたんで帰ろうとしちゃった」(田村さん談)という話が(笑)

…な、天然な田村さんに対して、びびちゃんも天然で対決(対決じゃない笑)

びびちゃん「みなさん、今日『原宿』ストロボカフェにまっすぐ来れました?」

会場「(笑)」←何かを察する

びびちゃん「私は『北参道』ストロボカフェに行きました(笑)」

 「着いたら既に音楽流れてて、まずいっ!と思ってドアを勢いよく開けたら、アイドルの方がライブしていらして(爆)[注:13時30分開演]、そっとドアを閉めまして、そして皆さんに『どこにいるんですかー』って連絡したら『原宿だよ』と(笑)」

夜の部では「私は原宿にちゃんと来ました」とわざわざ言ってびびちゃんを絶句(「そこわざわざまたツッコむかー」的な表情に)させた田村先生がいらっしゃいました(爆)

とにかく田村&綿引ペアのMCの”噛み合わなさ”と来たら天才的で、そこが面白すぎるわけですが、夜の部のMCで印象的だったのは「ラブレター/手紙」についての話。

びびちゃんからの「ラブレター書いたことあります?」という中々な剛速球で始まったMCパート。
田村くんも書いたことないそうで、西村さんも書いたことがないそう。西村さん曰く「言葉で誤解されかねないものは書かないことにしていて、直接話すようにしている」と仰っていてなるほど、でしたが、

びびちゃん「手紙って直筆で書いていただいているので、
  書いていただいている方の思いが伝わりますよね。
  筆圧とかで気持ちが伝わって。
田村さん「(手紙の)この”文字の詰めて書いてるさま”
  にどんな意味があるのかなとか
(会場内大笑)」
びびちゃん「(返しに茫然)いやいや女性の皆さま
  どう思いますかこの返し
(大笑)」
田村さん「絵文字これ使ってるのどうしてなんだろう?
  とか思うじゃない」
びびちゃん「絵文字はそれはそうですけど(苦笑)」

…いやはや、田村氏の「そこかぁ!」な鈍感力はまさにマリウスで、びびちゃんの「伝わらないなー」的な反応はエポニーヌ以外の何物でもない、と納得させられるものがありました(笑)

今回、日本初上陸の曲が多数ということで、特にびびちゃんが歌った曲はびびちゃん的にはほとんど聞いたことのない曲調が多く、新鮮です。そもそもM1をびびちゃんソロで始めること自体が(ソロコンサート以外では)ほとんどなく、ポジティブさ溢れる、歌詞にもある「いかにもなNY」での前向きさが素敵。

M1に関してはNY滞在時のエピソードを夕方の部で話されていて、「観光で行くなら気にせず楽しめる街だけど、いざ目的を持って(NYに)いると、自分以上にエネルギッシュで志がある人たちのパワーの前に委縮してしまって、その”時の流れの早さ”に孤独を感じた」と仰っていたのが印象的。

曲調ではびびちゃんのソロとしてはあまりお目にかからない、M10のようなロック風のハイテンションな曲だったり(ちなみに歌詞は「元カレなんて構いやしない、私は私の道を行くのよ」的な曲なので、なおさら、いつもは選ばれようがない笑)、こういう機会でもないと聞けない曲がたくさんでとても嬉しい。

M5の西村さんソロからの流れのM5&M6のデュエットも面白い。西村さん演じる役が連続殺人犯で、びびちゃん演じる女性が住む街にやってくる、彼女はその街で虐げられて生きてきたが、彼になぜか心惹かれてしまう、なストーリーと曲構成も新鮮。夕方の部のM8も「スクールカーストの下位にいる女の子が、一念発起、自分に目覚める」シチュエーションと、そのエネルギッシュな様を拝見できたことは新鮮です。
(受けるイメージは『Wicked』の「Defying Gravity」)

びびちゃんは元々、曲の求める世界観や役柄から歌を作り上げるタイプの方だと思うので、そこをある意味省略して歌われることになった今回の経験は、ハードルが高かったとは思いますが、ある意味「いつもはないアプローチから生まれる新たな世界」だったように見えて、そう取り組まれた体験はとても有意義に思いましたし、その様を拝見できたことはとても嬉しく思いました。

そして、得意な分野は流石のお2人。とりわけ夜の部のM7とM8、手紙をお互いやり取りして結果的に両思いになる詞だったのですが、相手からの手紙の言葉の中に自分の心が動かされ、心惹かれていく様を丁寧に演じて(歌って、というより本当に「演じて」)おられて、さすが役者さんだと思うことしきりです。
MCではあれほどまでにすれ違い(もしくは正面衝突)しているのに、歌や演技ではここまで噛み合うのが不思議でなりません(爆)。

M11のデュエットも素敵でした。心がだんだん通じ合っていく、ストーリー性のある曲だけに歌声以上の何かがそこにあるんですよね。それが何より田村&綿引ペアの魅力。曲と作品の中で光るペアだけに、曲を単独で持ってくる今回の企画には中々ハードルが高かったのかもしれない、と思いはしましたが、チャレンジという側面も含めて2人のペアで今回の曲群を聞けたのが、何より至福な時間でした。

MCで話をされていた中で興味深かったのが、今回全曲訳詞をされた西村さんへの「訳詞はどうやるか」の話で、「人により千差万別ですが」と前置きされたうえで氏のやり方をお話しされていました。

「まず原曲を聞いて大意をつかむ、子音や母音の構成を見て、日本語にしても同じような構成になるように組む。だから原曲と言っていることの順番が変わったりするのが自分の特徴。ただ、ライブと舞台だと同じ訳詞にはならないことがあって、ライブだと1曲で成立するようにしなければならないけど、舞台だと演出家の方と方向性を合わせなければならなかったりするので、結果別の歌詞になったりする」とのこと。

以前は時間をかけて訳詞されていたそうですが、今だと15曲1作で10日間で初稿(ちなみに『Last Five Years』だったそうです)ということもあり、早ければ1曲1時間とかもあるのだそうです(会場内驚愕の声)。

そしてMCでもう一つ印象的だったこと。
夕方の部でびびちゃんが韓国の小劇場街の話をされていて、「(韓国では)5つとか6つとかの小劇場が軒を連ねていて、映画を観るような気軽さで舞台が見られる。そんな場所が日本でも、日比谷のようなおしゃれな街にできるといいな」と仰っていたのがとても素敵で。

今回は曲単独のライブではありましたが、実際に今回のようなオフブロードウェイの曲が作品として、もっと多くの劇場で気軽に楽しめる空間ができることを願って、そして舞台好きとしてそういったことを実現できるよう”草の根”から広げていければ…そう感じられた刺激的なひとときでした。

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