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『サイト』

2018.3.11(Sun.) 16:15~18:45
光が丘IMAホール C列10番台(センターブロック)

ミュージカル座さん、再再演のこの作品、この回が千穐楽です。

土曜日の博多マチソワ後、日曜日の朝の便でこの回に間に合うように、羽田から池袋経由で光が丘へ。
羽田から光が丘はかなり不便なので、時間を余裕持ちすぎて身体メンテに行く時間さえありましたので、福岡発をもう少し遅くしても良かったなと思いつつ。

大江戸線光が丘駅からIMAホールのビルに上がるエスカレーター横に、新たにデジタルサイネージが導入されていて、どどんと「サイン」のビジュアルが迫ってきてびっくり。デジタルなので終演後は早速流れなくなっていました。

主人公の女の子が引きこもりで、とあるサイトに「死にたい」という言葉を残したところから物語は始まります。演じるのは元AKBの河西さん。M座さんでは『アイランド』でも拝見しているので今回が2度目になります。そのサイトに集まってくる、多士済々な面々が、とにかく賑やかに盛り上げていきます。とはいえ、サイト上のやり取りという設定なので、サイト上の振る舞いと、リアルな振る舞いが一致するとは限らない、というのが興味深いです。

彼女の呟きに最初に反応した男性・イサムと、女性・ロビンちゃん。この2人が中心的な存在として物語を進めていきます。ロビンちゃんを演じるのは清水彩花ちゃんですが、渋谷のコギャルぶりがなかなか新鮮です(笑)。そしてびっくりするぐらい踊る!(笑)。この作品は結構ダンスシーンが多く、M座さんらしい群衆パワーで押してくる感じではあるのですが、最初の導入部はほぼ彩花ちゃんで持たせてるって感じの進行です。

主人公が心を閉ざす様に対して、ぐいぐいと「生きる楽しさ」を押していくロビンちゃん。彼女の明るすぎる様が、実はラストシーンで生きてくるんですが、何というかネタバレ厳禁なので、書かないでおきますが、まぁズルいとしか言えないですね、この脚本(笑)。

登場人物では同じくレミ女優陣から松原凜子さんがお蝶夫人(ネット上)という、それはそれは突拍子もない存在感。恋のライバルが岡ひろみなのも定番ですね(脚本で時代がばれる。笑)、オペラ系ミュージカル歌唱の凜子さんの歌声がいい意味で役の突拍子のなさとマッチしていて面白かったです。そして彼女の演じる役も、実際には引きこもりの女性。そういえばリアルで出てきた時の人物設定も、それはそれで違和感がなくて噴きだしました。この2役をどっちも違和感なく演じるというのが凜子さんすごい(笑)

そんな様々な登場人物とサイト上で知り合い、「母が嫌い、みんな嫌い」と言っていた少女が、少しずつ変わっていく様を見せていく物語ですが、平成に入ってからの作品(初演は2001年=平成13年)にしては、現代的なテーマであることだけが独立していて、ストーリーの作り方がかなり古い感じがして、少なからず居心地の微妙さを感じはするのが玉に瑕。

ストーリーや音楽的には、『ひめゆり』とシンクロする作品観を感じます。

『ひめゆり』の舞台は戦時中の沖縄で、「生きたいと思って死んでいった少女たち」の物語でしたが、この『サイト』の主人公は「生きられるのに死にたいと思う少女」なわけで、前者と比べると後者の考え方がいかに現代的なものか、考えさせられます。だからといって、後者も当事者にとっては大事な問題であるわけで、そこを単純に教条的に「ちゃんと生きればいいじゃないか」と断じようとしない(できない)ところに、この作品、ひいては現代をテーマにした作品の「生みの苦しみ」があるように思えました。

河西さん演じる少女が、「自分が変われば相手も変わる」と”自分自身から”気づけるようになるまで、無理に押し付けることなく皆が見つめ続け支え続け、「ネット上とリアルが一致しない」ことを完全に逆手に取ったこの作品の後半部のどんでん返しは感動のひと言。改めて申しますが、ズルいと思うぐらいに(笑)。

最後はストーリーのテクニックで感動に持っていった感じはしましたし、テーマとしても面白いものを感じるので、展開や進行がより現代的になれば、また違った層にもアピールできるように思えたのでした。

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