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『ミス・サイゴン』(34)

2016.11.11(Fri.) 18:15~21:20
帝国劇場 2階F列10番台(下手側)

当初は観劇予定にしていなかった回でしたが、トークショーが発表されたので、リピーター特典込みで追加。ベトナム生地の巾着袋、どうしてどうして、なかなかいい出来です。

まずは本編から。
サイゴンに限らず、リピーター作品は、日によって自分のスイッチが入る場所というのは違うもので、正直、1幕は個人的な事情もあり、あまり乗りませんでした(単純に仕事が忙しすぎて、劇場までたどり着くので精一杯だったのですが)。

が、2幕のとあるシーンから俄然、引き込まれたのだから不思議です。

そのシーンとは、ムーランルージュの2階、キム部屋でキムがアオザイを愛おしげに抱きしめたシーン。
このシーンのアオザイは、ちょうどトークショーで玲奈ちゃんが触れて、なんだか思いがシンクロしたようで嬉しかったのですが、このアオザイはクリスからキムへの贈り物。稲妻の中キムが、「いつかクリスに会える時のために」守り続けたアオザイ。

アオザイを着れることになったということは、すなわちクリスに会えるということ。

その喜びに満ち溢れた玲奈キムの表情が、この日は絶品で。
今までのたくさんの苦労も辛苦も報われたかのような表情を見られたことが、何より嬉しかったです。

正直に言ってしまえば、プレビューの頃の、全力で飛ばしている玲奈ちゃんに比べれば、この日が休演日明けであることが信じられないぐらい、かなりぎりぎりで演じていて、心配せずにはいられない状況ですが、だからこそ、ぎりぎりの思いで生きているキムとシンクロする部分も感じたりして。

ラストシーンでキムがタムを抱きしめるとき、この日、玲奈ちゃんキムはタムを抱きしめたまま、顔に流れた涙を、手でさっと拭ったんです。タムは自分の胸の中に抱いているから、その涙はタムに知られることはない。もっと言えば、キムが涙する姿はタムには見せられない。でも涙は出てしまう。

「キムはタムのために最善の道を選んだ。だからキムは涙を流すのはおかしい

そう言ってしまえば、確かにそうなのでしょうが、でもこの日の玲奈ちゃんキムに強く感じられたのは、『理屈と感情とは違う』という思いでした。

たしかにキムは強い女性ではあろうとも、あの時代において特別に語り継がれるような強い女性ではないはず。強くあらねばならない立場に置かれた女性ではあったのでしょうけれども。

キムは、タムの未来のためには自分はいない方がいい、という選択をした。それが理屈であり覚悟。
だからといって、母として息子と永遠に離れることに対して、悲しいという感情を抱くことだって自然。だから「キムはタムに涙を見せない」という前提のもとに、キムは悲しんだっておかしくない。

クリスに対しても同じで、タムの未来のためにはクリスと一緒になることはできない、という選択をした。それが理屈であり覚悟。
だからといって、かつて愛し合い、今でも心の底では愛しているクリスに、キム自身が抱きしめられることが、嬉しくないわけがない。

タムにとってもクリスにとっても、キム自身がいないことが幸せになれる、とキム自身が気づいたとき、キムは自分自身を「だれにも望まれない存在」だと思ったんじゃないかって、そう思えて。

タムはブイドイだけど、もしかするとキムもある意味ブイドイなんじゃないかって。

でも、自らの決断で愛する男性の元で天に召され、愛する息子も自分が望んだアメリカ行きを決められて。

キムの存在が「だれにも望まれない存在」、「意味のない存在」ではないと思えたことで、自分の決断が意味のあることになった。それはある意味ブイドイにとっての”希望”でもあるのではと、そう思えたりしました。

この日、カーテンコール1回目のご挨拶で、玲奈ちゃんがお辞儀をするときに勢い余って、舞台上に手を突いて微笑ましい笑いが。理生くんも「うぉっ」って驚いてたなー(笑)。玲奈ちゃんは「あちゃ」って感じで苦笑いされてました(微笑)。

終演後はトークショー2回目。
サブタイトルに『さぁ、誰がミスサイゴン?』と付けられたこのトークショー、実は最初から最後まで、そのタイトルについての話にはならず(笑)

下手側から、司会の麻田キョウヤさん(クラブオーナー役)、ゲストの笹本玲奈さん(キム役)、知念里奈さん(エレン役)、中野加奈子さん(ジジ役)の4名の皆さま。バックにドリームランド(正確にはウェディングシーン)のセットを配置しての約20分のトークショーです。

まずは自己紹介を含めて、それぞれの皆さまから役どころに付いてのご説明を。

玲奈ちゃん「キム役は何百回もやっている(参考までにこの日が173回目)ので、ドリームランドで新鮮さを出すのがどんどん難しくなってきています。周囲の皆さんがキムをこれでもかってぐらい『いじめてくださる』んです」

キョウヤさん「『いじめてくださる』って正にそうだよね(笑)」

玲奈ちゃん「『白パンツ!』とか『ダサっ』とか『田舎もの!』とか言われます(爆)。田舎育ちなので、田舎臭さには自信があります。田舎臭さは誰にも負けません(笑)。初めて来た戸惑いを忘れないようにしています」

中野さん「UK(イギリスカンパニー)の時は最初はドラゴンの中に入っていたりしました。以前はドラゴンじゃなくてライオンみたいな感じの被り物だったので、どんどん変わってきています。前(自分が入っていた頃)は凄く重かったです(笑)」

知念ちゃん「実は私もドリームランドに出てます(そのネタは先に玲奈ちゃんがフライングした(笑))。」

キョウヤさん「エレン大活躍だよね。新演出版からエレンは実はドリームランドの中でママさんやってて、ビールとか出してます」

知念ちゃん「エレンがいないとドリームランドが回らないんです」

玲奈ちゃん「ジジが歌っている時、奥でキムがGIに絡まれるんですが、知念ちゃんのエレンは見かねてビール乗せたお盆をすっと差し出してくれて、助け船を出してくれるんです。それがカッコよくて!!(中野さん同意(笑))ママも以前は色んな苦労してきて、だから手を差し伸べてくれるんだろうなと思ってます」

キョウヤさん「あのシーンでは私は麻薬の密売人をやっているんですが、隣をキムが通る時、すごくイヤらしい表情でキムを見ています。サイゴンまた見たくなったでしょう(笑)」

役替わりの話としては、

知念ちゃん「そういえば、稽古で駒田さんがエンジニアの時に『キム!』と言われて『はい!』って答えちゃって。それで『いかんいかん』と。本番ではもちろんそんなことはないです」

そして、ここでキャストさんからの質問コーナー。

まずはフィフィ役の青山郁代さんから知念里奈さんへ。
「クリスとエレンの馴れ初めを教えてください」

知念ちゃん「クリスからエレンは1、2歳上という設定で演じてます。昔からの幼馴染で、エレンにとってはクリスは『ほっとけない』対象。映画の『7月4日に生まれて』の男性と女性の関係を(自分は)2人の関係性の参考にしています。三森さんがどう思われているかは聞いてみます」

2つ目はタム役の武蔵くんから笹本玲奈さんへ。
「タムが着ているミッキーマウスのTシャツはいつ買ったんですか」

玲奈ちゃん「キムにとって、着ていたアオザイはクリスから贈ってもらったもので、クリスにまた会える時に着たいと大事にしてきたものなんです。

キムはバンコクに来て、アメリカ人の観光客とかを見ていて、あの『ねずみのようなそうでないようなもの(笑)』を描いているTシャツの存在を知って。キムにとってはアメリカ人の着ている、そして幸せそうにしているそのことが、『アメリカの象徴、幸福の象徴』に見えていて、タムにもその『アメリカの象徴、幸福の象徴』を着せてあげたいとずっと思っていたんじゃないかって。

ホテルで現実を知って、ペーパードラゴンのシーンでキムは自分のこの後の運命とタムの未来を考えて。タムにあのTシャツを着せてあげて送り出すのがいいんじゃないかって、街中で売られているあのTシャツを全財産はたいて買ったんじゃないかと思っています。

だからキムにとってのアオザイと同様に、タムにとっての大事なものになってほしいという思いが含まれていると思っています。スハがどう思っているかは聞いてみますね(笑)」

3つ目はクラブオーナー役の麻田キョウヤさんから中野加奈子さんへ。
「英語で歌うのと、日本語で歌うのとどちらが歌いやすいですか」

中野さん「向こうでオーディションやるときは完全に緊張して、歌詞が飛んだりするので(苦笑)。英語の方が元の音と詞ですから自然ではあるんですけど、歌いやすいかというより、英語と日本語では同じ歌でも重点を置く場所が違ったりしますね」

最後は各キャストから。

知念ちゃん「今日そういえばハプニングがありまして。ジョンの(上原)理生くんが、『ブイドイ』後に、私を『エレス』って呼びまして(玲奈ちゃん爆落ち)。『エレン』と『クリス』が混ざっちゃったみたいで(笑)。理生くんに『トークショーで話していい?』って聞いて了解貰いました(笑)」

玲奈ちゃん「私もハプニング話しますね(笑)。実は今日お腹が冷えてて、カイロつけてたんですが、1幕途中で落ちてきちゃって(笑)、押さえてました」

そして最後に玲奈ちゃんから。

玲奈ちゃん「今回、同じキム役の昆夏美ちゃんが声帯結節で東京公演をお休みすることになって、(昆ちゃんは)悲しく悔しい思いをしていると思います。ぜひtwitterとかでメッセージを送ってあげてください

その言葉に、会場から暖かい拍手が贈られていました。

実際、終演後のロビーでも「声帯結節なの、大変ね」という言葉が何人からも聞かれましたし、玲奈ちゃんが理由まで含めて触れられてたのは、ロビーに貼られた1枚の紙とは比べ物にならないぐらいの影響力があることを、改めて感じました。

最後は司会のキョウヤさんがこの後の公演地のご案内をされ、「最後まで応援をよろしくお願いします」と締められて終了しました。

同じカンパニー内での和気あいあいさが印象的で、司会にベテランアンサンブルのキョウヤさん(回によってはもう一人のクラブオーナー役の丹宗さん)なのは当たりな、トークショーでした。楽しかったです。

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