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『東京ミュージカルフェスタ2018』

2018.3.25(Sun.) 18:30~20:50
東京建物八重洲ホール

一昨年からイベントが始まった『東京ミュージカルフェスタ』。今年が3年目です。
俳優の角川裕明さんが発起人で、おけぴの代表さんとお知り合いだった縁で立ち上げられ、「3月26日をミュージカルの日に」と勝手に(角川さん談)設定して始まったイベントの一環のトークショーに行ってきました。

このイベントは発売即完売で、私は福岡遠征の飛行機の機上で、ANAは無料Wifiがまだなかった(4月から開始)ので参戦できず、飛行機を降りたら既に完売…だったわけですが、この日、ご縁をいただき急遽行ってきました。無茶苦茶内容の濃いイベントで、譲っていただいた方に感謝です。

会冒頭、角川さんから趣旨説明があった後、進行はライターの松島まり乃さんにバトンタッチ。All Aboutでコラムを書かれている方ですね。初めて拝見しましたが、巧みな進行・構成は流石でした。

この日は、前半部が『In This House』、中盤部が『お月さまへようこそ』、後半部が2チーム混成のトークショーという展開でしたが、前半で盛り上がりまくって時間が伸び、中盤で少し抑えたものの、後半で再び深く熱く盛り上がった結果、当初より40分延長(爆)という長大イベントになりました。

◆第1部/『In This House』チーム
メンバーは出演者4人、ということで下手側から綿引さん、岸さん、入絵さん、法月さんという並び。

-作品の初見の印象は、の問いに
岸さん「作品に社会的な空気を感じた。味わい深い印象。」

入絵さん「今の自分の気持ちにリンクする、90分間の人間ドラマという感じ。」

綿引さん「映画のように1シーンごとに絵が浮かぶ。自分自身の今の年齢ともリンクする。」

法月さん「初見では作品の意味が分からなかった(笑)」

法くんのその答えに岸さんがすかさずフォローされていましたが、そんな岸さんに「優しい。」ってボソッと呟くびびちゃん、そしてそこに気づく入絵さんという、黄金のトライアングルが(爆)。

-プロデューサーさん登壇され、この作品をやろうとした経緯について。
「ミュージカルぽくない、音楽と物語が半々というところが興味深かった」
「小劇場で手触り感のあるものを作品コンセプトで選んでいる」
通し2回目をされたところを拝見して涙したと。
「毎回見るごとに印象が違う」という言葉を受けて、岸さんが「1度と言わず2度3度」と継ぐ(笑)

-自分自身の役柄について
岸さん「60代で農場経営をしている。素朴で優しい人。(松島さんから「年齢高くないですか?」と問われ)意外に自分は上の年齢もやってますよ、70代とか白髪の役もやってるので、自分では幅が広いと思ってます(笑)」

入絵さん「専業主婦ですが、過去の出来事に悲しみを抱えている女性。演出の板垣さんからは『過去の自分を晒してほしい』と言われていて、そこをどう取り組んでいくかが課題」

綿引さん「野戦病院のトリアージナースとして働いていて、家族への憧れを持っている女性。恋人のジョニーとの関係が、ヘンリー(岸さん)とルイサ(入絵さん)と出会うことで、今まで見えなくなっていたところも確認して、ジョニーと改めて向き合おうとする感じです」

法月さん「自身は警察官でまっすぐな青年ですが、まっすぐだけでは生きていけないということをアニー(綿引さん)との関係も含めて感じている。それは自分自身が役者としてやっていくための課題を与えられていることとリンクしている感じがするので頑張りたい」

-現在の役柄との向き合い方について
法月さん「役と向き合うにあたって知らないことが多すぎると痛感している。自分の前にある壁を1枚破りたい。(入絵さんから「1枚なの?」と問われ)、2枚・3枚と!(笑)」

綿引さん「今まで演じてきた作品・役の中で一番、壁にぶちあたっている状態。それは『本物』をお届けするためのプロセスと思っていて、今までの人生と向き合うことでお客様に何かが届くと思っています」

入絵さん「演出の板垣さんが仰っていますが『お客様は劇場に自分の物語を見つけに来ている』と。それに全く同感で、私たちの物語の中に皆さまの物語を見つけていただけるよう頑張りたい」

岸さん「ミュージカルらしさを削ぎ落としている状態。芝居としてどう伝えられるか、役者としても課題だと考えている」

-補足として、主催のconceptさんの取り組みについて2つ、触れられていました。
1つが聴覚に障がいを持たれている方への支援、もう1つが学生向け無料観劇システム「カルチケ」。今はconceptさんのツイートやFaceBookに「いいね」や「RT」があったら100に対して1チケット(昨日時点で28枚)。会場でも、チケットの一部の代金を募る形で取り組まれるとのことでした。

歌の御披露は2曲。現在HPでも公開されていますが、びびちゃん&法くんの『ダマート家の夜』と岸さん&入絵さんの『時は往く』。どちらも素敵でした。

◆第2部/『お月さまへようこそ』チーム
メンバーは主宰の吉原さんと、西川さん。

こちらは4月にシブゲキで公演される響人の作品。

今回の作品選びは3作品を吉原さんが選び、あとは出演者が選んだとのことで、吉原さん曰く「宮澤エマがこれダメ、と言って落としたんだよ」と冗談20%(笑)ぐらいで言ってました

松島さんから吉原さんへ、「響人というユニットの位置づけは」という質問がされていて、「商業的なところだと、どうしても背負っているバックボーンや責任というものから鎧を被らざるを得ないときもあるけれど、響人だとそういうものなしに自然にやれる、という面はある」と仰っていたのが印象的でしたが、それに応えて西川さんが「そう思って鎧脱いでたら光夫さんからグサッとやられたりしますけどね(笑)」とまぜっかえすあたりが流石です(笑)。

吉原さんへ西川さんの役者としての評価を問われて曰く「いい役者なのに、なんで●れないのかな。生まれてきたの早かったんじゃない?(笑)」とか相変わらず某演劇黙示録的(爆)

吉原さんから西川さんへ、西川さんから吉原さんへ、お互いの信頼を感じられる忌憚なさすぎる掛け合いに会場からたっぷり笑いが起きていたのが印象的でした。

西川さんのソロ曲、むちゃくちゃ素敵でしたー!

◆第3部/「海外ミュージカルの醍醐味」対談コーナー

一応、最初は「醍醐味」がテーマだったはずなのですが、吉原さんがいらしてそうなるはずはなく(笑)、主に「海外ミュージカルを日本でやる時の現実と課題」という方向性にシフトしました。

やはり「英語で歌うために書かれている歌を日本語で歌うのは無理がある」というお話はされていて、そもそも言語として日本語は細かく単語が切られていないので、英語のように「単語で強弱付ける」ことが難しい、と。

英語と日本語では文章の順番が逆だったりもするわけなので、日本語に訳すると先にネタバレしてから(笑)説明するといったことにもなりかねない。で、実際海外からの音楽担当の方が来られると英語の楽譜と日本語から英語に訳した楽譜の2通りあるので、その度に説明が必要になる、といった話も印象的でした。

海外カンパニーだと最近は演出と演出補の方と2人で担当されるケースもあって、当然その2人の見解が違うという事態も起きるので、本当はそれに対して日本キャストやスタッフから何かを言えれば望ましいは望ましいけど、必ずしもそれができるわけじゃない。ジョン・ケアードさんは最初にワークショップをしてくれるので作品についても学べるし、意見も聞いてくれるけどそういう方ばかりじゃなくて、という悩みも仰っていました。

この中では一番以前から海外ミュージカルに出演されているのは実は入絵さん(1992年『ミス・サイゴン』キム役)ですが、「その時は海外の演出の方は雲の上の存在で、何か申し上げるなんてできるはずもなく、言われたことをやるだけで精いっぱいだった」と仰っていて「その当時はミュージカルの作品数も少なかった」と仰っていて、それを受けて吉原さんが、「それからすると今からこれほどまでにミュージカルの作品が増えて、以前よりも日本側から何かを話せる機会は増えているのでは」、と仰っていたのが印象的でした。

そこから話は当然の如く「だからこそ日本オリジナルミュージカルをという話になるけれど」になってましたが、この辺になってくるともはやシンポジウムの雰囲気を帯びつつ(爆)、「お客様が日本オリジナルミュージカルの誕生を願って、そして応援してくれることが一番大事」と締められていた吉原さんの発言は流石だと思いました。

その上で、「海外ミュージカルを日本でやる大変さはありはするけれども、そのハードルを一つ一つ乗り越えるエネルギーは日本の役者やスタッフを育ててると思うし、そのエネルギーをもつことは大事なことだと思う」と仰っていた吉原さんの言葉も素敵で。

その最終的な着地点はこの『東京ミュージカルフェスタ2018』で盛り上げようとしている方向性とちょうど合っていて。2.5次元ミュージカルも含めて、日本らしいミュージカルとしてどう発信していくかを考えていくべきという議論はとても興味深かったです。

今回、吉原さんと法月くんはお初だったそうですが、吉原さんは法月氏に前から興味があったらしく、かなり激しく弄られておりました(爆)が、結構、当意即妙な返しをしてあの吉原さんを感心させていました。

法月くんは結構天然な返しをするんですが(光夫さんに振られて「難しい話は分かりませんが、難しい話をできるようになりたいです!」って返しで会場の爆笑をさらっていた)、とにかく「吸収できるものすべてを吸収したい」欲が凄く見えて、この日拝見できてとても好印象でした。

◆おまけ
第3部は話があっちゃこっちゃに飛んだので、その途中のエピソードで興味深かったところを抜粋で。

-今まで自分にとって一番「遠かった」役は。
綿引さん「『リトルマーメイド』ですね。初めて四季さんに出させていただいたこともあり、自分が全然できないことを痛感させられたし、泳ぎとかの演技も初めて教えていただいたので、それがずっと頭にあって、稽古場からの帰り、あざみ野のローソンで泳ぎの演技しながら曲がっちゃいました(実演付きで会場爆笑)

入絵さん「『ナースエンジェルりりかSOS』ですね。以前、(『りぼんミュージカル』の)『姫ちゃんのリボン』『赤ずきんチャチャ』と毎年博品館でやらせていただきましたが、自分にはすごく難しかった」

法月くん「2.5次元だと遠くても作りやすくて、むしろ今やらせていただいている作品の方が難しいです。去年から芝居をたて続けに(『Second Of Life』『Before After』)やらせていただいて、普通に生きていたら演じられるはずのものが難しいということを実感しています」

-意外な2人の共通点が判明。
入絵さんとびびちゃん、何と福岡の同じ幼稚園の出身。
で、びびちゃんの幼稚園の先生は、入絵さんの同級生なのだそうです。
入絵さん、「いくつ年齢違うって話ですよね」とボヤいていました(爆)。

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