« 『リトルマーメイド・イン・コンサート』 | トップページ | 『ジキル&ハイド』(6) »

『Before After』(11)

2018.2.17(Sat.) 12:00~14:20
 法月・田宮ペア D列2桁番台(上手側)

2018.2.17(Sat.) 16:00~18:20
 多田・遠山ペア D列1桁番台(下手側)

中目黒キンケロシアター

半年ぶりの再演、中目黒『Before After』祭りに行って参りました。

作品初演は2014年11月で、私は2015年8月公演(吉祥寺)の内藤大希さんベン&岡村さやかさんエイミーで拝見して作品の魅力に触れ、それ以来ほぼ全ペアを見ていますので、この日も1日で両ペア見られるこの日を選択しました。

上演は今回9期目(吉祥寺5期、中目黒2期、北千住1期、日暮里1期)。
歴代のキャストはベンが17人、エイミーが14人、ペアは19ペア。
そのうちベン14人、エイミー12人、14ペア見ています。ずいぶん見てますね(苦笑)。

マチネのアフターライブでレジェンド(今回で4回目の出演で、今回の法月氏が3人目のベン)な田宮さんがいみじくも仰られていましたが、「上演が始まってわずか4年しかたっていない」のは確かに驚きです。

そう、この日は実は、後追いの発表でマチネ・ソワレともにアフターライブが追加され、とってもお得なマチソワになりました。

まずは、本編の感想から。

マチネで感じたのは、レジェンド田宮エイミーの、でも、いつもと違う佇まい。

田宮さん(たみー)はご自身のキャラクターからして、今までのエイミーでは姐御肌で演じられることが多かったですが、今回はその得意手を封印され、法月ベンを立てることに徹していて、とってもチャーミング。キャラクター的にはmyオリジナルエイミーな、岡村さやかエイミーに似ている感じを随所に感じました。

四角四面なエイミーが、ベンと出会うことで変わっていく様が、それ故にとってもわかりやすく見えて。

ベンも言っていますが、
エイミーってとっても「正しい」んですよね。
それに対して、ベンはとっても「自由」

ベンにとって、エイミーの正論は耳に痛いけれども、本能的にそのことを受け入れなきゃいけないことをわかっている。
エイミーにとって、ベンは自由すぎて、自身の規定概念からは飛び出した存在だけれども、本能的にそのことに対して憧れを持っている。

「正しくあるべき」という自らの考え故に、前に踏み出せないエイミーと、「自由にありたい」という自らの願望故に、安住の地を見つけられないベン

お互いがお互いを必要とする様がとても感じられるペアでした。

法月ベンはピュアでスマートな感じ。歴代ベンでは、内藤(大希)氏が一番近いイメージで、次いで田村(良太)氏が近いかも。

法月ベンと田宮エイミーの化学反応で一番印象に残ったのが、後半でエイミーがベンに投げつける「あなたはいつでも逃げてきた。あなたはいつでも切り捨ててきた」という言葉。
この言葉をエイミーから投げつけられた時のベンの反応が凄く哀しそうで。

両親もいない自分にとって、初めて守りたいと思った女性に、自分のことを分かってくれていなかったかのような言葉を投げつけられたことに、ベンがどれだけ傷ついたか、それが法月ベンからは強く感じられました。

エイミーは、ベンに対してこともなげに「あなた(ベン)は私とパパには勿体ないと思っているんでしょ」と言っていて、やはり「恵まれて生きてきた女性」なんですね。ベンを終始立てるように振る舞った今回のたみーのエイミーだったけれど、役柄上のコアな部分では、そういった上から目線の部分を持った女性。「同じ歩幅で歩こう」という約束に応えられていなかった自分、ベンへの心からのお詫びがあってこそ、再び次の一歩を歩きだせるということなのですね。

きっとベンにしてみれば、「望んで逃げてきたわけでもないし、ましてや望んで切り捨ててきたわけでもない」と言いたかったのでしょうが、それをあの時のエイミーに言っても詮無き事ということなのかと。

法月&田宮ペアで感じたのは、ベンとエイミーの関係性。

1幕最後、エイミーはベンに「離さないで」と願う。
2幕最後、ベンはエイミーに「離れないで」と願う。

エイミーはベンに自分の手を離さないように願い、
ベンはエイミーに自分の手から離れないように願う。

ベンとエイミーは自ら手を離さない限り、
2人の手は繋がったままになる。

ベンとエイミーの関係が永遠に続くことを感じられる素敵なラストでした。

・・・

ソワレは、『Before After』初登場ペア。

多田直人さんは演劇集団キャラメルボックスの団員さんで、今作が初ミュージカル。
遠山さやかさんは劇団四季出身の女優さん。14人いる歴代エイミーで、実に3人目の「さやかエイミー」になります(岡村さやかさん、綿引さやかさん、遠山さやかさん)。

キャストが発表されて、今回一番楽しみにしたのが多田さん。

キャラメルボックスに『無伴奏ソナタ』という作品があって、大好きな作品なのですが(今年再演されます)、その作品で主演していたのが彼。演技バランスが良くて、身体力がある素敵な俳優さんだと思っていました。

→その時の感想こちら

ミュージカル初出演とはいえ、キャラメルボックス出身の方は芝居にテンポがあるので、見ていてもとても心地良いです。

ベンとしてもとても軽やかに動き回り、客席までも味方にできそうな多田ベン。ベンのレジェンド、染谷洸太氏タイプ(3回出演で2ペア)に似たタイプ。寺元(健一郎)くんもこのタイプに似ている感じ。

その相手役、エイミーは遠山さやかさんは初見ですが、多田ベンとの芝居の空気感がぴったり。
初日を拝見した知人曰く、初日はど緊張されていたそうですが、この日はその片鱗もなく。
高音歌唱が素敵で、その歌唱からエイミーの四角四面さを感じさせつつ、ベンによって解きほぐされていく流れがとても良くて。エイミー曰く「どうしていつもこの手にひっかっちゃうんだろうなぁ」が説得力ありすぎなのが、多田ベン&遠山エイミーの化学反応。

彼女はタイプ的には松原凜子さんと似たような印象を受けて、というのも高音を得意とする方の場合、感情が伝わりくいように見えかねないわけですが、エイミーだと元々が「心を開けない」方なわけで、そこから氷が溶けていくかのように警戒心が解けていく様が自然で。とてもいい芝居勘をされていて、他の役でも拝見したい女優さんです。
(似ていると書いた凜子様にも同じようなことを感じていて、高音が得意なのにエポニーヌの感情が伝わるのは興味深いです。)

あ、そういえば、マチネのたみーエイミーは「いっぺん死ね」、ソワレの遠山エイミーは「時々いっぺん殺したくなるわ」でした。何となく本人希望での2択な気がしますね、これ(笑)。

エイミーの鋭い攻撃は、たみーの攻撃力はいつものことですが、遠山エイミーの怖さもまた違った怖さがありまして(笑)、「無視したらただじゃおかないわよオーラ」が凄かった(爆)。
エイミーの強い圧力をひょいっと避ける多田さんのベンというのもなかなか面白くて、ぜひまた拝見したいペアです。

ふと振り返ると、今までのエイミーって皆さんミュージカル女優さんだったので、それが見る側の意識として染み込んでいたところがあったのですが、四季さん出身とはいえ、ミュージカル女優ぽくない彼女のエイミーはとても新鮮で、また相手役の多田さんもミュージカルぽいわけではないので、そのバランスがとても興味深くて。
ミュージカルぽくない、多田ベンと遠山エイミーの「芝居が呼吸しあっている感じ」がとても良かったです。

・・・

それではアフターライブレポ。

アフターライブはマチネ・ソワレとも曲目は同じで、
1曲目はエイミー3人による「This Time」。
2曲目はベン2人・エイミー3人による「As Long As You're There」。

マチネは1曲目のエイミーが、田宮華苗さん、RiRiKAさん、稲田みづ紀さん。
当初は初演キャストの清水彩花さんの予定でしたが、彩花さんが体調不良のため、ソワレ出演予定の稲田みづ紀さんが、マチネも出演されました。

2曲目はベンが加わり、法月さんと上野聖太さん。

司会進行はプロデューサーの吉田英美さんで、最初は「レジェンド」田宮さんとのトークでしたが、田宮さんが本編終演後で精根尽き果てた感じもして、いつもの切れ味がなかった感じ。が、RiRiKAさん、みづ紀さんを呼び込んだら、RiRiKAさんがMCでぶっ飛ばし始めて、たみーはそこにツッコむモードになったんで、問題は無事解決しました(笑)。

何しろ、RiRiKAさん「久しぶりに拝見しましたが、ベンひっどいやつですねー」とぶっ込んで会場中の爆笑をさらい、英美さんに「これからお相手のベンが出てきますけど(笑)」とツッコまれ、その後、相手役の(上野)聖太さんが出てきても普通にやりとり(笑)。ま、役の上の話だってみんな分かってるわけですけどね(爆)。

ちなみに上野さんは自己紹介で「ベンの父親を演じました上野聖太です」で会場中の爆笑をさらい(笑)、このペア本当になんなんだ(褒め言葉)。

なお、アフターライブで本来のペアが揃ったのはRiRiKA&上野ペアが史上初だそうです。

聖太氏が珍しくMCが走っておらず、「調子悪いの?ねぇ調子悪いの?」とツッこんでるRiRiKAさんが面白すぎ(笑)

主にRiRiKAさんがもっと喋りたそうでしたが、後方から巻きが入ったことに旦那さん(聖太さん)ともども気づき、締めに入ろうとするもなかなか締まらなかった…ところ、みづ紀ちゃんが一言「歌いましょう。」とはっきり宣言され、綺麗にまとまりました。「みんな漢前だから」by聖太さん

そういえば、1人赤のど派手なドレスだったRiRiKAさん、ステージ上でもツッコまれてましたが、公演を拝見するために前方通路から後方席に向かう際、本来は下手の通路なのに上手の通路を上がっていって、「あ、間違えた」と「会場中かなり広範囲に聞こえるひとりごと」を仰ったうえで、下手の通路に向かっていかれ、その時点でかなりの方に気づかれていました(笑)

ソワレのアフターライブのメンバーは、
1曲目の3人エイミーが、遠山さやかさん、岡村さやかさん、稲田みづ紀さん。
岡村さん&稲田さんはTipTap『Second Of Life』のAチーム以来の共演ですね。
2曲目のベンが、多田さんと西川大貴さん。

エイミー&英美さんのトークで面白かったのは今回のエイミーの衣装の話。
実は今回、エイミーの衣装が変わっていて、更に今回のエイミーお2人でも違います。
インパクト凄いのが遠山エイミーの衣装で、まさかの「豹柄」(笑)。

英美さん「(遠山さん)見たときに目が点になっていましたよね
遠山さん「そうなんですよ、これ着れるのか(って心配でした)」
岡村さん「お衣装素敵でしたよ。」
みづ紀さん「自前ですか?」
英美さん&遠山さん「衣装さんが持ってこられました」

英美さん「エイミーって尊いですよね。特にこの曲(「This Time」)は女性のいいところだけを歌っているようなところがありますから。(エイミーって)素敵ですよね」
遠山さん「(エイミーは)素敵ですけど
岡村さん「(エイミーは)素敵です」(力強く)
バンドメンバー(小澤さん、成尾さん、石貝さん)「(なぜか爆笑)
岡村さん「なんかバンドメンバーが笑いすぎなんですけど(笑)」←おぉツッコんでる(笑)

…「エイミーが」素敵という話の流れの中、岡村さんが自身のことを「素敵」と力説されたように聞こえて、噴いたみたいです(爆)。ちなみに派手に笑ってたのは小澤先生(笑)

マチネもソワレも、同じ役の方が歌うのに、それぞれの色が色濃く出るのは楽曲の力ならでは。
エイミー曲で言えば、マチネは下手側にRiRiKAさん、中央に田宮さん、上手側にみづ紀さん。
比較的普通に歌われるみづ紀さん。本編の雰囲気引っ張る田宮さん、エンジンかけまくって「マイクスタンド握ってまで歌い上げる」RiRiKAさんという、三者三様が面白かったです。

歌い終わって…
英美さん「やっぱりRiRiKAさん泣いてますね」
RiRiKAさん「はい(笑)」

ソワレは下手側に岡村さやかさん、中央に遠山さやかさん、上手側にマチネと同じくみづ紀さん。
衣装では岡村さやかさんが青緑系で異色ということで、マチネ同様に下手側が衣装的にも目立つ(爆)。

3人一緒に歌っていると、遠山さんはやはり色々な意味でまっすぐで、みづ紀さんもかなり似通ったところにあるところに対して、岡村さやかさんはエイミーの準レジェンド(複数のベンと演じたことがあるのは、田宮さん以外は清水彩花ちゃんと岡村さやかさん)なだけあるのと、ご本人の歌唱の特性からして、「演じるように歌われる」様が3人歌いでさえ、はっきりと感じます。自分自身のオリジナルエイミーなので、優しく包み込むように存在するエイミーをまたこの日拝見できたことは僥倖でした。

・・・

今回が9回目(9期目)の公演になるそうな『Before After』。
次はとうとう10回目(10期目)の公演ということで、せっかくなので10シーズン目記念での記念キャストとかお願いしたいところ。レジェンド同士の染谷ベン&田宮エイミーとか、是非見てみたいところです。

|

« 『リトルマーメイド・イン・コンサート』 | トップページ | 『ジキル&ハイド』(6) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/66405055

この記事へのトラックバック一覧です: 『Before After』(11):

« 『リトルマーメイド・イン・コンサート』 | トップページ | 『ジキル&ハイド』(6) »