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『HIBARI』

2017.9.3(Sun.) 14:00~16:10
東京芸術劇場プレイハウス
2階C列30番台(センターブロック)

NBAバレエ団公演で2部制になっているこの公演。
第2部で美空ひばりさんをフューチャーしており、第2部の部分が今回再演です。

第1部は「The River」を日本のバレエ団として初上演。
普段バレエを見ない私のような人間でも、身体ってここまで自由自在に動くものか感嘆させられます。
優雅さや鋭さ、キャストそれぞれの持ち味が見えてくるようで、新鮮な体験でした。

第2部は前回好評とのことで2年ぶりの再演となった「HIBARI」、このパートが再演部分ですが、美空ひばりさんの生涯を、曲とバレエのコラボレーションで振り返る作品。
前回のナビゲーターは元宝塚の和央さんでしたが、今回のナビゲーターは綿引さやかさん(びびちゃん)。

曲のテーマにあわせて、ご自身初だそうな燕尾服をお召しになり登場し、各曲と各曲の「間」をつなぐように、主にナレーター的なポジションで作品を進行されていきます。衣装は中盤の真紅のドレスから、最後の黒い喪服風の服へ。真紅のドレスは以前、ヤマハホールや福岡のコンサートで着られていたものかと思いますが、あとの2着は初めて拝見します。

初演同様、台本は一切持たない志向とのことで、台詞から歌まで台本なしの進行ですが、美空ひばりさんという存在の大きさに萎縮せず、ひばりさんの魅力に魅せられた一人という立場で取り組まれていたように見えたびびちゃん。

美空ひばりさんといえば、日本復興の道のりとともに、皆の中、特にお年を召した年齢層にご自身の歴史とシンクロする大きな大きな存在で、きっとそのひばりさんを分かった振りをして取り組んでも意味がないし、感動してもらうこともできないと思うんですね。

ひばりさんの苦しみも喜びも、まるでそばで見てきた娘さんかのように、心からの尊敬の念とともに進行されたびびちゃんの姿はとても光っていて。過剰に感情を押し付けることは決してなくて、観客の皆さんのなかにある「ひばりさんの存在」をすっと浮き上がらせるように、表情と感情と言葉で優しく温かく伝える姿はとても素敵で。

そしてもちろん、NBAバレエ団の皆さんが作り出す、ひばりさんの空気を再現するバレエとの融合も意識されていて、「演じる側の気持ち」として、「お客さんあっての私」と仰ったひばりさんのハートにも寄り添われていて。

歌こそ少なかったですが、その中でもとりわけ『愛燦燦』の歌唱パートはとても深くて、演技と歌とハートにいつも接されているミュージカル女優の面目躍如で。そのうえ「テーマに寄り添い、お客様に寄り添い」というびびちゃんのポジションがどれだけお客様に伝わったかは、最後の拍手の温かさにすべて現れていたかと。

この公演が発表されてからずっと思ってきたことで、実際に拝見しても思ったことが、びびちゃんが先日まで出演されていた『Beautiful』との共通点。

『Beautiful』の主人公であるキャロル・キングがアメリカの魂を体現する存在だからこそ熱狂されることと、『HIBARI』の主人公である美空ひばりさんが日本の魂を体現する存在だからこそ熱狂されることはとても似て感じて。

そう考えると、そんな2作品に出演されて、主人公に近い位置で佇んだ経験は、いろいろな点でびびちゃんのこれからへの大きな財産になるように思えてなりません。

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