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2017年9月

『綿引さやかライブ 綿と木』

2017.9.30(Sat.) 13:05~14:55
六本木クラップス

綿引さやかさん&木原健太郎さん、お2人のみでは初のライブ。
六本木クラップスさんは、今月2回目。前回は岡本悠紀さんのライブにRiRiKAさんがゲストでこられていたとき、以来です。

木原健太郎さんが参加されている「ベリーメリーオーケストラ」に何回か綿引さん(びびちゃん)がゲスト出演したり、一昨年のコンサート『森ノ音、風ノ声』(マイクを向けられてタイトルを無茶ぶりされましたが答えられなくてごめんなさい(笑)>びびちゃん)でも共演していますが、2人きりは初めてです。

ライブタイトルはお2人のお名前から1文字ずつ取って、『「綿」と「木」』。

ライブ冒頭のMC、このライブタイトル「綿と木」について、びびちゃんは「ずいぶん考えたんです!」と触れてましたが、お客様方からはなぜか反応が薄くて、びびちゃん何だか肩透かしな感じ(笑)。

実際ライブが進んでいったところでライブタイトルはなるほどなぁと思う部分が多くて。
「綿」も「木」も”包み込む”ということでは似ているんですよね。

ふわっと包み込む、びびちゃんの「綿」の肌触り。
しっかりと根を張って護る、木原さんの「木」の頼りがい。

癒し系のびびちゃんの歌声と、木原さんのピアノの優しい音とのバランスは凄く素敵で、とっても癒されます。

さて、それではセットリストです。

<第1部>
1.The Rose/ベット・ミドラー
2.I got Rhythm/クレイジー・フォー・ユー
3.Some Kind of Wonderful
 /キャロル・キング『beautiful』
4.So Far Away/キャロル・キング『beautiful』
5.I Will Be Loved tonight
 /I Love you,You're perfect,Now change
6.Calm/ordinary days
7.smile/チャップリン
8.アヴェ・マリア
 /original(木原健太郎さん作曲)

<第2部>
9.Can't Take My Eyes Off Of You
 /フォーシーズンズ『ジャージー・ボーイズ』
10.cross to you/カーペンターズ
11.once upon a time/東京ディズニーランド
12.part of world/リトルマーメイド
13.on my own/レ・ミゼラブル
14.糸/中島みゆき
15.ハレルヤ~In My life/ビートルズ

<アンコール>
16.You've got a friend
 /キャロル・キング『beautiful』

つい先月まで出演していた『beautiful』から本編に2曲、アンコールに1曲。
びびちゃんご本人が歌っていたマリリンの曲ではなく、キャロルの歌った曲で新鮮。

春に出演した『リトルマーメイド』のM12もそうですが、その舞台の一員として立たれて、主演キャストの横で聞いていたであろうびびちゃんの歌声で聞くのは新鮮で、本キャストとまた違った色が見えるので嬉しい限り。

びびちゃんのキャロルとしては基本は水樹さん寄りなチャーミングな感じですが、途中に入るシャウトは平原さんぽくて、そのミックスぶりがとっても興味深いです。『You've got a friend』は”友達”をとっても大切にされているびびちゃんらしく、本編で歌われていた時のシンシア(ソニンちゃん)の空気も感じたりして。

ちなみに男性パートはすべからく木原さんが担当されていましたが、びびちゃんの歌声との相性もとても良くて、至福の時。

出演作としてセットリスト的には異色な2幕歌い出しの『ジャージー・ボーイズ』からの1曲。
この曲、実は客席みんなに「一緒に歌ってくださいね」が出たのですが、いやまぁこの時の手拍子といい、(歌詞じゃなくていいと言われたからというのもあると思いますが)盛り上がること!
会場みんなでこの曲で盛り上がれたのは何より楽しかったですね。びびちゃんももうとっても嬉しそうで。

「ミュージカル、今来てますよね!」という言葉が本当に心から「そうですよね!」言えるこの空気がいいなぁ。

いつも通り飾らないびびちゃんの歌声に癒され。
ちなみにびびちゃんのMC曰く「いつもより飾らないってことで、いつも履いてる高いヒールは今日はなくて(笑)」というのも面白かったです。

セットリストが異色と言えばオフブロードウェイミュージカルからの2曲(M5・M6)の時の、M5のMCが全般的にお昼に向いてない(大笑)。

10月にscoreさんで再演される『I Love you,You're perfect,Now change(”なうちぇんじ”と略される)』の作品(”恋愛あるある”作品)で、男性が部屋に来ることになった女性が、そういう方向(詳細略)で妄想力全開というMCでしたが、これをびびちゃんがMCするから笑えてしょうがない(爆)。

ちなみに日本語で歌うとあまりにアレなので英語で歌われる、という話でしたが(笑)
え、本編は日本語ですよ(笑)

M6の無茶苦茶ぶりも久しぶりに聞けて楽しかったー。藤倉梓さんお得意の「文字数上限まで日本語で歌詞を埋め尽くして歌わせるところが面白みを醸し出す」な歌詞。もともと曲が無茶苦茶なテンポの曲で、びびちゃん曰く「どんな曲でもドンと来い!な木原さんが、この曲だけは怯んだ(笑)」というのも納得です。
リハーサルでは1度も成功しなかったそうで、本番も本人的には1か所不本意だったそうですが、言われないと気づかないレベル。言わなきゃ大丈夫だったかと(笑)

「夢を叶えるための原動力」そして「夢そのもの」なディズニー曲からも2曲。

M11はディズニーに初めて公式で関わった『Friend Of Disney Concert』で歌われた日本語バージョンで懐かしい。びびちゃんとディズニーって、”心から嬉しい”って空気がこれほどまでにシンクロすることはない、ってぐらいな相乗効果。そんな場が広がることを心から願っています。

びびちゃんのMCは、言葉がとても優しくて、言葉選びに品があって、客席の女性率が高いのもミュージカル女優さんとしては異色と言っていいぐらい。
ただ、この日仰っていたのはご自身の年齢について珍しく言及され、びびちゃんには珍しく少しの迷いを吐露されていたのが印象的。過去の人生を振り返る部分も出てくる年頃になって、「でも今までの人生は楽しかったし、周囲の人生の先輩の皆さま(客席を見回したら客席笑)がとても楽しそうにされているのを見ると、歳を取るのが楽しみ」と仰られていたのが心に残りました。

「今までの選択に対して『こうしておけばよかった』と思うこともあるけど」とおっしゃりながら、でも結局は前を向くことの大切さを本能的に感じられているからこそ、びびちゃんはキラキラされているのだろうなと。

来月から公演が始まる劇団四季さんの『ソング&ダンス65』への出演を控え(出演日は未発表。ディズニーパートがあるようなのでそのシーン?)、この日もライブ後は稽古に直行されたようですね。

来年1月にはシアタークリエ『TENTH』、4月には東京芸術劇場シアターイースト『In This House』、そしてソンダン全国ツアー公演(出演されるかは正式には未発表)、その後は9月の『ジャージーボーイズ』と、1年先までほぼ予定が詰まっているという多忙ぶり。

先の作品が決まっているからこそのやりやすさと、やりにくさは両方あるように思いますが、新たな活躍の場も含めて、びびちゃんだからこそできる存在感を確立していっていただくことを願える、そんな素敵なライブでした。

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『ファインディング・ネバーランド』

2017.9.24(Sun.) 17:00~19:50
東急シアターオーブ 1階21列40番台(下手側)

来日公演、この回が千穐楽。

開幕して好評の評判を聞きながらも、行く日程を決められずにいたら、あと2日というところまで来てしまい、前日のマチネを取っていました。

ところが、観劇前に不用意にも職場に顔を出したら、ちょうど障害が発生していて対応に捕まり観劇が叶わず。そのまま見られないまま終わるとあまりに据わりが悪いので、急遽、千穐楽のこの回を確保。土曜日がB席、日曜日がS席でしたのでえらい高い観劇に付いたのですが、何だか直感というか、今の自分にとって見ておかなきゃいけない作品だろうなというのもあって、無理しても見てけきたかったのでした。

結論から申せば、自分の直感を信じて良かった!

ふとした瞬間に涙が流れて止まらなくなってしまった自分に、戸惑いつつもやっぱり今見逃さずに良かった作品だったんだなと思えて。

・・・

「ネバーランド」という言葉が語る通り、この作品は”ミュージカル『ピーターパン』ができるまで”をテーマにした、作者J.M.バリと、彼を取り巻く人たちの物語。

ミュージカルで続編というのはよく聞きますが(『オペラ座の怪人』→『ラブ・ネバー・ダイ』とか)、今回の場合は本編の前というわけで、Ver.0みたいなパターンで珍しいです。

ただ続編を見る時以上に、本編を見ておかないと、という面はあって、見ていて思うのが『ピーターパン』を見て知っていることが前提なんだなと。さすがはホリプロさんのミュージカル製作歴。

ストーリーに触れますと、最近スランプ気味なバリ氏が、公園で子供たちとその母親・シルヴィアと出会い、自分の中の少年を呼び覚まされていく。今までの焼き直しのような作品群ばかりと喝破され、自分が作品を作りだした頃のワクワクした部分に気づかされ、少しずつ自分を取り戻していく彼。

子供の言っていることだからと言って馬鹿にせず、下に見ない彼。子供を1人の立派な人間として認め、しっかりと向き合う彼に、子供たちも心を開き、シルヴィアとも心が通じ合っていく。

物語中盤、知らず知らずのうちに頼りにしていた子供たちやシルヴィアと会えなくなったとき、バリの中の荒々しい部分を具現化した、『ピーターパン』のとある登場人物と対峙することで、バリは自らの進むべき道を認識して歩きはじめる…

そこまでが1幕で、実際の作品作りは2幕から。
脚本を上げてこないことで信頼を失ったバリの言うことに、最初は取り合わない役者連だったけれども、シルヴィアの言った一言に支配人の心が動かされ、役者たちの心に火をつけていくシーンは圧巻。

”役者は演じる喜びに満ちて役者を始めたのだ”

そんな当たり前のことに目覚めさせられていく、その躍動感が素敵です。

子供たちやシルヴィアのハートで、大人であるバリが子供の気持ちを思い出し、『ピーターパン』の物語の原型が生き生きと動き出すパートは心躍ります。ところが、シルヴィアとバリがとある”秘密”を抱えたことから、子供たち、とりわけピーターはバリに対して心を閉ざしてしまいます。

「大人は嘘つきだ」と。

心を閉ざしたピーターに対して、バリは小手先の弁解では心を動かせないことを認識します。
バリは子供を1人前の人間として認めてきたし、子供相手だからと言って真剣に対峙しないことは、彼を認めないことだと。

バリはピーターにその”秘密”を告げます。
そのことを告げたときのバリとピーターのやり取りを見ていて、不意に涙が溢れてきました。

ピーターは、この時、子供から大人になったのだと。
 その覚悟を決めたのだと。
バリは、この時、
 大人にして子供の気持ちを取り戻したのだと。

バリはピーターから教えられ、ピーターはバリから教えられた。
お互いが心に犠牲を払い、お互いから大切なものを受け取った。

バリにとって、「子供の気持ち」をピーターのおかげで自分が取り戻せたからこそ、この物語に『ピーターパン』という名前、そして役名を付けたのだと思うと
…今まで見てきた『ピーターパン』の物語が自分の中で走馬灯のように押し寄せてきて、涙が止めようにも止められませんでした。

「大人だからって傷つかないわけじゃない」という言葉も今の自分には重かったなぁ。

見ていて「子供だからって自分の自由に生きられるわけじゃない」ことを再認識したし、大人にして子供の気持ちを持つのも、子供にして大人の気持ちを持つのも、どっちも大事でどっちも難しいんだなと思えたのは大きかったな。

それでいて、役者さんたちが生き生きと「演じることの初心」を全開に、楽しそうに演じているエネルギーの爆発を浴びられたのは心から嬉しかったし、理屈以外の何かが確実に心に宿った気がして。

・・・

初演初日、作品を作り出す大きな原動力だったシルヴィアは、とある事情によって劇場に行けなかったのですが、そんな時バリが提案した一つの行動が、この物語の意味を昇華させるかのごとくな素晴らしさ。

心が通じ合った2人だからこその幸福感。

そしてカンパニーみんなの温かい思いが表現されたシーンは、圧巻で圧倒的で、素晴らしく感動的で。

父が亡くなって以来自分に厳しかった母からも、心からの気持ちを贈られたシルヴィアは、嬉しかっただろうなと思うと、ポスターに載っている「シルヴィアが妖精の粉を全身に纏うシーン」の意味を実感して、「本当に良かった」と心から思えたのでした。

・・・

「この作品を上演してくれて感謝申し上げます。『ピーターパン』の一つの一つのシーンが思い出されて、大切なものをまたいただけたようです」という言葉をアンケートまでに書いたのは久しぶりのこと。

一度は見られずに終わりそうだったのに、意地を張ってでも(もう1回取ってまでしても)見られて本当に良かった。

バリ役のビリー・ハーリガン・タイさん。自由に子供の心を纏うその様が素敵でした。日本版(2019年上演予定)は石丸幹二さんが演じられます。

シルヴィア役のクリスティン・ドワイヤーさん。母親の慈愛と、バリへの好意がとても自然で、この作品を温かさで満たされていた功労者の筆頭かと。素晴らしい役者さん(ブロードウェーの『ウィキッド』エルファバ役)でしたが、役としてもとても素晴らしい役。

本音を申しますと、この作品を無理してでも見に行った理由に、この役を玲奈ちゃんがやることがあり得るかということを自分の眼と耳で確かめたい、ということがありまして。

正直言って、玲奈ちゃんがやる可能性はかなりあるし、ぜひやって欲しい役と感じます。

元ピーターパンである玲奈ちゃんが「母」になった後、この役での「母」の役どころを演じられる日が来るのなら、シルヴィア役として子供たちや、バリに対して渡せるものはとても大きなものがあると思うし、『ピーターパン』をホリプロさんがここまで続けたことの意味を拡げられる意味があると思うし、玲奈ちゃん自身も役の幅を大きく広げることができるのではと思い、心から祈る次第です。

あ、ちなみにシルヴィアの母、モーリエ夫人はシルビア・グラブさんがイメージぴったりです。
娘に意地悪そうに思えて、でも実は愛情たっぷりという感じが、上手く表現できそうで。

*実際に両方とも実現したら稽古場がシルヴィア役とシルビアさんで混乱しまくりそうですが(笑)

・・・

会場に響き渡る物凄い拍手に感動し、心から嬉しそうに手を振るキャストの皆さん。
大楽を素晴らしい形で終えられたことを拝見できたことが、とても幸せな時間でした。

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『豪雪』

2017.9.14(Thu.) 19:20~21:00 B列2桁番台
2017.9.23(Sat.) 19:20~21:10 F列1桁番台
下北沢駅前劇場

14日に初日を迎えた「good morning No5」10周年記念公演。

初日に拝見したものの、blogを書けずにいました。

そういえば、初日に見てblogを書けなかったのは過去かなり珍しいのですが、この日は自分の事情と言いますか、体調がよくない上に仕事が多忙、何とかたどり着いた下北沢で、由美子さんからチューハイを手渡しいただいたことに酔い、缶に口を付けたが運の尽き。劇中、体調の悪化にひたすら悩まされ、初日が終わるのを必死で待った…こともあり、初日には物語を読み込もうにも付いていけなかった、のでした。

楽を目前にして、ようやく拝見できてなんとか自分の中で初日がようやく開けた、そんな感じです。

今回、高橋由美子さんがゲストということで拝見することにしたこともあり、こちらの劇団作品で拝見するのも初めてということになり、過去作品がどういったものなのか、パンフレットからしか想像できないわけですが、何となく今回はちょっとマイルドそうな気がしています。

10周年を振り返る作品ということですが、実際には澤田さんの前説に劇団の歩みがあるぐらいで、本編は「10年間という期間」をテーマにしています。

劇中「退屈な女」と言われることに、ことさらに強く反発するシーンがありますが、そのシーンを見ていて、「退屈と言われたくなくてやってきた」ことがメインテーマだったんじゃないかと感じさせられます。

同じく劇中で「コスパを重視するべき」と言及されるシーンもありますが、空気感を感じている限り、コスパを追求すること自体が、劇団が目指して”こなかった”道なんじゃないかと感じて。

コスパ、つまりコストパフォーマンスというのは、掛けたコストに対するリターンの割合が高い方が良いという考え方ですが、パンフレットを拝見する限り、むしろ”楽しいこと”を実現するためにはコスパ無視、そう語っているように思えて、それがそのまま10年間の歩みだったのかなと拝察します。

この作品で10年間の歳月の長さを語っているパートに、由美子さんの学生当時(とっても若いコスチュームです(爆))の約束と、10年後の再会のシーンの対比があります。

由美子さん演じる鶴子は、同級生(異性)曰く、元から大人っぽいタイプで、可愛いけれど精神的に大人なタイプ。「10年後会っても、生きる世界が違っていたら、知らない振りをする」と宣言するタイプ。対する鶴子を好きな男子は「10年後も変わらず好き」と言っている子供なわけですが。

いや実際、10年という月日は人も取り巻く環境も変えるわけで、先のことなんか分からないし、約束なんてできるはずもない、それが実態な訳ですね。

逆に言うと、若い時の約束は、それに捉われ続けるなら、お互いを自由にしないかもしれない。人と人との付き合いが、未来を縛っちゃいけない、そう語っているように見えて。

コスパを重視せず、やりたいことをやってきた、それは劇団の中の人だった澤田さんと藤田さんが語り、10年間の関係を変わらずやってきたことがどれだけ難しいかを、劇団の外の人な由美子さんが語っているのは、何だか対比として印象的でした。
難しいことをやってきた本人たちが語ると、なんだか手前味噌になるような気がしますし、由美子さんが今回の場に呼ばれた理由の一つは、「劇団の外から客観的に10年間の重みを出せる女優さん」という位置づけだったのかなと思いますし、その狙いは一定以上当たっているように思います。

先ほど「人と人との付き合いが未来を縛っちゃいけない」と書きましたが、逆に言うと、「人と人との付き合いが自分たちの今までを作ってきた」面は強いだろうし、その上「これからの未来を作っていく」ために大切な財産となるのだろうなと感じます。

この作品だけでどれだけ突き抜けたか、どれだけ突っ走ったかを見せて頂ききったわけではないとは思いますが、10年間突っ走ってくるにはそれだけの熱量も必要だし、方向性も必要だし、”時に”か”いつも”か、向かい風の中過ごしてこられた姿を「豪雨」でも「暴風」でもなく「豪雪」で表現されたのも何だか興味深かったです。

由美子さん、前半の長台詞は流石の一言ですが、やっぱり外せない、小劇場をたちまち帝国劇場風にするという、歌唱シーンも後半に登場。あぁいう懐メロ風といいますか、ムード歌謡風なのは十八番ですね。
三姉妹の実は最年長、妹の幸子から「姉から『姉さん』と言われる妹の気持ちにもなってや」と冗談半分に責められるシーンが個人的にツボでした(笑)。その幸子役の宮下今日子さんも素敵でした。

澤田さん、藤田さんの両翼の存在感は勿論流石で、野口かおるさんのイレギュラー感もインパクト大。男性陣では市川しんぺーさんの規格外感が相変わらずなのと、久ヶ沢さんの「見た目だけじゃないカッコよさ」が素敵でした。

10年の重みを感じさせつつ、軽く吹き飛ばしてお祭りにしてしまう感じも、この劇団の方向性なのでしょうね。色々面白く楽しみました。

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『しゃばけ弐』(2)

2017.9.6(Wed.) 19:00~21:20 E列2桁番台
2017.9.9(Sat.) 18:00~20:20 L列1桁番台
2017.9.10(Sun.) 17:30~20:10 M列1桁番台
紀伊國屋ホール(いずれもセンターブロック)

「しゃばけ弐」終わってしまいました。
初日以降、全部で4回の観劇。

うち1回は会場の紀伊國屋ホールがある紀伊國屋書店新宿本店2階で行われていた「しゃばけツイートキャンペーン」(コーナーの写真をツイートすると抽選で招待)のご招待をいただいての観劇でした。

初日拝見してからの変化も感じながらつれづれと綴ってみます。

前回書いたときに「タイトルは『空のビードロ』『畳紙』の順になっていて、舞台版は逆の順序」としたのですが、確かにそれはそうなのですが、元が”長崎屋”が主の舞台なので、最初のシーンが長崎屋から始まって、最後が長崎屋で終わる。長崎屋に出入りしている一色屋の娘さん・お雛さん(岡村さやかさん)がメインなのが『畳紙』、長崎屋の若旦那と浅からぬ縁がある東屋の実質的な手代・松之助(平野良さん)がメインなのが『空のビードロ』ということで、サブストーリー2つを繋げて、今回は声だけの出演の長崎屋の若旦那の存在感の大きさを見せている物語。

お雛さんを苦しみから救ったのは若旦那の知恵だったし、松之助を苦しみから救ったのは若旦那の心だったし、そんな若旦那の存在の大きさが次の『しゃばけ参』に繋がっていくわけですね。終演後発表がありましたが、来年4・5月に東京・大阪で上演されることになったとのことです。

今回の本編に戻ると、2つの物語共にテーマになっているのが、実はポスターにも載っている「居場所」というキーワード。お雛に関しては、両親ともに亡くして、育ての親に対しての距離を感じ、心引きこもった末での「白粉(おしろい)」。

自分の素顔を見せないことで、他人を遠ざけるようにしか生きられなくなったお雛。婚約も決まった自分は「傍から見れば満たされている、でも私の心には届かない」と。
そんな”自分”に閉じこもりながら、どうにもできない苦しみを屏風のぞきだけには吐露できる。

一時は「このままの自分でいい」と開き直ったお雛、ただでさえ頑固者なだけに言い出したら聞かない。
そんな頑固者な一面は、さやかさんにも感じる一面なだけに、そんなシンクロも見ていて微笑ましくて。
さやかさんとお雛の印象が被るのは、「不器用だけど、分かっているけど、どうにもできない自分」といった印象が少なからずリンクして見えるところ。実のところ、さやかさん自身はもっと実行力あるお方ですが、何というのか「袋小路に入らせたら説得力がハンパない」あたりが別人物と思えない(笑)

「私は幸せ」という歌詞が何度も出てきますが、最初は心細く、「自分自身を幸せと思い込もうとしない限り自分は幸せになれない」と思っている風。そして助けを求めることしかできなかったのが、だんだんと”幸せになるにはどうしたらいいのか”を屏風のぞきとの”忌憚ないやり取り”から感じ始める。
他人に対して心を閉じずに、他人を信じて進み始めたとき、さやかさんのお雛が歌う「私は幸せ」が、強がりでもなく実感につながっていったのだなと。
その辺りの歌い分けをハートで出せるのが、岡村さやかさんの最大の歌力なんだと思います。

自分の居場所が分からなかったお雛が、実は自分の居場所を作れなかったのは自分が理由だったと、そう向かい合えたことが本当の笑顔につながったんだなと。

屏風のぞきの藤原さんのテンポもとても良かった。きっとお雛だけだと湿っぽい祭りと言いますか、な空気を軽いテンションでポップに仕上げてくれる。見ていて安心できる存在です。

もう一方の物語、『空のビードロ』の松之助を演じた平野さん。東屋の”小僧”といいつつ実質的には”手代”レベルの中堅どころで一目置かれる存在ながら、今や育ての親もなく、自分の居場所がどこかを見いだせない様を、丁寧な脚本とともに演じられていました。松之助が真摯だったからこそ、見えない力も含めて松之助を応援してくれたのかなと。

ストーリーとしても大好きな物語ですが、とりわけ『空のビードロ』の感動的な場面は、若旦那に受け入れてもらった自分、ようやく居場所を見つけた自分の喜びのバックに流れる「ここにいていいんだ」のコーラスに、前半でお雛さんをやっていた岡村さやかさんが入られていること。

自分の居場所を見つけられずにいたお雛が、一足早く自分の居場所を見つけて、今度は松之助を応援するかのように後押ししているように感じて、『居場所を探した同志からのエール』のように聞こえて。

ラスト全員で歌い上げる場面でも、自分の殻に閉じこもっていたお雛とは別人のように「誰かを愛したい、誰かの力になりたい」と歌い上げる様は、”自分の居場所を見つけようとして、生きる様”をはっきりと見せているかのようで、毎回感動させられたのでした。

浅井三姉妹(岡村さやかさん、田宮華苗さん、千田阿紗子さん)もそれぞれ大活躍。

田宮さん演じるおみつの役柄上の腹黒さが嵌りすぎて困る(笑)
擬音で言うところの「きしし」って感じの策士ぶりが流石です。

表面上の策士ではなく世渡り上手ということで言えば千田さんも流石なポジション。
奉公人を上手くまとめ、おみつに逆らわない辺りはイメージぴったり。
パフォーマー(アンサンブル)だけでなく、演出助手も兼任されていたとのことで、八面六臂の活躍も流石です。

この日は千穐楽ということで、各キャストからお1方ずつご挨拶。

何だか最初の美木さんが「○○スキー」をテーマに付け始めたもんで、諸々大爆笑な展開が。

両思いだったのはお雛←→正三郎だけで、あとみんな片思いってのも笑いましたが(笑)、

さやかさんが「正三郎スキーで行きたいと思います。あ、今日までそうじゃなかったわけじゃないですよ」と慌てて否定していたの可愛かったです。

珍しく何を言うかすっ飛んでしまったたみさん。「もう明日から他人を騙さないで生きていけると思うと嬉しいです(笑)」

平太くんの成長が凄いと感心していた千田さんだったり。

藤原さんが最後に仰っていた「しゃばけの最初から出ている我々としては、どうやって物語を継いでいくかを意識した」との言葉がとても印象的でした。

「今回は仁吉も若旦那(植田さん)もいないし、『畳紙』やるよって言われて、相手役は岡村さやかだよって言われて…前回はただ楽しんでいれば良かったのに、今回はいきなりメインで、しかもこんな歌上手な方が相手役ってプレッシャーしかなかった」とも仰っていたのも印象に残りました。

ダブルアンコール(歌)もあり、ほっこりとした印象のままでの千穐楽。千穐楽の模様はDVD事前予約特典として収録されます。

来年春の再演は『ねこのばば』原作にて上演となります。今回と同じように2作混成になるかは未発表ですが、どんな感じになるのか興味津々です。

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『HIBARI』

2017.9.3(Sun.) 14:00~16:10
東京芸術劇場プレイハウス
2階C列30番台(センターブロック)

NBAバレエ団公演で2部制になっているこの公演。
第2部で美空ひばりさんをフューチャーしており、第2部の部分が今回再演です。

第1部は「The River」を日本のバレエ団として初上演。
普段バレエを見ない私のような人間でも、身体ってここまで自由自在に動くものか感嘆させられます。
優雅さや鋭さ、キャストそれぞれの持ち味が見えてくるようで、新鮮な体験でした。

第2部は前回好評とのことで2年ぶりの再演となった「HIBARI」、このパートが再演部分ですが、美空ひばりさんの生涯を、曲とバレエのコラボレーションで振り返る作品。
前回のナビゲーターは元宝塚の和央さんでしたが、今回のナビゲーターは綿引さやかさん(びびちゃん)。

曲のテーマにあわせて、ご自身初だそうな燕尾服をお召しになり登場し、各曲と各曲の「間」をつなぐように、主にナレーター的なポジションで作品を進行されていきます。衣装は中盤の真紅のドレスから、最後の黒い喪服風の服へ。真紅のドレスは以前、ヤマハホールや福岡のコンサートで着られていたものかと思いますが、あとの2着は初めて拝見します。

初演同様、台本は一切持たない志向とのことで、台詞から歌まで台本なしの進行ですが、美空ひばりさんという存在の大きさに萎縮せず、ひばりさんの魅力に魅せられた一人という立場で取り組まれていたように見えたびびちゃん。

美空ひばりさんといえば、日本復興の道のりとともに、皆の中、特にお年を召した年齢層にご自身の歴史とシンクロする大きな大きな存在で、きっとそのひばりさんを分かった振りをして取り組んでも意味がないし、感動してもらうこともできないと思うんですね。

ひばりさんの苦しみも喜びも、まるでそばで見てきた娘さんかのように、心からの尊敬の念とともに進行されたびびちゃんの姿はとても光っていて。過剰に感情を押し付けることは決してなくて、観客の皆さんのなかにある「ひばりさんの存在」をすっと浮き上がらせるように、表情と感情と言葉で優しく温かく伝える姿はとても素敵で。

そしてもちろん、NBAバレエ団の皆さんが作り出す、ひばりさんの空気を再現するバレエとの融合も意識されていて、「演じる側の気持ち」として、「お客さんあっての私」と仰ったひばりさんのハートにも寄り添われていて。

歌こそ少なかったですが、その中でもとりわけ『愛燦燦』の歌唱パートはとても深くて、演技と歌とハートにいつも接されているミュージカル女優の面目躍如で。そのうえ「テーマに寄り添い、お客様に寄り添い」というびびちゃんのポジションがどれだけお客様に伝わったかは、最後の拍手の温かさにすべて現れていたかと。

この公演が発表されてからずっと思ってきたことで、実際に拝見しても思ったことが、びびちゃんが先日まで出演されていた『Beautiful』との共通点。

『Beautiful』の主人公であるキャロル・キングがアメリカの魂を体現する存在だからこそ熱狂されることと、『HIBARI』の主人公である美空ひばりさんが日本の魂を体現する存在だからこそ熱狂されることはとても似て感じて。

そう考えると、そんな2作品に出演されて、主人公に近い位置で佇んだ経験は、いろいろな点でびびちゃんのこれからへの大きな財産になるように思えてなりません。

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『しゃばけ弐』(1)

2017.9.2(Sat.) 18:00~20:10
紀伊國屋ホール M列1桁番台(下手側)

歴史ファンタジー『しゃばけ』2度目の舞台化、この日が初日です。

岡村さやかさん、田宮華苗さん、千田阿紗子さんの通称『浅井三姉妹』(演出・音楽の浅井さやかさん主宰の『One On One』出演の常連お3方で、この作品の現場でそう呼ばれているそうな)揃い踏みということでいそいそと出かけます。

今回舞台化になる短編は、前半が『おまけのこ』に収録されている「畳紙」、後半が『ぬしさまへ』に収録されている「空のビードロ」。フライヤーなどには「空のビードロ~畳紙」と表示されていますが、物語の進行的には逆の順番です。

「畳紙」のヒロイン、お雛さまを演じるのが岡村さやかさん。化粧がどんどん厚くなり、皆から後ろ指さされるほどになるほどの女性の悩みに、藤原さん演じる”屏風のぞき”なるあやかし的な存在が(自身は)不本意ながら相談相手になるというストーリー。

十年近く化粧が厚くなり続けたお雛が、なぜ今いきなり化粧の濃さに悩むようになったのか、誰にも言えない本音を屏風のぞきにだけはぶつけられる。本当の気持ちが明かせないお雛の悩む様と、屏風のぞきには言えるその痴話喧嘩風(爆)のテンポとの落差が面白いです。

岡村さやかさんの魅力を世界一知っている浅井さんだけに、前半はさやかさんの歌声でただひたすらにお雛の心情を表現。さやかさんもただ歌い上げるタイプじゃなく、感情に沿わせて歌うことに長けている方ですから、お雛さんの不器用さが痛いほど伝わってきて、絶品の一言。

なかなか心情を切り替えない意外なほどの頑固さとか、素敵なのになぜだか自信が持てない様とか、なんだかご本人と印象被りまくりだったりして、屏風のぞきが感じるもどかしさになんだか共感してみたりします(笑)。

自分の居場所が見つけられず、自分に自信が持てなくて、でもお雛にとっては、自身が周囲を信じきれていなかったということでもあって。

自分が遠ざけられていると思っていた相手が、実は自分のことを心から心配していたと知った時の心の動き、屏風のぞきには素のままで自分をぶつけられていたこと・・・それらがお雛の化粧という”壁”を崩していく様はとても温かくて。さやかさんのいつもの笑顔が、”お雛”という役で見られたとき、なんだか心の底からホッとさせられたのでした。

後半『空のビードロ』は桶屋の若手・松之助が拾った”青いビードロ”をめぐるお話。
ずっと丁稚奉公のような立場で、天涯孤独かのような自分にとって、これからどう生きていけばいいのかと思い始めた頃にやってきた、身の回りの不思議な出来事についてのエピソード。

桶屋の御主人の娘さんのおりんがこの物語のキーパーソンですが、ここに田宮さん。当然タダで済むわけはなく(笑)、原作以上に某シーンで楽しそう過ぎて笑いを通り越して本気で背筋が寒くなります(爆)。ナイス配役としか言えません。

下働き3人衆の中で紅一点のおかねを演じるのが千田さん。パフォーマーとしての出演ですが、本当に動くと面白いのは相変わらずで、テンポの良さを感じて流石です。

浅井三姉妹は歌のさやかさん、演技の田宮さん、動きの千田さんとそれぞれ本領を発揮して、物語をしっかりと支えているだけに、周囲の男性陣も安心して自由自在に動かれているように見えて。

そして物語的にも、どうやって繋ぐのかと思っていた「畳紙」と「空のビードロ」を実に上手く繋げていて、言うならばお雛も松之助も誠実であればこそ、根無し草でない自分の居場所を見つけることができたのかと感じられたことが素敵でした。

原作のあたたかさと、浅井ワールドのほっこり感が絶妙に混じり合い、歌に物語に、すーっと入っていける素敵な作品。10日まで、紀伊國屋書店新宿本店4階、紀伊國屋ホールにて。是非に。

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『新妻聖子「アライブ」リリース記念イベント』

2017.8.31(Thu.) 18:30~19:10
銀座山野楽器本店8F Jamspot

7月にリリースされた両A面シングル「アライブ/天地(あめつち)の声」リリース記念イベント、銀座山野さんでのこの日が最終日。

前回が去年の「この祈り~The prayer」の時ですからまだ1年経っていないわけですが、前回から抽選となった山野さんの聖子さんイベント。120番まで振られた番号で立ち席はなく。結果的に10人ぐらい来られなかったのでもう少し当選者を増やしても良かったんじゃないかと思います。

ではセットリスト。

1.ラマンチャの男
2.天地(あめつち)の声
3.アライブ
4.I will always love you

お馴染みの4曲が揃いました(笑)。

平日の夜ということもあり、「今日も一日お疲れさまでした」で始まる聖子さん独壇場(当然のことながら司会はいらっしゃいません)。今回はピアノ演奏ではなく、収録音源での歌唱でした。

もはやラマンチャに関してはMCで触れることすらしない(笑)で開始。
リリイベは今回は外でのオープンスペースが多かったので、「屋根のあるところ」でのイベントは新鮮と。

なんか会議室みたいですね(笑)」
「みなさんしっかりした方って感じですね(笑)」

という感じでMCスタート。

聖子さんのMCを聞いていて思いますが、最初の第一声が突拍子なくても、その後の修正力が流石。「先日グラビアが載った週刊誌が出まして、その手の雑誌を初めて買いました」という話に意外に反応が薄かったのを読み取ると、即座に説明に入るとか。まぁ結局、恥ずかしそうでしたが(爆)。

前日テレ朝系で放送された『あいつ、今どうしてる?』の話も出まして。出身校の愛知県祖父江町立長岡小学校(現在は市町村合併により稲沢市立長岡小学校)の同級生のうち15人が出てくれた話をされていましたが、今回の件もあって実はグループLINEで40人と繋がっているんだそうで。

今まで出会ってきた人たちがあって今がある、そんな思いを再認識できた今日に歌う『アライブ』はとっても深く感じるところがあります」という聖子さんの言葉は凄く印象的でした。

番組の最後に言ってた「芸能界に入る時に決めていた2つのこと、『必ず本名で活動する』それは昔の仲間が自分の存在を知ってくれるから、『プロフィールの出身地には必ず祖父江町まで書いてもらう』それは祖父江町が大好きだから」の言葉、それが表面的な言葉だけじゃないからこそあれだけの昔の仲間が集まってくれるし、「聖子さんの歌」にも「聖子さんの想い」がしっかり投影して聞こえてくるんだろうなと。

しっかりしているようで、実は突拍子もないところもあるという一面をこの場で覗かせつつ(まぁ以前から見ていると分かりますけど笑)。

某ラジオに出たときの聖子名言録「だいたい私は食い意地で失敗しています」にすべてが集約されていますが(笑)

来週からのコンサートツアーの内容は今のところこの場での片りんはなく(フォロワーさん曰く、前週の音霊(神奈川県三浦半島)ではちょっとした前触れがあったそうです)、ちなみに新潟が良席まだご用意できる模様(爆)。

短いながらも中身の濃いイベントはあっという間に過ぎるもの。終了後は舞台上でのサイン会を行なってそのまま流れ解散となったのでした。

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