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『ポストマン』

2017.12.23(Sat.) 18:30~20:50
C列20番台(上手側)
2017.12.25(Mon.) 18:30~20:50
H列10番台(センターブロック)

時事通信ホール(東銀座)

7年ぶりの再演となるそうなこの作品。初演をご覧になった方からもお勧めいただきの観劇。
当初は23日と26日の予定でしたが、26日に予定が入ってしまい、奇跡的に25日と交換いただきこの日程になりました。

作品は主に2部構成で、1部が現代日本、2部が過去のヨーロッパ。関係がないように見えて、実は関係がありそうに見えてくるところが面白いです。

あ、ネタバレ含みますので気にされる方は回れ右で!(核心には触れてませんが)



1部は「描きたいものがわからない」画家・眞人(海宝くん)が、鹿児島の離島からの依頼で島に赴き、そこで担当者・英二(上山くん)と出会う。彼の幼なじみであり、町長の娘である女性・美月(小南さん)と会い、心揺れていく。

離島と教会ということで自分がイメージしたのは長崎の上五島だったのですが、この作品のモデルとなったのは鹿児島の与論島だそうです。

眞人が美月に対して、どことなく落ち着きがないところを目ざとく見つけて茶化す英二(上山くん)の役どころは、素の海宝くんが表にでる感じでなかなか新鮮です。

海宝くんは役柄的に王子であることが多いわけですが、それでもレミで培った分かり合え方が良い意味で2人(海宝くん&上山くん)を近づけていて、「夢を追う」という共通点も浮かび上がらせていて良かったです。
眞人は夢をはっきりさせられていない、英二は夢をはっきりさせている、という対比も見えていましたし。でも英二はどうしたら夢を実現できるかは見えていないわけですが。

ヒロインの美月を演じた小南さん(まゆちゃん)もレミ2017年組ですが(この作品の再演は初演キャストの海宝くんが上山くん、まゆちゃんに声をかけて実現)、実は海宝くんとは「当初は二重壁ぐらいある関係」だったとのこと。

それもあってか、いい感じに距離があるんですね。マリウスからコゼットがそうであったように、「少し『だけ』高嶺の花」という距離感がとても良いです。立場にもかかわらずフレンドリーなまゆちゃんの立ち位置、妹以上恋人未満な感じがとても上手です。黒のジャケットも行動的な感じを思わせて新鮮です。

彼女がエーゲ海の島に行き、持ち帰った「とあるもの」が2部とつながるキーアイテムです。

2部は一転、舞台はギリシア、エーゲ海の島。それも100年前のイタリアということで、貧しい漁師であるマルコ(海宝くん)が政治家の娘であるソフィア(まゆちゃん)に恋をし、マルコの親友のパウロ(上山くん)がそれを心配する図。今回の作品タイトルである「ポストマン」は彼の役どころです。

「ポストマン」、つまり“郵便配達人”である彼は、かつて同じような境遇で愛する女性を失ったことを後悔していて、マルコのことを心配するあまり、許されざることをしてしまいます。

その過ちに苦しむ彼が救われないのかと思いきや、実はそうでない展開なのが感動的で。

時を越え、場所を越え、「相手を思う気持ち」が作る奇跡、そして感動。

以前であれば、表面的なハッピーエンドになるストーリーになるかと思うのですが、現代的なのかなと思うのが、事実から目を背けないところ。

最初にソフィアが望んだ未来は来なかったのかもしれないけど、ソフィアはそれ以上の想いを受け取ることができたように感じて。

ソフィアが「お嬢様」であるに関わらず(という言い方も変ですが)強さと優しさを兼ね備えた女性だったことも大きくて、それをまゆちゃんはしっかり見せていました。

ポストマンのしたことをきっと見抜いていて、でも、彼の思いもわかって、責めることはせずに、「あなたはできる精一杯のことをしたの」と、言葉でなく表情だけでなく全身で語りかけるさまは、ひかり輝いていました。

マルコが願った「ソフィアは自分自身の『思い』で生きて欲しい」という思いがソフィアの中に息づいたからこそ、ソフィアは強く優しく生きられた…そう信じられるラストが、何より素晴らしかったです。

この作品を拝見していて思ったのが、作品の空気感、そして登場人物に共通する「他人を思う気持ち」のあたたかさ。
きっと「人を信じる人」が作った物語なのだろうなと。原案・音楽の河谷さんの思いを脚本の中井さんが物語にして、演出のtekkanさん、そして3人の同志が形にした・・・きっと誰がいなくとも、こういう風景が見られることはなかったのでしょうね。

・・・

登場人物は3人3様ですが、皆が当てがきに思えるぴったりぶり。

海宝くんはいつもの役柄的には2部のマルコが近いのかなと思いますが、上山くんとの1部のやり取りの方が素に思えます。上山くん演じる英二に「カッコいいのに、何でモテないのかな」って言われて『むちゃくちゃ心外そうに』「もてないわけじゃないですよ」って返していたのがツボを直撃しました(笑)。

美月の絵を英二に見られたくなくて「こちょこちょしますよ」と言われて「こちょこちょでいいですよ」と答える(笑)。それでいて耐えて「ずいぶん頑張りますね」と言われて会場内の笑いを誘う(笑)←25日ソワレバージョン

さらに「見せられるのは2枚限定です」と強がる、(役柄上の)往生際の悪さが可愛すぎる(爆)
※3枚目に描かれているのは美月の絵。

上山くんは、表面上でイメージする、少しチャラい感じを完全に覆す、他人思いの「いいヤツ!」なのがとっても素敵。物語のもう一つのキーになる少女からの思いを受け取る様も心に残ります。自らの過去故に過ちを犯してしまうけれども、それを責められないほど苦しんだ様は人間味に溢れていました。
登場人物自身は過去と繋がっていると思っていないのに、見てる側からだけそう見えるのは、なんかダディ的なところも感じたりしました。

満佑子ちゃん(まゆちゃん)。どことなく現実離れしながらも、ハートが温かく、そして意思の強いヒロインを好演。
2幕、マルコと気持ちが通じ合って、「信じられない」かのようにほっぺをつねる表情がとってもチャーミング。

綺麗に澄み渡る高音に凛とした存在感を纏い、それでいて自分の意思を貫き通す強さ。それをしなやかに見せる様が素敵でした。気の強さが押しの重さに感じられなかったのがとても良かったです。最初に拝見したレミの鳩役で出たときは、エポ系の女優さんだと思っていたけど、今振り返るとやっぱりコゼ系の女優さんなんですね。愛されるより愛したい、それでこそ光る感じに腑に落ちるものがありました。

・・・・

全編に流れる優しく温かい空気に触れ、今年の素敵な観劇納めになりました。
このキャストでの再演を期待してやみません。

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