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『TENTH』(2)

2018.1.14(Sun.) 17:30~20:25
シアタークリエ 18列10番台(センターブロック)

シアタークリエ開場10周年記念公演『TENTH』、第2期がこの日からスタートです。
既にマチネで観劇された知人やTL上のセットリスト報告を巧みに見過ごし(爆)、クリエ入りです。

第2期第1部は2009年に上演された石丸さん主演の『ニューブレイン』。本編で見たことがなくて今回初見です。
ミュージカル曲の作曲を夢見る主人公に来る仕事は、子供番組の曲作りばかりで、そんな自分にもやもやする日々。恋人志望の女性が寄り添うも、本人は実はゲイ。そんな彼は女性との食事中に異変を発し、病院に運び込まれ、そこで脳に問題があることを告げられる。
彼の未来は、そして取り巻く人々はどうするのか。

…といった導入部からの物語。「ブレイン」は「脳」ですから、つまり「新たな脳」がテーマですね。

今回、第1部の3作品中本編を見たことがあるのは第3期の『この森で、天使はバスを降りた』なので、今回の『ニューブレイン』で3作見終わったことになりますが、共通点としてのポイントは『再生』なのですね。人が苦しみに追い詰められたとき、窮地に立たされたときに、それでも前を向いて進んでいこうとする物語、という意味でこの3作は共通しているように思います。

前回も書きましたが、今回の3作品は『再演しにくいけれど再演したい作品』というスタンスで選択されたように思っていて。

第1期の『next to normal』は”本公演を実現したい”というパワーに圧倒されたことが印象的。演出をされた上田一豪さんが”人生で一番印象に残った作品”と言われるだけあって、氏の主宰されているtiptapの通称「LIFE三部作」にも強い影響を与えたであろうことがはっきり感じられる出来。

『Count Down My Life』の”30に近いのに代表作も作れずもがいている脚本家”は、『next to normal』の作品観に圧倒されたことから氏の無力感がシンクロしているように(勝手にですが)思えたし、『second of life』は夢も恋も両方を手に入れることは結局できないかのような、一種の諦めを感じたし、『play a Life』は”大切な人を失う”という点で一番『next to normal』とのシンクロ感を感じて。

『失ったことを認められなければ先には進めない』という思いが、『second of life』ではラストで”進めない現実”そのもので描いていたのに対して、『play A Life』では”失ったことを認めたからこそ、自分の中に溶けていく”ことが表現されていて、LIFE3部作で『next to normal』に対する上田さんなりの答えを提示されたのかなと思えて、それゆえ、”本公演を実現したい”という思いが説得力を帯びて伝わってきたように思えて。そして、それが出演者の方のオーラにも反映していたように思えたのです。

安蘭さんのダイアナしかり、海宝さんのゲイブしかり、村川さんのナタリーしかり。

…というのを見た後だっただけに、『ニューブレイン』はその”熱意”という意味で少し後塵を拝さざるを得なかったのかなと。まぁ、自分がLIFE3部作を見ていて『next to normal』にちょっとバイアスがかかっているという点は認めざるを得ませんけれども。

石丸さんはジキハイに代表されるように最近は役と役者さんがぴったりフィットしたように思いますが、『ニューブレイン』の頃はまだ、しっくりくるかどうかを模索していた段階の作品に思えて、その辺も自分の中にちょっとしっくりしない部分を感じてしまったのかもしれません。

・・・・

第2部のガラコンサートは、予測はしていましたが新妻聖子姫無双。

第1期でも第1部と第2部のメインは変えられていて、両部出られる方は2部のメインにはならない、ということで1期で両方出た海宝さんは2部のメインではなくてあっきーが2部を担当。

それからすれば、2期で両方出る石丸さんは2部のメインではないわけで、結論としてこのメンバーで2部のメインになるのは聖子さんしかいらっしゃらないわけですが。

第1期から比べると少なめな11曲(でも1期も1月9日は11曲、以外は12曲)のうち、聖子さんは何と5曲に登場して、カーテンコールに至ってはラスト曲を歌ってからの流れということもあり、普通にセンターにおられ(爆)、「新妻聖子さんと4人の男性たち」という驚くべき空間が出現しておりました(笑)。何しろ第1期は全部で10人(うち女性3人)で埋めていたあの空間を、5人(女性は聖子さんただ一人)で埋めていたわけですから、聖子さん流石です。

それでは第2期第2部セットリストです。恐らく聖子さんが出られる日はこのセットリストで固定と思われます。

●第2部セットリスト
1.翼を拡げて/GOLD(石丸)
2.腕の中の女/GOLD(新妻)
3.愛の学習/GOLD(石丸・新妻)
4.天使の園/GOLD(伊礼)
5.GOLD/GOLD(新妻)
6.We Were Dancing/アンナ・カレーニナ(伊礼)
7.長い長い日曜日/BLOOD BROTHRES(藤岡・田代)
8.言わない気持ち/BLOOD BROTHERS(田代)
9.あいつに/BLOOD BROTHERS(藤岡・田代)
10.SUDDENLY/トゥモロー・モーニング(新妻・田代)
11.Fly,Fly,Away/CATCH ME IF YOU CAN(新妻)

第1期第2部が『ジャージーボーイズ』推しだったのに比べると、第2期第2部は『GOLD~カミーユとロダン~』推し。聖子さんのコンサートでM5『GOLD』は何度か聞いていますが、5曲続けて聞くと、その作品の重さが懐かしく思い出されます。

MCはM3の後に伊礼さんも呼び込んでの、師弟ぺア(愛人ペア)と姉弟ペアでのMC。

石丸さん「カミーユとロダンは先生と生徒という」
伊礼さん「一番しちゃいけない過ちですよね」
聖子さん「ロダンは結婚はしていないんですよね」
石丸さん「事実婚なんですよね。マリア…」
聖子さん「ローズですよね、客席からツッコミ入ってますよ(笑)」
石丸さん「そうです(汗)」

伊礼さん「あんなに食べているのに日に日にやつれていったもんね」
聖子さん「(笑)。稽古場に窓がなかったので更に追い詰められていきまして」
伊礼さん「そうそう。石丸さんと聖子さん、それと演出の白井(晃)さんの3人で籠ったとき、中からすごい叫び声とか呻き声とか、なんか投げる音とか聞こえてきて。何やってたの?」
聖子さん「芝居です(笑)」
会場  「(笑)」

伊礼さん「聖子さん、ただの『王家の紋章』好きの女の子なのにね」
聖子さん「(笑)。そうなんです。『GOLD』の時は私が姉、伊礼さんが弟でしたが、去年上演した『王家の紋章』では伊礼さんがお兄さん、私が妹でした」

伊礼さん「それにしても聖子さん曲紹介お上手ですよね。
      私の曲(『天使の園』)もやっていただいていいですか(笑)」
聖子さん「えー(とちょっとだけ躊躇いつつも)、『これから伊礼さんに歌っていただく『天使の園』という曲は敬虔なクリスチャンであるポールが、不倫をしている姉に対して不道徳を説き、不倫を止めて自分の元に帰ってきてくれれば受け入れる、そう歌われている曲です。お聞きください』」

伊礼さん「ほらやっぱりお上手(拍手)」

聖子さん「(ちょっと照れ)、その後に私が歌う『GOLD』という曲ですが、カミーユが天に召された後、魂が戻ってきて…あ、そこでMCの巻きランプ(赤色)が点灯していますね(会場笑)…カミーユの人生は悲劇としか言いようがないと思いますけれども、それでもカミーユにとって『私は確かに私の『GOLD』、大切なものに触れたんだ』そう歌い上げる曲になります。それでは2曲続けてお聞きください」

会場  「(拍手)」

…石丸さんは2人のMCのテンポに圧倒されつつ、上手く相槌挟んでおられました。

ちなみにこのM4で伊礼氏が姉に不倫を指弾した後、M6のアンカレが不倫の歌というのが、誰ですかこのセトリ考えた人(笑)

MCの第2のパートは、聖子さん&まりおくんのパート。つまりトゥモモの枠です。
第2期で聖子さんが出ない日、まりおくん&石井カズさんとの組み合わせの日があるそうなのですが(『トゥモローモーニング』は離婚前日のカップル(石井カズさん&島田歌穂さんが演じられました)と結婚前夜のカップル(聖子さんと万里生くんが演じられました)のストーリー)、

万里生くん「石井カズさんと似たように見せないといけない日があって」
聖子さん 「スペイン行ってこないとダメかも(笑)」

…も笑いました。

曲として自分がこの日一番のヒットだったのはM11『Fly,Fly,Away』を久しぶりに聞けたことかな。

この曲は『Catch Me If You Can』の後半、愛する彼が結婚詐欺師だったことが発覚して自らの前から姿を消した後、自分の思いを再確認するかの如く、聖子さん演じるブレンダが思いを歌い上げる曲なのですが、自分がこの曲の聖子さんで好きなのは『歌い上げだけど歌い上げじゃない』ってところなんですよね。

昔の聖子さんなら朗々と歌い上げて終わったかもしれないこの曲を、”ブレンダの気持ちをぎりぎりで止める”ように意識してブレーキを掛ける、その歌の「技術とハートの相乗効果」に痺れるんです。これは『GOLD』にも同じ面を感じるのですが、歌えるからこそ、登場人物のハートを最大限表現するように力を絞って表現するさまが、流石と思わずにいられません。

カーテンコールは前述のとおり、まさかの聖子さん0番(どセンター)でそれが不自然なく嵌る空間。
女性プリンシパルでクリエ4作(『GOLD』『プライド』『トゥモロ―モーニング』『Catch Me If You Can』+ドラロマシリーズ)というのはかなり多い方ですよね。

聖子さん「麗しい男性の皆さまに囲んでいただいて嬉しいです」
藤岡くん「麗しいのは石丸さんはじめそちら(下手側)だけで」
聖子さん「何言ってるの赤いチェックのベスト素敵よ」
藤岡くん「いえいえ、7歳児でして」
聖子さん「いやいや、魂は7歳だったと思うよ!」

・・・・という、壮絶に綺麗な漫談(爆)で第2期初日は幕を閉じたのでした。

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