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『ミス・サイゴン』(31)

2016.10.15(Sat.) 18:15~21:00
帝国劇場 1階C列30番台(センターブロック)

2年ぶりの再演です。

開幕1週間前に、キム役トリプルキャストのうちの1人、昆夏美さんが声帯結節を発症して帝劇公演を休演。
昆キムの登板20回は、玲奈キムが9回、スハキムが11回担当することになりました。
結果、帝劇公演58回は、玲奈キム・スハキムともに29回ということになります。

玲奈ちゃんはこの回が2004年以来通算155回目。
帝劇楽が183回目、大楽(名古屋)は196回目の予定です。
玲奈ちゃんとしてはエポニーヌ(270回/2015年8月18日大阪・梅田芸術劇場)に次ぐ2番目の登板回数の役になります。

まだプレビュー初日なので、ネタバレ気になさる方は回れ右で。


・・・・

この日は元々玲奈キムの登板予定ということもあり、特段の告知もなく普通のプレビュー初日。
良席をいただいたこともあり、オペラグラスなしで見られたのですが、何といっても玲奈キムが凄かったです。

玲奈キムは2004年からもう何十回も見てきたわけですけれども、紛うことなき玲奈キムのベスト回。
今まで、どちらかと言えば玲奈キムは2幕は安心して見ていられたんですね。
心の揺れを歌声に乗せるのが巧みなので、回想シーンのヘリコプター前のシーンとか、玲奈ちゃんの歌声で1・2を争う好きな歌声。

反面、1幕ではどことなく「キムを演じることで精いっぱい」という部分がどうしてもあったように思うのですが、この日の玲奈キムは間違いなくキムを「生きて」いて。
戸惑うところも、クリスと出会って燃え上がるところも、トゥイと対峙してシフトチェンジするところも、すべてが「魂のキム」でした。

あまりに玲奈ちゃんとキムの境界線がなくなっていて。そういえば、「命をあげよう」の前のシーンでタムを前にあぐら座りする玲奈キムにびっくり(笑)。タムを弄ぶ(爆)エンジニアに突っ込み入れる余裕がないのはいつものことだけれども、エンジニアの行ないに「はいはい」って適当に流すキムの余裕っぷり、そしてその後の動きがとっても漢前キム。今まで漢前キムっていなかった気がするなぁ。ソニンちゃんぐらいかな。

昆ちゃん休演を受けての玲奈ちゃんのtweet、凄まじいばかりの漢前で心強かったからなぁ。

キムとしての大きな変更点は、クリス&エレンの夫婦討議の後ろでの「懐かしい声と~」の出場所が大きく変更。上手端の高所(帝劇上手端から見上げる場所、『レ・ミゼラブル』のエポニーヌがダッシュ出る場所のちょっと舞台中央側)に変わり、そのままエンジニアが連れてきているタムを連れに向かうところ。

もう一つはラストシーンのキムのカーテンが、見えなくなっていない(透けている)。
あのシーンを「隠すべきじゃない」という演出プランなのかわかりませんが、何をやったかが分かる分、キムがトゥイにしたことと、キムが自分にしたことが、同じ物体を介することで、繋がりがはっきりしたようには思えました。キムが自分にしたことは、神様への贖罪の願いでもあったのかなと。
せめてタムは、私の行ないと無縁でありますようにという。

・・・・

ラストシーンのエレン、この日は知念ちゃん。再演するたびにエレンのタムへの思いが他人じゃないように思えてくる不思議。あんなに自発的にタムを抱きしめに行って抱きかかえていたっけなぁ…。

ホテルのシーンもそうだけど、エレンの歌も再演するたびにキムには優しくなっていく不思議。
それでいてエレンはクリスをこれでもかってぐらい責めるのは今回も何一つ変わってなかったどころか、知念ちゃんは史上最強レベルにハードだった(爆)。

知念ちゃんは声が硬質なせいもあって、キムに対峙するところは冷たい感じが見えてたし、クリスへの責めは強く感じたし、役柄的にはキムよりもずっとあってた感じ。

エレンはブイドイ大会も新衣装(黄緑のドレス)、ホテルシーンも白と青のドレス(公式で紹介済み)。
歌詞もエレンはかなり変更になっていました。全体的に自然な歌詞変更で、むしろ滑らかになってどういう歌詞になったのか残らない(苦笑)。

トゥイもかなり激しい歌詞変更。この日は元クリスの藤岡くんということもあり、見ている方からは「前世はクリスだったんだよ」が脳内に入り込んで困る巻(笑)。

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全般的に2014年からの変更なのか、2016年からの変更なのかが分かりにくいというのが、知人皆の一致した感想でしたが(笑)、変更になるにしても2016年版になってみると結果的に歌詞の引っ掛かりがかなり減っていて、滑らかに進むようになっている傾向があります。あえてわざわざ考えるために変な歌詞になっていたようなところが自然になっていた箇所複数。

ちょっとおっ?と思ったのはクリスがキムのことを「蓮の花」と言ってたのが今回から「月のよう」に変わっていました。クリスにとって暗闇を照らすキムが「月」に見えたと思うと、何だかちょっと腑に落ちつつも、ちょっと薄くなっちゃった感じもあります。

ヘリコプターの起こす風を吹き出すために帝劇上部を改造して、離着陸シーンではかなりの風が吹いているのは印象的。

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アンサンブルさんはまだ全然追い切れてませんが、前回から続投の青山郁代さん、役名は変わった(ミミからフィフィ)のに、衣装も立ち位置も動きもソロパートも一切変わっていないというのが噴きました。(もともとフィフィ役のポジションなのだそうです)。

「アメリカン・ドリーム」でエンジニア役を囲み、半胴上げをするシーンとか、そこかしこに変更が入ってはいつつも、全体的には1幕2幕ともスムーズに進むようになった印象。

プレビュー故に、最初のカーテンコールのみで終了で、劇場側から「本日の公演は終了しました」のアナウンスが入る珍しい幕切れ。でも劇場中で鳴りやまない拍手は、まさしくこの日のプレビュー公演の素晴らしさに対しての反応。

上記では一部の方しか言及しませんでしたが、『ミス・サイゴン』として確固たる形を見せたこの日の公演。
市村さんエンジニアの復帰に相応しい公演でした。
願わくばこの公演の熱気が継続し、そして一人でも多くの方が新たに『ミス・サイゴン』の世界を見る機会が訪れますように、願っています。

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