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『生きる』

2018.10.14(Sun.) 12:30~15:10
2018.10.19(Fri.) 13:00~16:50
赤坂ACTシアター
(14日はK列30番台<上手側>、19日はG列20番台<センターブロック>)

タイトルを最初見たときに「えっ」と驚いた作品。もちろん黒澤監督の作品としては有名ですが、それをミュージカルにすることと、タイトルをそのままにしたことに驚き。

開幕してみると、「思ったより暗くない」という上々の評判の中、劇場としては立地・内部ともにあまり得意ではない赤坂ACTシアターへ(青年館同様、導線が苦手で)。

今回、主演の渡辺勘治役は市村さんと鹿賀さんのWキャスト。この他ストーリーテラーを兼ねる小説家役もWで、市村さんに小西さん、鹿賀さんに新納さん。

そしてこの次が衝撃のWキャストで、唯月ふうかちゃんとMay'nさんがWですが、何と市村さん回か鹿賀さん回かで役が違う、2役のWキャスト。つまり2人のファンだと回数が多くなるという何という鬼(笑)。

市村さん回はふうかちゃんが市村さん息子(市原隼人さんが演じます)の若奥様・一枝(かずえ)、May'nさんが元部下のとよ役。鹿賀さん回は逆で、May'nさんが一枝役、ふうかちゃんがとよ役です。

定年間近の市民課長・渡辺勘治が胃がんを(実質的に)宣告され、残されたわずかな時で何を残すかに苦悩する中、大きく彼を動かすのが元自身の部下で、役所に嫌気がさして辞めた、とよ。市村さん回ではMay'nさん、鹿賀さん回ではふうかちゃんが演じています。ふうかちゃんがこの日のアフタートークで話されていましたが「とにかく太陽のような子」。

とよはふうかちゃんの方がしっくりきて、まっすぐな様がとても魅力的で、勘治が惹かれるのもわかります。とよは勘治と心理的に近い役なので、市村さんとふうかちゃんは父娘経験がある(『屋根の上のヴァイオリン弾き』の三女・チャヴァ役)ので避けたのかなと邪推します。

翻ってMay'nさんのとよも振り回し方がなかなか良くて、市村さんとのバランス良。

逆に一枝役の方が役としては難しいのかな。ふうかちゃんは若奥様ぽさが良かったけど、少しく我が儘になりきれない上品さがあって。そこはMay'nさんの方がしっくりきます。

2人は服装のカラーがあって、とよはオレンジで一枝は赤(ワインレッド)。カーテンコールの場所も違って、とよは小説家の向かって右(上手)、一枝は勘治の息子の向かって左(下手)。

ふうかちゃんとMay'nさん、舞台終わりでハイタッチして「役チェンジ!」ってやってるそうです(アフタートーク談)。可愛いですな(笑)

とよからの「何か作ってみたら」という問いかけに自分の思い出を思い返して公園を作ろうと動き出す勘治。息子に病気のことを明かせば自由に動けなくなる…。

ストーリーテラー役の小説家は物語を進める役でもありますが、勘治のことを後から小説形で語るという枠組みになっていて、アフタートークでの新納さん曰く「勘治と直接関わっている頃より、小説家として小説で描いているときの方が成長している、そうなるように演じている」とのこと。ここは映画版と大きく違うところだそうです。

高度成長期の役所という、前例にがちがちに縛られた世界で自分を出さずに生きてきた勘治の唯一の「夢」という物語ゆえか、男性客が凄く多いのがこの作品の特徴。

実際に組織で働いていると「サラリーマンあるある」だらけなので(笑)、実際に市村さん、鹿賀さんの熱量に、物語の進行に涙することも何度も。それでいて最後は胸が温かくなる素敵な作品。

最初にも書きましたがこの題材を「生きる」という原題のままにした意気込みにも感服しますし、個人的には亜門さんの演出って奇をてらう印象があったのに対して、今作はそういった面も弱く、とても感動しました。

・・

この日はアフタートーク。

司会がプロデューサーの梶山さん。以前どこかでも拝見しているかもしれないのですが、進行力抜群で、キャストも作品も客席も置いていかない進行がすばらしいです。

May'nさん、ふうかちゃんの受け答えが素晴らしくて、笑いのオチに新納さんを使いすぎなきらいはありましたが(笑)、まぁ新納さんのことですから役割を察知して盛り上げに回るわけです、流石。

特にふうかちゃんの受け答えに関しては、新納さんは「完璧ですね。ホリプロさんいい教育されていますね(笑)」とまで申されていた次第(爆)

ふうかちゃんのコメントから1つ
「カーテンコールで声が上がるのって珍しくて、『アイドルみたい!』って思いました(ニコニコ)
に「かわいー」の感想があがる午後。

May'nさんからのコメントから1つ
「ウォーミングアップで二重縄跳びするんですが、一枝ととよで登場タイミングが違うので、切り上げるタイミングが違います」
「内緒でやってたんですが、新納さんに見つかって(twitterで)拡散されました(笑)」
→新納さん「だってびゅんびゅん音がするから何かと思うじゃん(笑)」

お3方のすきな曲(シーン)

ふうかちゃん→「青空に祈って」。
公園予定地で勘治さんと小説家さんと聞く曲で「鹿賀さんー」ってうるうる。

May'nさん→「あなたの心が見えない」。
市原さん演じる旦那さんを思う曲で、”悪い人にならないで演じないでほしい”という一枝役へのオーダーの中、いろいろ感じながら歌っている曲。

新納さん→「二度目の誕生日」。
1幕ラストの鹿賀さんの姿に(おっさんばかりの)男性楽屋一同感動してる。鹿賀さんに対する愛は僕はもちろん(ラカージュ以来なので10年来)、皆が鹿賀さんを愛してる、そんな稽古場の雰囲気がチームを形作ってきて、それは今の本番のいい雰囲気に繋がっている

…と仰っていました。

新納さんも仰っていましたが、日本発のミュージカルをこの規模の劇場でやれること、そしてお客様の反応がダイレクトに感じ取れることの意味に言及されておられて、その熱さが作品と出演者のみなさんとスタッフさんから心地良く伝わってくる好作です。「暗そう」というイメージにとらわれずぜひお勧めします。

10月25日まで、赤坂ACTシアターにて。

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