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『グレート・ギャツビー』(2)

2017.5.21(Sun.) 12:00~15:00
日生劇場 2階I列30番台(センターブロック上手側)

公演前半の日程を取っておらず、この日がようやくmy初日。
おけぴさん、エポスカードさんの合同貸切公演です。

この作品は宝塚(『華麗なるギャツビー』)でも、映画でも見ておらず、去年サンシャイン劇場(池袋)でやった松竹版の『グレート・ギャツビー』のみ見ています。

今回、今までのギャツビーとは音楽をすべて変えてということで、ストーリーのみが変わらずの上演です。

今回のギャツビー役は井上芳雄さん。

演出の修ちゃん先生(小池修一郎先生)からのパンフレットコメントに微笑しつつ、確かに芳雄氏を最初の頃から見てきている方にしてみれば、なかなか芳雄氏とギャツビーは結びつかないかも、と思いつつ。

芝居の厚さ、人となりの厚さが出てきた今だからこそ、背中で語れるようになった今だからこその役なのでしょうね。

ともすれば、すべてを手に入れた男性であるギャツビーが、なぜデイジーだけは手に入れられないのか、そこに傲慢さを感じかねない役であるところ、正直言って傲慢なのはトムだけで十分で(爆)。

ギャツビーが、自分の人生を賭けていい存在だからこそ、デイジーを力で物にしようとしていない。
デイジーの前では一人の男性として認められたい、そんないじらしさが伝わってくるのも今の芳雄氏演じたならでは。

お金があるから人が集まる、力があるから人が集まる、でも本当に信頼できる親友はいない。
そんなときに現れたニック(田代万里生さん)と出会えた時の、「初めて出会えた親友」へのアプローチもとってもいじらしくて不器用で、だから愛らしかったりもする。

ニックもお人よしが背広着て歩ているかのような(注:役柄上の話です。)万里生君だし、親友であることに微塵の疑いも感じさせない力量バランスが素敵です。

ギャツビーが全てを捨てても手に入れたかったデイジーは
夢咲ねねさん。
「手に入れたかった」という表現そのものが相応しくないかのような存在。
どこかおとぎの国の存在のようで、容易く触れてはならないかのような存在感が絶妙。

「綺麗なおバカさん」になりきれない自分の不器用さ、聡明さを却って鬱陶しがっているような立ち位置が新鮮でした。

蝶よ花よと持て囃される上流階級としての自分を、鬱陶しく思いながらも、巧みに利用するようなところもあって。自分自身のエゴを見えないように、でも捨てないように演じるのはねねちゃんの得意技な気がします。

今回の登場人物で印象的だったのは、デイジーの親友のゴルファー、ベイカー役の、AKANE LIVさん。
松竹版で大湖せしるさんが演じられていて、その時も「自立した女性」ぶりが素敵でしたが、今回も光っています。

デイジーが「自立できる才を持ちながら、タイミングに恵まれなかった」女性であることと比べると、ベイカーは「自立できる才を持ち、タイミングも自分でコントロールした」女性。そしてもう一人のメインの女性役、マートルに至っては「自立できる才を持たず、男性を求めることでしか存在できない」女性。

この時代の女性の生き方が三様に現れているようで、興味深かったです。

女性の衣装がアンサンブルさんに至るまでどれも豪華で、この時代の時代背景を思わせます。
やんさん(池谷祐子さん)がダンスで踊りまくるのも新鮮です。
ただ、それらの豪華さが、逆に「何も残らない儚さ」を思わせるかのようで、物悲しさを感じたりしました。

ギャツビーにしても、お金にも力にも執着せず、ただ一つ望んだデイジーの存在を手にすることはできなくて。
でも、最後のシーンでデイジーは、ギャツビーの元に来てくれて。

トムは絶対にその行動を認めようとしなかっただろうけれども、それでもデイジーは自らの意思を貫き通して。ふわふわしているように見えても、大事なところでは確実に筋を通した。

「綺麗なお嬢さんだ」と言われたデイジーの姿は、ただ外見だけではなく、その想いまで綺麗で。
本当の芯の強さを見せてくれたデイジーの姿があってこそ、ギャツビーが命を懸けて守った意味があると感じられて。

何もかもが儚くて、確実なものが何もない時代の中で、その中でもギャツビーのデイジーへの想いと、デイジーのギャツビーへの想いは本物だったと思えたのは、せめてもの救いだった気がします。

この日は貸切公演ということもあり、ご挨拶がありました。

芳雄氏「おけぴさんは先日も半館貸切していただきまして、今日も半館ということで、一緒にまとめればと思うんですが、色々事情があるのでしょうし(笑)」

あたりからの芳雄節が始まり、

「おけぴさんからの舞台愛を感じます。エポスさんから感じないわけじゃないですよ(笑)」

と継ぎ、

芳雄氏「エポスさんといえば、何ですか、ねねちゃん」
ねねちゃん「(超困った風に)ポイント?」
  (会場内笑&拍手)
芳雄氏「まぁだいたいカードにはポイントあるよね(笑)」

と漫談突入。

いやぁ、ねねちゃん、
程よく天然、程よく正解、程よくツッコミどころがある答えという、流石の返しでございました(爆)。

芳雄氏「エポスさんは元々丸井さんのカードで、日本最初のクレジットカードなんですよ」

と言って舞台上と客席を「へー」と言わせた後、

「Wikipediaで調べたんですけどね」と白状し、ご自身恥ずかしそうに顔を俯かせ、隣の万里生氏が遠慮がちにツッコむ、という仲々な風景が展開したのも、このカンパニーならではで面白かったです。

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