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『beautiful』(5)

2017.8.26(Sat.) 12:30~15:40
 帝国劇場2階L列30番台(センターブロック)

この作品もこの日が千穐楽。

日々盛り上がりを見せてきたこの作品、「Locomotion」では手拍子も技術が上がり(笑)、かなり高度な手拍子が揃う揃う。当初は2階ではあまり拍手が起こっていなかったんですが、流石この日は千穐楽ということもあり、観劇馴れというより『beautiful』馴れした皆さまの拍手があたたかい。

この『beautiful』の作品の空気を一言で表現すると「あたたかい」の一語に尽きると思います。
キャロル・キングの曲が愛に溢れているだけに、キャロル・キングの曲のストーリーを展開するカンパニーのみんなが纏う空気も、刺々しくなく自然で、それぞれ美しい(beautiful)。

曲や物語が作り出す包み込まれるような温かさに包まれ、癒される時間が素敵でした。

キャロル・キングの曲はどれも聞き手に寄り添うようで、大上段に構えてなくて。
ふと横にいてもらえるかのような音楽だからこそ、物語としても押しつけじゃなくて、「こうしてみたらどう?」みたいな問いかけになっていたようで、構えず聞けたのが心地よかったです。

前日の水樹さん千穐楽は平日夜ということもあり行けなかったのですが、動画が上がっていて、水樹さんの「愛媛県に生まれ、父に演歌を習い、でも今はほら、帝国劇場に立っている!」に大拍手。これ、本編の最初の台詞「ブルックリンに生まれ、母にピアノを習い、でも今はほら、カーネギーホールに立っている!」の忠実なリメイクなんですよね。素晴らしい。

千穐楽は平原キャロル。

チャーミングな水樹さんキャロルに比べて、漢前な平原キャロル。ジェリーとの初対面の後、ジェリーに言われた「バッハも聞いてみるといいよ」に発奮して、バッハを弾いて見せた後、ジェリーに対して「どうだ」と言わんばかりに腕組みして強がる様が大好きです(爆)。

かと思えば、(ドニーやシンシアがいる部屋で)山田さん演じるニール・セダカに「oh,carol」と歌われて、赤面して両手で「きゃっ」と恥ずかしがる様もツボだったりします(笑)

あと平原キャロルはツッコミがどれも味があるんですよね。特に剣さん演じる母親へのツッコミが愛に溢れてて、ちゃっかりしてる感じが実に親子だなと(笑)

そういえば剣さん、この日、歌を売り込みに行きたいというキャロルに対して「この世に地獄とタイムズスクエアしかないとしたら、みんなタ」と言ったところで気づき(笑)言い直されておりました。珍しいですね(正解は「みんな地獄を選ぶでしょうよ」です)。

水樹さんと平原さんの違いと言えば、相手役の伊礼さんからカテコでハンカチを差し出された時の反応が好対照。水樹さんはハンカチで涙を拭くんですが、平原さんはハンカチで鼻をかむんですね(笑)。とっても性格の違いが分かりやすい。

びびちゃん(綿引さやかさん)、「Pleasant Valley Sunday」の歌い上げがとても素敵。他メンバーとは一線を画した歌い上げだけど、それだけに特徴的で、だからこそその後のシーンとの落差が凄い。「あのマリリンが?!」とキャロルの驚きを共有できる。あのシーンのびびちゃんマリリン、訳あり風なのに捨てきれないお嬢様風(爆)。

それからするとビター・エンドで伊藤さん演じる男性からのアプローチをいなす、びびちゃんの女子力の方がある意味新鮮な気もします(爆)。

ソニンちゃんも珍しくゲラってたなぁ。まぁ予測不能なあっきーと対してる時点でそうなることは予測できてたけど。
登場直前にあっきーから「アドリブ入れて」って言われて断ったのに、あっきーがアドリブ待ちの表情で待ってたもんだから、こらえきれずに噴き出してた(笑)。

「You've got a friend」の後の「この流れる涙は何?」の台詞には会場全員「涙です」って呟いたよね(爆)←(正解は「この流れる液体は何?」)ちなみにここのシーンについてソニンちゃんがカテコで語って曰く、「真治君はいっつも泣いてた。あーやも泣いてた。でもあっきーはこれ以上ないぐらいのいい笑顔で」ってのも笑いました。

「You've got a friend」の後の長い長い拍手、あぁこれこそが『beautiful』の真骨頂だなぁと。
ライバルがお互いを高め合い、別れを惜しみながらもこれからも友達でい続ける、一期一会の瞬間。
客席まで含めて、その空気を共有できた一期一会を喜ぶかのように。素敵な空気を共有できたことへの感謝の気持ちで、帝劇が拍手でいっぱいになった瞬間。それは、何物にも代えがたい素晴らしい景色でした。そりゃソニンちゃんも、のまれて台詞間違えるよね(笑)

そのあたたかい空気はカーテンコールでも引き継がれていて、この日のキャロル・平原さんはカーテンコールでなんと、スウィングのお2人を呼び込んで紹介。その上で、アンサンブルさん全員とスウィングお2人をフルネームでご紹介。

「アンサンブルさんも大事な仲間」とおっしゃる座長さんは多いけど、実際に全員の”フルネーム”と顔が一致して紹介することを、こともなげにされる平原さんは壮絶にカッコよかった。この舞台の屋台骨を名実ともに支えた、というよりプリンシパルと一緒に作ったアンサンブルさん1人1人の、紹介された時の充実しきった表情は皆さん本当にbeautifulでした。水樹さんも音声室でご覧になってて、水樹さんを紹介することももちろん忘れない平原さんが素敵。

その上で更に「お客さん皆さんがbeautiful。皆さんの笑顔に、拍手に、どれだけ力づけられたかぜひ知っていてほしい」と仰る平原さんが素晴らしくて、舞台上手から下手までダッシュして手を振る様も、2階席にまで手を振る姿も、投げキスの末に、キスをピッチングで投げたり、キスを右打席からバットで打つ風にしたり、左打席からバットで打つ様にしたり、もうもう何やってんですか無茶苦茶カッコいいんですけど平原さん、な状態。あまりにカッコよくて、カンパニー皆に紹介されるときの名前のコールがまるでプロレス(笑)。主に伊礼さんが主導してたんで、平原さん、伊礼さんに「おいっ」って手でノリ突っ込み入れてました(笑)

カッコよかったのはカーテンコールの皆さんの挨拶も。
演出上の都合(筆者推定)により、平原さんのご挨拶しか公式に上がっていませんが、プリンシパル皆さんのご挨拶はどなたも素敵でした。

その中でもとりわけ、2人のご挨拶だけは形に残しておきたいので、要旨ですが上げさせてください。

武田真治さん(ドニー役)
「この作品は他のミュージカルと異なり、プリンシパルが作曲家(物語側)を担って、アンサンブルが歌を担うという作品です。アンサンブルがスターを演じました。それによって、舞台の世界にはこんなに才能のある人が溢れているんだということを知っていただけることができたことは本当に嬉しいです。バラエティー側の(笑)人間として、ステージの世界ではこんなにすごい人たちがいるんだということを喧伝していきたいと思います。『喧伝』って言葉の意味わかりますか?『喧嘩腰で宣伝する』って意味です!」

…アンサンブルさんをこういう形で表現してくれたのは本当に嬉しい。プロデューサーという役というだけでなく、若い人たちを積極的に乗せていく姿はやっぱり彼らしくて本当に頼もしい限りです。

そしてもう一人の雄、伊礼さん。

伊礼彼方さん(ジェリー役)
「ジェリーを演じ、また宣伝部長もさせていただきました。この作品を帝劇でやることになり、いつも帝劇でやっている作品とはちょっと違うメンバーで・・・・。実際、このメンバーって日生やクリエのイメージですよね(笑)。作品的にもいつもの帝劇とはちょっと違っていて、そういう意味で作品面でもキャスト面でもチャレンジした今回。自分も帝劇に出続けて10年ぐらいになりますが、こういう”芝居”という面を前面に出した作品をやるべきと言ってきたので、とても意味あることだったと思っています。作品の中でジェリーも言っていますが、『時代は変わってきている』わけで(会場拍手)、旧いものの良さを残しつつ、新しいものを取り入れていく、今回空いた風穴を開けていく、それが我々30代・40代がやっていくべきことと思っています。ありがとうございました」

…動画でカットされた理由の部分を外して書くとこんなに良いこと仰ってます(笑)。こんないいこと仰っているんですから社長、あんまり刺激的な発言してオールカットにしないでください(爆)。

ちょうど1カ月の公演。
夏を駆け抜けた(東京は夏らしくなかったですが)、なんだか夏の強化合宿みたいだった『beautiful』。

プリンシパルさんからアンサンブルさんまで、爽快な笑顔が見られたことが何より嬉しくて、前向きなエネルギーを充電させてもらえたことに感謝を。素敵な1カ月でした。

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