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『ソレイル』(3)

2018.6.8(Fri.) 19:00~20:45 argoチーム
2018.6.9(Sat.) 13:00~14:15 roseチーム

江戸川橋・絵空箱

「ソレイル~太陽の王様~」、4回目観劇、そして5回目観劇にしてmy楽を迎えました。

当初は2チーム(rose、orange)で合わせて3回観劇を予定していたのですが、作品の魅力に憑りつかれ、かつ「今まで知らなかった方だけで構成される」argoチームで拝見したらこの作品がどう見えるのか興味が高まり、トークショー回の金曜日を追加して、拝見してきました。

明日が楽ということもあり、ネタバレも含みますので、気にされる方は回れ右でお願いします。



3チームを拝見しての印象の違いを言うなら、
roseチームは「マリーの物語」
orangeチームは「王子の物語」
argoチームは「飛行士の物語」に感じました。

roseチームは、清水彩花ちゃんのお姉さん力が物語のあらゆる部分を引っ張っていて。それでいて1人で生きている感じがしなくて。

roseは劇中では「薔薇の花」でかとう唯ちゃんの王子が囁くように歌う様が印象的ですが、「棘がただ一つの自分を守る術、見た目で判断されるけど実は優しい」と、roseチームメンバーみんなに言い聞かせるかのように歌う様が、強く心に残りました。

劇中「自由人ばかりだな」と飛行士(今村洋一さん)が呟きますが、自身も相当な自由人なわけで、そんな個性の違ったタイプの3人が、彩花ちゃんのマリーを軸にしっかりと団結した様がroseチームの本領だったのかと。

役者は3人ですが登場人物が4人なのがこの物語で、飛行士に向かう軸が実は2つあります。かつて自分の元から去った弟は、彼の生きた意味を求めるべく世界中を旅するマリーにとっての”太陽”。そして、あまたの大人に触れて頭や心がぐちゃぐちゃになった王子にとって、今最も会いたかった飛行士。彼は王子にとっての”太陽”。

マリーにとっての”2人の飛行士”が”過去”と”現在”でしっかりつながっていることが見えたのがroseチーム。戦争中に徴集され自分の前から消えてしまった弟との思い出という”過去”。「あなたは飛ぶのね、死ぬまで」って言葉が凄くリンクして聞こえた。

マリーにとって大切なものは今や目には見えなくて、そんな曖昧な言葉で自分の気持ちは救われようがなくて。だからこそ「大切なものは目には見えない」という言葉に対してはっきりと反抗し、必死に”現在”の飛行士を止めようとする。

マリーの中で”飛行士”の存在が混じり合って、今のマリーの取る行動の説得力をはっきりと見せていたからこそ、「マリーの物語」として見えたのかなと、そう思います。

my楽となったroseチーム前楽(土曜マチネ)の彩花マリーの「砂の聲」はいつもよりずっと抑えて歌われていて、でも、だからこそ強い意思と強い心を感じて、頬から流れ落ちる一筋の涙が、ただただ綺麗でした。ハートだけじゃない、技術だけじゃない、その両方を兼ね備えている今の彩花ちゃんにぴったりの役で拝見できたことが幸せでした。

orangeチームは、小此木まりちゃんの王子力がエネルギー源。「星の王子さま」の原作寄りというか、王子の意向が物語に反映していた感じ。roseチームでは彩花ちゃんのマリーのことを唯ちゃんの王子がリスペクトしてる感じがあったけど、orangeチームは逆にスワンちゃん(白鳥さん)のマリーがまりちゃんの王子をリスぺクトしてる感じ。

劇中で「オレンジ」は「お互いの片割れ」という表現をされています(男性と女性が出逢い”生涯愛する人”のことを指すと言われます)が、orangeチームはたしかに「この3人が出逢った」ことの自然さを感じたかと。個性派が揃って団結して行った(と思われる)roseに比べると、自然に団結して行ったような雰囲気を感じました。

まりちゃんの王子がエネルギー源になったことで、マリーが王子によって変わった様が印象的。自身が自分だけの観点に捉われていたマリーが視野を広げている様が、まりちゃん王子とスワンちゃんマリーの関係に感じました。

「星」に対するこの作品の見せ方も面白くて、意外にこの作品では「星」をネガティブな意味で解しているんですよね。作品後半、王子は飛行士に対して「君は自分の星に帰るんだよね」という言葉をかけるけれども、マリーの叫びと組み合わさると、実は「星=自分が閉じこもる対象」だと言うことが見えてきます。飛行士は飛んでいれば自分の世界で生きていられる。でもそれはある意味逃げでしかない。王子にしても理解できない大人と接するぐらいなら、自分の星にい続ければ、自分の概念だけで生きられる。マリーの言葉の「星が好き、色々な人を星を通じて見られるから」ということでさえ、”マリーが自分の殻に閉じこもっている”象徴に感じて。

スワンちゃんのマリーは彩花ちゃんマリーよりも、試行錯誤の度合いが強くて、生きる様に少し迷いを感じました。彩花ちゃんが悟りまくりだったこともあるのだと思いますが(爆)。

argoチームはイッツフォーリーズの同期3名によるチーム。
チーム名の由来となったアルゴ船からしても、「最初からの信頼関係」で強く結びついているように見えました。もっと若く見えるのかと思ったのですが、意外に落ち着いていて、roseチームの方が若く感じましたし、もっと言うとorangeチームはさらに若く感じたりしました(笑)。

その意味で、物語を丁寧になぞるように見られたことは幸いで、実のところやらかし祭りだったという話でした(もちろん気づいてました笑。)

argoチームの印象は「飛行士の物語」。1人2役にあたる飛行士が物語の中心になって、そこに王子とマリーがぶら下がっていた印象。王子とマリー、それぞれの”太陽”が「飛行士」という存在でリンクした感じで、”太陽”を強く感じました。

「人には水が必要。水がないと生きてはいけない」というのが本編中にありますが、「人には太陽が必要で、太陽がないと生きていけない」ことを強く感じて、argoチームも拝見できて良かったなと思いました。

この日はトークショーということで、僭越ながら質問させていただいたのですが、作品中の好きな台詞のパートで、お3方(大川さん、宮田さん、加藤木さん)が3人とも私の好きなシーンを挙げてくださって嬉しかったです。
(大川さんマリーは「大切なものは目に見えない」の次の言葉、宮田さん王子は「薔薇の歌」、加藤木さん飛行士は飛行士が自分の生き様を再認識するシーン)

金曜日のトークショーは原作・演出の藤倉さんと演奏の小澤さんも出られていたので、音楽的な話も出たのですが、小澤さんに「藤倉さんの曲と小澤さんの曲の共通点は」という質問があり「難しくない曲、分かりやすい曲を作るという共通点はあるかも」な答えがあって納得。

…何となく、特に藤倉さんの場合は歌詞でかなり工夫されることが多いので、曲的には分かりやすくしているのかなと、個人的には感じました。

ちなみに演奏的には藤倉さん曰く「あえて曲のデコレーションを薄くして小澤さんに渡した。そうしたら小澤さんは色んな風にアレンジしてくれて狙い通り。一人ニンマリしています(笑)」のことで、笑っちゃいました。

小澤さんは自身の曲作りについて「(普段はミュージカルを見ない自分の)親が気に入るような曲、を意識している。だからといって親が来ない公演はいっぱいあるし、あえて聞いてはもらわないけど(笑)」と仰っていて、相変わらずのMC小澤さん節で楽しかったです。

期せずして5回観劇になった『ソレイル』。

作品の魅力は「思い」が形になっていたことかと思います。

マリーの弟への思い、王子の飛行士への思い。

そして登場する人物、音楽、すべてが他者への包容力に満ちている。

自分と違うものを拒絶するのではなく、受け入れてお互いを認め合う、そんな温かい空気。

ただふわっと流れていくのではなく、あえて考えさせるように引っ掛かりを作る構成が、「心に残る物語」となっていて、何度拝見しても新鮮に観られたのかなと思います。

小劇場とはいえ2週間という長丁場というチャレンジに拍手を送るとともに、関わられた皆さんのこれからにとってこの作品が素敵な記憶となり素敵な礎となることを願い、そしてまたこの作品が拝見できる日が来ることを待っています。

公演は今日10日まで。12時がargoチーム、16時がroseチームです。

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