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『屋根の上のヴァイオリン弾き』(7)

2017.12.9(Sat.) 17:00~20:25
日生劇場 2階J列30番台

2013年以来4年ぶりの再演、今期my初日です。

屋根を最初に見たのは2004年の東京芸術劇場公演。
このとき三女のチャヴァ役を演じていたのが笹本玲奈さん。

それから2006年、2009年、2013年と見てきて今回が5演目。
市村さんがテヴィエを演じられるようになってからずっと見ていることになります。

my初見がもともと玲奈ちゃんのチャヴァで始まっているせいか、自分の視点は意外なほどにチャヴァにフォーカスが当たってまして。
一般的な見方として、この作品のヒロインは次女のホーデルですが、三女のチャヴァがどれだけできるかによって芝居の厚みが変わるというのが、個人的な持論だったりします。

というわけで個人的に一家言あるチャヴァに、13年ぶりにエポニーヌからのチャヴァになる、つまり13年前の玲奈ちゃんと全く同じ道を辿る唯月ふうかちゃんがどこまで三女役を全うされるかが個人的なポイントでした。

観た感想としては正直、ふうかちゃんのチャヴァはここまでできるんだ!という驚きです。

玲奈チャヴァが基準になっている自分にとって、玲奈チャヴァは「越えられない高い壁」だと思っていたのですが、ふうかチャヴァは気にせず隣に同じような高い壁を作ってしまった感じ(笑)。

両親の思いを感じつつも、それぞれの道を歩もうとする長女、次女、三女。
(実際には四女と五女もいますが、物語として語られるのは三女まで)

父親にとって、母親にとって、なかなか肯定できない道を選ぼうとする3人だけれども、ほぼ問題ない道を歩もうとする長女、筋を通さない面はあるにせよ(爆)本人の意思であれば承諾せざるを得ない次女に比べれば、自身の、また自身の属するコミュニティにとって許されざる道を選ぶ三女は、この物語でも特別なポジション。

ふうかちゃん演じるチャヴァは、両親、姉妹に対しての愛情に溢れていて、テヴィエ・ゴールデの娘であることを心から喜んでいることが伝わって、その可愛さはただ可愛いだけじゃなく、愛に溢れている。

姉妹に対する愛情で印象的だったのは、長女のツァイテルが意に添わぬ縁談を持ちかけられた時の振る舞い。

「またとない縁談」と喜んでいるテヴィエを前に、事実を言い出せないツァイテルを見ていたチャヴァは、隣にいるホーデルをつついて、「ど、どうしよう…」と不安そうにホーデルを見たんですね。するとホーデルは触れたら火傷しそうなほどに全身でツァイテルの心配をしていたんです。

チャヴァはそれを見て「いまホーデルに話しかけちゃいけないんだ」ということと、「ホーデルが自分と同じか、それ以上にツァイテルを心配している」ことを理解して、ホッとしていたんですね。

ここ、三女と次女が「2人とも長女を心配することで繋がっている」というのがここまではっきりと表現されていた期はない気がしてとても新鮮でした。

三女からも「2人の妹で良かった」という空気が伝わってきて、すごく温まったのでした。

今回の次女・ホーデルは神田沙也加さん。
ちょうどいいタイミングでこの役に巡り合った感じで、実生活では一人っ子なのに姉と妹に囲まれて、それも素で楽しそうで何よりです(笑)。

今回印象的なのは、ホーデルとパーチック(広瀬友祐さん)のバランスがとても良く感じること。

私が観はじめてから、ホーデルとパーチックは「どちらかがいい」というバランスが多かったように思えて、だいたいホーデルが中堅どころの女優さん(ポジション的にはエポニーヌかコゼットやる方)で、パーチックは舞台経験が少ない方がされることが多くて。

玲奈ちゃんがホーデルやった2009年公演は良知くんだったけど、当時はやはり物足りなさを感じたし、それに先立つ2006年公演はホーデルが剣持たまきさん(元コゼット)と吉野圭吾さんで、バランス的にはいいはずなのにたまきさんはホーデルには合ってなくて、吉野さんの方がパーチックど真ん中(アンジョルラスな方でしたからね)。

直近の2013年のちーちゃんホーデルは、パーチックが入野くん。悪くはなくて今回のバランスに近い感じはありましたが、本質的にホーデルが全シーンにおいて引っ張る感じで(笑)、バランスとしてはあと一歩という感じでした。

今回の沙也加ホーデルと広瀬パーチックのいいのは、お互いがお互いを高め合ってる感じがはっきりわかるところですよね。一方的にどちらかが上位なのではなくて、シーンシーンそれぞれで主導権を握りあう。

パーチックが突っ走るところをホーデルが必要以上に止めず、それでいて頼るところは頼る。

沙也加ちゃんの地なら1から100まで言い負かしそうなイメージなところ(笑)、ちゃんとパーチックを立てることで上手く回している様が流石だなと。ふとちょっとよりかかって安心して見せるところとか流石ですね(爆)。

可愛い系の三女と、カッコいい系の長女に囲まれ、自分の居場所をいかにして見つけるかという動き方が流石は次女ポジションで、それ故、少し気が強い感じの存在感。パパに対してもこらえて涙を見せないようにしていた分、決壊した後の号泣が激しくてとても印象的。「自分が決断したのだから涙は見せられない」、そんな自分に押しつぶされないように必死で生きる姿が印象的でした。『愛するわが家を離れて』は強さを乗せ過ぎた感じがあったかも。

そういえばホーデルのmyツボと言えば、ツァイテルの結婚式シーンで、広瀬パーチックがとんでもないことやった時の、呆然とした表情、鳩が豆鉄砲を食らったような沙也加ホーデルの表情が忘れられません(笑)。

長女のツァイテル役はみりおんさん(実咲さん)。宝塚トップ娘役当時は拝見したことがなく初見です。

この枠は初見の時にたーたんさん(香寿さん)だったこともあり、この枠にも一家言ある私ですが(爆)、良いポジション取られていて好印象。何より三姉妹のお互いの仲の良さを表現できていたのは、彼女の存在のしなやかさ故かなと思えました。
心配りのみりおんさん、気配りの沙也加ちゃん、笑顔配りのふうかちゃんって感じです(笑)。

・・・

今回は三姉妹のバランスも、P&H(パーチック&ホーデル。広瀬氏命名のショートタグ)のバランスもよいですが、他カップルのバランスもどちらもいいです。

長女カップルのみりおんさん&入野くんは驚くほどにしっくり。入野くんはパーチックとしてちーちゃんの尻に敷かれるより(個人名やめいw)、みりおんさんの尻に敷かれる方がしっくりきます(どっちにしろ敷かれるのか爆)。入野くん好演でした。

三女カップルは、ふうかちゃんと神田恭兵さん。実年齢的には今回の3カップル中一番離れているはずですが(というかふうかちゃん成人したばかりですからね)、予想以上にぴったり。もっとチャヴァが背伸びした風になるかと思いきや、神田くんの巧みな芝居力でチャヴァをふわっと支える感じで、距離感を上手く縮めていました。神田くん、登場場面のソロも流石でしたね。

・・・

三姉妹、カップルどこをとってもバランスが良かったために、物語の主軸が更に引き立つ感じで、いつも以上に盛り上がる日生劇場もむべなるかな、という感じです。
年末公演ですが、完売日が続々出る好況ぶりでこの日も満員御礼でした。

物語に隙がなく、余韻に隙がある、さすがは名作。
新『屋根の上のヴァイオリン弾き』、どんな風に変わっていくのか楽しみです。

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