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『しゃばけ弐』(2)

2017.9.6(Wed.) 19:00~21:20 E列2桁番台
2017.9.9(Sat.) 18:00~20:20 L列1桁番台
2017.9.10(Sun.) 17:30~20:10 M列1桁番台
紀伊國屋ホール(いずれもセンターブロック)

「しゃばけ弐」終わってしまいました。
初日以降、全部で4回の観劇。

うち1回は会場の紀伊國屋ホールがある紀伊國屋書店新宿本店2階で行われていた「しゃばけツイートキャンペーン」(コーナーの写真をツイートすると抽選で招待)のご招待をいただいての観劇でした。

初日拝見してからの変化も感じながらつれづれと綴ってみます。

前回書いたときに「タイトルは『空のビードロ』『畳紙』の順になっていて、舞台版は逆の順序」としたのですが、確かにそれはそうなのですが、元が”長崎屋”が主の舞台なので、最初のシーンが長崎屋から始まって、最後が長崎屋で終わる。長崎屋に出入りしている一色屋の娘さん・お雛さん(岡村さやかさん)がメインなのが『畳紙』、長崎屋の若旦那と浅からぬ縁がある東屋の実質的な手代・松之助(平野良さん)がメインなのが『空のビードロ』ということで、サブストーリー2つを繋げて、今回は声だけの出演の長崎屋の若旦那の存在感の大きさを見せている物語。

お雛さんを苦しみから救ったのは若旦那の知恵だったし、松之助を苦しみから救ったのは若旦那の心だったし、そんな若旦那の存在の大きさが次の『しゃばけ参』に繋がっていくわけですね。終演後発表がありましたが、来年4・5月に東京・大阪で上演されることになったとのことです。

今回の本編に戻ると、2つの物語共にテーマになっているのが、実はポスターにも載っている「居場所」というキーワード。お雛に関しては、両親ともに亡くして、育ての親に対しての距離を感じ、心引きこもった末での「白粉(おしろい)」。

自分の素顔を見せないことで、他人を遠ざけるようにしか生きられなくなったお雛。婚約も決まった自分は「傍から見れば満たされている、でも私の心には届かない」と。
そんな”自分”に閉じこもりながら、どうにもできない苦しみを屏風のぞきだけには吐露できる。

一時は「このままの自分でいい」と開き直ったお雛、ただでさえ頑固者なだけに言い出したら聞かない。
そんな頑固者な一面は、さやかさんにも感じる一面なだけに、そんなシンクロも見ていて微笑ましくて。
さやかさんとお雛の印象が被るのは、「不器用だけど、分かっているけど、どうにもできない自分」といった印象が少なからずリンクして見えるところ。実のところ、さやかさん自身はもっと実行力あるお方ですが、何というのか「袋小路に入らせたら説得力がハンパない」あたりが別人物と思えない(笑)

「私は幸せ」という歌詞が何度も出てきますが、最初は心細く、「自分自身を幸せと思い込もうとしない限り自分は幸せになれない」と思っている風。そして助けを求めることしかできなかったのが、だんだんと”幸せになるにはどうしたらいいのか”を屏風のぞきとの”忌憚ないやり取り”から感じ始める。
他人に対して心を閉じずに、他人を信じて進み始めたとき、さやかさんのお雛が歌う「私は幸せ」が、強がりでもなく実感につながっていったのだなと。
その辺りの歌い分けをハートで出せるのが、岡村さやかさんの最大の歌力なんだと思います。

自分の居場所が分からなかったお雛が、実は自分の居場所を作れなかったのは自分が理由だったと、そう向かい合えたことが本当の笑顔につながったんだなと。

屏風のぞきの藤原さんのテンポもとても良かった。きっとお雛だけだと湿っぽい祭りと言いますか、な空気を軽いテンションでポップに仕上げてくれる。見ていて安心できる存在です。

もう一方の物語、『空のビードロ』の松之助を演じた平野さん。東屋の”小僧”といいつつ実質的には”手代”レベルの中堅どころで一目置かれる存在ながら、今や育ての親もなく、自分の居場所がどこかを見いだせない様を、丁寧な脚本とともに演じられていました。松之助が真摯だったからこそ、見えない力も含めて松之助を応援してくれたのかなと。

ストーリーとしても大好きな物語ですが、とりわけ『空のビードロ』の感動的な場面は、若旦那に受け入れてもらった自分、ようやく居場所を見つけた自分の喜びのバックに流れる「ここにいていいんだ」のコーラスに、前半でお雛さんをやっていた岡村さやかさんが入られていること。

自分の居場所を見つけられずにいたお雛が、一足早く自分の居場所を見つけて、今度は松之助を応援するかのように後押ししているように感じて、『居場所を探した同志からのエール』のように聞こえて。

ラスト全員で歌い上げる場面でも、自分の殻に閉じこもっていたお雛とは別人のように「誰かを愛したい、誰かの力になりたい」と歌い上げる様は、”自分の居場所を見つけようとして、生きる様”をはっきりと見せているかのようで、毎回感動させられたのでした。

浅井三姉妹(岡村さやかさん、田宮華苗さん、千田阿紗子さん)もそれぞれ大活躍。

田宮さん演じるおみつの役柄上の腹黒さが嵌りすぎて困る(笑)
擬音で言うところの「きしし」って感じの策士ぶりが流石です。

表面上の策士ではなく世渡り上手ということで言えば千田さんも流石なポジション。
奉公人を上手くまとめ、おみつに逆らわない辺りはイメージぴったり。
パフォーマー(アンサンブル)だけでなく、演出助手も兼任されていたとのことで、八面六臂の活躍も流石です。

この日は千穐楽ということで、各キャストからお1方ずつご挨拶。

何だか最初の美木さんが「○○スキー」をテーマに付け始めたもんで、諸々大爆笑な展開が。

両思いだったのはお雛←→正三郎だけで、あとみんな片思いってのも笑いましたが(笑)、

さやかさんが「正三郎スキーで行きたいと思います。あ、今日までそうじゃなかったわけじゃないですよ」と慌てて否定していたの可愛かったです。

珍しく何を言うかすっ飛んでしまったたみさん。「もう明日から他人を騙さないで生きていけると思うと嬉しいです(笑)」

平太くんの成長が凄いと感心していた千田さんだったり。

藤原さんが最後に仰っていた「しゃばけの最初から出ている我々としては、どうやって物語を継いでいくかを意識した」との言葉がとても印象的でした。

「今回は仁吉も若旦那(植田さん)もいないし、『畳紙』やるよって言われて、相手役は岡村さやかだよって言われて…前回はただ楽しんでいれば良かったのに、今回はいきなりメインで、しかもこんな歌上手な方が相手役ってプレッシャーしかなかった」とも仰っていたのも印象に残りました。

ダブルアンコール(歌)もあり、ほっこりとした印象のままでの千穐楽。千穐楽の模様はDVD事前予約特典として収録されます。

来年春の再演は『ねこのばば』原作にて上演となります。今回と同じように2作混成になるかは未発表ですが、どんな感じになるのか興味津々です。

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