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『王家の紋章』(4)

2017.5.3(Wed.) 13:00~15:45 2階J列40番台(上手側)
2017.5.5(Fri.) 13:00~15:45 1階W列10番台(下手側)
帝国劇場

5/3マチネ:新妻キャロル、宮野イズミル
5/5マチネ:宮澤キャロル、平方イズミル

初演から通じて、5/5マチネが初めての宮澤キャロル(キャロ江)でした。

今までずっと新妻キャロル(キャロ子)で見通してきたので、キャロ江ではどんな風に見え方が変わるのだろうというのに興味はあったのですが、いつ見ようか迷った上で、ラストはキャロ子さんにしたかったのでこの回にしました。イープラス・三菱UFJニコスの合同貸切公演の回です。

PVやパンフレットを見ていて知ってはいたのですが、特に1幕、キャロ江では怒り顔が印象的。
険しい顔をしている場面が多いので、もちろんそういう意思はないのでしょうが、不機嫌なようにも見えてちょっともったいないなと。

勿論、自分が望んだわけでもなくいきなり3000年前のエジプトに吹っ飛ばされれば、不安がないわけはないですが、キャロ子の場合は「不安」に見えるところが、キャロ江の場合は「(気持ちが)不安定」に見えてしまうのが残念です。

2人を比較すれば、キャロ江は「若さは切り札」なはずで、もっと生き生きと伸び伸びすればよいと思うのですが、どうもご自身考えすぎなところがあるようで、思いつめるあまり良さを自ら消してしまっている感が勿体ないです。

といえ、霊長類最長女子という顔を持ち、生粋の王族のニイヅマセイコ様を前にして、平常心を保って自分らしさを、と言っても苦しいのは分かるんですけどね。

この日、キャロ江を見て一番印象的だったこと。

彼女は背が高い(164cm)なので、メンフィスの浦井さんに抱きしめられると、浦井さんにすぽっと収まらないんですよね。聖子さんは154cmなので、普通に立っているだけでメンフィスにすぽっと収まる。

で、キャロ江が2幕後半の戦闘シーンの中で立っている姿を見ていると、兵士とほぼ同じか、少し小さく見えるんですね。
振り返って、キャロ子が同じシーンでどう立っているか思い出すと、明らかに兵士より大きいという記憶がある。

メンフィスを救うために「ヒッタイト兵!私はここにいるわ!」と叫んだ時のオーラは、実態以上にキャロルを大きく見せている。

つまり聖子さんの場合、メンフィスの胸に抱かれるときには、自分を等身大か小さく見せて、自分の力で立たなければいけないときは、自分を大きく見せるようにしている。
そんな「舞台では当たり前のこと」を”こともなげに”しているのだ、ということに気づけたのが一番大きな収穫でした。

この舞台ではめぐさん(濱田めぐみさん)もそうですね。
ミタムンに対峙したりするときは大きく、そして恋に盲目になったり、弟の怪我に狼狽するあたりは小さく見せているわけですが、それは当たり前のことでは実はないのだなと。

そして舞台をやってきている人は、自然に複数の声色を持っているんですね。
それが特に2幕後半のキャロルの心理の変化に際して、キャロ子は上手く使いこなしている。
絶望から覚醒、決意に至るまではっきりと声で心を表現している。
そして台詞の声も歌の声もボーダーレスで行き来させられる。
それはやはりキャロ子、流石だなと。

逆に言うと、キャロルが確立しすぎることによる作品への影響を感じて。

キャロ江で観た回、この作品は「メンフィスとキャロルの物語」と感じたのですが、キャロ子さんで観ると、「キャロルとメンフィスの物語」に感じることが多々あるんですね。

キャロ江の場合、感情に自然に動く感じがあるので、メンフィスやイズミルもキャロルの心情に自然に動かされる感じがあって、「メンフィス」が主となることは揺るがなくて。キャロルもメンフィスの世界の中にいる一人であると。

キャロ子の場合、自らの立ち位置を完全にコントロールしているので、結果、メンフィスが自分に心惹かれるところまで計算に入れているようなところがあって。そうなると、メンフィスよりもキャロルの気持ちで回していく面が見えることがあって、やりすぎるとちょっと危険かなと。

今回の「王家の紋章」再演、聖子さんは自らが王族ということもあり、出すぎず出なさすぎずを自らコントロール仕切っているということが、佐江ちゃんを見てよりはっきりわかった気がします。

そうなると、佐江ちゃんも聖子さんの造形にあまり引っ張られることなく、佐江ちゃんらしいキャロルを目指してほしかったなと思います。

この日のカーテンコールは貸切だったため、ご挨拶がありましたが、

佐江ちゃん「私は明日が帝劇楽です。明日、帝国劇場に立つのは最初で最後かと思いますが」(※)
浦井くん「何を言っているのか分かりませんが(笑)、今日は何だったんでしょうか」

…というご挨拶をしたあたり、佐江ちゃんも相当余裕がなくなっているのかなと。(浦井くんは流石のフォローでした)

※ご本人からその後訂正があり
「帝国劇場に立てるのは泣いても笑っても明日が最後なので」の予定だったそうです。


今回はDVDが出ることもあり、その言い方からすると近い時期の再演は可能性が低いように思われますが、せっかくの大阪公演、Wキャストがそれぞれ別の居ずまいで作品を引っ張っていってもらえるよう願っています。

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