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『ミス・サイゴン』(33)

2016.11.1(Tue.) 10:30~11:15
 帝国劇場2階ロビー(特設ステージ)

2016.11.3(Thu.) 13:30~16:15
 帝国劇場1階A列(最前列)10番台(下手側)

プレビュー以来ご無沙汰な『ミス・サイゴン』。
久しぶりな本編の前に、まずはイベントレポート。

11月1日、全国火災予防運動週間に先駆けて開催された「火災予防防止もちつきまつり」。
帝劇2階ロビーを会場にしてのイベント。オーディエンス100人に当選して行ってきました。
ちなみに、お土産で餅をいただきました(JAさんが協賛されていましたので)。

式次第としては、
 1.来賓ご挨拶
 2.ユカイ署長、笹本署長へ委嘱状交付式
  …司会の方の呼び方はこの呼び方で統一されていました
 3.AED講習
 4.もちつき
 5.ユカイ署長、笹本署長へ感謝状授与
 6.ユカイ署長、笹本署長から色紙贈呈
 7.ユカイ署長、笹本署長からご挨拶
といった感じで正味40分。

”一日消防署長”ということで、当然のことながら制帽と制服。
ご本人は終了後「コスプレ」と謙遜されていましたが(爆)、どんな衣装でも着こなす衣装女王の面目躍如です。

AEDの実演では、署長の指示で署員が実演するという形で、まずはユカイ署長が指揮棒を振って指示。
ただ、どうしても面白くしたくなるようで(爆)。
ちょうど半分ぐらいで笹本署長にバトンタッチで、それ自体は予定通りだったようですが、

「俺、下ろされるの?」

が、やりすぎユカイ署長とあいまって冗談に聞こえなかったのが玉に瑕(爆)。

この日、なにより良かったのは、玲奈さんのご挨拶。

AEDの講習について、
「こういう訓練って最近機会がなくて、今日経験できてよかったです。AEDが駅とかに置いてあるのはよく見るんですけど、実際に自分が使えるのかと思っていました。(今日の訓練を参考に自分も)勇気をもって使えるようにしたいですし、皆さまにも(勇気をもって必要な時は)使っていただけるよう、お願いしたいです」

という言葉は招いた側からすれば百点満点の答えでしょう。

また、
「これから火の元に充分注意しなければならない季節となりますが、『ミス・サイゴン』はマグマのように熱い舞台を『一人一人』作っています。どうぞよろしくお願いします」

というのも東宝さん的に百点満点でしょう。

何しろ「火が付いたサイゴン」で「火災予防安全まつり」と言われると、その矛盾はどう解消するんだと思っていたので(爆)、どうフォローするのかと思っていました。

が、「火の元に気を付ける」は実は各家庭の話でもあり、帝劇の舞台上の話でもあり(結婚式シーンで実際の火を使っていますし、モーニングドラゴンのシーンでも爆竹で火花が飛びますし)、予防に努めている以上、サイゴンの舞台上の話に触れてもいいわけですね。

ちなみに消防庁丸の内消防署管内での火災による死者は、30年以上ゼロだそうです(平成26年に自損で1名亡くなられているそうですが、自損の場合は「火災死者ゼロ」継続となるそうです)。

もちろん、主催さんからのサジェスチョンもあったとは思いますが、”舞台を『一人一人』作っている”という言葉が玲奈ちゃんの言葉で自然に聞けたことが何より嬉しかったです。

今期は女座長の風格な玲奈ちゃん。
自分だけじゃなく皆で作っている舞台。
この場に一緒に立ちたくても立っていない仲間たちの分まで、サイゴンをもっといろいろな人に知ってもらいたい、という思いが自然に表れた姿を見られたことが感慨深くて、頼もしかったです。

・・・・

そして本編の話へ。
2週間近く空いたサイゴン、11/3は今期唯一の最前列。下手側なので、キムのラストシーンが水面下に潜って、玲奈ちゃんが必死で身体を上野クリスに預けて初めて見えるという事態もありましたが(苦笑)。

全体的には客層がいつもと違う感じで、ユカイさんのエンジニアならではかと。
いつもより拍手が少なかった印象はありましたが、舞台上はいつもと変わらず熱い。

玲奈ちゃんは流石にプレビュー期間から比べるとちょっと抑え気味。それもそのはず、20日間のうちサイゴンOFFは5日間だけ。
この日を越えると明日がようやくお休みということで、終わった後はさすがにホッとされていたようでしたが、タム(武蔵君)を抱きかかえることはせず、やはりお疲れなんだなぁと。

下手側から見て印象的だったのは、ドリームランドのシーン、ジジがぶんむくれ(やってられないわよとエンジニアに食って掛かるシーン)のときの、エンジニアからジジへのぞんざいな扱いを見て、呆然としている青山郁代ちゃんのフィフィの”死んだ目の”表情。
エンジニアについていくしかない身を顧みて、実際には女”性”としか扱われていない自分の境遇に思いを至らせているようで切なかったです。

そして最前列で拝見し迫力に戦慄したキムとトゥイの対決シーン。
この日のトゥイは藤岡くんですが、両親の写真を玲奈キムに突きつけるときの様がプレビュー期間とはまた違っていて、キム間近までまさに”突きつける”様が物凄く怖くて。
神田君のトゥイは「脅かす」感じなのに、藤岡くんのトゥイは「脅す」感じ。
神田君には「切り付けそうな怖さ」を感じるけど、藤岡くんには「刺しそうな怖さ」を感じる。

ここでのエンジニアを含めた関係は、ラストシーンとリンクしているのかもと、この日ふと感じたり。
トゥイの部下に痛めつけられ「命あればこそ」とキムに諭すエンジニアにとっては、「生き延びること」がなにより大事。
「嘘をついては生きていけない」と言うキムだからこそ、最後キムはあの選択をする。

クリスを愛しているけど、タムのためには自分の愛は通せない。
「クリスを愛していない」という嘘は付けないからこそ、キムは生きていけないんじゃないかと、そうも思えて。

キムにとって自分にとっての一番大切なものはタムだったろうけど、自分の想いだって大切じゃないわけじゃない。でも、キムが生き残り、クリス夫婦から援助を受けて生きる人生は、キムにとって「死んでいるように生きている」、それはそれこそ郁代ちゃんのフィフィじゃないけど、戦時下であの立場にいた女性の、その立場のままでいることじゃないかと、そう感じたようにも思えて。

・・・・

そしてこの日、一番印象的だったのは、エレンでした。この回は今期初の三森さんエレン。
ホテルのシーンでキムと対した時、

「それじゃ何『か』

と仰ったんです。

ここ、普段は「それじゃ何」になってて、それがエレンのキムへの冷たさを際立たせていたように思うんです。
なので、この日の三森エレンの「か」は自分にとっては衝撃的でした。

今期は特にエレンはキムに優しく接しているように感じますが、「それじゃ何」だと、キムを相手として認めていないように思う反面、「それじゃ何か」だと、キムを相手として認めているぐらいの違いを感じました。

その流れで見ていくと、今まで全く理解できなかった『maybe』がようやく理解の端緒に付くように。
この曲でキムに対する譲歩を見せるエレンが、なぜクリスをあそこまで責めるのか。
そこの一貫性が全く理解ができなかったのですが、よく考えたらエレンはキムに対して直接譲歩はしていない。
この曲は逡巡しているだけの曲なんだと。

『maybe』ってそれこそ”仮定”の曲なんですよね。
”もしクリスがキムを選ぶなら”自分は身を引くという話で。
クリスがエレンに対して告白し、エレンを選ぶことにしたからエレンもクリスを支える。
だからキムとタムの問題だけが”問題”として残る。

「息子だけならせめて引き取ることもできるわ」

これは以前は
「息子だけならせめて引き取ることもできたわ」だったんですよね。

タムを引き取る意思は、以前は過去形だったけど、今は現在形。

エレンとしてクリスを支えるためにも、クリスの過去もひっくるめて受け止めるために、エレンの意思としてタムを引き取る。だからこその、ラストシーンでのエレンからのタムへの抱擁。

そう考えると、ようやく新演出でのエレンの立ち位置が分かった気がしたし、キムに同情してタムを引き取ったわけじゃなかったことで、キムもまた報われたような気がして、少し胸をなでおろしたのでした。

明日は完全休演日。11月に入りましたし、地方公演のキムの動向も気になりますが、キャストの皆さんが少しでも心身を休められることを願っています。

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