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『ソレイル』(2)

2018.6.3(Sun.) 12:00~13:15 Orangeチーム
2018.6.3(Sun.) 16:00~17:15 Roseチーム
江戸川橋・絵空箱

3チーム制の当作品、この日は2チーム観劇のマチソワです。
当初は先週金曜日のチケットは入れていなかった(トークショー開催で追加)なので、この日の2回で最初で最後、の予定でした。が、作品の魅力ゆえ、この後に追加もしてしまう次第(笑)

2チームを1日で続けてみて、チームの違いも感じられた今日。

Orangeチームはマリーが白鳥光夏ちゃん、王子が小此木まりちゃん、飛行士が松原剛志さん。
Roseチームはマリーが清水彩花ちゃん、王子がかとう唯ちゃん、飛行士が今村洋一さん。

チーム毎の空気感で言うと、Orangeチームはまりちゃん王子を中心に回っている感じ。
まりちゃんの男の子力がハンパなくて(笑)、どこからどう見ても王子な様が凄い。無邪気だけど、大人の色々を知ってしまって、もやもやとした中に生きている感じが伝わって、その重層的なところが素敵です。

まりちゃんの王子の自由さが、マリーのスワンちゃん(白鳥さん)を翻弄している感じがして。スワンちゃん、今年の『A Class Act』のモナ役で初見なのでついついモナちゃんと呼んでしまうのですが、全く違い役どころでも光っていました。素敵な大人(スワンちゃんマリー)に出逢えた、そんな喜びがまりちゃん王子から伝わってきます。

松原さんは年齢的に上になることもあり、マリーから弟というにはちょっと辛い面もありはしつつ、物語後半で見せる意思の強さが印象的で、むしろマリーからは「弟だけど、精神的には大人」という意味で、マリーが弟に対して憧憬の感情も感じたりする、不思議な関係性でした。

Roseチームは彩花ちゃんマリーを中心に回っている感じ。
彩花ちゃんのお姉さん力がハンパない(笑)。どこからどう見てもお姉さん以外の何者でもない。彩花ちゃんのマリーは茶目っ気も、真摯さも、子供っぽさも、大人っぽさもすべて持っていて、弟から見たら「あんなお姉ちゃんがいたらいいな」を全部持ってる。

そして「大人は嫌い」な王子にとっても、「素敵な大人」の象徴としてマリーを見てる。唯ちゃん王子が彩花ちゃんマリーを見つめる視線は、「憧れの大人」を見るかのよう。今村さん演じる飛行士から彩花ちゃんへも「弟」を意識して若く(ある意味”青く”)見せていたりして。そんなそれぞれの距離が近いのがRoseチームの魅力。

*ちなみに彩花ちゃんマリーの一番好きな台詞は「枯れてるんじゃねーよ(+ぱんち)」です(大笑)

この作品の『ソレイル』のように、魅力を言葉にすることが難しいけど、いい作品で、見てもらいたい作品を、どう文章にするかはいつも迷うところ。初見の驚きは大事にしたいから、核心部分には触れるべきではないと思うし、それでも、この作品のように”完全な正解がない”テーマに対して、その時の自分なりに受け取った感情を記しておくのは意味のあることだと思っていて、表現を工夫しながら書いていたりして、それが楽しかったりもします。何しろ、自分の感想さえ永続じゃないので、後で振り返ったら自分の感想さえ、未来から見ると他人の感想だったりするので。

そんなこんなありつつ、ここからは内容的なネタバレにも入っていきますので、初見の方は回避を推奨しますです。(前回と記載内容が少し被っていますがご容赦くださいませ。)




『ソレイル』を初見で見てから、『星の王子さま』の原作を読んでみました。当たり前ですが『星の王子さま』をモチーフにしただけあって、随所に共通点は出てきます。有名すぎる言葉「大切なものは目には見えない」の後の言葉を意識的に除いているのは、今回の『ソレイル』の作風故なのでしょうね。

金曜日のトークショーの時、藤倉さんが仰っていたのが「タイトルを『ソレイユ』でなく『ソレイル』にしたのは、「尖ったひっかかりみたいなものを大事にしたかったから」と仰っていました。(どちらもフランス語では『太陽』の意)

自分にとっての『ひっかかり』は『星の王子さま』のその「大切なものは目には見えない」の言葉そのものにあって、一言で言ってしまうと、「それを言ったら物語終わっちゃう」ってことなんですよね。そこで思考が止まってしまう。でも、この『ソレイル』で自分が好きなのが、その言葉に対してマリーが反論しているところなんです。

大切なものを探し続けて世界を旅し続けるマリーにとって、大切なものが目に見えないと言われたって納得できない。大切なものは見えていないと意味がない。大切なものを繋ぎとめたくて縫った針は、もう1本縫っていたら、過去は変わっていただろうか…そう自問し続けても答えは得られない、そんなマリーの姿は痛々しくもリアルで。

そのマリーさえ、1人では世界は広げられなくて、ただ歩いてきた先にあった沙漠で一人命の危機を迎えるけれども、沙漠で出会った王子と飛行士との出会いで、自分1人では見つけられない視野の広さを知って、仲間の存在から旅への思いを新たにする。その展開に心救われます。

藤倉さんの音楽はキャッチ―からシリアスまで空気を作り出し、そして演奏の小澤さんもいつもと違う演奏で、「優しい」作品の空気感をアシストされていました。

物語最初と最後に流れる「砂」も印象的。

沙漠と掛けているのでしょうが、砂を受け止めようとするマリーの姿は、「大事なものを掴めないさま」を表現しているかのようで。そして、マリーの手から流れる砂は、「大事なものが手からこぼれ落ちる儚さ」を表現しているかのようで、無表情なマリーを見て、胸に迫るものがありました。

・・・

『星の王子さま』の原作者、サン=テグジュペリは自身も飛行士であり、1944年に飛行中に消息を絶ったことも、2005年に機体が発見されたことも史実(当作中では「何十年も後に発見され」といった形で王子の台詞となっている)なため、『ソレイル』の”飛行士”もそれになぞらえた役と思われますが、マリーと(弟である)飛行士の関係性は『ソレイル』でのオリジナルとして追加されています。マリーにとっての過去、そして「1944年」というキーワードで繋がることで発生されるマリーからの言葉は、時代を越えて凄くて。

これもトークショーで藤倉さんが言われていましたが、ポスターの飛行機、形はサン=テグジュペリのものですが、色は後者の意味が入っているそうです。

後者を説明する単語は最大級のネタバレに属しますのでここでは書きませんが、続きは是非劇場で。
6月9日(土)13時(Roseチーム)のみ完売で、以外は残席ありです(6月3日現在)。

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