« 『モーツァルト!』(32) | トップページ | 『ソレイル』(2) »

『ソレイル』(1)

2018.6.1(Fri.) 19:00~20:50
江戸川橋・絵空箱 舞台上手側

IFYプロジェクトミュージカル『ソレイル~太陽の王様~』
3チーム制のこの作品、この日はローズチームの2回目。

「星の王子さま」をモチーフにした3人ミュージカルで、登場人物はマリー(清水彩花ちゃん)、王子さま(かとう唯ちゃん)、飛行士(今村洋一さん)の3人。
飛行士の服装に何だか時代じみたものを感じましたが、その直感は劇中後半部で見事に的中することになったのでした。

物語は3人が沙漠で出会うところから始まります。沙漠に迷い込み、空から流れ落ちる砂を見つめるマリーの様は、どことなくただことでなさそう。他の惑星から来たようでどこかテンションが変な王子さま。そして沙漠に不時着して困る飛行士。

いきなり出会った3人が、戸惑いながらも共通点を見出しながら、少しずつ心が通じ合っていくさまが微笑ましい。漢前でお姉さま担当なマリーは、彩花ちゃんの個性にぴったり。サバサバしていながらも、どことなく足りないピースを探し続けるような感じ。繊細で男の子担当な王子さまは浮世離れした様を感じさせつつ、人懐こさが弟キャラ的にチャーミング。そして飛行士はただひたすらにエネルギッシュでありながら、向こう見ずで少しばかりの危うさを見せたりする。

水のない沙漠で皆で井戸を掘りあてて、願い続けた水を得たことでの団結感は素敵。
強気キャラだけど弱気になったマリーを、王子が励ます瞬間もあったり、その逆もあったり。

・・・以下ネタバレ少し入りますのでご注意ください・・・

・・・

・・・

永遠に続くと思っていた3人の時間が、水を得たことで飛行機の離陸が可能になったことで、終わりを告げることになり、最後の夜を共にする。そのとき夢の中で、発されるマリーの過去の傷が衝撃的。

この作品は「星の王子さま」ということでサン・テグジュペリをモチーフにしていて、有名な「大切なものは目には見えない」というキーワードが王子から発せられます。

てっきり、その方向で物語が紡がれ続けるのかと思ったら実は違って、マリーが持つ過去の傷故に、王子が言うその言葉に対する言葉として「大切なものは見てなければ、見えなければ仕方ない」という言葉が出てきて、とても心に残りました。

突然出てくる「1944年」というキーワード。そして「片道しか積まれていない燃料」。
この日のトークショーでも触れられていましたが、フライヤーの絵に描かれた飛行機は、サン・テグジュペリの飛行機の外観でありながら、色合いは別の意味を加味してミキシングされているということ。

彩花ちゃん演じるマリーの感情の吐露と歌声は、大切な人を求め続けるマリーの旅の果てしなさを象徴するかのようで、それは彩花ちゃんだからこそ出せる強さに思えて、心が震えました。

この日のトークショーでこの作品の作られるきっかけとして、プロデューサー(普段は俳優さん)の大塚(庸介)さんと、演出・構成・作曲の藤倉さんとの出会いの話が『Ordinary Days』だったという話をしていて(ローズチームの飛行士・今村さんもOD出演キャスト)。ふと思ったのが、「大事な人を失った方の思い」ということで2つの作品は繋がっているのかな、と感じました。(ちなみにそのことを質問したら、藤倉さんから「それは考えてなかった、設定がありふれてるってことですね」って言われましたが笑、大塚さんから「こうは言ってますけどむっちゃ喜んでますよ」ってフォローしてもらって嬉しかったです笑)

・・・

「考えるより感じろ」
という体感系ミュージカル、と銘打たれているこの作品。
実は初めてお邪魔した絵空箱は、とってもこじんまりした、でも素敵な空間。

トークショーで今村さんが「至近距離ミュージカル」という新ジャンルだと申されていましたが(笑)、客席との距離がとても近く、その時の空気で物語がまたぐんと変わりそうな作品。
小澤先生のピアノもとっても優しくしなやかで、小劇場ミュージカルの可能性とワクワク感を抱かせてくれる素敵な作品でした。

公演は10日まで。

|

« 『モーツァルト!』(32) | トップページ | 『ソレイル』(2) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/66784458

この記事へのトラックバック一覧です: 『ソレイル』(1):

« 『モーツァルト!』(32) | トップページ | 『ソレイル』(2) »