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『舞妓はレディ』

2018.3.10(Sat.) 17:00~20:20
博多座 1階D列10番台(下手側)

博多座制作の初ミュージカル、女優として博多座最年少主演として唯月ふうかさんが主演、ということで博多弾丸ツアー決行です。

前日の金曜日は仕事をお休みして『ジキル&ハイド』(玲奈ちゃん&万里生くんFC合同トークショーつき)を観劇してから、土曜日は朝の飛行機で博多入り。

『リトルマーメイド』を4ヶ月ぶりに観劇、福岡出身の平田愛咲ちゃんのアリスタ(水色お姉さん)の活躍を拝見して、本役では一番好きな若奈まりえアリエルの活躍を最前列から堪能しての博多座入り。

マチソワ間は90分あって余裕かと思っていたのですが、キャナルシティから天神へバスに乗ったら、無停車なのに20分以上という大ブレーキで、ホテルから博多座にタクシーを乗りつけるという、とんでもないことになりました(笑)が、夜に博多在住の知人の皆さんに話したら「(キャナルから天神なら)バスじゃなくて歩かなきゃ」と言われたので、常識なのですね(爆)

ようやく作品の話ですが、この作品はご存知、周防監督の映画の舞台化、というわけですが、実のところ私自身は映画版を見ていないので、舞台版が初見。
「田舎から出てきた娘が、舞妓を目指して奮闘する物語」という最低限の基礎知識だけは持った上での観劇です。

ネタバレが含まれますので、気にされる方は回れ右です!




舞台となる京都の花街「下八軒」の芸妓(湖月わたるさん)と舞妓(蘭乃はなさん)はじめとする皆の踊りを見つめる少女、春子(唯月ふうかちゃん)が「舞妓になりたい」と申し出たところから物語は始まります。

鹿児島弁と津軽弁を駆使する少女・春子の願いを、女将・千春(榊原郁恵さん)誰も本気にしようとしない中、言語学者の京野(平方元基さん)だけはなぜか本気で彼女に取り合って、花街の大物客である社長・北野(辰巳琢郎さん)に「春子を舞妓にできたら今後の払いはすべて社長に、できなかったら自分が出入り禁止に」という約束までする、という導入部。

春子が鹿児島弁と津軽弁のちゃんぽんというのは、後でその理由が明かされてくるわけですが、ふうかちゃんホンマにおぼこっぽい(この用語通じるのでしょうか。田舎出身ぽい感じ、の意味)。
田舎から出てきたばかりの女の子という趣ぴったりです。ふうかちゃん自身は北海道出身といっても札幌市内出身だそうなので、基本的に標準語圏ということでかなり大変そう。事実上、3ヶ国語(鹿児島弁、津軽弁、京都弁)を『屋根の上のヴァイオリン弾き』の本番後半と並行してやっていたわけですから、若いってすごい。

タイトルからもわかりますが、基本的に『マイ・フェア・レディ』の系譜を踏んでいて、実際同作のヒギンズ教授と、今回の京野は言語学者ということで共通しています。平方くんは今年、フレディを演じますが、いずれヒギンズ教授を演じてもおかしくないですからね。

普通、縁もゆかりもない少女が「舞妓になりたい」と言ってきたところで、伝統を重んじる花街ですから、歯牙にもかけないのが普通。先輩の舞妓も後輩にその立場を脅かされるなら、協力的には振舞わないはずですが、そこがこの作品の面白いところで、蘭乃さん演じる舞妓はそろそろ30歳になろうかというお年頃で、舞妓を卒業して芸妓になりたいと願っているので、春子に後任になって欲しいと願っている。一番の障害になりそうな先輩という要因がないため、春子が成長できるかどうかという実現性はともかく、成長して舞妓になってほしいと皆が願っている、というのが興味深いです。

春子(舞妓になってからは小春)の唯月ふうかちゃん。若干21歳にして演技に光るものがあることはレミゼのエポニーヌでも、屋根のチャヴァでも認識済みですが、「皆が成長を願う」頑張り屋のヒロインにぴったり。彼女の笑顔を見たい、そう皆に思わせるような佇まいがとても素敵で、物語全体を明るく暖かく照らしていました。
辰巳さん演じる北野がいみじくも言っていましたが、「若さというのは年齢だけでなく、前に向かうためのエネルギーを言う」のがまさしくそうで、春子の成長物語とふうかちゃんの成長物語がシンクロする様がとっても素敵でした。

歴史がある”花街”に飛び込んできてくれた春子の存在は、歴史がある”舞台”に飛び込んできてくれたふうかちゃんの存在ともかぶる気がして、今作を博多座さんが制作されたチャレンジングな面の一面を感じたりしました。

春子の指導役、京野を演じた平方元基くん。ふうかちゃんとのバランスが抜群。ふうかちゃんよりちょっと大人な男性で、身長の包み込む感もぴったり。
女優さんって、相性のいい男性俳優さんと組んでいるときが一番光るというのは自分の持論のひとつでもあるんですが(玲奈ちゃんなら万里生くん、聖子ちゃんならあっきー、びびちゃんなら染谷くん)、なかなか上手くできない春子を根気強く支えて見守るポジションが絶品。平方くん自身も、それもあってカッコよさが倍増していてとっても男っぽい。

今回、この作品で予想以上によかったのが宝塚出身お2人、湖月さんの漢前さと、蘭乃さんのコメディエンヌぶり。もう「クスッ」って笑えるどころじゃない。郁恵さんが立場上、締める側に回らなければならなかった分、湖月さんと蘭乃さんは全力で物語をかき回していて、その芸達者たるや素晴らしかったです。湖月さんは男役を髣髴とさせる、スーツをびしっと決めたシーンも見ものでしたし、蘭乃さんの「アラサーの舞妓」という、キャラを全力で楽しむ役回りはぴったり。先ほども書きましたが、蘭乃さん演じる舞妓さんが、春子をいじめるんじゃなくて応援している、というのがこの物語をスキッとさせてる最大の要素だと思うので、それが何よりよかったです。

物語の流れとしては、春子がなかなか上昇気流に乗れない中、京野の助手である秋平(土屋シオンさん)の一言も引き金になって、精神的な理由から声が出せなくなってしまう春子。
そんな春子をみんなで心配する様が伝わってきて。郁恵さん演じる女将さんが、自分の過去を春子に話したりすることで、一つずつ、春子の心の壁が取り払われていって、ふうかちゃん演じる春子の心からの笑顔が見られるようになっていく後半が、とっても素敵です。

全般的に作品構成的には、明治座さんでやられそうな感じの構成だなと。アルバイト舞妓のお2人は、2人とも元AKB(片山さん、多田さん)で、アイドル風のシーンもあったりして、なんだかとっても明治座ぽい(というか確か博多座の最初の作りが明治座さんを参考にしてたかと)。

ラストシーンはふうかちゃんの、実はちょっとちゃっかりしたところも感じたりして、客席からにやにや見ちゃいました(笑)が、登場人物みんながみんな幸せを掴んでいるこの物語は、とっても春に相応しくて。衣装も豪華だし博多座さんすごいなと。

物語にしては3時間20分(休憩30分含む)と少し長めで、もっとブラッシュアップできる部分があるやに見受けられましたが、博多座さんの意気と、唯月ふうかちゃん初め出演者さんの意気を感じられる、とっても前向きになれる作品でした。

ふうかちゃん&平方くん、さっきも書きましたがとっても名コンビで、2人でミーマイやって欲しい!とエンディング見てて思いました。別作品でごめんなさい(爆)。

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