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『A Class Act』(1)

2018.3.23(Fri.) 19:00~21:30
東京芸術劇場シアターウェスト
D列1桁番台(下手側)

AKA Companyプロデュース作品第3弾。

昨日が初日で、この日は2日目。
前日は終業がいつもより1時間以上遅い18時30分だったため、泣く泣く初日を手放したにもかかわらず、この日も業者さんとの打ち合わせが長引いて職場を出たのが18時30分。なんだ、それなら初日を見ても良かったです(苦笑)。

片島亜希子さん主宰のAKA Companyさん、3回連続岡村さやかさんご出演ということで、3作とも拝見しているわけですが、1作目の『tick...tick...Boom!』が『RENT』のジョナサン・ラーソンの自伝といったところともリンクするかのように、今回3作目も『コーラスライン』の作者、エドの自伝的作品です。

1作目は目白の風姿花伝でしたが、2作目(『She Loves Me』)に引き続き、劇場は池袋の東京芸術劇場地下1階のシアターウェストです。片島さんの演出作品としてはちょうどいいサイズな気がします。小劇場過ぎず、大劇場過ぎずという感じで。

ネタバレありですので、気にされる方は回れ右で!



主演とWヒロインがいずれも東宝ミュージカルアカデミー(TMA)1期という、同期生がメインを占めるカンパニー。

主演のエドを務めるのは石井一彰さん。由美子さんが東宝芸能当時に朗読劇で共演したのを拝見して以来なので、もう10年近くぶりですが、生真面目で不器用で、それでいてモテモテ(※死語)な役回り。エドの死後、ミュージカルスクールで一緒だった仲間が、エドを振り返るという物語の構成ですが、「みんなエドのことを大好きだったんだね。」というのが分かる人柄。『コーラスライン』で成功したものの、その後の半生は、実のところ陽のあたらない日々。成功という重さに耐えられなかった様を丁寧に、時に激しく演じ切っていました。

エドの恋人、メインヒロイン的な役回りなソフィーを務めるのは池谷祐子さん。真っ直ぐ立つ様がとても凛々しく、やんさんの役者さんとしての魅力にぴったり。衣装も初夏を思わせる爽やかな衣装ばかりだったのが印象的。それでいて言うべきことは言うところもアグレッシブで素敵です。何というか、「手より口が先に出る」感じが(笑)。あ、衣装では研究職ということで白衣が新鮮でした。

エドを支え続けた女性、もう一人のヒロイン的な役回りなルーシーを務めるのは岡村さやかさん。エドをどんな場面でも信じ、見守り支え続ける役回りは、さやかさんの役者さんの魅力ど真ん中。やんさんと逆に、自分からは言い出さない奥ゆかしさが印象的。こちらは、「口より先に(差し伸べる)手が出る」感じで(笑)。ソロで歌う『Broadway Bugi-Ugi』がカッコよかった!地味目な役どころで、スクール内でもアンサンブルの後ろの後ろ的なポジションだったので、さすが決めどころがあって嬉しかったです。

この2人のヒロインのエドに対する様が好対照で強く印象に残りました。お2人とも好きな女優さんだからというのもありますが、2人のヒロインの違いは、ソフィーは「真実から目を背けなかった女性」で、ルーシーは「現実から目を背けなかった女性」なんですね。どちらも強いけれど、強さが違う。その上、どちらもエドには必要で、どちらも時にエドには負担な存在でもあったのかと。

ソフィーはエドに対して、耳に痛いことだろうが何だろうが直言する。恋人という関係が崩れかけようと、ソフィーにとっての大好きな音楽の作り手であるエドに対する、それがソフィーができる関わり方。
反面、追い詰められて行く先がなくなった時でも、ただエドを支え続け、エドが苦しむ様から逃げようとしなかったのがルーシー。
そんなルーシーに向けられたエドの言葉は感動的で、ルーシーの献身が報われたであろうことにもただただ涙でしたが、ラストシーンで、ルーシーとソフィーは”互いに”エドにとって大切だったことを称えあうようにエドに向き合うのがもう感動で。

それは、やんさんとさやかさんというお2人だからというのもあるのだと思いますが、女優としての持ち味が違う上に、それが役柄としての持ち味の違いとも絶妙にリンクしている。ソフィーがエドを支えた部分は、ルーシーにはできないものだし、ルーシーがエドを支えた部分は、ソフィーにはできないもの。

だからこそソフィーがその場に現れたときに、ルーシーは率先してソフィーを迎え入れ、仲間たちとともにみんなでエドへの思いを共有することができた、というラストシーンがより感動的なものになったのかと思います。

1幕は比較的ゆっくり目の進行でしたが、2幕に入ってからの心揺さぶる展開、そしてこの音楽がこう生まれたのか!と思わせる展開は『コーラスライン』未見の自分でも(←若干爆弾発言)、湧き上がる感情を抑えられなくて。

『物事を作る』ことの躍動感を体感できる素敵な作品でした。
他キャストも、指導官役が絶妙に嵌っている中井智彦さん、史上最高レベルに遊び人風から、やり手の演出家まで幅広く活躍する染谷洸太さんも流石でした。

始まればあっという間に終わってしまうこの公演、上演は25日(日)までです。是非に。

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