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2018年1月

『TENTH』(4)

2018.1.25(Thu.) 18:30~21:30
シアタークリエ 19列20番台(上手側)

2018.1.30(Tue.) 18:30~21:30
シアタークリエ 2列1桁番台(下手側)

シアタークリエ10周年記念公演『TENTH』3期です。

第1部は念願の『この森で、天使はバスを降りた』のショートバージョン。
日本初演は2009年、ヒロインのパーシーは大塚千弘さん、ちーちゃんが演じられていました。

今回のショートバージョンは第1期から第3期まで唯一、メインが初演キャストと異なっていて、つい少し前まで『ダディ・ロング・レッグス』でヒロインをされていた坂本真綾さん、まーやさんが演じられました。

作品として大がつくほど好きで、クリエの歴代作品を並べても確実に5本の指に入る好きな作品だけに、ちーちゃんじゃないことで少しくの残念な思いを抱えつつ、でもほぼ10年ぶりの再演を楽しみにしていて…結果、素晴らしかったです。

本編より短縮された70分バージョンですが、演出の小林香さんがエッセンスを巧みにまとめ上げ、作品の空気感をしっかり残しながら、ちーちゃんパーシーとまた違ったまーやさんパーシーが生き生きと存在していました。

主人公のパーシーはとある事情により服役。刑期が明けて向かおうとした先が、誰かが置いていった観光ガイドのとある写真、紅葉美しいギリアドの街。この森にバスで降り立ったパーシー、そこから物語は始まります。

パーシーの役作りはちーちゃんとまーやさんで大きく違って、はっきり違って感じるのはパーシーの他者へとの接し方の違い。

ちーちゃんパーシーは、『鋭利な刃物』ってイメージで、『触るもの皆傷つけた』ってイメージ。
まーやさんパーシーは、『重厚な鈍器』ってイメージで、『触るもの皆叩き壊した』ってイメージ。

ちーちゃんは可愛い子系の方向性なので、「あの娘がこんな言葉遣いで、こんな振る舞いで」というサプライズ感がありますが、まーやさんはどことなく影がある雰囲気を最初から出していて、訳ありな感じを見せている面、少しサプライズ感は薄かったかと。噂好きな田中利花さん(爆)じゃなくても何か気づくようなところがあって。

ちーちゃんは『やけっぱち』、まーやさんは『やさぐれ』ぐらいな違いはあります(笑)
他者と距離を置きながらも、実は他人との接点を欲している、という様はちーちゃんの方が強かったかな。まーやさんパーシーは、自らが他人から相手にされないことを自分の罪、と感じている様が強い感じ。

初演キャストに思い入れがあると、どうしても見る側からしても初見では冷静な目で見られないようなところはあるので、2回見てようやく、まーやさんパーシーの役どころを落ち着いて見られたかなと。その上、まーやさんも役を手の内に入れてきた感じがあって、カーテンコールで自ら両側のキャスト(土居さんと剣さん)に手を繋ぎに行っていたので、ご自身なりにも納得できた部分があったのではないかと思います(まさか、まーやさんがそうすると思わなくて、しばし気づかなかった土居さんと剣さんがあわあわしてる様も面白かったですが(笑))。

この物語を9年ぶり(初演は2009年)に拝見して思うのが、この物語に出てくる登場人物に共通するのが『不信』というところ。刑務所から出てきたばかりのパーシーは他人を信じられず、ギリアドに住む人々は自分を信じられない、『自信』を持っていないという対照的なさま。
そんな両者がお互い、自分の持つ良さに気づかないところから変わっていく様が何度見ても素敵。
パーシーのハートの温かさを最初から見抜いていたシェルビーだけでなく、町の皆(一名除く)がパーシーの前向きさに心奪われ、何もないと思っていた自分たちの街の素敵さに気づかされていく。

この物語で好きな歌詞に『なんにもないけどすべてがある』という歌詞がありますが、それはパーシーとギリアドに掛けているのかなと。身一つで塀の中から外に出され、たった一つの写真を頼りにギリアドにやってきたパーシーは、まさに『なんにもない』存在ながら、人が持つべき温かいハート『すべて』を持っている。ギリアドは住む人にとっては『なんにもない』存在だけれど、パーシーに言わせれば『すべて』を持っている場所。

パーシーはギリアドの森に触れて、ギリアドの人々に触れて、心が再生していき、ギリアドの人々もパーシーに触れて、自らの地の良さを認識して、失った自信を取り戻し、心が再生していく。

とりわけ、パーシーがハンナの息子であるイーライに語り掛ける様は強く印象に残って。
パーシーも罪人であり、イーライも罪人。

自らの罪ゆえにハンナの元に戻れないイーライに対して、パーシーは自分の過去を曝け出すかのように対する。パーシーはあけっぴろげな振りをしながらも、実際のところ好き好んで自分の過去を曝け出したいわけじゃないはずで。パーシーは自ら(本当は)触れたくない部分を明かして説得するからこそ、イーライの心も動く。罪人であれ、罪を償えば森が、光が、自然が赦してくれる、その空気感が変わらず素敵です。

パーシーが過去から逃げないからこそ、ハンナも過去から逃げないことを選べた。過去と向き合うからこそ未来が開けてくる。その様が短縮版でも余すことなく表現されていたことに拍手です。

・・・

第2部のガラコンサートは日替わり。

●1月25日ソワレ 2部セットリスト
1.Seasons Of Love/RENT
 (村井・藤岡・米倉・ソニン・宮本・田中・上木・Spi)
2.One Song Glory/RENT(藤岡)
3.Tango Maureen/RENT(村井・宮本)
4.Take Me Or Leave Me/RENT(ソニン・宮本)
5.I'll Cover You/RENT(米倉・田中)
6.I'll Cover You(Reprise)/RENT
 (村井・藤岡・米倉・ソニン・宮本・田中・上木・Spi)
7.What You Own/RENT(村井・藤岡)
8.Finale B/RENT
 (村井・藤岡・米倉・ソニン・宮本・田中・上木・Spi)
9.君に分かる?/ZANNA ザナ~a musical fairy tale~
 (渡部・高垣・上木・東山)
10.いつか来るかもしれない日
 /ZANNA ザナ~a musical fairy tale~
 (田中)
11.Extra Love/ZANNA ザナ~a musical fairy tale~
 (渡部・高垣・田中・上木・東山・Spi・岡田)
12.Love Heals(全員)

25日は「RENT」と「ZANNA」の混成で2作品のみで2部を構成。第1期、第2期はもっと多くの作品を組み合わせるパターンだったために新鮮です。「RENT」は正に作品の空気感そのものという感じで、作者のジョナサン・ラーソン氏がこの日が命日(NY時間なので日本時間ではずれるそうですが)ということもあり、作品のパワーが前面に漲っていました。

とりわけソニンちゃんの八面六臂の大活躍(ミミとモーリーンを役ごとにいったりきたり)で、特にM4「Take Me Or Leave Me」の宮本美季さんとのデュエット&絡みは最強すぎました。

作品後半は「ZANNA」からの曲。上演期間が短かった(1週間強)だったため、私も拝見していませんでしたが、このパートを担当された高垣(彩陽)さんの作品紹介MCが絶品で、本編も見たくなりました。作品紹介MCといえば第2期の新妻聖子さんの作品紹介MC(注:レミを除く)が絶品ですが、それに勝るとも劣らない滑らかさ、かつ作品への愛が感じられて素敵でした。お名前は存じ上げていたのですが声優さんの方なんですね。

この日の2部の構成は「愛」というテーマでトリビュート的につないだ構成で、いかにも小林香さん的な作り。第1期、第2期ではできなかったことなのかな、とふと思ったのでした。


●1月30日ソワレ セットリスト
1.幸せの秘密(Reprise)/ダディ・ロング・レッグス
 (井上・坂本)
2.世界で一番分からない人/ダディ・ロング・レッグス
 (坂本)
3.チャリティー/ダディ・ロング・レッグス
 (井上)
4.この世界を越えて/ハムレット(井上・昆)
5.Be Not Be/ハムレット(井上)
6.この世界を越えて2/ハムレット(昆)
7.海の見える広場/シェルブールの雨傘(井上・白羽)
8.Watch What Happens/シェルブールの雨傘(白羽)
9.もし君に告げたら/ウェディング・シンガー(井上・高橋)
10.一緒にトシとろうよ
 /ウェディング・シンガー(井上・高橋)
 ※芳雄氏ギター弾き語り
11.君の結婚式/ウェディング・シンガー
 (井上・昆・白羽・高橋)

30日は井上芳雄祭り(坂本真綾さんご命名(笑))ということで、今回の『TENTH』で芳雄氏に”どんな企画やりたいですか”という話があって、”今までご一緒した方(女性)とご一緒したい”とリクエストして、自称「ハーレム」状態に(爆)。

ということで曲順はまーやさんとのダディが前半3曲に。この日と31日のみ、ガラコンサートが前半で、作品が後半ですが、これはまーやさんの負担を考えてな気がします。「ここが終わったら『この森~』の準備に入りますのでもう出てきません」と仰っていたのでそうかなと。
棒読みの曲紹介なまーやさんに実に楽しそうにツッコむ芳雄さん。ビバ同級生ペア。

その次のパートは昆ちゃんとの『ハムレット』ペア。
『ハムレット』の思い出は、と昆ちゃんに振ったら「公演初日に芳雄さんが歌ってた歌詞が稽古とほとんど違ってた。意味は似てたのでプロって凄いなと思った」という巨大爆弾を落っことして芳雄さんがあわあわ(笑)。「それディスってるの?」とまで言った末に、「東宝の某先輩で作詞がお得意な方がいらして伝統を引き継いでいるんです(原文は実名)」とまで言わされました(笑)

芳雄さん「お昼のお客さんは拍手が控えめで」
昆ちゃん「夜のお客さんには拍手たくさんいただけて」
芳雄さん「じゃぁ昼夜両方ご覧になっている方はどうすれば」
昆ちゃん「拍手を先導していただければ」

・・・というやり取りに芳雄さん感嘆。

「昆ちゃん、MCの腕上げたよね」と言われてました(笑)。

その次のパートは白羽さんとのシェルブール(実際には日生でのペア。クリエでやった時は野々すみ花さん)。実は初見ペアだったのですが素敵な大人の雰囲気でした。
ちなみに、一昨年テレビドラマで共演された(TBS系『わたしを離さないで』)とき、他の共演の方に「実は共演したことあるんですよ」って話をしたら、主演の綾瀬はるかさんに「ここでやって見せてよ」って無茶ぶりされた挙句、「畳の上でできませんよー」って抵抗はしたものの、結局やってみせたそうです(爆)

WSのパートは高橋愛ちゃんと。愛ちゃんに「芳雄さんってMCも無茶苦茶お上手ですよね、どこに向かっているんですか?」って問われて「喋れちゃうんだよね」って返してたのも相変わらず(笑)。ギターは久しぶりということで自宅で弾いてみたら、思いっきり弦が切れたそうで、今回再調整してもらったとか。でも実は緊張してて、芳雄氏は緊張すると手に汗で出るそうで。愛ちゃんに「芳雄さんも緊張するんですね」って問われて「するよー」って答えてたのが面白かった。その距離感が。

1幕最後のWS「君の結婚式」は、まーやさん以外の女性3人(愛ちゃん、昆ちゃん、白羽さん)との共演で客席降りまでありのバージョン、女性陣のドレス可愛かった!
青の愛ちゃん、赤の昆ちゃん、大人っぽい白羽さんの組み合わせ。白羽さんのドレスはちょっとこの曲には大人っぽいかな?と思ったりもしましたが。

客席大盛り上がりで1幕をつつがなく終えて、2部『この森で、天使はバスを降りた』に入っていったのでした。

今回の『TENTH』、芳雄さんが真綾さんとのMCで語ったところによれば、全部で173曲あったとのこと。
TENTHバンドの皆さんにも拍手です。

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『野の花』

2018.1.28(Sun.) 16:30~19:00
ウッディシアター中目黒

以前から作品名だけは聞いたことがあったのですが、実のところこの日が初見。
中々都合がつかず、この回千穐楽にぎりぎり滑り込みました。
実際の到着もぎりぎりだった理由が、キンケロと勘違いしてたとは口が裂けても(以下略)…
キンケロのチケットもぎりのスタッフさん、ありがとうございます(←気づいてもらいました)

特段意識しているわけはなかったのですが、実はこの日は私、何十何回目(回数略)かの誕生日、ということでバースデー観劇というわけで、そのポジションに相応しい、心に残る観劇になりました。

この物語のメインは、リーザとルイーゼという二人の女の子。
ドイツ人のリーザと、ユダヤ人のルイーゼ、そして時はナチスドイツ直前からど真ん中の時期、となれば時代の波に翻弄される様が想像付くわけですが、それだけに、2人の心の強い強い結びつきが感動を誘います。

今回公演はWキャストですが、この回は星組。リーザは平川めぐみさん、ルイーゼは千田阿紗子さん。
生まれつき足が不自由で、学校でもいじめられているリーザのことを、ルイーゼはいつも気にかけて助けてくれる。なぜ自分を助けてくれるか分からないリーザは、ルイーゼになぜ助けてくれるのか聞くと、ルイーゼはこともなげに「他に助けたいと思う人がいないから」と宣う。もちろんルイーゼは興味半分でリーザを助けているわけではなくて、リーザのことを好きだからこそ助けてる。助けてほしいと言われていないけど、助けたいと思うから助ける。

一部前半、リーザの内気な様と、ルイーゼの勝気な様が上手くキャラクターとマッチング。はっきりしているのは千田さんのやりたい放題モード(爆)がルイーゼにぴったり。学校始まって以来の問題児っていうのは行動そのまんまですよね(笑)。この役はかつて岡村さやかさんと田宮華苗さんもされているとのことですが、たみーは想像付くんですが、さやかさんはずいぶん雰囲気違ったんでしょうね。でも親身になる感じはとっても想像付きます。

めぐみさんと千田さんとのバランスがとっても良くて、リーザはルイーゼがいてくれたから、少しずつ自信をもっていって、ルイーゼはリーザがいるから、学校の中でもぎりぎりはみ出さないでいられる。
そんな2人の様を時代が引き裂いていって、ユダヤ人であるルイーゼは、自らの居場所を名実ともになくしていくけれども、リーザはずっとルイーゼのために全力で動く。内気な様はどこへやら、ルイーゼのためならなんだってやる。

ルイーゼからリーザへの支えが決して打算でも憐みでもなかったと同じように、リーザがルイーゼのためにすべてを尽くした様も、これまた打算でも憐みでもない。大切な親友のために、できるすべてを尽くす。ユダヤ人にとってすべてを奪ったドイツ人であるのに、ルイーゼもリーザがいるから「全てを嫌いにはなれない」と話す。

内気な様から打って変わって自らの手で運命を切り開くリーザを平川めぐみさんが好演。「大切な人のためなら強くなれる」様は、役柄的に『アイのおはなし』のアイ役と被る部分もあったかも。

ルイーゼを演じた千田阿紗子さんはご自身のキャラクターであるサバサバチャキチャキという面を前面に出して1部で存分に笑いを取っていた反面、後者はいつもの役どころらしからぬ、憎しみに満ちた目で新鮮でした。その分、「らしくない」からこそ、めぐみさんのリーザの献身的な思いが、ルイーゼの凍った心を溶かす流れに説得力が増したように思えます。

リーザは本質的に賢くて、
ルイーゼは本能的に賢い。

リーザは本能的に優しくて、
ルイーゼは本質的に優しい。

2人のリーザとルイーゼを見て、そう思えて。

2人で1つ。かけがえのない親友。2人の奇跡のペアの様が伝わってきました。

この作品はミュージカル座の作品ですが、音楽は流れるものの、ラスト以外に歌はなく、かなり珍しい作品といえますが、実際のところ流れる音楽との呼吸は、やはりお2人がミュージカル女優であってこそ。

久田菜美さんが紡ぎ出した楽曲は、物語に流れ込んで溶け込んで、物語を前と進めていく。時にはゆっくり、時には激しく、時には間を置いて。その音楽の波(nami)に上手く乗れるのは、やはりお2人のスキルがあってこそと感じて。「音楽が物語を動かし、作品が心を動かす」という点で、やはりミュージカル座の作品なのだなと、感じさせられたのでした。

リーザが晩年に、孫であるイーダに言い聞かせた展開も素敵で、ルイーゼが生きた意味、リーザが生きてきた意味を両方とも感じさせる素敵なラスト。助けを拒んでいたルイーゼが最後の最後にリーザに頼みごとをできたのも感動的。ルイーゼがリーザを頼れたからこそ、2人は本当の親友になれたのだと思うし、リーザはルイーゼのためにも生き続けられることができたのだと信じられる素敵なストーリーでした。

お2人のことしか触れませんでしたが、他出演者も素敵な方ばかり。
とりわけこの作品のレジェンドであるリーザの父、森田浩平さんはとりわけ印象的。リーザの聡明さを導き出したと想像がつく知性、この時代の知識人としての苦悩、リーザへの信頼が深く感じられて。

2部制ということで中々ストレートプレイではない試みかと思いますが、作品の力と音楽の力と出演者の力で間延びを感じさせず、また拝見したい作品が1つ増えて嬉しかったです。

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『TENTH』(3)

2018.1.17(Wed.) 18:30~21:20
シアタークリエ 13列20番台(上手側)

『TENTH』2期、my楽です。
1部の『ニューブレイン』見られる時間に退勤できるか微妙でしたが、何とか済ませてクリエへ。

2期最初に見たときに、正直ピンとくるものが感じられなかった同作、もう一度見てみてどういう感想を持つかと思って1部から見たわけですが、元々全編に亘っての物語性が希薄なのか、それとも1時間に縮めたことで希薄になっているのか、その辺りがちょっとわからず。

時期的に石丸さんの四季卒業後第1作ということで、reborn(再生)的な要素を絡めたのかなというのを改めて感じはしますが、クリエ10thでの、はっきりとした色合いを出せた作品ではなかったように思えました。主人公が心を入れ替えたから奇跡が起きたのか、周囲の人たちの温かさ故に奇跡が起きたのか、それともそれらとは関係なく奇跡は起きるときは起きるのか、その辺が噛み合っていないように思えて、どうも作品の流れが腑に落ちないで終わった気がします。

出演者ではじゅりぴょん(樹里さん)のキャリアウーマンが新鮮。実のところ宝塚男役出身なんですよね。宝塚一のMC超人という印象しかないのですが(爆)、主人公を見つめ見守るいじらしい佇まいが素敵です。看護師役&店員さん役だった中村百花さんの飛び道具具合もツボ。空気読めずに突っ走る感じが面白すぎました。

それにしても2期で1部・2部通しの伊礼氏のポジションが面白すぎる。1幕で石丸さん演じる主人公に人の道を説き、2幕で新妻さん演じる姉にも人としての道を説きながらも、MCを境に、「愛する気持ちは止められない」と不倫を肯定する立場なのが(笑)

そんなトークが満載だったのがこの日2部の『GOLD』コーナー。
作品と役の説明は、私が初日に見たときは聖子さん主導でしたが、この日は石丸さん・伊礼さんを含めたクロストーク。

石丸さん「女性が手に職を付けられない時代、カミーユの才能は陽の目を見ることなかったんですよね」
聖子さん「でもロダンもそんな状況を利用しているようなところがありましたよね」
石丸さん「そうだね。それでカミーユを自分の元に置いておけるかのような。才能は認めていて自分以上だと思っていた部分も感じるし」
聖子さん「ロダンはそんな立場も利用してがっつり迫って愛してくれてましたしね(笑)」
石丸さん「そんな2人の関係を見て心配していたのがポールで」
伊礼さん「そうです」
聖子さん「カミーユはロダンの元を離れ、最後は家族にも見放されて精神病院でその命を閉じることになるですが、最後、精神病院に入れる許可のサインをしたのがこの…」
伊礼さん「そう私、弟のポールなんです」
聖子さん「サインしてくれちゃって(笑)」
伊礼さん「ポールも苦しんでるんですよ」
聖子さん「そうなんですよね。私(カミーユ)はもう発狂したように地べたはいずり回っていますからね。しょうがないですよね」
石丸さん「でも幼い頃は姉が弟に二人羽織みたいにじゃれてて」
伊礼さん「そうなんですよ。無邪気にじゃれあってきたりで」
聖子さん「そうそう」
伊礼さん「なのに大人になったらこんな人(※原語通り)のところに行って(笑)」
聖子さん「(パー子笑い)」
石丸さん「え、近親●●よりいいじゃない

…さすがクリエのソワレなトーク(笑)

そして伊礼さん絶賛の、聖子さんの曲紹介はこの日も健在。
『天使の園』から『GOLD』に至る、滑らか過ぎる曲紹介で、『GOLD』に至っては聖子さん、曲紹介中ほとんど息継ぎせずに紹介しきって客席から感嘆と拍手が上がっていました。

そしてその2曲の後のアンカレトークは伊礼氏の独壇場。
アンカレの不倫相手のお2人の女優さんのことのお1方は「子羊のよう」と喩えられ、もう1方のことを「暴れ馬」と喩えられておられました。大丈夫でしょうか(爆)

その先は『BLOOD BROTHERS』で、2期は弟が藤岡くん、兄が万里生くん。
1曲目の「長い長い日曜日」が終わった後のMCで、弟が兄に対しておやつをカツアゲする(藤岡くん談)のですが、この日万里生くんが差し出したのがまさかのコカ・コーラ500ml(爆笑)。

開けると当然吹き出してクリエの舞台上にコーラが吹きこぼれ、下手側に万里生くんがモップを借りに行くという、どんな事態(笑)
そしてそこから藤岡くんが一気飲みするという、会場圧巻のパフォーマンスが繰り広げられ、会場中から喝采を浴びておられましたが、さすがに飲み終わった後は逆流しそうになるそうな(爆)。

「仕返しされそうで怖い」と万里生くんは手遅れなコメントをしていました(笑)

その後1曲デュエットされた後は、藤岡くん退場で万里生くんが聖子さんを呼び込み、『トゥモローモーニング』パートへ。

万里生くん「そこ(センター0番)気を付けてくださいね、濡れてますから、というかべたついてますから(笑)」
聖子さん 「何があったんですか?楽屋のモニター小さくて何か飲んでるんだろうなって思ってたんですが」
万里生くん「藤岡くんがコーラの一気飲みをしてまして」
聖子さん 「あの人凄いですね」
万里生くん「藤岡くんも色々とおやつ食べてますが、この作品(『トゥモローモーニング』)では聖子さんも…」
聖子さん 「え、私もコーラ一気飲みするんですか?(会場内爆笑)」
万里生くん「いえいえ、まさか。」
聖子さん 「私、今それ言われて腹くくりましたよ
万里生くん「でもやれると思ったでしょ」
聖子さん 「いやまぁやれますけど(笑)」

…さすがにされませんでしたが(爆)

とひとしきり仲良しカップルなトークをされた後、この作品の役どころの話に。

万里生くん「この作品で聖子さんが演じられたキャットって役ですけど、それこそ猫っぽいですよね」
聖子さん 「うーん、猫っぽいかなぁ。おきゃんな感じだとは思いますが。え、おきゃんって死語ですか?
万里生くん「うん」
聖子さん 「やばいーーーーーーー!(客席へ呼びかけ)おきゃんって分かる方!(客席からそれなりに拍手)ほら!客席は私の味方!
万里生くん「7歳なんですいません」

(笑)

というなかなか面白いカップルトークを楽しみました(笑)
聖子さんとここまでフラットに会話される俳優さんって珍しいので貴重なMCでした。

聖子さんとフラットという意味では、2期2部カーテンコールで隣になる藤岡くんとも別のフラット感。

聖子さん「よくコーラ一気飲みできるよね」
藤岡くん「コツがあるんですよ」
聖子さん「簡略化して言える?」(←必殺の聖子無茶ぶり技)
藤岡くん「泡立てると量が多くなっちゃうので、流し込むように入れていくとできるんです。昔どこかのステージ上でやったことがあります」
聖子さん「(簡略じゃなかったので興味失った感)」←(笑)
藤岡くん「でも1.5リットルは勘弁してください(笑)」

でもなー、藤岡くんBBのMCでとんでもない暴走コメントしたからなー。21日どうなるだろうなー(爆)。

何はともあれ、聖子さん1日お休みを挟んで迎えたこの日、聖子さんファン大集合って感じで色々楽しかったです。21日は見られないので、行かれる方のレポを楽しみにしております。

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『TENTH』(2)

2018.1.14(Sun.) 17:30~20:25
シアタークリエ 18列10番台(センターブロック)

シアタークリエ開場10周年記念公演『TENTH』、第2期がこの日からスタートです。
既にマチネで観劇された知人やTL上のセットリスト報告を巧みに見過ごし(爆)、クリエ入りです。

第2期第1部は2009年に上演された石丸さん主演の『ニューブレイン』。本編で見たことがなくて今回初見です。
ミュージカル曲の作曲を夢見る主人公に来る仕事は、子供番組の曲作りばかりで、そんな自分にもやもやする日々。恋人志望の女性が寄り添うも、本人は実はゲイ。そんな彼は女性との食事中に異変を発し、病院に運び込まれ、そこで脳に問題があることを告げられる。
彼の未来は、そして取り巻く人々はどうするのか。

…といった導入部からの物語。「ブレイン」は「脳」ですから、つまり「新たな脳」がテーマですね。

今回、第1部の3作品中本編を見たことがあるのは第3期の『この森で、天使はバスを降りた』なので、今回の『ニューブレイン』で3作見終わったことになりますが、共通点としてのポイントは『再生』なのですね。人が苦しみに追い詰められたとき、窮地に立たされたときに、それでも前を向いて進んでいこうとする物語、という意味でこの3作は共通しているように思います。

前回も書きましたが、今回の3作品は『再演しにくいけれど再演したい作品』というスタンスで選択されたように思っていて。

第1期の『next to normal』は”本公演を実現したい”というパワーに圧倒されたことが印象的。演出をされた上田一豪さんが”人生で一番印象に残った作品”と言われるだけあって、氏の主宰されているtiptapの通称「LIFE三部作」にも強い影響を与えたであろうことがはっきり感じられる出来。

『Count Down My Life』の”30に近いのに代表作も作れずもがいている脚本家”は、『next to normal』の作品観に圧倒されたことから氏の無力感がシンクロしているように(勝手にですが)思えたし、『second of life』は夢も恋も両方を手に入れることは結局できないかのような、一種の諦めを感じたし、『play a Life』は”大切な人を失う”という点で一番『next to normal』とのシンクロ感を感じて。

『失ったことを認められなければ先には進めない』という思いが、『second of life』ではラストで”進めない現実”そのもので描いていたのに対して、『play A Life』では”失ったことを認めたからこそ、自分の中に溶けていく”ことが表現されていて、LIFE3部作で『next to normal』に対する上田さんなりの答えを提示されたのかなと思えて、それゆえ、”本公演を実現したい”という思いが説得力を帯びて伝わってきたように思えて。そして、それが出演者の方のオーラにも反映していたように思えたのです。

安蘭さんのダイアナしかり、海宝さんのゲイブしかり、村川さんのナタリーしかり。

…というのを見た後だっただけに、『ニューブレイン』はその”熱意”という意味で少し後塵を拝さざるを得なかったのかなと。まぁ、自分がLIFE3部作を見ていて『next to normal』にちょっとバイアスがかかっているという点は認めざるを得ませんけれども。

石丸さんはジキハイに代表されるように最近は役と役者さんがぴったりフィットしたように思いますが、『ニューブレイン』の頃はまだ、しっくりくるかどうかを模索していた段階の作品に思えて、その辺も自分の中にちょっとしっくりしない部分を感じてしまったのかもしれません。

・・・・

第2部のガラコンサートは、予測はしていましたが新妻聖子姫無双。

第1期でも第1部と第2部のメインは変えられていて、両部出られる方は2部のメインにはならない、ということで1期で両方出た海宝さんは2部のメインではなくてあっきーが2部を担当。

それからすれば、2期で両方出る石丸さんは2部のメインではないわけで、結論としてこのメンバーで2部のメインになるのは聖子さんしかいらっしゃらないわけですが。

第1期から比べると少なめな11曲(でも1期も1月9日は11曲、以外は12曲)のうち、聖子さんは何と5曲に登場して、カーテンコールに至ってはラスト曲を歌ってからの流れということもあり、普通にセンターにおられ(爆)、「新妻聖子さんと4人の男性たち」という驚くべき空間が出現しておりました(笑)。何しろ第1期は全部で10人(うち女性3人)で埋めていたあの空間を、5人(女性は聖子さんただ一人)で埋めていたわけですから、聖子さん流石です。

それでは第2期第2部セットリストです。恐らく聖子さんが出られる日はこのセットリストで固定と思われます。

●第2部セットリスト
1.翼を拡げて/GOLD(石丸)
2.腕の中の女/GOLD(新妻)
3.愛の学習/GOLD(石丸・新妻)
4.天使の園/GOLD(伊礼)
5.GOLD/GOLD(新妻)
6.We Were Dancing/アンナ・カレーニナ(伊礼)
7.長い長い日曜日/BLOOD BROTHRES(藤岡・田代)
8.言わない気持ち/BLOOD BROTHERS(田代)
9.あいつに/BLOOD BROTHERS(藤岡・田代)
10.SUDDENLY/トゥモロー・モーニング(新妻・田代)
11.Fly,Fly,Away/CATCH ME IF YOU CAN(新妻)

第1期第2部が『ジャージーボーイズ』推しだったのに比べると、第2期第2部は『GOLD~カミーユとロダン~』推し。聖子さんのコンサートでM5『GOLD』は何度か聞いていますが、5曲続けて聞くと、その作品の重さが懐かしく思い出されます。

MCはM3の後に伊礼さんも呼び込んでの、師弟ぺア(愛人ペア)と姉弟ペアでのMC。

石丸さん「カミーユとロダンは先生と生徒という」
伊礼さん「一番しちゃいけない過ちですよね」
聖子さん「ロダンは結婚はしていないんですよね」
石丸さん「事実婚なんですよね。マリア…」
聖子さん「ローズですよね、客席からツッコミ入ってますよ(笑)」
石丸さん「そうです(汗)」

伊礼さん「あんなに食べているのに日に日にやつれていったもんね」
聖子さん「(笑)。稽古場に窓がなかったので更に追い詰められていきまして」
伊礼さん「そうそう。石丸さんと聖子さん、それと演出の白井(晃)さんの3人で籠ったとき、中からすごい叫び声とか呻き声とか、なんか投げる音とか聞こえてきて。何やってたの?」
聖子さん「芝居です(笑)」
会場  「(笑)」

伊礼さん「聖子さん、ただの『王家の紋章』好きの女の子なのにね」
聖子さん「(笑)。そうなんです。『GOLD』の時は私が姉、伊礼さんが弟でしたが、去年上演した『王家の紋章』では伊礼さんがお兄さん、私が妹でした」

伊礼さん「それにしても聖子さん曲紹介お上手ですよね。
      私の曲(『天使の園』)もやっていただいていいですか(笑)」
聖子さん「えー(とちょっとだけ躊躇いつつも)、『これから伊礼さんに歌っていただく『天使の園』という曲は敬虔なクリスチャンであるポールが、不倫をしている姉に対して不道徳を説き、不倫を止めて自分の元に帰ってきてくれれば受け入れる、そう歌われている曲です。お聞きください』」

伊礼さん「ほらやっぱりお上手(拍手)」

聖子さん「(ちょっと照れ)、その後に私が歌う『GOLD』という曲ですが、カミーユが天に召された後、魂が戻ってきて…あ、そこでMCの巻きランプ(赤色)が点灯していますね(会場笑)…カミーユの人生は悲劇としか言いようがないと思いますけれども、それでもカミーユにとって『私は確かに私の『GOLD』、大切なものに触れたんだ』そう歌い上げる曲になります。それでは2曲続けてお聞きください」

会場  「(拍手)」

…石丸さんは2人のMCのテンポに圧倒されつつ、上手く相槌挟んでおられました。

ちなみにこのM4で伊礼氏が姉に不倫を指弾した後、M6のアンカレが不倫の歌というのが、誰ですかこのセトリ考えた人(笑)

MCの第2のパートは、聖子さん&まりおくんのパート。つまりトゥモモの枠です。
第2期で聖子さんが出ない日、まりおくん&石井カズさんとの組み合わせの日があるそうなのですが(『トゥモローモーニング』は離婚前日のカップル(石井カズさん&島田歌穂さんが演じられました)と結婚前夜のカップル(聖子さんと万里生くんが演じられました)のストーリー)、

万里生くん「石井カズさんと似たように見せないといけない日があって」
聖子さん 「スペイン行ってこないとダメかも(笑)」

…も笑いました。

曲として自分がこの日一番のヒットだったのはM11『Fly,Fly,Away』を久しぶりに聞けたことかな。

この曲は『Catch Me If You Can』の後半、愛する彼が結婚詐欺師だったことが発覚して自らの前から姿を消した後、自分の思いを再確認するかの如く、聖子さん演じるブレンダが思いを歌い上げる曲なのですが、自分がこの曲の聖子さんで好きなのは『歌い上げだけど歌い上げじゃない』ってところなんですよね。

昔の聖子さんなら朗々と歌い上げて終わったかもしれないこの曲を、”ブレンダの気持ちをぎりぎりで止める”ように意識してブレーキを掛ける、その歌の「技術とハートの相乗効果」に痺れるんです。これは『GOLD』にも同じ面を感じるのですが、歌えるからこそ、登場人物のハートを最大限表現するように力を絞って表現するさまが、流石と思わずにいられません。

カーテンコールは前述のとおり、まさかの聖子さん0番(どセンター)でそれが不自然なく嵌る空間。
女性プリンシパルでクリエ4作(『GOLD』『プライド』『トゥモロ―モーニング』『Catch Me If You Can』+ドラロマシリーズ)というのはかなり多い方ですよね。

聖子さん「麗しい男性の皆さまに囲んでいただいて嬉しいです」
藤岡くん「麗しいのは石丸さんはじめそちら(下手側)だけで」
聖子さん「何言ってるの赤いチェックのベスト素敵よ」
藤岡くん「いえいえ、7歳児でして」
聖子さん「いやいや、魂は7歳だったと思うよ!」

・・・・という、壮絶に綺麗な漫談(爆)で第2期初日は幕を閉じたのでした。

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『TENTH』(1)

2018.1.5(Fri.) 18:30~21:20
シアタークリエ 17列20番台(上手側)

新年仕事始め日、この日が今年の観劇初めとなりました。

シアタークリエ10周年記念公演『TENTH』は初日が前日の4日ソワレでしたが、会期中1,2を争うチケット難で入手できず、かと思えば4日は体調を崩していたので、結果この日が初日で良かったのですが。

仕事柄、新年仕事始め日は年末年始の後始末で大わらわになるのですが、何とか諸々の技を駆使して切り抜け、意外と空いていた内堀通りを飛ばしていただき、開演5分前にクリエ着。1階ロビーに掲示されているクリエちゃん勢ぞろいをカメラに収め、会場入りします。

地下ホワイエに掲示されている10周年のフライヤー群は既に10周年入りした『ダディ・ロング・レッグス』時点から変わっていないのでこちらはちらっと眺めるのみで客席へ。

今回の『TENTH』は2部構成で、1部が期変わり(3期制)での作品凝縮版(90分)、2部がガラコンサート(60分)。1部の1期は『Next to normal』(2013年上演)で、上田一豪さんが演出を担当されています。

上演当時には見ていなかった作品なので今回のダイジェスト版が初見でしたが、テーマも重く。
主人公の女性・ダイアナが双極性障害を持ち、その女性を取り巻く夫、娘の関係を描いていきます。

あ、ネタバレ入ります




物語を見ていくにつれ感じたのが、作品タイトルをどう読むか、ということ。

「Next」という英語からはどうしても「次」を予測してしまうわけで、「普通の次」という印象でこの作品の先入観を捉えたのですが、どうも違う。

あえて言うのならば「『普通』の『となり』」という本編の言葉の方がしっくりくる。

主人公のダイアナは、「『普通』に生きる」ことをすべきとずっと思い続けてきながら、それができずに生きてきて、その結果かどうか双極性障害という場にいる。その母親への接点、母親からの感情を受けた思いがない娘にとっても、「『普通』に生きる」という”枠組み通りの生き方”はできなくている。音楽をやっていても、形が決まっているクラシック音楽を演奏するのには耐えられない。その意味で母と娘は似てはいるのに、お互いが向かい合う機会がなく。溝は広がるばかり。

様々な治療を経て、「残っていてほしい記憶」と「消えてほしい記憶」が皆にとってすべからく都合の良いようには残り消えはしない、という当たり前の事実に直面しながら、2歩下がり1歩進むような時を過ごしていく皆。そこに”存在”する大きな登場人物の存在が強烈で印象的。

「『普通』に生きる」という概念の中からは飛び出した登場人物だけに、ダイアナにとっては忘れたい過去であり、しかしながら忘れようもない過去でもあり、忘れられない過去でもある。

だけれども、実は「『普通』に生きる」という概念から解き放たれてみれば、その登場人物の存在も認めることができる。それは、向かい合う機会がなかった娘との、「『普通』に生きなくてもいいんだ」という意味での共感にも繋がってきて。

母と娘の気持ちが分かり合えたからこそ、物理的な別れはそれほどの意味をなすものに見えなかったし、愛する人のために別れを告げた母の、その”愛する人”の支えになってあげられる人になれたわけだし。

愛する故に離れることもあるし、愛する故に近づくこともある。
忘れようとすることがかえってその人を苦しめることもある。
…ということが全てではないかもしれないけれども、そういう視点を持てたこの作品はとても刺激的でした。

今回、第1部を構成した3作品は、作品タイトルやパンフレットを見る限り、「再演したいけれども、なかなか再演が叶わない作品」を選んでいるように感じます。
私自身、作品として見たことがあるのは第3期の『この森で、天使はバスを降りた』のみですが、今回の『Next To Normal』を拝見してその印象をさらに強く感じました。

「シアタークリエ」の色をより強く出すために、という意図からして、今回の『Next To Normal』は、硬派な本格的作品の軸としたいのかな、と感じさせられました。

・・・・

さて、第2部はがらりと変わって、GALAコンサート。

日替わりのセットリストですが、第1期は4日だけが特別バージョン(『Song for A New World』メンバー)で、それ以外はほぼ同メンバー。
9日だけ2人(武田さん・岡田さん)不在となり、1期前半7日までの伊礼さんが1期後半8日からは中河内さんに変わります。

ではセットリストから。

●第2部セットリスト
1.Sherry/ジャージーボーイズ
 (中川・伊礼・海宝・Spi)
2.December'63(Oh What A Night)
/ジャージーボーイズ
 (中川・伊礼・海宝・Spi・綿引・白石・山野・千葉)
3.My Eyes Adored You/ジャージーボーイズ
 (中川・綿引)
4.Can't Take My Eyes Off Of You/ジャージーボーイズ
 (中川)
5.Who Loves You/ジャージーボーイズ
 (中川・伊礼・海宝・Spi・綿引・白石・山野・千葉)
6.Feeling Electric/Next to normal
 (新納)
7.長い長い日曜日/BLOOD BROTHERS
 (武田・岡田)
8.言わない気持ち/BLOOD BROTHERS
 (岡田)
9.あいつに/BLOOD BROTHERS
 (武田・岡田)
10.POP!/ウェディング・シンガー
 (彩吹・綿引・白石・山野・千葉)
11.サタデー・ナイト・イン・ザ・シティ
  /ウェディング・シンガー
 (彩吹・綿引・白石・山野・千葉)
12.サバ―タイム/きみはいい人、チャーリーブラウン
 (中川・綿引・白石・山野・千葉)

M1-5はジャージーボーイズの5曲でスタート。メンバーからして1期はこの5曲は固定になりそうですね。

M1は今年の再演キャスト初めて勢ぞろいでの披露。MCでも話がありましたが、中川氏・海宝氏が続投で、伊礼氏・Spi氏が初登板。MCでも早速伊礼節が炸裂しておりまして、

伊礼氏「このお2人の出来上がっているレベルにいきなり行かなきゃいけないわけで、こうぐぐっと一気に上げていかなきゃいけなくて(と手で上げていく)」

中川氏「何をおっしゃいます」

伊礼氏「今回この機会をいただいてこう、(この期間で)そのレベルを越えられましたかね

会場「(笑)」

ちなみに去年の初演時は伊礼氏、20分遅刻されたそうでトミーの見せ場は見逃したそうです(爆)

M2は今回の『TENTH』のジャージーボーイズフルメンバーですが、何となく予想はしていましたが海宝くんの相手役はびびちゃんでした。初演のジャージーガールズ4人の中で唯一今回入っているし、当たり前ですがまぁマリエポ繋がりからするとなかなかな衝撃(爆)

かと思えば、びびちゃんはそのままM3であっきーと組むわけで、そう考えると相手の俳優さんを意識せずに組める貴重な存在なのかなとも思います。(ちなみに4日は『ファースト・デート』でもあっきーと組んでいる(「物語は続く」)ので、新妻さんパートということですよね。聞きたかった)

そういえばM2は”そういう曲”だけに、MCで各位から海宝氏が直撃受けてまして。

各位「海宝くん自身が大人への階段登った話しちゃおうよー!福袋だよー!

会場「(拍手)」

海宝氏「(絶句)」

という一コマもありました。

ジャージーコーナーが終わった後は「みんな大好き新納慎也です」様へバトンタッチ。

M6は、実は1部『next to normal』がオフブロードウェイからオンブロードウェイに上がる時にカットされたロック調の曲で、新納さん自身オフで見て大好きだった曲。日本にこの作品が来ることになって自分がやれることになって喜んでたら、この曲がなくて悲しかったということで、今回作曲家さんに直談判して歌わせてもらうことになったそう。確かにすんごいロックな曲でしたが、めっちゃ盛り上がりました。

ここのパートだったかと思いますが、新納氏曰く、「あっきーは何作も一緒にやっているのにいまだに『にいやしんろ』って言いそうになる、なんか高い音出し過ぎとかで色々飛んでるんじゃない?思い出とか全部さー」とか言ってて会場笑という一幕も。

M7-9は『BLOOD BROTHERS』からの3曲。このパートは9日は別の作品を入れる形になるのでしょうね。

M10-11は『ウェディング・シンガー』からの2曲ということでこの日最後のキャスト・彩吹さんご登場。退団後の最初の劇場がここクリエだったとのこと、良く考えたらドラロマでしたねそういえば。

今回『TENTH』からの曲目発表があって一番楽しみにしていたのはM11。聞いたときから絶対踊るやん!と期待していた通りのテンション。そもそもテンションが高い曲が多い第2部のガラコン(第1部と同じ公演なんだろうか本当に)の中でも、さすがこの曲は凄かった…。彩吹さんのホリーよりは樹里さんのイメージが強い自分ではあるけれど、隣にいる女麗しいお方(新納さんとおっしゃる方)のナイスアシストもあって、とっても盛り上がりました。そしてダンスもがっつり4人とも(びびちゃん、白石さん、山野さん、千葉さん)踊りまくりで凄かったです。

新納さんと彩吹さんのMCもまったりモードで面白かったなー(まったりなのは彩吹さんですが)

彩吹さん「今日は朝からその装い(女装)だったとか」
新納さん「そう。今日は2部の(このパターンの)初日だったから、
      1部の皆が出てくる前に僕ら入ってゲネだったんで。
      1部のとうこさんとか入ってすぐ僕みたらこれで(笑)」
彩吹さん「(笑)」
新納さん「何しろ朝早かったんで、楽屋開いたとたんに女装ですよ。
      メイク道具も自前、衣装も自前で、
      『as soon as』女装ですよ」
会場   「(大笑)」
彩吹さん「ハイヒールもですか」
新納さん「そうです(笑)、幸あれ~」
会場   「(拍手)」

彩吹さん「新納さんのそのMC見習いたいです」
新納さん「僕はギリギリアウトの
      そのぎりぎりを攻めるからね」
彩吹さん「アウトなんですか」
新納さん「で時々怒られる」
会場  「(笑)」
新納さん「でも伊礼彼方はギリギリアウトを
      飛び越えるからね
会場  「(笑)」

てな感じでした。

ここでバトンはお2人から中川氏に渡されるわけですが、お2人が腕組んで坂を上がっていく…

新納さん「幸あれ~」
中川さん「何その上から目線!」
会場  「(爆笑)」

という華麗過ぎるMCタッグが面白すぎました。

M11はなぜだか全員ぶかぶかセーターでの登場に吹き出したりしつつ、疾走感のあった第2部も幕。
MCもいい具合にタイムキープされてて(約2人ほど「巻きが入っている」とバラしてましたが)楽しかったです。

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