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2018年2月

『芝居が立ち上がるまで。』

2018.2.26(Mon.) 19:00~21:20
霞が関ビルディングプラザホール
(霞が関ビル1階)

オフィス街・霞が関ビルの大家さん・三井不動産さんと舞台プロデュースのconSeptさん共催の社会人向け演劇セミナー、『劇と暮らし』の第2弾ということで、参加してきました。

このプロジェクトはもともと、オフィス街である霞が関に「演劇」というテーマを持ち込んで、演劇を作り上げる過程を通してビジネスにも活かしてもらうという趣旨があるらしく、実際フライヤーにもこう書かれています。

「役割を理解し受け手に伝わる形に組み上げていく。それはビジネスも演技も同じ」

この趣旨を十二分に伝える、とても充実して意義ある楽しいセミナーでした。

参加者も、三井不動産さんルートで100人、conSeptさんルートで100人という真っ二つな陣容。しかも、ビジネス側の三井不動産さん側はテナントの勤務者さん限定で、100人中30人が無料招待でした。

第1回に引き続いて講師は舞台演出家の板垣恭一さん。第1回がとても面白い内容というのを知人から聞いていて興味が元々あったところに、今回は講義形式だけでなく、女優さんをお迎えしての演出実演形式ということで、女優さんお3方がゲスト。
綿引さやかさん、万里紗さん、守屋由貴さんのお3方。

まず導入部は板垣さんからの「舞台とは」というご説明から入りました。
板垣さん曰く、「舞台は人間社会の縮図である」と。演出家さんとしては「役者さんの一挙手一投足をがちがちに決めないタイプ」とのことで、役者さんには「得意技で点を取ってもらうポリシー」とのことで、その進め方でお3方にも今回参加してもらうとのこと。

ちなみに、役柄は3姉妹なのですが、3人には「どの役になるか言わないから全部覚えてきて」と言ったそうでさすが鬼です(笑)。開始直前に3人それぞれに伝えてのぶっつけ本番。
はじまるときの3人のコメントは

綿引さん「怖くて楽しみです(笑)」
万里紗さん「楽しみです」
守屋さん「(スタッフをやることも多いので)キャストさんの気持ちで頑張ります」

でした。

テーマに使われた物語は、1981年にピューリッツアー賞を受賞した『クライムス・オブ・ザ・ハート』。
アメリカ南部の街で再会する3人姉妹。奥手な長女・レニーが綿引さん、奔放な次女・メグが万里紗さん、ちゃっかりな三女・ベイブが守屋さん。万里紗さんはお初ですが、綿引さんと守屋さんはおおむね印象が想像付くと申しますか、実際その通りだったと申しますか(爆)

その3人の感情のぶつかり合いをどう舞台として肉付けしていくかを、板垣さんが演出する過程を至近距離から見られたのですが、とっても面白い!

後半から見ると、最初の頃の掛け合いは確かに平板で、ただ会話をしているだけの時間だったということがはっきりわかります。

板垣さん曰く、「面白い」という概念は「心が動く」ことによって実現すると。それはビジネスでも同じと仰っていましたが、元々、自者と他者の関係性で物事は動くものであり、自分の行動は他人の出来事になり、他人の行動は自分の出来事になる、そのように人と人との会話はお互いを動かしていく、という説明はとても分かりやすかったです。

とりわけその中で重要と話されていたのは何よりも「目的」だと仰っていて、ここがこの日のセミナーのコアだったように思います。「登場人物として何を目的にしているのか」がはっきりすれば、行動が意味を持って、感情が表現でき、出来事が鮮明になって、物語が重層化すると。

この日の3人の演技セッションというべきものの進化は、物語が重層化するさまを重奏で見せてもらえたような、そんな感じ。

おじいさんの看病のために一人家に残っていた長女のレニーは、久しぶりに帰ってきた次女のメグの奔放さ、表面上の無神経さに憤ってばかり。男性をとっかえひっかえの次女のことを好ましく思っていないばかりか、自らの秘密(出会い系で彼を見つけた)を三女のベイブからメグに暴露され、ますます心を閉ざすばかり。

綿引さん(びびちゃん)演じる長女が、次女に対して攻撃する様は、主に対峙する次女・万里紗さんとのお互いの空気感でどんどん演技が変わっていく。そのヒントとして板垣さんが提示したのが、「相手の目的を妨げること」。長女から次女に対して責めるのであれば、次女は長女に対して無関心を装うことで長女の怒りも増幅して見せられる。
それでいて、ひょんなことから判明した自らの秘密により、今度は次女が長女に対して攻撃の糸口を見つけたとたん、それをばらしたのが三女ということで長女から三女に怒りが向く(笑)

そんな様を、「感情の変化」で私は捉えることが多かったのですが、なるほど「目的のぶつかり合い」という風に捉えると、芝居で人と人とがぶつかる意味も、ぶつかることによる効果も見えてきます。

これも板垣さんが仰っていましたが、「男性はキャラが被っても気にしないんです。男性は馬鹿ですし、そもそも横を見ない。明日を見る生き物なんです。女性はキャラが被る人たちとは一緒にいたがらない生き物なので(笑)」に笑いました。

「舞台に立っている人たちはチームメイトでありライバルである」という言葉も印象的。特に女優さんはそうですよね、お客さんから見てもそう思います。とりわけ、舞台の中でご贔屓さんが一番輝いていてほしいと思うのは当然の欲求です(爆)。

その上で更に印象的だった言葉が「役者はお客さんより愚かでなくてはならない」と。
芝居が社会の縮図である以上、見に来るお客さんが見る意味があると思わせないといけなくて、それには自分が登場人物の感情に移入できる余地を残さなくちゃいけない。日常ありえないことを疑似体験するからこそ人は芝居を見に来るし、芝居を作る意味もある、と仰っていたのが印象的でした。

「物語は登場人物同士の追いかけっこが作る」と板垣さんが仰っていましたが、思うに、お客さんからしても「登場人物を追いかけている」わけですよね。登場人物を追いかけたくなるほどにお客さんの気持ちを惹きつけるのがいい芝居であって、そのために登場人物の目的同士をぶつけて、それこそプロレスのように技を掛け合い、攻守を逆転させたり、相手役をやりづらくさせたりして、物語を動かしていく。

動きをつけ、物理的に邪魔をさせたりして演技を深く濃くさせて、役者が物語の中でどう動くべきかをサジェスチョンしていく板垣さん。今回は主にびびちゃん・万里紗さんの目的のぶつかり合いが大きな主軸を占めていましたが、演じて見せるのはあくまで最後の一手。

役者さんがこの役を演じるにあたり、持つべき目的を台本から見付けさせ、自ら目的を見いだせるように導くことで、役者さんの演技も、より説得力を持っていく。役者さんをいい意味で子ども扱いせずに、役者さんの中に役を宿らせていく様は実践的で、まさに魔法と呼ぶに相応しい板垣さんの演出でした。

その主軸にあるのは、最後に仰っていたのですが「how」より「what」であると。
どうやるより、何をやるかを重視すべきだと。これ、芝居の事を語っているようで、完全にビジネスの領域なんですよね。
確かに、どうやるかは、工夫すればなんとかなるものなのですが、何をやるかは成果に直結するんです。
やるべきことが間違っていると、できた結果は大間違いなんです。

自分が何をすべきかをきちんと考えることなしには、正しい結果は導けない。
目的を正しくとらえれば、おのずと取るべき道は限られてくる。
芝居の中で役者が台本を正しく読み解けば、立つべき立ち位置は決まるし、感情も行動も導き出せる。

それは仕事の上でも同じで、やるべきことを正しく見出せば、立つべき立ち位置は決まるし、感情も行動も導き出せる。その点を気づかせてくれたこの日のセミナーは、ビジネスマンとしても、芝居好きとしても、とても意味あるものでした。

惜しむらくは、質問タイムがなくてその辺の理解をあと一歩深められなかったこと。

芝居の中にいかにお客さんが感情移入するかの議論の前提には、「自分には危害が及ばない」ことが存在しているんですよね。先週までやっていた『夜、ナク、鳥』を例に取れば、保険金殺人を描いた物語でありながら、(演者の巧みさがあるとはいえ)客席から笑い声さえ起きる。それは、舞台上に描かれていることが、一切の自分自身への危害が発生しないことを安心しているからこそできる。板垣さんの演出作品であれば『シャーロックホームズ』でも、自分が舞台上で殺されることもあり得ると思ったらお客さんは劇場に来るわけがない(爆)。自分を安全地帯において、正視できない現実を見に来て満足するというお客さんの心情ということが、是なのか非なのか聞いてみたかったです。

もう一点は「芝居は日常の鏡」とも関係しますが、「人生って想定外と想定内の繰り返し」じゃないですか。演出家から見て俳優が想定外の動きをしたらどう動くか、想定内の動きをしたらどう動くか、逆に俳優から見て演出家が想定外の動きをしたらどう動くか、想定内の動きをしたらどう動くか、今回のそれぞれの方にポリシーを聞いてみたかったです。比較的、想定外を楽しむタイプなのがびびちゃんと万里紗さん、想定内を楽しむタイプなのが守屋さん、という感じがしました。

この日の物語の主軸がびびちゃんと万里紗さんだっただけに、守屋さんは終始押されていてどう動けばいいか迷っている様を感じました。前へ行き慣れていない感というか。
それだけに最後のご挨拶でも「台詞がないアンサンブル的な役であっても、どう存在すればよいかを考える大事さを感じた」と仰っていたのが印象的でした。「台詞がないだけに、長女と次女との間でちゃっかり利を得る三女の佇まいを利用すればいい」という板垣さんのアドバイスも興味深かったです。

びびちゃんの感想は「自分が変わっていくことによって周囲も変わっていく様が実感できて楽しかった。劇場で1人でも多くの方がまたその様をご一緒できることを楽しみにしています」で、その2人のご挨拶を受けて万里紗さんが「2人とも役柄通りの立派なご挨拶をされていて恐縮ですが、本日はありがとうございました」でストンと落とされておりました(爆)。

最後の板垣さんのご挨拶でもう一つ印象的だったことを。

「自分のメインステージであるホームでは、お客さんは自分のことを見てくれる。

 自分のメインステージじゃないアウェイでどこまで自分の底力が出せるか試される。

 自分のお客さんは誰か。いつも拍手をもらえる人だけじゃなく、

 自分のことを知らない人にこそ拍手をもらえるようになるべきと自戒している」

この言葉は、特に去年のびびちゃんを見続けてきた自分にはとても心を抉る一言だったし、自分自身の仕事に対しても、とても糧になる言葉で、この日この時を体験できたことを、とても意味ある物に感じたのでした。

板垣さん演出の『In This House』むちゃくちゃ楽しみです。

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『夜、ナク、鳥』

2018.2.18(Sun.) 14:00~15:50
2018.2.19(Mon.) 19:30~21:50
吉祥寺シアター 両日ともD列
(日曜は下手側、月曜は上手側)

オフォスコットーネ主催、大竹野正典氏作品の舞台化。
有名な福岡・久留米の看護師による保険金殺人事件という実話を題材にした戯曲の舞台化です。

事件のあらすじを知っている程度で見た初見では、展開に驚きそして惹きつけられ、会場で購入した戯曲を見た後の2回目は、より作品に入りこめて…深く重い作品です。

日曜日は、直前に『ジキル&ハイド』稽古場見学会だったために、2作続けて「人の表と裏」を期せずして感じることになって何だか不思議でした。

人を救うための看護師が、なぜ自らの手で人を殺めたのか。

ネタバレ入りますので、気になる方は回れ右で!




主犯格のヨシダを演じるのはナイロン100C所属の女優、松永玲子さん。
誰のことを信じることもせず、ただ自らの欲だけに生きる様は背筋が寒くなるほど怖い。
「友達」という存在を欠片も信じてもいないのに、その言葉を最大限利用する冷酷な女性を、強い存在感と巧みな駆け引きで見せていました。なお、松永さん演じたヨシダのモデルとなった女性は、実際の事件ではただ一人死刑判決を受け、既に刑は執行されています。

看護学校同期の4人の中でヨシダと最も近い存在として描かれているのが、治験コーディネーターという役どころ、ツツミという女性で、演じるは松本紀保さん。ご存知、松たか子さんのお姉さまでもあり、旦那様は川原和久さん。ツツミはヨシダの暴走に歯止めを掛けようもなく、ヨシダのふと見せる弱さに、しかも自分にしか見せないのではというその弱さに心奪われ、いわば自覚的にヨシダの片棒を担いでいる存在。

次いでヨシダの毒牙に掛かったのが、イケガミ。演じるは安藤玉惠さん、初見です。ヨシダが夫を殺害して得た保険金という「金」の力を使って取り込み、本人でなく「だらしない」夫を取り込んで、ヨシダに対して引け目を負うように仕向けていく。

一人を食い尽くし、自らの手中に抱え込めば、次のターゲットを探す。
その次のターゲットが、高橋由美子さんが演じたイシイ。イケガミと同じく、夫に対して返済不要と匂わせて金を貸し、借用書を水増し偽造して保険金殺人を企図せずには解消できないほどの負債をでっち上げ、返済能力がないことを見抜いたうえで、一気に追い込みに掛かる。ヨシダは既に傘下に置いたツツミ、イケガミとともにイシイを追い込みに掛かる。怒鳴り、なだめ、「友達」という言葉を利用して脅していく。

治験コーディネーターのツツミがずっと付いてきたガン患者がいて、新薬を投与するも、しばらくして容態が悪化して、手術の末亡くなってしまう。悲しみに暮れるツツミに向かって、ヨシダは言い放つのですね。

「死ぬものは仕方ない。神の采配なのだ」と。

その言葉を聞き、自らが夫を手に掛けることを強制されようとしているイシイはヨシダに問いかける。

「(旦那のゴウの)命も神の采配なのか」と。

ヨシダはこれに対してヨシダなりの正論を吐き、イシイもその答えに何かを理解したかのように頷く。

ヨシダからイシイへの責めは、月曜日のアフタートークで松永さんも仰っていましたが、完全な一方通行。
ヨシダはただ責めるだけだし、イシイはただ責められるだけ。松永さんは「この関係が逆転する瞬間があっても良かった」と仰っていて、それも思わなくもないのですが、「狂気」と「正気」の対決だからこそ、深くえぐられるものがあったのかと。

理路整然と狂っているヨシダと、ぎりぎりで人としての限界にとどまろうとしているイシイ。

ゴウとのただ一つの思い出の指輪を嵌めなおした上で、その場に向かおうとする、由美子さん演じるイシイの姿は、人としての踏み外せない崖っぷちでもがく様のようで、ヨシダ曰く「無様」であろうとも、人としての正道を最後まで貫こうとした姿を見られたことは、自分にとっては救いでした。

実際の事件でも、発覚のきっかけはイシイが警察に自首したことからですし。

舞台後半、怒涛のように襲い来る、松永さんと由美子さんの直接対決は、舞台上の由美子さんでは久方ぶりに見る、「命を賭けた対決」で、一瞬たりとも目が離せない様を拝見できたことも嬉しかったです。

公演は今週土曜日、24日まで。

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『ジキル&ハイド』(6)

2018.2.18(Sun.) 12:00~12:50
都内某所

ホリプロオンラインさんで募集されていた、ジキハイ稽古場見学会(50名)に当選し、都内某所の稽古場見学会に参加してきました。

当初40分間の予定が少し延びて50分。長くいられるのは楽しいは楽しいのですが、個人的には次の観劇を控えていたので、この時間で仕上げていただいてホリプロさんのタイムキープに感謝です。

見学会の流れは、演出家山田さんからの作品説明・状況説明が前半。後半は曲3曲をご披露、ラストのパートがトークコーナー。

ちょうど先週末に一通り最後まで通せた状態とのことで、(田代)万里生くん曰く「少しほっとした状態でお見せできる」状態。今日からオーケストラが入るそうです。
この稽古場は比較的広い稽古場とのことで、本番セットをそのまま置ける場所。とはいえ、さすがに2階部分までは入れられないということで、「嘘の仮面」でエマとルーシーが橋上に上がるシーンは、特にルーシーの玲奈ちゃんは首をかがめて見下ろしていました(そのけだるく見下す様がとってもルーシー)

どの曲も流石の完成度で、初日までにどれだけ伸びるかも凄く楽しみ。この日はマイクがなかったので、マイクがあると印象が変わるキャストも多いんでしょうね。

3曲は動画で既に上がっていますがこちら、石丸さん以外全員登場する「嘘の仮面」(1幕2場)と、病院執行部シーン「理事会」(1幕3場)と、「狂気」からの「その目に」(2幕)です。

「嘘の仮面」は製作発表ではコンサートバージョンだったそうですが、この日は本番バージョン。マイクなしといえ、至近の見学席にダイレクトに伝わる、石丸さん以外全メンバー参加のこの曲は圧巻のひと言。
そう、ルーシーとエマも実は登場しています。ルーシーは上手側で(舞台上の)お客さんをあしらっております。今までの玲奈ちゃんにはなかなかないシーンです。

「理事会」シーンはずいぶんメンバーが変わりましたよね。一番大きいのはエマのパパがが中嶋しゅうさんから福井貴一さんに変わってかなり印象が変わっています。

「狂気」からの「その目に」が新キャスト2人でのデュエット。玲奈ちゃんが2016年バージョンのエマからルーシーに変わり、エマはエマちゃん(宮澤エマちゃん)。

玲奈ちゃんのルーシーは、艶っぽいけどウェットじゃないところが特徴かな。娼婦という立場に対して恬淡としているというか、生きるためにスイッチを切り替えている感じ。娼婦フラグON、自分フラグON、みたいな。どちらにしても今までの玲奈ちゃんにもない役でもあり、また今までのルーシーにもあまりない感じがしました。

玲奈ちゃん&エマちゃんのデュエットを初めて生で見て思ったのが、エマちゃんのエマも素敵で、エマちゃんがいてくれたから玲奈ちゃんもルーシーに全力投球できるんだというのがわかったこと。エマちゃんに感謝です。

エマちゃんに自分(玲奈ちゃん自身)のエマのことを意識しないように言ってるのは、自身がルーシーに集中するためでもあるんでしょうね。でも、今でも結構間違えられるのでエマちゃんのシーンはなるべく見ずにお手洗いで闇練だそうです(笑)。石丸さんからも「そういえばいないよね」って言われていました。

というのも、この日のトークパートで石丸さんがあいさつした後、玲奈ちゃんを向いて「エマ」という事案が発生して会場に笑いが(笑)。
苦笑いしつつ、玲奈ちゃん「エマじゃなくルーシーを演じる笹本です(笑)」とすかさずフォロー。
石丸さん「ごめんね」とお詫びされていました。

玲奈ちゃんはルーシーは念願の役ですが、最初はかなり不安だったそうです。そんな時、演出の山田さんと自身のルーシー像について話ができて、「偉大な先輩、マルシアさん、香寿さん、めぐさんのルーシーを追わなくていいんだ、と思えて気持ちが軽くなった」、と山田さんにお礼を言われていました。

この日の稽古場見学会、トークパートのほぼ半分は玲奈ちゃんが喋っていたというぐらいに口数が多くて(笑)、前は不安だと無口になるタイプでしたが、不安だからこそ喋るようになって、玲奈ちゃん変わったなぁと(爆)。

役どころというのもあるのかなと思ったのは、エマは歌詞にもありますが「待つ」役ですが、ルーシーは「求める」役じゃないですか。それプラス2012年からの経験値で、石丸さんを自然にフォローする立ち回りが身体に沁みついているように感じられて。

石丸さんを囲んで下手側に田代万里生氏、宮澤エマちゃん、中央に石丸さん、上手側に(笹本)玲奈ちゃん、山田さんという並びでしたが、キャストで言えば石丸さん以外全員が新キャストなのですが、新役の重圧も背負いながら、カンパニーのムードメーカー的なポジションも務められていた玲奈ちゃんがとても頼もしかったです。

ルーシーについて「娼婦の役なので誘惑するんですが、阿部さんを誘惑してるとパパを誘惑してるみたいで(阿部さんから「おいっ!」と即ツッコミ、会場中大爆笑)、自然にルーシーとして誘惑できるよう頑張ります」って中々なMC盛り上げスキル(笑)
「10代の頃から見ていただいている方が(現場に)多いので、皆さんの目が気になって(笑)」と。

エマちゃんが「あまり恋愛シーンのある役をやってこなかったので石丸さんとのシーンが恥ずかしい」と仰っていましたが、玲奈ちゃんも「私も石丸さんとのシーンは恥ずかしい」と仰っていてそうだよなぁと観客一同納得(笑)。

役替わりに付いては玲奈ちゃん曰く「前演じた方の残像がはっきりと残っていて、ルーシーだとめぐさんの印象が凄く強くて。『屋根(の上のヴァイオリン弾き)』でも最初はチャヴァで(その後やった役…あれ、名前が出てこない、ルーシーじゃなくて…(山田さんから耳打ち)…あ、ホーデルですね(笑))その時の知念里奈ちゃんのホーデルが自分の中にはっきりと残っているので、エマだった当時の記憶をどう抜けさせていくかが課題ですね」と。

それを受けて石丸さん、「続投の方でも出してくるカードが違ったりする。そんなところの違いも楽しんでもらえれば」と。

新キャストでは万里生くんも新キャストですが、お髭が新鮮。演じるジョンについて「玲奈ちゃんから教えてもらって知ったんですがジョンは唯一全員と関係する人物。だからプロローグとエピローグに出てくる、語りべ的な存在」と仰っていたんですがなるほどなと。

そんなトークコーナーを経て、最後は石丸さんからご挨拶があり、キャスト全員を呼び込んで解散。

短い時間ではありましたが、ジキハイの良さがどっさり詰まった、また新キャストの雰囲気もわかる素敵なイベントで、ホリプロさんに感謝です。拝見できるのが楽しみです。

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『Before After』(11)

2018.2.17(Sat.) 12:00~14:20
 法月・田宮ペア D列2桁番台(上手側)

2018.2.17(Sat.) 16:00~18:20
 多田・遠山ペア D列1桁番台(下手側)

中目黒キンケロシアター

半年ぶりの再演、中目黒『Before After』祭りに行って参りました。

作品初演は2014年11月で、私は2015年8月公演(吉祥寺)の内藤大希さんベン&岡村さやかさんエイミーで拝見して作品の魅力に触れ、それ以来ほぼ全ペアを見ていますので、この日も1日で両ペア見られるこの日を選択しました。

上演は今回9期目(吉祥寺5期、中目黒2期、北千住1期、日暮里1期)。
歴代のキャストはベンが17人、エイミーが14人、ペアは19ペア。
そのうちベン14人、エイミー12人、14ペア見ています。ずいぶん見てますね(苦笑)。

マチネのアフターライブでレジェンド(今回で4回目の出演で、今回の法月氏が3人目のベン)な田宮さんがいみじくも仰られていましたが、「上演が始まってわずか4年しかたっていない」のは確かに驚きです。

そう、この日は実は、後追いの発表でマチネ・ソワレともにアフターライブが追加され、とってもお得なマチソワになりました。

まずは、本編の感想から。

マチネで感じたのは、レジェンド田宮エイミーの、でも、いつもと違う佇まい。

田宮さん(たみー)はご自身のキャラクターからして、今までのエイミーでは姐御肌で演じられることが多かったですが、今回はその得意手を封印され、法月ベンを立てることに徹していて、とってもチャーミング。キャラクター的にはmyオリジナルエイミーな、岡村さやかエイミーに似ている感じを随所に感じました。

四角四面なエイミーが、ベンと出会うことで変わっていく様が、それ故にとってもわかりやすく見えて。

ベンも言っていますが、
エイミーってとっても「正しい」んですよね。
それに対して、ベンはとっても「自由」

ベンにとって、エイミーの正論は耳に痛いけれども、本能的にそのことを受け入れなきゃいけないことをわかっている。
エイミーにとって、ベンは自由すぎて、自身の規定概念からは飛び出した存在だけれども、本能的にそのことに対して憧れを持っている。

「正しくあるべき」という自らの考え故に、前に踏み出せないエイミーと、「自由にありたい」という自らの願望故に、安住の地を見つけられないベン

お互いがお互いを必要とする様がとても感じられるペアでした。

法月ベンはピュアでスマートな感じ。歴代ベンでは、内藤(大希)氏が一番近いイメージで、次いで田村(良太)氏が近いかも。

法月ベンと田宮エイミーの化学反応で一番印象に残ったのが、後半でエイミーがベンに投げつける「あなたはいつでも逃げてきた。あなたはいつでも切り捨ててきた」という言葉。
この言葉をエイミーから投げつけられた時のベンの反応が凄く哀しそうで。

両親もいない自分にとって、初めて守りたいと思った女性に、自分のことを分かってくれていなかったかのような言葉を投げつけられたことに、ベンがどれだけ傷ついたか、それが法月ベンからは強く感じられました。

エイミーは、ベンに対してこともなげに「あなた(ベン)は私とパパには勿体ないと思っているんでしょ」と言っていて、やはり「恵まれて生きてきた女性」なんですね。ベンを終始立てるように振る舞った今回のたみーのエイミーだったけれど、役柄上のコアな部分では、そういった上から目線の部分を持った女性。「同じ歩幅で歩こう」という約束に応えられていなかった自分、ベンへの心からのお詫びがあってこそ、再び次の一歩を歩きだせるということなのですね。

きっとベンにしてみれば、「望んで逃げてきたわけでもないし、ましてや望んで切り捨ててきたわけでもない」と言いたかったのでしょうが、それをあの時のエイミーに言っても詮無き事ということなのかと。

法月&田宮ペアで感じたのは、ベンとエイミーの関係性。

1幕最後、エイミーはベンに「離さないで」と願う。
2幕最後、ベンはエイミーに「離れないで」と願う。

エイミーはベンに自分の手を離さないように願い、
ベンはエイミーに自分の手から離れないように願う。

ベンとエイミーは自ら手を離さない限り、
2人の手は繋がったままになる。

ベンとエイミーの関係が永遠に続くことを感じられる素敵なラストでした。

・・・

ソワレは、『Before After』初登場ペア。

多田直人さんは演劇集団キャラメルボックスの団員さんで、今作が初ミュージカル。
遠山さやかさんは劇団四季出身の女優さん。14人いる歴代エイミーで、実に3人目の「さやかエイミー」になります(岡村さやかさん、綿引さやかさん、遠山さやかさん)。

キャストが発表されて、今回一番楽しみにしたのが多田さん。

キャラメルボックスに『無伴奏ソナタ』という作品があって、大好きな作品なのですが(今年再演されます)、その作品で主演していたのが彼。演技バランスが良くて、身体力がある素敵な俳優さんだと思っていました。

→その時の感想こちら

ミュージカル初出演とはいえ、キャラメルボックス出身の方は芝居にテンポがあるので、見ていてもとても心地良いです。

ベンとしてもとても軽やかに動き回り、客席までも味方にできそうな多田ベン。ベンのレジェンド、染谷洸太氏タイプ(3回出演で2ペア)に似たタイプ。寺元(健一郎)くんもこのタイプに似ている感じ。

その相手役、エイミーは遠山さやかさんは初見ですが、多田ベンとの芝居の空気感がぴったり。
初日を拝見した知人曰く、初日はど緊張されていたそうですが、この日はその片鱗もなく。
高音歌唱が素敵で、その歌唱からエイミーの四角四面さを感じさせつつ、ベンによって解きほぐされていく流れがとても良くて。エイミー曰く「どうしていつもこの手にひっかっちゃうんだろうなぁ」が説得力ありすぎなのが、多田ベン&遠山エイミーの化学反応。

彼女はタイプ的には松原凜子さんと似たような印象を受けて、というのも高音を得意とする方の場合、感情が伝わりくいように見えかねないわけですが、エイミーだと元々が「心を開けない」方なわけで、そこから氷が溶けていくかのように警戒心が解けていく様が自然で。とてもいい芝居勘をされていて、他の役でも拝見したい女優さんです。
(似ていると書いた凜子様にも同じようなことを感じていて、高音が得意なのにエポニーヌの感情が伝わるのは興味深いです。)

あ、そういえば、マチネのたみーエイミーは「いっぺん死ね」、ソワレの遠山エイミーは「時々いっぺん殺したくなるわ」でした。何となく本人希望での2択な気がしますね、これ(笑)。

エイミーの鋭い攻撃は、たみーの攻撃力はいつものことですが、遠山エイミーの怖さもまた違った怖さがありまして(笑)、「無視したらただじゃおかないわよオーラ」が凄かった(爆)。
エイミーの強い圧力をひょいっと避ける多田さんのベンというのもなかなか面白くて、ぜひまた拝見したいペアです。

ふと振り返ると、今までのエイミーって皆さんミュージカル女優さんだったので、それが見る側の意識として染み込んでいたところがあったのですが、四季さん出身とはいえ、ミュージカル女優ぽくない彼女のエイミーはとても新鮮で、また相手役の多田さんもミュージカルぽいわけではないので、そのバランスがとても興味深くて。
ミュージカルぽくない、多田ベンと遠山エイミーの「芝居が呼吸しあっている感じ」がとても良かったです。

・・・

それではアフターライブレポ。

アフターライブはマチネ・ソワレとも曲目は同じで、
1曲目はエイミー3人による「This Time」。
2曲目はベン2人・エイミー3人による「As Long As You're There」。

マチネは1曲目のエイミーが、田宮華苗さん、RiRiKAさん、稲田みづ紀さん。
当初は初演キャストの清水彩花さんの予定でしたが、彩花さんが体調不良のため、ソワレ出演予定の稲田みづ紀さんが、マチネも出演されました。

2曲目はベンが加わり、法月さんと上野聖太さん。

司会進行はプロデューサーの吉田英美さんで、最初は「レジェンド」田宮さんとのトークでしたが、田宮さんが本編終演後で精根尽き果てた感じもして、いつもの切れ味がなかった感じ。が、RiRiKAさん、みづ紀さんを呼び込んだら、RiRiKAさんがMCでぶっ飛ばし始めて、たみーはそこにツッコむモードになったんで、問題は無事解決しました(笑)。

何しろ、RiRiKAさん「久しぶりに拝見しましたが、ベンひっどいやつですねー」とぶっ込んで会場中の爆笑をさらい、英美さんに「これからお相手のベンが出てきますけど(笑)」とツッコまれ、その後、相手役の(上野)聖太さんが出てきても普通にやりとり(笑)。ま、役の上の話だってみんな分かってるわけですけどね(爆)。

ちなみに上野さんは自己紹介で「ベンの父親を演じました上野聖太です」で会場中の爆笑をさらい(笑)、このペア本当になんなんだ(褒め言葉)。

なお、アフターライブで本来のペアが揃ったのはRiRiKA&上野ペアが史上初だそうです。

聖太氏が珍しくMCが走っておらず、「調子悪いの?ねぇ調子悪いの?」とツッこんでるRiRiKAさんが面白すぎ(笑)

主にRiRiKAさんがもっと喋りたそうでしたが、後方から巻きが入ったことに旦那さん(聖太さん)ともども気づき、締めに入ろうとするもなかなか締まらなかった…ところ、みづ紀ちゃんが一言「歌いましょう。」とはっきり宣言され、綺麗にまとまりました。「みんな漢前だから」by聖太さん

そういえば、1人赤のど派手なドレスだったRiRiKAさん、ステージ上でもツッコまれてましたが、公演を拝見するために前方通路から後方席に向かう際、本来は下手の通路なのに上手の通路を上がっていって、「あ、間違えた」と「会場中かなり広範囲に聞こえるひとりごと」を仰ったうえで、下手の通路に向かっていかれ、その時点でかなりの方に気づかれていました(笑)

ソワレのアフターライブのメンバーは、
1曲目の3人エイミーが、遠山さやかさん、岡村さやかさん、稲田みづ紀さん。
岡村さん&稲田さんはTipTap『Second Of Life』のAチーム以来の共演ですね。
2曲目のベンが、多田さんと西川大貴さん。

エイミー&英美さんのトークで面白かったのは今回のエイミーの衣装の話。
実は今回、エイミーの衣装が変わっていて、更に今回のエイミーお2人でも違います。
インパクト凄いのが遠山エイミーの衣装で、まさかの「豹柄」(笑)。

英美さん「(遠山さん)見たときに目が点になっていましたよね
遠山さん「そうなんですよ、これ着れるのか(って心配でした)」
岡村さん「お衣装素敵でしたよ。」
みづ紀さん「自前ですか?」
英美さん&遠山さん「衣装さんが持ってこられました」

英美さん「エイミーって尊いですよね。特にこの曲(「This Time」)は女性のいいところだけを歌っているようなところがありますから。(エイミーって)素敵ですよね」
遠山さん「(エイミーは)素敵ですけど
岡村さん「(エイミーは)素敵です」(力強く)
バンドメンバー(小澤さん、成尾さん、石貝さん)「(なぜか爆笑)
岡村さん「なんかバンドメンバーが笑いすぎなんですけど(笑)」←おぉツッコんでる(笑)

…「エイミーが」素敵という話の流れの中、岡村さんが自身のことを「素敵」と力説されたように聞こえて、噴いたみたいです(爆)。ちなみに派手に笑ってたのは小澤先生(笑)

マチネもソワレも、同じ役の方が歌うのに、それぞれの色が色濃く出るのは楽曲の力ならでは。
エイミー曲で言えば、マチネは下手側にRiRiKAさん、中央に田宮さん、上手側にみづ紀さん。
比較的普通に歌われるみづ紀さん。本編の雰囲気引っ張る田宮さん、エンジンかけまくって「マイクスタンド握ってまで歌い上げる」RiRiKAさんという、三者三様が面白かったです。

歌い終わって…
英美さん「やっぱりRiRiKAさん泣いてますね」
RiRiKAさん「はい(笑)」

ソワレは下手側に岡村さやかさん、中央に遠山さやかさん、上手側にマチネと同じくみづ紀さん。
衣装では岡村さやかさんが青緑系で異色ということで、マチネ同様に下手側が衣装的にも目立つ(爆)。

3人一緒に歌っていると、遠山さんはやはり色々な意味でまっすぐで、みづ紀さんもかなり似通ったところにあるところに対して、岡村さやかさんはエイミーの準レジェンド(複数のベンと演じたことがあるのは、田宮さん以外は清水彩花ちゃんと岡村さやかさん)なだけあるのと、ご本人の歌唱の特性からして、「演じるように歌われる」様が3人歌いでさえ、はっきりと感じます。自分自身のオリジナルエイミーなので、優しく包み込むように存在するエイミーをまたこの日拝見できたことは僥倖でした。

・・・

今回が9回目(9期目)の公演になるそうな『Before After』。
次はとうとう10回目(10期目)の公演ということで、せっかくなので10シーズン目記念での記念キャストとかお願いしたいところ。レジェンド同士の染谷ベン&田宮エイミーとか、是非見てみたいところです。

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『リトルマーメイド・イン・コンサート』

2018.2.11(Sun.) 18:00~20:40
日本武道館 1階SEブロック F列1桁番台

ディズニーイベントD23 expo Japan 2018(2月10日から開幕)記念で開催されることになった「リトルマーメイド」フィルムコンサート。
東京はこの日2回と翌日1回、日本武道館。
大阪は今週水曜日(14日)、大阪城ホールでの開催となります。

日本武道館は「Starsコンサート」と「I Love musicals(新妻聖子さん出演)」そして今回と3回目ですが、どうにも個人的な印象としてキャパが大きすぎて手に余るというか苦手意識がありまして、ようやっと3回目で迷わず席まで行けました(笑)。恐らく席番号がユニーク(一意)じゃないのがその理由なのかと。アリーナと1階席、2階席までならまだしも、「南東(SE)」とかの方角まで含めないと場所が決まらないのが苦手な理由なのかと。たぶん国技館も苦手なタイプです私(爆)。

第1部の頭ではディズニーレジェンド、アランメンケン氏の弾き語り。今回のリトマだけでなく、『美女と野獣』『ノートルダムの鐘』といった作品の名曲を次々とメドレーで弾かれていき、MCでその後井上芳雄氏も仰っていましたが氏の美声もあいまって素晴らしかったです。

司会の方は氏の登場前に全員立ち上がってのお出迎えを促していて、客席から苦笑してしまいましたが、むしろ終わったら拍手しながらスタンディングしたいぐらい凄かった。本来はそういうものですよね。

このパートの後は、司会の方と、ジャングルポケット斉藤氏と井上芳雄氏の3人でのMC。
芳雄氏はここで相変わらずの芳雄節を発揮してまして。

プリンス20年やってきましたが最後のプリンスという気持ちで頑張ります」

(笑)。
実は映画にはエリック王子の歌はないそうですが、劇団四季版(ミュージカル版)の歌詞で2部で歌われていました。

そう、来て初めて認識したんですが、この日は元敷きは映画なので、劇団四季版(ミュージカル版)とは似て非なる進行なんですね。自分自身は映画は見たことなくて、劇団四季版(ミュージカル版)を東京で3回、福岡で2回(今年3月を含む)見ているだけに、むしろ映画版の進行はかなり新鮮でした。

このイベントに行くことにしたのは、アリエルの姉の長女・アクアータ役で綿引さやかさんが出演されることがかなり早い時期(芳雄さんより発表は早かった)から発表されたからですが、映画版は姉妹の登場シーンは凄い少ないんですよね。むしろ、事前収録のコーラスワークの方が多かったのかもしれません。

舞台版を見慣れているとアリエルシスターズはそれぞれ色でビジュアル分けされていて、アクアータは黄色ですが、今回の衣装デザイナーさんのインスタを拝見する限り、特に姉妹の色指定はなかったようです。高畑充希ちゃんが歌ったアリエルの水色とのバランスで選ばれたそうで、びびちゃんはソフトなピンクでした。

芳雄さんがMCで「劇団四季の方は出てきません」と仰っていて客席からどっかん反応をもらってましたが、唯一びびちゃんだけ、劇団四季版に出演経験があるんですよね。それもあってか、また長女ということもあってか、積極的に姉妹のまとめ役として動かれていた感じが頼もしかったです。

さて、それではセットリストです。

◆セットリスト
0.アラン・メンケンメドレー(弾き語り)

(●印は生歌パート)
 1.海の底で
 2.メイン・タイトル
 3.ファンファーレ
●4.トリトンの娘たち(アリエルシスターズ)
●5.パート・オブ・ユア・ワールド(高畑)
 6.花火
 7.ジグ
 8.嵐
●9.パート・オブ・ユア・ワールド(リプライズ)(高畑)
●10.アンダー・ザ・シー(KREVA)
 11.デストラクション・オブ・ザ・グロット
●12.海の上の世界(リプライズ)(岡)
 13.フラットサム&ジェットサム
 14.哀れな人々
●15.不幸せな魂(マルシア)
●16.あの声(井上)
●17.レ・ポワソン(斉藤)
 18.ベッドタイム
 19.ツアー・オブ・キングダム
●20.一歩ずつ(井上)
 21.キス・ザ・ガール(KREVA&アリエルシスターズ)
●22.もしも(高畑・井上・KREVA・岡)
 23.婚礼の告知
 24.エリックの救助
 25.ハッピー・エンディング(全員)

●26.パート・オブ・ユア・ワールド(ジョディ・ベンソン)

[アンコール]
●27.アンダー・ザ・シー
 (アラン・メンケン&ジョディ・ベンソン&オールキャスト)

キャスト別に感想を。

アリエル役は高畑充希ちゃん。朝ドラ主演もされて、一般的には女優さんのイメージが強くなったかと思いますが、元は舞台女優でピーターパンもされていました。ミュージカル女優さんの憧れの役の一つであるアリエル役の大きさをご存じで、かつご自身初の武道館ということもあり、強心臓の彼女にしては表情が驚くほど強張っていてびっくり。公演2回目ということで歌声はちゃんと出ていたのでそこは一安心。今回は四季さんが公式には関係していないのでこのポジションに選ばれるような知名度のある女優さんの中では充希ちゃんはベストな選択だったと思います。強運ですよね。

エリック役は井上芳雄さん。武道館は「Starsコンサート」以来ですかね。「ラストプリンスかも」と笑いを取りに行っていましたが(爆)、スマートな王子ぶりを見せていました。意識して少し若めに歌われていた感じもしました。充希ちゃんとはたしか初共演なんですよね。「もしも」のカルテット(4人曲)でのバランスがとても良かったです。

トリトン王役は岡幸二郎さん。ご自身コメントで「王子(おうじ)じゃなく親父(おやじ)で」と笑いを(笑)取られていましたが、王としての威厳を持ちつつ、娘たちに対する深い愛情も感じられる素敵なお父様でした。岡さんを最初に拝見したころはもっと独立独歩というか、周囲を寄せ付けにくいイメージがあったのですが(あくまでイメージです。岡さんの初見は2003レミのジャベールなのでなおさら)、いい意味でオープンになられた印象を受けます。

アースラ役はマルシアさん。もう笑っちゃう位イメージぴったり(笑)。容赦なく悪役に徹する辺りが流石プロ。色々感情こじらせた末の哀しみみたいな様が印象的。フィルム版で一番存在感があったのはアースラですかね。フィルム版、後半あそこまでとんでもない振る舞いしてると思ってなかったです。あれは確かに舞台じゃできない(爆)。

セバスチャン役はKREVAさん。キャスト聞いたとき「ぴったり!」と思った印象通りに弾けますが、ご自身のステージと少し違って、「自分を前面に出す」のを意識して抑えている感じが流石です。色々な点でステージ馴れされていて、出すぎずセバスチャン以上にも未満にもならないその絶妙な塩梅に拍手です。それでいて最後の盛り上げどころでは積極的に盛り上げ役を買って出るところがさすがのKREVA節。今回のメンバー意外に盛り上げ役がいなかったんですよね。

シェフ・ルイ役はジャングルポケットの斉藤さん。ミュージカル好きというのは存じ上げていますが生歌は今回初めて。キャラにもぴったりだったし、指揮のマイケル・コザリン氏(アラン・メンケン氏の右腕と紹介されていました)をネタとはいえ押しのけて指揮しまくる様が笑えました。

アクアータ役、そしてコーラスを担当された綿引さやかさん。アリエルシスターズのお姉さまとして、また唯一の四季版出演キャストとして出演という不思議な立ち位置。ディズニーファンとして、ミュージカル女優として夢が現実になったポジションではありつつも、この日は映画版メインということで正直出番は多いとは言えない部分があって。楽しそうな様を拝見してもちろん嬉しさは感じつつ、”一歩ずつ”でも更なる高みを目指してほしいと、強く強く感じずにはいられなかったのでした。

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Galaribbon「Another Door」

2018.2.11(Sun.) 13:00~15:55
SARAVAH東京(渋谷)

活動開始10周年、そして再開1周年のTMA(東宝ミュージカルアカデミー)1期生ユニットのGalaribbon。
池谷祐子さん、岡村さやかさん、本井亜弥さんのお3方。
再開ライブ以来の今回のライブは、第1部が劇構成(オムニバスストーリー)、第2部がミュージカルライブという、面白い試み。

第1部はそれぞれ1人ずつメインのストーリーということで、3作品。それぞれメンバーが演じたい作品を持ち込んで、ながたく氏(永野拓也氏)が演出。

ネタバレ行きますので明日ご覧になる方は回れ右でーーーー。





行きますよ?

今回のGalaribbon、
第1部は三者三様の病み方
第2部は三者三様の光り方
が印象的で(笑)

第1部のトップバッターは岡村さやかさん。お題は「うらむらさき」。樋口一葉さんの未完の作品だそうで、文体が完全に昔の言葉ということもあり、やんさん曰く「最初この本を岡村さんがやりたいと言ってきた時になんだか全然分からなかった(笑)」そうで。それでも稽古しているうちに、さやかさんが何を思ってこの作品を演じられたいと思ったのか分かってきたと仰っていました。

物語的には、物分かりの良い旦那様に従順でありそうに見せながら、その実その立場を利用して裏であんなことやこんなこともやっちゃう、大人しさの中にある二面性のようなものを表現した作品。
役柄的には直近の『しゃばけ弐』のお雛ちゃんが性格黒いとこの役になる感じ(爆)。

さやかさんの演じる役は(少なくとも私が観るようになってからは)優しい、内向的な役が多いように思いますが(『BIRDMAN』のドロシーのみ力強く除く)、ご自身のMCから拝聴するに、「自身の持つ黒い部分に対して、それが赦されるものなのか自問されている」ことに、この作品が琴線に触れた部分があったように感じます。

このドラマはそれぞれ1人3曲を劇中に入れて構成していますが、さやかさんパートの1曲にジキハイのルーシーのソロが。娼婦という立場なのにかかわらず、というかだからこそ、ルーシーのピュアさを表現したこの曲がこのストーリーに入ってきたのが、逆説的に興味深かったです。
なんだかんだで黒いさやかさん、実に楽しそうなんですよね(笑)。

2作品目は池谷祐子さんの「サロメ」。副題が「片思いが過ぎるサロメ」って時点で、やんさんワールドの発動が予感できるわけですが。某「ダンシング・ヒーロー(荻野目洋子さん)」で髪ぶんぶん振り回して踊りまくるやんさんに爆笑。
サロメは預言者ヨカナーンに片思いをして、ヨカナーンが欲しくてほしくて、最後はヨカナーンの生首を得るけれども、傍から見れば片思いが過ぎた結果、結局なにも得ていない。
「他人がどう思うより、自分がどう思う方が大事」というあたりが、やんさんがこの物語を選んだ部分に感じました。

3作品目は本井亜弥さんの「ロビンのおじいさま」。本井さんがおばあさん役で、2人(さやかさん、やんさん)が道に迷ってやってきた先が、そのおばあさまの家。物語の始まる前に本井さんがこの作品を選んだ理由を話されていたのですが、「普通に見える人にも実は歴史があって、ドラマがある。それを描いているこの作品がやりたかった」と。本井さんの演じるおばあさまが、何だか過去に縛られているかのような、「幸せになる権利は私にはない」と語っていらっしゃるように見えて胸を突かれます。2人の無邪気な、自分を求めてくれる姿に救われるような姿は、とりわけ今回の3作品の中でも一番、「この3人だからこそGalaribbon」という部分を表現されていたように思えました。

第1部のセットリストです。フォロワーさんご協力感謝です。

<さやかさんパート>
1.デンジャラス・ゲーム/ジキル&ハイド
2.Feeling Good/マイケル・ブーブレ
3.千の夜を越えて/Aqua Timez

<やんさんパート>
1.けもの道/Cocco
2.ダンシング・ヒーロー/荻野目洋子
3.カブトムシ/aiko

<亜弥さんパート>
1.Nessun Dorma/トゥーランドット
2.(主催者発表待ち)
3.懐かしい歌を/Once Upon A December

そんな、三者三様の病み方(爆)から打って変わって、第2部はいつものライブ進行。
会場内もちょっと安心した感じが(笑)

セットリストです。

●第2部 ※特記なき限り3人
1.Longest Time/movin' out
2.Super Trouper/マンマミーア
3.under the sea/リトルマーメイド
4.My Favorite Thing/サウンド・オブ・ミュージック
5.Shall We Dance?/王様と私
6.I got rhythm/クレージーフォーユー
7.墓場にて/オペラ座の怪人(岡村)
8.Dancing Through Life/Wicked(3人+大野)
9.Someone like you/ジキルとハイド(池谷)
10.Don't Rain On My Parade/ファニー・ガール(本井)
11.I will never love you/サイド・ショウ
12.I Love you,愛の果ては?
  /I Love you,愛の果ては?(3人+大野)

【アンコール】
13.I will follow him/天使にラブソングを(3人+大野)

今回の選曲で一番興味深かったのは3人のソロ。
ジキハイといえばさやかさんの定番でしたが、今回はやんさんに変わり、さやかさんはなんとクリスティーヌ。その上「Think of Me」で来ると思ったら「墓場にて」だったのが意外でした。父親に必死に助けを求めるさま、なるほど面白い選曲でした。

「2人で1人」な『サイド・ショウ』のラストナンバーも、編曲して「3人で1人」にした流れも絶品だし、ゲストの大野朋来さん(いい声!やんさんがほぼ1回だけ共演したきっかけという『だけ』でゲスト出演を依頼したそうです爆)入ってのM12(自分的にはなうちぇんじ(I Love you,you're perfect,now change)の言い方の方がしっくりですが)も楽しかったし、第1部と違った意味であっという間でした。

この後の出演予定のMCしていたとき、3月の『A CLASS ACT』が、さやかさんとやんさん、アカデミー卒業公演以来の共演という話をさやかさんがされたら、本井さんが「私いない(いじいじ)」とツッコみ。
かと思えば4月1日(銀座ボンボン)の『親の顔が見てみたい(シルベスター・リーヴァイ特集)』ではやんさんと本井さんが組むので、さやかさんがいない(笑)、という着地点がない(笑)MCが面白かったです。

今回の新趣向が今後どう展開していくのか興味津々ですが、3人でしか見られない世界、3人だからこそ見られる世界がこれからも続いていくことを願っています。

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