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2016年11月

『八犬伝-東方八犬異聞-』

2016.11.26(Sat.) 18:00~20:00
 全労災ホール・スペーズゼロ 14列20番台(上手側)

2016.11.27(Sun.) 16:30~19:00
 全労災ホール・スペースゼロ 12列1桁番台(下手側)

「南総里見八犬伝」をモチーフに女性側から描かれた原作「八犬伝-東方八犬異聞-」、初演は昨年8月(シアターサンモール)ですが、好評につき第二章が上演。新キャストとして岡村さやかさんが琥珀役を演じられるということで、見に行ってきました。

音楽と演出をOneOnOneの浅井さやかさんがされていて、初演でもパフォーマーにOneOnOneでお馴染みの千田阿紗子さんも出られていたので、初演時点で気になってはいたのですが、観られる機会がなく、今回が初見です。

とはいえ、今回の上演に先立って初演のニコニコ動画上映会をやっていただいたので、前日に滑り込みで見て、世界観は何となく把握して見に行きました。

音楽と演出は初演に引き続き浅井さやかさんなので、音楽が初演から一貫してぶれない、激しいシーンをもってしてもどこか安らぐ場所があるような様は、OneOnOneの世界観と通じるものを感じます。

どことなく、綺麗事で終わらせることをよしとしない、感情のぶつかり合いでしか相互理解は起き得ない、といったポリシーが、特に今回の第二章には強く感じます。

第二章の上演は千穐楽を迎えましたので、ネタバレ込みで参ります(最大のネタバレは避けますが)。




原作が未見なので、原作に触れないで書かざるを得ないので、原作から見ると的外れなことを書くきらいはあることをご容赦いただくとして、ただやはり原作を読まないで見ても理解できる造りかというと、そうではないなと。

本音を言ってしまえば、パンフレットに人物相関図は欲しかったです。ニコニコ動画見直しながら自分で人物相関図作っちゃいましたもん(笑)。

今回の作品のような場合だと、見る前に見ていい人物相関図に、透明のネタバレシート(OHPシートみたいな透明なの)を前頁から被せて、「実はこういうことだったんですよ」を”見終わってから見てください”バージョンが作れる、といったパンフレットに憧れるんですけどね。

実はこの人の”影”はここから派生してた、とか。この人に対して実はこういう感情を持っていた、とか。
この人は実はこういう意図で動いていた、とか。この人は実は同一人物だった、とか。

観る前に入れておいた方がいい情報、
観た後に入れた方がいい情報、
それをなしえるのはパンフレットが一番影響力があると思うので、初見の立場からすれば、その点はもう一工夫欲しかったと思います。
原作物を舞台化して、それが一回り成長するには、原作初見でも物語に入り込めるかどうかが重要かと思いますので。

という前提を置いたうえで、今回の第2章を俯瞰するに、言われていたように正に「琥珀編」と言われていた理由がしっかり伝わります。

どんな作品においても、「この人がいなければ物語が成立しない女性がヒロイン」と私は思っていますが、この第二章における琥珀、そしてその役を演じた岡村さやかさんなくしては、この第2章の物語が伝わりきることはなかったのではと思えて。それが何より嬉しかったです。

この物語の本流は「八つの玉を持つ存在を探すこと」であり、その中心にいるのが主人公である信乃<しの>(坂口湧久さん)。そして信乃にとってのかけがえのない存在である荘介(松村龍之介さん)。信乃の「本当の願い」の対象は荘介であり、荘介の「本当の願い」の対象は信乃。

その2人の深い結びつきが物語の主眼になり、2人を取り巻く八犬士がそれぞれ違った方向性で2人に対していくという、ある意味”閉じた世界”の占める部分が大きいこの作品。

その作品の中において、第2章に初めて登場し鮮烈な印象を残す琥珀。
琥珀の存在は、信乃にとって他の誰にも代われない存在であり、また琥珀にとっても信乃は他の誰にも代われない存在。

その意味で、本流で「どちらもが相手を求める」信乃と荘介の関係である太い幹。
信乃と琥珀も「どちらもが相手を求める」関係である太い幹。
後者は前者はリンクしているように見えました。

琥珀がとある気持ちから教会に向かい、そして信乃と出会う。

信乃に対する優しさと裏腹に、琥珀の心は枯れ果てて、自分が生きる意味を見いだせていなかった。それが信乃と出会うことで、まさしく幸か不幸か運命は変わり始める。
自分を必要としてくれている人たちが望む金色の眼。自分を求めてくれる人たちは自分の眼を求めているだけではないかという疑心暗鬼が、心の闇であり鬼への入り口でもあったのかと。

振り返ってみると、岡村さやかさんを初めて拝見した、OneOnOneの休止前の最終作であった『しあわせの詩』から、彼女の役柄はほぼ一貫して、温かさに溢れていたように思います。

『Before After』のエイミーの、ベンへの優しさ然り。
『BIRDMAN』の、”口は汚いが想いはピュア”なドロシー然り。
『ひめゆり』のふみの、妹への無償の愛、然り。
激することで特徴的な『ウレシパモシリ』の歌1役であれ、本質は「理不尽に虐げられる人々を愛するが故の、社会への怒りの表明」ですからね。

唯一今回の役と近そうなのが私が大好きな『Second Of Life』の”昔の彼女”役。自分を疎外され、居場所を見つけられなくなって魂が彷徨うような感じが、今回の役とどことなく通じる気がします。

というのも、普段あまりに「あらゆることに肯定的」なイメージが強いさやかさんにあって、今回の役は特に後半、傍目にはとても”綺麗”とは言えない心の中を、本意でなく曝されることになる。

子供は時に残酷で、大人が”隠していることで精神を保っている”そのバランスを、無邪気に無意識に壊すことがある。

琥珀が「子供なんて嫌いよ」と呟いた言葉は、正に琥珀の心の叫びであり、断末魔の叫び。
それでいて、ただの恨みには聞こえなかったのがさやかさんの凄いところ。
さやかさんが呟いた「子供なんて嫌いよ」の言葉の裏に、「私の苦しみに気づいてくれてありがとう」が見える、それが凄いなと。

-周囲を遠ざけたのは、自分の弱さだったのかもしれない。
自分と向き合わなかったのは、自分の弱さだったのかもしれない。

信乃は子供だったからこそ、琥珀の苦しみにまっすぐに向き合ってくれたのかもしれない。
自分は不幸だと思い続けていたけど、実は自分を不幸にしていたのは自分だったのかもしれない。
でも、自分は不幸だと思うことで、自分でい続けられてきたのかもしれない。

…信乃の存在によって、琥珀は初めて自分に向き合え、魂が救われたのではないかと思えて、素敵でした。

「本当の願い」と思い込んでいたことは、実は本当のものではなかった。
「本当の『本当の願い』」を気づけた琥珀は、荘介が言うように、信乃に感謝していると信じられて、胸がじんとなりました。

信乃に抱きしめられたときの琥珀の笑顔、本当に素敵でしたし。

そして、信乃にとっても、「ロザリオを渡す」という行為をもってしたことは、「過去の自分」と琥珀を重ね合わせているようにも見えて。今の自分がこうなってしまったことへの、”もっと何とか出来たんじゃないか”という思いを琥珀の再生にもつなげているようにも見えて。

自分から遠ざけておいて、孤独を怖れる琥珀。
心を無にしてでしか生きることができず、生きる意味を見つけられず、死を願う琥珀。

過去の自分と重ね合わせ、琥珀が生きた時間の間で”生きる意味”を見いだせたなら、信乃が生き続けることにも意味があるのではないか。そう信乃が思ったようにも見えて。

信乃が琥珀を変えたし、
琥珀が信乃が変えた。

そのお互いの関係性が深く深く伝わってきました。

信乃を演じた坂口湧久さんは『MOZART!』のアマデで拝見して以来なので、大きくなったなぁと。
去年の初演(を映像)で見たときよりも子供度は薄れたような気は少しして、本音を言えば、第2章を去年の彼で見てみたかったという思いはあります。

で、実は彼は、東宝ミュージカルアカデミー(TMA)の試演会で『ミス・サイゴン』のタム役を演じて、その時のキム役が岡村さやかさんだったそうで、それ以来の再会だったのだそうです。

今回も本編のシーンの中で、「あれ、これサイゴンだよね?」的なシーンが存在しますが、そのシーンを見ていると、あぁ、時空を越えて、出会うべくして再び出会ったんだな、と。

琥珀役での岡村さやかさんは、今まで積み重ねられてこられた魅力をあまた出されていて。
正の方向である愛らしさ、強さのみならず、負の方向である苦しみ、憎しみもダイレクトに伝わって。

浅井さんの掲げる、音楽的な難易度を超越する歌唱力と、心を表に出し切る表現力、その”技術”を自然に見せるところまで含めてさやかさんの”技術”。

役者なのか役なのか、その境目さえも見えない今回のさやかさんの琥珀は、ただただ美しかったです。
何だかいろいろな意味で別次元を生きていたように思います。

土曜日はDVD収録・ニコニコ生放送もあり、カーテンコールでのご挨拶は幸運にもさやかさんが登板。

「(第2章で)琥珀は昇天しましたので(会場内笑)、第3章・第4章は皆さんと一緒に客席から一ファンとして楽しみたいと思います。寒い日が続きますが辛いことは愚痴を吐き出して、元気にお過ごしください」

あれだけの演技をされて疲れ切ったろうにこのご挨拶。
誰よりも精神的に辛かったろうに、カンパニーの皆にエールを贈れるそのお人なり。
ハートの温かさを持たなくては、気持ちが伝わる演技や歌にはならないんだなと、改めて感じさせられるひとときは、何よりの至高でした。
岡村さやかさんの魅力をおそらく世界一知っているであろう、浅井さんだからこその配役に、ただただ感謝の念でいっぱいです。

ちなみにこのご挨拶で「八犬伝卒業宣言」をされたさやかさんですが、千穐楽のご挨拶で、驚きの「八犬伝卒業宣言撤回」。

八犬伝2千秋楽、岡村さやかさんご挨拶
「作品途中で片目で歩くことになるんですが、私どんくさいので、ただでさえ転んだりするので(苦笑)。でも片目が見えなくなった分、心で見えてくるみんなの景色が素敵でした。昨日は『琥珀は昇天したので次は客席から楽しみたい』とお話したのですが、荻野さん曰く『復活の呪文がある』とのことですので、次も他の役で出られればいいなと思っています

信乃を人知れず支えて、でも信乃には伝わってる新役とかいいなー。
「琥珀は今でも俺を支えてくれてるんだ」とかいう台詞が来たら泣いちゃう自信がある(!)。

さやかさんは一度口にされたことを翻さない印象があるだけに、千穐楽一番のサプライズで、ある意味、千穐楽の言葉が「本当の願い」だったのかなと。

本編を見ていても思ったことですが、「本当の願い」は自分一人ではたどり着けないものかもしれないなと。仲間と助け合い、必要とされあうことによって、本当の「本当の願い」にたどり着ける。

「死にたくない」じゃなくて「生きたいと願う」。
その前向きのエネルギーが渦を巻いて客席に向かってくる、そんな千穐楽を見られたことにただただ感謝。

千穐楽ご挨拶で皆さま口々に仰られていましたが、「八犬伝3」が実現する日が来ますように。

わっくん、「僕の本当の願いは”『八犬伝3』でみんなと会うこと”です」で締めて末恐ろしい15歳…。

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『Play A Life』(2)

2016.11.20(Sun.) 12:30~13:50
すみだパークスタジオ倉
E列10番台(下手側)

劇団TipTapの通称「Life3部作」の最終作。初演は去年2015年12月で、ほぼ1年ぶりの再演となります。
前回は2チーム制でしたが、今回は白猫チーム・青猫チーム・黒猫チームの3チーム制。
時間の都合もあり、今回、この回、白猫チームのみしか拝見できず。

「Life3部作」とは『Count down My Life』、『Second of Life』、そしてこの『Play A Life』の3作品。
いずれも「どう生きるか」をテーマにした作品群です。

この中では唯一『Second of Life』だけが再演されておらず、初TipTapだったことを差し引いても『Second of Life』が一番好きなのですが、この度TipTap10周年を記念して作成されたパンフレットの中の「TipTapすごろく」を見るとちょっと切なくなる本音が書いてあって淋しくなったり。

『Second of Life』は心の底まで感情に抉りこんでくるところが大好きなのですが、それに比べると、去年初演された時の『Play A Life』は、もちろんいい作品でありいい音楽だと思うものの、どことなくさらりと流れ過ぎた印象を持っていました。

その意味で、今回の『Play A Life』に対する自分の先入観は、どことなく前のめりになれていなくて、「どれか1組見る」想定で日程プランを立てたため、初演経験者が2人入っている白猫チームしか日程確保していなかったということになります。

結果からすると、素晴らしかったです。
終演時、涙が流れました。

白猫チームは、夫役が原慎一郎さん、妻役が木村花代さん、実習生役が田中里佳さん。
原さんは今作初登場、花代さんと里佳さんは初演から引き続きの登場です(初演の夫役は丹宗さん)。

極力ネタバレは避けますが、最小限のネタバレはご容赦ください。
無理な方は回れ右をお願いします。




今回、まず何といっても出色なのは実習生役の田中里佳さん。

初演では、実習生役は平川めぐみさんとのダブルキャストでしたが、初演時は正直言って、めぐみさんが完全に出来上がっていたのに対して、里佳さんはまだ発展途上な面が否めなくて。

やはり大きい役ということもあり、ともすれば必要以上に押し出そうとしたり、必要以上に委縮したりといういった面がどうしても埋め切れていなかった-というのが、今回の里佳さんを見るとはっきり見えてきます。

めぐみさんが初演で役を完成させていたのに対して、里佳さんは初演・再演で役を完成させた感じがしました。

夫と妻の間の、生まれてしまった隙間をどう埋めるか。
本来なら誰も入れない隙間に、実習生である彼女は、お節介でなく、ただ純粋に関わらずにはいられない。それは、自分が今ここに”こうして”生きていることの大きなきっかけとも関係しているから。

今回、この作品を拝見したのは劇場の最上段(最後列)でしたが、座席の段差が大きく(通常の階段の倍の高さぐらいありました。)、3人が並ぶ姿が自然に視界に一気に入る席。

下手側から夫役(教師)の原慎さん、妻役(女教師)の花代さん、実習生役の里佳さんが一直線に並ぶタイミングが複数回あったのですが、妻が夫に伝えたいことのコアに、実習生である彼女が触れたときの光景は忘れられません。

彼女は、花代さん演じる教師の心情に入り込んだかのように自然に言葉を紡ぎ、その瞬間、花代さんの表情が、彼女(実習生)への感謝と、自分がしてきたことが無意味ではなかったことへの安堵(彼女は、花代さん演じる女教師の最初の教え子でした)と、愛した夫が変わってくれるかもしれないという希望、そのすべて含んだ表情に変わって。これ以上ないほどの劇的な表情になったことに、胸を突かれました。

花代さんの出演作品は、四季退団後おおむね拝見していますが(はっきりと拝見していないのを覚えているのは『ラブ・チェイス』)、どことなくお芝居の形を綺麗に作ることに意識されすぎている印象を持っていました。
が、この日の花代さんの教師の表情、このシーンに限らずですが、まさに役に憑依されていて、夫への無条件の愛情、心配でいっぱいになっていて。

初演では、ダブルキャストだった池谷祐子さんに比べると、夫への憤りが見える部分がありましたし、責める空気を感じたりしたものですが、この日は微塵も感じず。
夫に「立ち直ってほしい」と思いながらも、でも触れられない「世界」、触れてはいけない「世界」があることも理解している、素敵な女性の姿を見せていました。

夫は芝居の道を諦めて教師(といっても非常勤講師)になっていて、その生き方が自分の生きるべき道と信じている。妻はそんなことを望んでいないのに、夫は妻への思い故に、それが最善と信じている。

それは自分の人生を自分の人生として真剣に向き合わないで済むということに、妻は気づいているけれど、夫は気づかない振りをしている。

夫は妻を思うあまり、妻を自分の世界に閉じ込めている。
妻は夫を思うけれど、夫を自分の世界から外に出せる術を知らない。

白猫チームはその夫と妻が四季の同期の2人。
恐らくは同期だからこそ伝わる部分と、同期だからこそ伝わらない部分があるように推察するのですが、それゆえ、「近いけど遠い、遠いけど近い」という微妙な距離感が絶妙でした。

その2人の関係に分け入る実習生が触れた、「ただ自分が生きていなくなることが怖い」という歌詞に不意を突かれて。

自分が今の道を生きる道だと選んだ、そのきっかけとなった人の今と向き合うことは、彼女にとって「怖い」こと。

夫が現実と向き合うようにさせるために、実習生である彼女は、先に「その怖い事実」と向き合っているんだ…ということに気づいて。
妻のチョークケースに描かれた猫がなければ、実は「その怖い事実」は起きなかったかもしれないのに、というところまで含めて、彼女はとても高いハードルを越えたのだということを感じて。
でも、その高いハードルを越えるヒントは、妻が彼女に与えていた。

だからこそ、彼女は勇気を出して教師に言うことができたのだし、教師も最後は妻の言葉としてその言葉を受け入れることができて、妻が望む「自分の人生」へ一歩踏み出すことができた。

この作品を貫き通すテーマは『生きる意味』なのだろうなと、初演を経て再演で改めて感じて。

夫にとっては、妻の世界の中で生きる道ではなく、本当の自分の人生の道を作ることが生きる意味だろうし。

妻にとっては、愛する夫を縛り付け続けかねない状況を、教え子が救ってくれた-それは自分が教師として、人間として、生きる力を教え子に与えられたこと。そして愛する人に自分の人生を生きてもらえる力を渡せたこと-それこそが生きた意味だろうし。

実習生にとっては、教師という道を選び、生きる意味を教えることそのものが、真の自分の生きる意味なのだろうし。

そんな物語を、隙なく見せて頂いた、そんな白猫千穐楽でした。

里佳さん、花代さんにしか言及しませんでしたが、原慎さんの受け上手なさまはこの作品初出演とは思えぬほどでした。
原さんと花代さんの四季同期の絆、花代さんと里佳さんの初演同期の絆がそれぞれしっかりと点でなく線で紡がれてきたからこそ、過去の歴史がこの日に結実したのだと、そう思えたのでした。

素敵な千穐楽を見届けられたことに、ただ感謝です。

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『TipTap10周年記念ライブ~for KUMAMOTO~』

2016.11.17(Thu.) 19:30~21:30
すみだパークスタジオ倉 E列10番台

2006年3月設立のTipTap10周年を記念してのライブ。
どの駅からも遠いことで有名な、すみだパークスタジオ併設の劇場で、初めて行ってきました。
見上げるスカイツリーが綺麗です。

チケットを遅れて取ったので後方席になりましたが、段差がかなりあり(イメージ的には日暮里d-倉庫を小ぶりにしたイメージ)で、遮るものがなく、また多人数の曲が多かったので、ちょうど視界で全員が目に入るという、とってもお得なポジションでした。

まずはセットリストです。
途中まで(上田)一豪さんが曲説明していただいていたので大丈夫なはずですが、途中からちょこちょこ怪しいところがあります(笑)。

何しろ正式曲名は中々表には出てこないわけで、実際出演者の中でも「今回譜面見て初めて曲名知りました」(by島田彩さん)といったケースもありまして(爆)。稽古を進めるときは実際のところM1とかM2とかで進めるそうですからね(by一豪さん)。

○セットリスト(敬称略)
1.Songs of a Room/Second of Life
 (伊藤、染谷、岡村、稲田)
2.あと5分/Count down my life
 (伊藤、神田、島田、石田、土方、山岸)
3.もうあなたはいない/Second of Life
 (岡村、染谷)
4.時刻は8時50分/Second of Life
 (伊藤、染谷)
5.生きる哲学/Play a Life
 (平川、田中)
6.movie star/Play A Life
 (丹宗)
7.思いつづける/Play A Life
 (池谷、木村)
8.Count down my Life(島田、石田、土方、山岸)
 ~second of Life(岡村)メドレー
 ※山田葬祭/岡村
9.Play A Life/Play A Life
 (丹宗、池谷、木村、平川、田中)
10.いまを生きる/Play A Life
 (丹宗)
11.声が聞こえる/Second of Life
 (染谷、岡村、稲田)
12.bipolar/Second of Life
 (稲田)
13.いつになれば/Second of Life
 (染谷、神田)
14.ちっぽけな道/Live Original
 (熊本チャリティー応援ソング)
 (全員)
15.Count Down My Life/Count Down My Life
 (伊藤、染谷、島田、石田、土方、山岸)

Encore-1.Drug,Drug,Drug/Second Of Life
 (全員)

10周年とはいえ、曲の構成は直近の「Life3部作」と言われる、『Count Down My Life(CDML)』と『Second Of Life(SOL)』、そして現在上演中(この日休演日)の『Play A Life(PAL)』から。

メドレーを作品ずつに分解すると全部で17曲ですが、オリジナル1曲以外は、CDMLが3曲、SOLが8曲、PALが5曲ということで、現在上演中のPALよりもSOLが多かったのが意外です。

個人的には初TipTapがSOLだったので、思い入れが一番強いこともあり、さやかさんの声で山田葬祭聞けたり、伊藤さん&染谷さんでタクシー聞けたり(ちなみに曲の正式名称はM4「時間は8時50分」だそうです)懐かしかったです。

3部作の中でSOLが好きな理由は、心の抉り方に闇を感じるから。CDMLもPALも好きではあるけれど、どうしてもSOLは別格。

3作中唯一再演されていないこともあり、この日も「再演希望の皆さまが10人ずつ集めていただけると…それでもちょっと少ないんですけど」的な本音が出てましたが(爆)、ぜひまた見たいです。
さやかさんがあの役をできるうちに(本音)。

作品のカラーが少しずつ違うとはいえ、やはり同じ作詞家(上田一豪さん)・作曲家さん(小澤時史さん)ということもあり、それぞれの作品をシームレスに行き来して、時には出ていない作品へ出張しても、それが不自然さがない不思議(SOL未出演の神田恭兵さんが、SOL・A組の染谷洸太さんとM13「いつになれば」を歌われていました。神田さんのソロライブ(小澤さん・成尾さん演奏)で歌われていたからだそうです)。

ダブルキャスト制、トリプルキャスト制が主なTipTapさんですが、この日は同役を2人でデュエットする曲が複数あり、特にPALの「思いつづける」の池谷さん・木村さんデュエットがとても素敵でした。思い続け方が違うのが伝わってくる感じ。演じる役者さんのこれまでを投影するように演出されているように思える、一豪さんの演出の方向性が歌を通じて、違った方向から流れ込んでくるように感じて。

これだけのキャストさんが一同に会して、それでいて皆さんに見せ場も出番もしっかりあるライブ。
CDMLがちょっと割を食っちゃった感じは少ししますが(彩さん以外は少し出番が少なかった感)、TipTapに出演されて、作品を通じて役者さんとして多くの発見をされた喜びが、TipTapさんへの感謝の気持ちとして伝わってくるライブ、そしてその空間を客席で時を共有できたことは、とても嬉しかったです。

今回のライブは熊本支援を謳いつつも、恐らくはチケット代と椛島さん作のアクセサリーがチャリティーかなと思うと、意外にチャリティーチャリティー謳っていなかったのが意外で。

この日のみの披露と思われるオリジナル曲(通常は詩が先だそうなのですが、この曲は珍しく曲先だそうです)も含め、チャリティーCDといった形で出されても良かったのではないかと思います。

熊本出身の一豪さんがMCで話されていた、「地震が少ない熊本なのでみんな驚いた。明るく振る舞っている人も多いけど、熊本城はやはり(熊本人にとっては)特別」と仰っていたことが印象的でした。

TipTapの10周年に触れて、「あの時、CDMLのラストの曲を(違和感が感じたまま)あの曲にしておけば今、ここにいない」といった小澤先生の呟きはなるほどと思ったし、節々に感じられる一豪さん、そしてプロデューサーの柴田さん、それぞれが持つ別々の方向性の「あがき方」が、TipTapをこれだけ続け、大きくしてきた原動力なのだろうなと思えて。

作品作りに妥協がないからこそ生み出される、だからこその夢への道のりの確からしさ。
20周年、それより前の15周年にも、またこういった形でTipTapの道のりを祝える場がありますように。

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『RiRiKA Solo Live ~my words & your words~』

2016.11.12(Sat.) 18:00~20:00
ヤマハホール(銀座) D列10番台(上手側)

RiRiKAさんの今年3回目のソロライブ。
会場は銀座のヤマハホール。去年、綿引さやかさんのライブで来て以来なので、ほぼ1年ぶりになります。
休憩なしの2時間。

まずはセットリストから。

(カラオケバトル曲は★印)
1.As if We Never Said Goodbye/サンセット大通り
2.つばさ/本田美奈子.★
3.NAO/HY★
4.somewhere/West Side Story(with木村花代さん)
5.I'm the greatst star/ファニーガール
6.踊り明かそう/My Fair Lady
7.Shall We Dance?/王様と私(with藤岡正明さん)
8.one song glory/RENT(藤岡正明さんソロ)
9.それ以上の...(something more)
  /ルドルフ・ザ・ラストキス(with藤岡正明さん)
10.My Dearest/original
11.まぁ、いっか/ファンタスマゴリック(withまりゑさん)
12.生きている、それだけのこと/ファンタスマゴリック(withまりゑさん)
13.ひこうき雲/荒井由実★
14.いのちの歌/茉奈佳奈★

<アンコール>
1.The prayer/セリーヌ・ディオン&アンドレア・ボッチェリ
 (with藤岡正明さん)
2.my way/布施明

M1はどうしてもわからず、RiRiKAさんにお聞きしてお答えいただきました(感謝)。

…出てきた当初のRiRiKAさん、「いっぱいMCしていいよ」と言われたそうでご機嫌に、いつもの通り、とてつもない長さのMCが挟まって進行が始まります。
早口なRiRiKAさんのいつものペースで、活字にできない話も含めて、お茶会モードのMCが進行していったわけですが(笑)

全体的にカラオケバトルの曲を主軸に、ミュージカル曲やファンマゴ曲が入る多彩な構成。
休憩なしで2時間突っ走り。藤岡さんのソロと、M10「My Dearest」歌われた後のRiRiKAさんのギャン泣き(ちなみに出てきた(作詞の)まりゑちゃんも号泣(笑))でのRiRiKAさん化粧直しシーンだけ、RiRiKAさんoutでした。

それにしても、喋りまくっていたRiRiKAさんですが、ゲスト第1号の木村花代さんとのMCで、花代さんの告白。

花代さん「舞台監督さんから命を受けてまして。
 MC巻いてくれと(笑)」
RiRiKAさん「(笑)」

藤岡さん「舞台監督さんからMC巻いてくれと。
 このままだと3時間コースだと(笑)」
RiRiKAさん「(苦笑)」

…という事態に(笑)

花代さんはこのライブ、「見に行くよ」と話したらRiRiKAさんふと気づいて「歌っちゃえば」と(笑)
沖縄旅行の運転手はずっと花代さんで、RiRiKAさんは助手席でひたすらカーオーディオいじり、「この曲はカラオケに向いてる」とか言ってたそうで(笑)。

カラオケバトルで暴露された沖縄旅行の件、「写真撮ってたの私です」(by花代さん)

花代さんとRiRiKAさんは同じ『ミス・サイゴン』のエレン役をしているものの、RiRiKAさんは旧演出版(2008年)、花代さんは新演出版(2012年~2014年)なのですれ違い。
その後、『若草物語』で母娘、『グレート・ギャツビー』で姉妹、という感じでもはや血縁関係状態だと(笑)。
「お茶会来ていただいちゃいましょうか」に大拍手が起こる、客席のノリの良さはさすがRiRiKAさんライブ。
ちなみに「はーたん」と花代さんを呼ぶのは「RiRiKAだけです」(はーたん談)

2人のデュエットは、花代さんが某劇団在団当時に出ていた作品で、ご自身では歌っていない曲とのこと。
声質が似ているせいか、素敵な二重奏でした。

まりゑちゃんはいつも一緒にやっているわけで、いつものまりゑちゃんなわけですが、RiRiKAさんが化粧直しに行ったあと、自分の生い立ちで場を持たせようとするとか、相変わらず自由で(笑)
ファンマゴパートは盛り上がりましたねー。バラエティに富んだ構成でも、全く浮かないのが流石です。
「My Dearest」はRiRiKAさんが作った曲をまりゑちゃんに渡したら、「詞が降りてきてさらっと書けた」と仰っていました。

藤岡さんは、ご本人は触れずに後でRiRiKAさんが触れられていましたが、この日、帝国劇場『ミス・サイゴン』のマチネでトゥイを演じてからの登場。というか、私もマチネを見ていたんですけど(笑)
マチネとは全く違う素敵な存在感。

「Shall We Dance?」では何と2人での社交ダンスパートあり、ソロはまさかの藤岡ロジャーですし、何よりアンコールの1曲目が、RiRiKAさんのずっと歌いたかった曲なのだそう。「友達でこの曲デュエット出来る男性を探したら藤岡くんしかいなかったので、お願いしてみたら公演中なのにOKしていただいて」というのが、実は藤岡くんゲストの理由だったのだそうです。
「公演中なのにそれに触れないのが彼らしいよね」とはRiRiKAさん談。

ちなみにRiRiKAさん、「藤岡くんとはお似合いとか言われてたんですよ。でも先に行っちゃいましたね」ってぶっこんでました(笑)

それにしても、「ミス・サイゴン」でトゥイが藤岡くんマチソワの日に、RiRiKAさんが帝劇楽屋に行って小声でリハーサルした話には噴き出しました(笑)

アンコールの1曲目は、とある理由により最近いっぱい聞いている曲ですが(爆)、原語でのデュエットの迫力は物凄かった…。
MCが多いし歌い上げるし、この曲だし、はてどなたのライブに来たんだろうと思っていた人もいそうな気もしますが(←私)。

立て板の如く流れるように喋りまくり、時には小芝居も挟み(M5とM6はRiRiKAさんの年齢帯を自らネタにした『妄想演技』が含まれていました)、歌は曲ごとに全く違う顔を見せて。

今回のライブ、RiRiKAさんの色々な顔を全方位含んでいて。
カラオケバトル優勝者としての顔、ミュージカル女優としての顔、歌手としての顔、ファンタスマゴリックとしての顔。
それが全部「RiRiKAさん」という個性で繋がっていて。
とてもいい構成に思えました。

とりわけ、カラオケバトルの優勝曲が3曲(M2、M3、M14)、優勝時の予選曲が1曲(M13)ありますが、テレビで歌われていた時と、ほぼ変わらない歌声を聴かせていただけるのが、流石だなと。
点を取るために、ものすごい努力をされているのだと思うのですが、どの曲も「RiRiKAさんが歌う意味」「RiRiKAさんなりの歌」はちゃんと固まった上で点を取れるのが凄いなぁと実感します。

歌われた曲の中で、何より聞けて嬉しかったのが
M9「それ以上の...(something more)」。
しかも歌詞が初演版!
マリー・ヴェッツエラ男爵令嬢と、ルドルフのデュエット。
大をいくつも重ねられるぐらい大好きな曲を、まさか生で聞けるなんて。
それにこの曲は、マリーとルドルフの気持ちが通じ合わないと意味がないんですが、RiRiKAさんと藤岡くんですから、そこは全くの心配ナシ。
後で以前からのRiRiKAさんファンの方にお聞きしたら、今までライブゲストによく出られていた、仲良しの元宝塚男役・月央和沙さんとのデュエットで歌われていたそうですね。

アンコール1曲目にはびっくりしましたが、2曲目の「MY WAY」がRiRiKAさんご自身、「これから自分が進んでいきたい道」と仰っていたことにぴったりの歌詞で、素敵なライブの素敵な締めで、観られて良かったライブでした。

333席のヤマハホールをさらっと埋められるあたりはさすがテレビ効果で、きっかけはどうあれ、活躍の場を広げていけるのは何より嬉しいです。また、ソロライブが拝見できますように。カメラも入っていたので、またDVDになりますように。

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『ミス・サイゴン』(34)

2016.11.11(Fri.) 18:15~21:20
帝国劇場 2階F列10番台(下手側)

当初は観劇予定にしていなかった回でしたが、トークショーが発表されたので、リピーター特典込みで追加。ベトナム生地の巾着袋、どうしてどうして、なかなかいい出来です。

まずは本編から。
サイゴンに限らず、リピーター作品は、日によって自分のスイッチが入る場所というのは違うもので、正直、1幕は個人的な事情もあり、あまり乗りませんでした(単純に仕事が忙しすぎて、劇場までたどり着くので精一杯だったのですが)。

が、2幕のとあるシーンから俄然、引き込まれたのだから不思議です。

そのシーンとは、ムーランルージュの2階、キム部屋でキムがアオザイを愛おしげに抱きしめたシーン。
このシーンのアオザイは、ちょうどトークショーで玲奈ちゃんが触れて、なんだか思いがシンクロしたようで嬉しかったのですが、このアオザイはクリスからキムへの贈り物。稲妻の中キムが、「いつかクリスに会える時のために」守り続けたアオザイ。

アオザイを着れることになったということは、すなわちクリスに会えるということ。

その喜びに満ち溢れた玲奈キムの表情が、この日は絶品で。
今までのたくさんの苦労も辛苦も報われたかのような表情を見られたことが、何より嬉しかったです。

正直に言ってしまえば、プレビューの頃の、全力で飛ばしている玲奈ちゃんに比べれば、この日が休演日明けであることが信じられないぐらい、かなりぎりぎりで演じていて、心配せずにはいられない状況ですが、だからこそ、ぎりぎりの思いで生きているキムとシンクロする部分も感じたりして。

ラストシーンでキムがタムを抱きしめるとき、この日、玲奈ちゃんキムはタムを抱きしめたまま、顔に流れた涙を、手でさっと拭ったんです。タムは自分の胸の中に抱いているから、その涙はタムに知られることはない。もっと言えば、キムが涙する姿はタムには見せられない。でも涙は出てしまう。

「キムはタムのために最善の道を選んだ。だからキムは涙を流すのはおかしい

そう言ってしまえば、確かにそうなのでしょうが、でもこの日の玲奈ちゃんキムに強く感じられたのは、『理屈と感情とは違う』という思いでした。

たしかにキムは強い女性ではあろうとも、あの時代において特別に語り継がれるような強い女性ではないはず。強くあらねばならない立場に置かれた女性ではあったのでしょうけれども。

キムは、タムの未来のためには自分はいない方がいい、という選択をした。それが理屈であり覚悟。
だからといって、母として息子と永遠に離れることに対して、悲しいという感情を抱くことだって自然。だから「キムはタムに涙を見せない」という前提のもとに、キムは悲しんだっておかしくない。

クリスに対しても同じで、タムの未来のためにはクリスと一緒になることはできない、という選択をした。それが理屈であり覚悟。
だからといって、かつて愛し合い、今でも心の底では愛しているクリスに、キム自身が抱きしめられることが、嬉しくないわけがない。

タムにとってもクリスにとっても、キム自身がいないことが幸せになれる、とキム自身が気づいたとき、キムは自分自身を「だれにも望まれない存在」だと思ったんじゃないかって、そう思えて。

タムはブイドイだけど、もしかするとキムもある意味ブイドイなんじゃないかって。

でも、自らの決断で愛する男性の元で天に召され、愛する息子も自分が望んだアメリカ行きを決められて。

キムの存在が「だれにも望まれない存在」、「意味のない存在」ではないと思えたことで、自分の決断が意味のあることになった。それはある意味ブイドイにとっての”希望”でもあるのではと、そう思えたりしました。

この日、カーテンコール1回目のご挨拶で、玲奈ちゃんがお辞儀をするときに勢い余って、舞台上に手を突いて微笑ましい笑いが。理生くんも「うぉっ」って驚いてたなー(笑)。玲奈ちゃんは「あちゃ」って感じで苦笑いされてました(微笑)。

終演後はトークショー2回目。
サブタイトルに『さぁ、誰がミスサイゴン?』と付けられたこのトークショー、実は最初から最後まで、そのタイトルについての話にはならず(笑)

下手側から、司会の麻田キョウヤさん(クラブオーナー役)、ゲストの笹本玲奈さん(キム役)、知念里奈さん(エレン役)、中野加奈子さん(ジジ役)の4名の皆さま。バックにドリームランド(正確にはウェディングシーン)のセットを配置しての約20分のトークショーです。

まずは自己紹介を含めて、それぞれの皆さまから役どころに付いてのご説明を。

玲奈ちゃん「キム役は何百回もやっている(参考までにこの日が173回目)ので、ドリームランドで新鮮さを出すのがどんどん難しくなってきています。周囲の皆さんがキムをこれでもかってぐらい『いじめてくださる』んです」

キョウヤさん「『いじめてくださる』って正にそうだよね(笑)」

玲奈ちゃん「『白パンツ!』とか『ダサっ』とか『田舎もの!』とか言われます(爆)。田舎育ちなので、田舎臭さには自信があります。田舎臭さは誰にも負けません(笑)。初めて来た戸惑いを忘れないようにしています」

中野さん「UK(イギリスカンパニー)の時は最初はドラゴンの中に入っていたりしました。以前はドラゴンじゃなくてライオンみたいな感じの被り物だったので、どんどん変わってきています。前(自分が入っていた頃)は凄く重かったです(笑)」

知念ちゃん「実は私もドリームランドに出てます(そのネタは先に玲奈ちゃんがフライングした(笑))。」

キョウヤさん「エレン大活躍だよね。新演出版からエレンは実はドリームランドの中でママさんやってて、ビールとか出してます」

知念ちゃん「エレンがいないとドリームランドが回らないんです」

玲奈ちゃん「ジジが歌っている時、奥でキムがGIに絡まれるんですが、知念ちゃんのエレンは見かねてビール乗せたお盆をすっと差し出してくれて、助け船を出してくれるんです。それがカッコよくて!!(中野さん同意(笑))ママも以前は色んな苦労してきて、だから手を差し伸べてくれるんだろうなと思ってます」

キョウヤさん「あのシーンでは私は麻薬の密売人をやっているんですが、隣をキムが通る時、すごくイヤらしい表情でキムを見ています。サイゴンまた見たくなったでしょう(笑)」

役替わりの話としては、

知念ちゃん「そういえば、稽古で駒田さんがエンジニアの時に『キム!』と言われて『はい!』って答えちゃって。それで『いかんいかん』と。本番ではもちろんそんなことはないです」

そして、ここでキャストさんからの質問コーナー。

まずはフィフィ役の青山郁代さんから知念里奈さんへ。
「クリスとエレンの馴れ初めを教えてください」

知念ちゃん「クリスからエレンは1、2歳上という設定で演じてます。昔からの幼馴染で、エレンにとってはクリスは『ほっとけない』対象。映画の『7月4日に生まれて』の男性と女性の関係を(自分は)2人の関係性の参考にしています。三森さんがどう思われているかは聞いてみます」

2つ目はタム役の武蔵くんから笹本玲奈さんへ。
「タムが着ているミッキーマウスのTシャツはいつ買ったんですか」

玲奈ちゃん「キムにとって、着ていたアオザイはクリスから贈ってもらったもので、クリスにまた会える時に着たいと大事にしてきたものなんです。

キムはバンコクに来て、アメリカ人の観光客とかを見ていて、あの『ねずみのようなそうでないようなもの(笑)』を描いているTシャツの存在を知って。キムにとってはアメリカ人の着ている、そして幸せそうにしているそのことが、『アメリカの象徴、幸福の象徴』に見えていて、タムにもその『アメリカの象徴、幸福の象徴』を着せてあげたいとずっと思っていたんじゃないかって。

ホテルで現実を知って、ペーパードラゴンのシーンでキムは自分のこの後の運命とタムの未来を考えて。タムにあのTシャツを着せてあげて送り出すのがいいんじゃないかって、街中で売られているあのTシャツを全財産はたいて買ったんじゃないかと思っています。

だからキムにとってのアオザイと同様に、タムにとっての大事なものになってほしいという思いが含まれていると思っています。スハがどう思っているかは聞いてみますね(笑)」

3つ目はクラブオーナー役の麻田キョウヤさんから中野加奈子さんへ。
「英語で歌うのと、日本語で歌うのとどちらが歌いやすいですか」

中野さん「向こうでオーディションやるときは完全に緊張して、歌詞が飛んだりするので(苦笑)。英語の方が元の音と詞ですから自然ではあるんですけど、歌いやすいかというより、英語と日本語では同じ歌でも重点を置く場所が違ったりしますね」

最後は各キャストから。

知念ちゃん「今日そういえばハプニングがありまして。ジョンの(上原)理生くんが、『ブイドイ』後に、私を『エレス』って呼びまして(玲奈ちゃん爆落ち)。『エレン』と『クリス』が混ざっちゃったみたいで(笑)。理生くんに『トークショーで話していい?』って聞いて了解貰いました(笑)」

玲奈ちゃん「私もハプニング話しますね(笑)。実は今日お腹が冷えてて、カイロつけてたんですが、1幕途中で落ちてきちゃって(笑)、押さえてました」

そして最後に玲奈ちゃんから。

玲奈ちゃん「今回、同じキム役の昆夏美ちゃんが声帯結節で東京公演をお休みすることになって、(昆ちゃんは)悲しく悔しい思いをしていると思います。ぜひtwitterとかでメッセージを送ってあげてください

その言葉に、会場から暖かい拍手が贈られていました。

実際、終演後のロビーでも「声帯結節なの、大変ね」という言葉が何人からも聞かれましたし、玲奈ちゃんが理由まで含めて触れられてたのは、ロビーに貼られた1枚の紙とは比べ物にならないぐらいの影響力があることを、改めて感じました。

最後は司会のキョウヤさんがこの後の公演地のご案内をされ、「最後まで応援をよろしくお願いします」と締められて終了しました。

同じカンパニー内での和気あいあいさが印象的で、司会にベテランアンサンブルのキョウヤさん(回によってはもう一人のクラブオーナー役の丹宗さん)なのは当たりな、トークショーでした。楽しかったです。

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『ミス・サイゴン』(33)

2016.11.1(Tue.) 10:30~11:15
 帝国劇場2階ロビー(特設ステージ)

2016.11.3(Thu.) 13:30~16:15
 帝国劇場1階A列(最前列)10番台(下手側)

プレビュー以来ご無沙汰な『ミス・サイゴン』。
久しぶりな本編の前に、まずはイベントレポート。

11月1日、全国火災予防運動週間に先駆けて開催された「火災予防防止もちつきまつり」。
帝劇2階ロビーを会場にしてのイベント。オーディエンス100人に当選して行ってきました。
ちなみに、お土産で餅をいただきました(JAさんが協賛されていましたので)。

式次第としては、
 1.来賓ご挨拶
 2.ユカイ署長、笹本署長へ委嘱状交付式
  …司会の方の呼び方はこの呼び方で統一されていました
 3.AED講習
 4.もちつき
 5.ユカイ署長、笹本署長へ感謝状授与
 6.ユカイ署長、笹本署長から色紙贈呈
 7.ユカイ署長、笹本署長からご挨拶
といった感じで正味40分。

”一日消防署長”ということで、当然のことながら制帽と制服。
ご本人は終了後「コスプレ」と謙遜されていましたが(爆)、どんな衣装でも着こなす衣装女王の面目躍如です。

AEDの実演では、署長の指示で署員が実演するという形で、まずはユカイ署長が指揮棒を振って指示。
ただ、どうしても面白くしたくなるようで(爆)。
ちょうど半分ぐらいで笹本署長にバトンタッチで、それ自体は予定通りだったようですが、

「俺、下ろされるの?」

が、やりすぎユカイ署長とあいまって冗談に聞こえなかったのが玉に瑕(爆)。

この日、なにより良かったのは、玲奈さんのご挨拶。

AEDの講習について、
「こういう訓練って最近機会がなくて、今日経験できてよかったです。AEDが駅とかに置いてあるのはよく見るんですけど、実際に自分が使えるのかと思っていました。(今日の訓練を参考に自分も)勇気をもって使えるようにしたいですし、皆さまにも(勇気をもって必要な時は)使っていただけるよう、お願いしたいです」

という言葉は招いた側からすれば百点満点の答えでしょう。

また、
「これから火の元に充分注意しなければならない季節となりますが、『ミス・サイゴン』はマグマのように熱い舞台を『一人一人』作っています。どうぞよろしくお願いします」

というのも東宝さん的に百点満点でしょう。

何しろ「火が付いたサイゴン」で「火災予防安全まつり」と言われると、その矛盾はどう解消するんだと思っていたので(爆)、どうフォローするのかと思っていました。

が、「火の元に気を付ける」は実は各家庭の話でもあり、帝劇の舞台上の話でもあり(結婚式シーンで実際の火を使っていますし、モーニングドラゴンのシーンでも爆竹で火花が飛びますし)、予防に努めている以上、サイゴンの舞台上の話に触れてもいいわけですね。

ちなみに消防庁丸の内消防署管内での火災による死者は、30年以上ゼロだそうです(平成26年に自損で1名亡くなられているそうですが、自損の場合は「火災死者ゼロ」継続となるそうです)。

もちろん、主催さんからのサジェスチョンもあったとは思いますが、”舞台を『一人一人』作っている”という言葉が玲奈ちゃんの言葉で自然に聞けたことが何より嬉しかったです。

今期は女座長の風格な玲奈ちゃん。
自分だけじゃなく皆で作っている舞台。
この場に一緒に立ちたくても立っていない仲間たちの分まで、サイゴンをもっといろいろな人に知ってもらいたい、という思いが自然に表れた姿を見られたことが感慨深くて、頼もしかったです。

・・・・

そして本編の話へ。
2週間近く空いたサイゴン、11/3は今期唯一の最前列。下手側なので、キムのラストシーンが水面下に潜って、玲奈ちゃんが必死で身体を上野クリスに預けて初めて見えるという事態もありましたが(苦笑)。

全体的には客層がいつもと違う感じで、ユカイさんのエンジニアならではかと。
いつもより拍手が少なかった印象はありましたが、舞台上はいつもと変わらず熱い。

玲奈ちゃんは流石にプレビュー期間から比べるとちょっと抑え気味。それもそのはず、20日間のうちサイゴンOFFは5日間だけ。
この日を越えると明日がようやくお休みということで、終わった後はさすがにホッとされていたようでしたが、タム(武蔵君)を抱きかかえることはせず、やはりお疲れなんだなぁと。

下手側から見て印象的だったのは、ドリームランドのシーン、ジジがぶんむくれ(やってられないわよとエンジニアに食って掛かるシーン)のときの、エンジニアからジジへのぞんざいな扱いを見て、呆然としている青山郁代ちゃんのフィフィの”死んだ目の”表情。
エンジニアについていくしかない身を顧みて、実際には女”性”としか扱われていない自分の境遇に思いを至らせているようで切なかったです。

そして最前列で拝見し迫力に戦慄したキムとトゥイの対決シーン。
この日のトゥイは藤岡くんですが、両親の写真を玲奈キムに突きつけるときの様がプレビュー期間とはまた違っていて、キム間近までまさに”突きつける”様が物凄く怖くて。
神田君のトゥイは「脅かす」感じなのに、藤岡くんのトゥイは「脅す」感じ。
神田君には「切り付けそうな怖さ」を感じるけど、藤岡くんには「刺しそうな怖さ」を感じる。

ここでのエンジニアを含めた関係は、ラストシーンとリンクしているのかもと、この日ふと感じたり。
トゥイの部下に痛めつけられ「命あればこそ」とキムに諭すエンジニアにとっては、「生き延びること」がなにより大事。
「嘘をついては生きていけない」と言うキムだからこそ、最後キムはあの選択をする。

クリスを愛しているけど、タムのためには自分の愛は通せない。
「クリスを愛していない」という嘘は付けないからこそ、キムは生きていけないんじゃないかと、そうも思えて。

キムにとって自分にとっての一番大切なものはタムだったろうけど、自分の想いだって大切じゃないわけじゃない。でも、キムが生き残り、クリス夫婦から援助を受けて生きる人生は、キムにとって「死んでいるように生きている」、それはそれこそ郁代ちゃんのフィフィじゃないけど、戦時下であの立場にいた女性の、その立場のままでいることじゃないかと、そう感じたようにも思えて。

・・・・

そしてこの日、一番印象的だったのは、エレンでした。この回は今期初の三森さんエレン。
ホテルのシーンでキムと対した時、

「それじゃ何『か』

と仰ったんです。

ここ、普段は「それじゃ何」になってて、それがエレンのキムへの冷たさを際立たせていたように思うんです。
なので、この日の三森エレンの「か」は自分にとっては衝撃的でした。

今期は特にエレンはキムに優しく接しているように感じますが、「それじゃ何」だと、キムを相手として認めていないように思う反面、「それじゃ何か」だと、キムを相手として認めているぐらいの違いを感じました。

その流れで見ていくと、今まで全く理解できなかった『maybe』がようやく理解の端緒に付くように。
この曲でキムに対する譲歩を見せるエレンが、なぜクリスをあそこまで責めるのか。
そこの一貫性が全く理解ができなかったのですが、よく考えたらエレンはキムに対して直接譲歩はしていない。
この曲は逡巡しているだけの曲なんだと。

『maybe』ってそれこそ”仮定”の曲なんですよね。
”もしクリスがキムを選ぶなら”自分は身を引くという話で。
クリスがエレンに対して告白し、エレンを選ぶことにしたからエレンもクリスを支える。
だからキムとタムの問題だけが”問題”として残る。

「息子だけならせめて引き取ることもできるわ」

これは以前は
「息子だけならせめて引き取ることもできたわ」だったんですよね。

タムを引き取る意思は、以前は過去形だったけど、今は現在形。

エレンとしてクリスを支えるためにも、クリスの過去もひっくるめて受け止めるために、エレンの意思としてタムを引き取る。だからこその、ラストシーンでのエレンからのタムへの抱擁。

そう考えると、ようやく新演出でのエレンの立ち位置が分かった気がしたし、キムに同情してタムを引き取ったわけじゃなかったことで、キムもまた報われたような気がして、少し胸をなでおろしたのでした。

明日は完全休演日。11月に入りましたし、地方公演のキムの動向も気になりますが、キャストの皆さんが少しでも心身を休められることを願っています。

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