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『マリーゴールド』

2018.8.28(Tue.) 19:00~21:25
 ライブビューイング
 TOHOシネマズ日比谷

2018.9.1(Sat.) 18:00~20:25
 サンシャイン劇場 1階22列1桁番台(下手側)

TRUMPシリーズの初見は先日、CS(日テレプラス)で放送された『グランギニョル』。

今回の『マリーゴールド』にも出演しているあゆっち(愛加あゆちゃん)が出ていて、上演(2017年)時も気になっていた作品を見てその独特の空気感が印象的で。

どことなく退廃的で、どことなく一筋縄でいかない感じが深く印象に残っていました。

『マリーゴールド』もすっかりチケットを取り損ねていたのですが、ライブビューイングだけは取っていて、見たらまんまと嵌って(笑)、土曜日の当日券を無事ゲットして、生で見てきました。

この作品、ネタバレ禁のオンパレードなわけですので、この後の東京公演、大阪公演をまっさらでご覧になりたい方は、回れ右でお願いします。




よろしいですね?

では参ります。

物語の中心は壮さん演じるアナベル(作家)と、田村さん演じるガーベラとの母娘の関係と、アナベルとあゆっち演じるエリカとの姉妹の関係、そして吉野さん演じるガーベラの主治医・ヘンルーダとの関係、また東さん演じるアナベルの担当編集・コリウスとの関係をメインにまずは進みます。

一言で言ってしまうと愛憎が関係性ごとにできてしまっている状態で、アナベルを好きなエリカとヘンルーダとコリウス、ガーベラ命なアナベルの関係は両立しなくて。というのも、ガーベラは人間と吸血鬼の間にできた、皆に忌み嫌われる存在であるダンピールであるからで。

愛するゆえに相手を傷つけ、愛するゆえに相手を苦しめていく様は見ていて胸が苦しくなるほど。
ガーベラが産まれたことでアナベル・ヘンルーダとの3人の関係が壊れてしまったことで、ガーベラを恨む、エリカの叫びはとりわけ重くて。

壮さんとあゆっちは宝塚雪組のトップコンビで今回、退団後初共演ですが(在団当時は「えりあゆ」コンビと呼ばれていました)、生でお2人の組む様を拝見するのは初めて。妹のエリカ(あゆっち)が姉のアナベル(壮さん)と思いの丈をぶつけ合うデュエット(M8「時は戻らない」)は凄かった。

宝塚のトップコンビのデュエットは、男役の方に娘役の方が寄り添うデュエットが多いので、娘役あゆっちがご自身も尊敬している男役の壮さんに正面からぶつかっていく様に痺れまくりました。

姉妹は両親をすでに亡くしているので、アナベルもエリカのことを大事な妹と思っているけれど、アナベルとしてはガーベラを守ることを第一に考えざるを得ない、その抱え込む様が好対照。アナベルがガーベラを守るために、ただひたすらに孤独を選ぶ様が心に残ります。

この物語でひとつの大きなキーワードが「孤独」
アナベルも孤独だし、エリカもヘンルーダもコリウスも、そしてもちろんもっともガーベラが孤独。

その上、物語を大きく動かす存在である「TRUMP」。
この存在そのものが、「永遠の命を持つ、それゆえに孤独な存在」

この「TRUMP」が執拗にガーベラを手元に置こうとする。
あたかも、今まで自ら辿ってきた「永遠」を、これからも辿っていく運命の自分にとって、無二の同志として引き込むかのように。

アナベルにとってガーベラが全てであったと同じく、ガーベラにとってアナベルは全てで。
「TRUMP」がガーベラの心の孤独に入り込み、ガーベラとアナベルとの心のつながりを裂こうとする様は見ていられないほど辛かったです。

ガーベラが自ら”決断”をした様は実は「TRUMP」が望んだ方向ではなくて。ガーベラを愛したアナベルの望んだ方向ですらなくて。
ガーベラが自身の思いをもって決断できたこと、それはアナベルとの関係性あってこそ。それはアナベルにとってもガーベラにとっても、「(ガーベラが)生まれてきて良かった」ことでもあるのでしょう。

それにしてもガーベラを誰よりも愛したアナベルが、望まなかった結論を出したガーベラ。
でも、それが最終的にガーベラの幸せでもあり、アナベルの幸せでもあったという最終結論が面白い。
愛は思いが強いからといって、全てを正しくするものでもないのだなと。

ガーベラにとって自らが生まれてくるべき存在ではなかったと自問する末に、自分を愛してくれようとするエリカをも拒絶しようとする。当初は本心からの愛ではなかったエリカの愛。でもエリカが思い直した思いが伝わったのか、エリカから差し伸べてくれた手を離さないガーベラに救われる思いがしました。それにしてもあゆっち、また命を全うできないのね・・・(王家に続き)。

数え切れないほどの人が亡くなるこの作品ですが、作品全体に流れる空気は、「死がすぐそこにあるからこそ、生きることは誰にも奪われるべきではない権利」。それでも、「大切な人の命が奪われたら、奪った者の命を奪うことにはなんらの躊躇いもない」こととの矛盾は、簡単に答えを出せないことなのかもしれません。

作品の特徴として、もうひとつ感じたのは、”「絵に描いたハッピーエンド」を意識して排除している”ように思えたこと。

表面的な幸せより、内面的な幸せを描こうとしているように感じて。
そんなところが”目が離せない”物語のひとつの要因を構成しているように思われました。

・・・・

キャストさんでは、やはり、えりあゆコンビの絶妙なバランス。実際にも9学年差だった2人が「9歳差」の姉妹設定だったり、エリカなあゆっちがもうひとつの「えりあゆ」になっててみたり、脚本的に意識してやっているんだと思いますが(笑)、退団しても容赦なく高めあえる関係ってとてもいいなと。

ガーベラの田村芽実ちゃんも生では初見ですが、評判に違わぬ存在感で今後に期待大です。

吉野さんのとっても「吉野さんらしくない」役柄も意表を突かれましたが、そういえば某「モラルもルールもまっぴら」な役って意味では「吉野さんらしい」役柄だったのですね(爆)。

いつもと違う空気感を感じられた観劇になって興味深かったです。

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