« 『ミス・サイゴン』(31) | トップページ | 『新妻聖子コンサートツアー2016~The Prayer~』 »

『ミス・サイゴン』(32)

2016.10.16(Sun.) 18:15~21:10
帝国劇場2階L列20番台(センターブロック)

元々昆ちゃんキムのプレビュー初日で取ったチケット。
結果的に、玲奈ちゃんキムのプレビュー連投の2日目になりました。

プレビュー期間は、マチネがゲネプロになるわけで、金曜日マチネが市村さんゲネ、土曜日マチネがユカイさんゲネ、ソワレが市村さん本番、日曜日ソワレがユカイさん本番と、玲奈ちゃんは3日間に4回登板。
2004年以降のサイゴンでは今までこんなことはないですし、今後もないでしょうね。日曜日ソワレが終わった後の、安心しきった笑顔の理由に納得です。

ネタバレありますのでお気になさる方は回れ右でお願いします。




前日の凄味そのままに、この日も玲奈キムはキムを”演じている”様を微塵も感じさせず、ただただキムを生きていました。その上、1回本番が終わったからなのか、余裕さえ感じられて。

というのも、この日デビューだった小野田龍之介クリスが素晴らしかったんです。”役柄上”いい塩梅にチャラくて、その”自由”さに「籠の中の鳥」のキムが、惹かれる様が手に取るようにわかる。キムにとって、クリスは自由の国アメリカの体現者でもあるわけですよね。

結婚の約束をキムだけがしたつもりになっている階段のシーン、キムが「友達がお祝いに」と言った時、小野田クリスが「ちゃんとしとけよ」みたいに言ったアドリブがとっても良くて。

キムをしっかり受け止めつつ、でもちょっと大人じゃないとクリスは!
キムの前じゃ、ヘタレじゃいけないんですクリスは
(力説)。

そんな小野田クリスに引っ張られて、玲奈キムのピュアさが更に増し、なんで帝劇でこんなに組み合わせ少ないのか(もともと3回、昆ちゃん休演で7回に)と不思議になるほどなナイスペアです。

でも、クリスはエレンの前では子供。精神的に子供。だからこそ大人なエレンがクリスをあそこまで罵倒するのは分からなくない。ただ、大人なエレンは、キムの真っ直ぐな思いに自分を立て直せないでいる。自分の正義がキムに通じないことに焦りを隠せずにいる。

玲奈キムと小野田クリスと知念エレンはそのトライアングル人間関係が抜群のバランス。
誰だけが一方的に悪いわけじゃないことを見せていて、見る側それぞれが誰に感情移入することも、誰に感情移入しないことも見る側に委ねている。それがとても良かったです。

ジョンがこれで理生くんだったら最高だったなー。理生くんはアンジョルラスで出始めたころは演技面では不安を感じることが多かったけど、1789で一回りも二回りも役者として大きくなった感じがあるので、ここは理生くんで観たかった。ジョンの正義が加わると、クアトロ人間関係になってますますスパイラルに陥るわけですけれども。

・・・

この日はダイヤモンド☆ユカイさんのエンジニアデビュー。
ポップな感じの市村さんエンジニアに比べて、やっぱりロックなユカイさんエンジニア。
ご自身も仰っていた通り、演技面ではかなり苦心の跡が窺えましたが、エンジニアに関しては居方(いかた)がどうかが一番大事に思えて。エンジニアのポジショニングをきっちり捉えられていたので、演じるたびに面白い面が見られそうで楽しみです。

ただ、この日はPA(マイク)が明らかに絞りすぎで、2階最後列では聞き取れないこともしばしば。舞台発声の問題もあるのでしょうが、キャラクターは良いので改善されることを願っています。

あと、初日からちょっとアドリブが多かったような。最初のうちはあまりない方が良い気がします。

・・・

前日観て書き忘れていたのですが、今回、トゥイの歌詞変更が多くて一番「おおっ」と思ったのは、エンジニアに対してキムを探すよう命令する際に「俺の従兄弟」とは言わずに「この女」と言うんですね。

キムが従兄弟であったことをエンジニアにわざわざ隠す理由が気になったのですが、トゥイにとって従兄弟というより許嫁という面が強い(トゥイがそう思いたい)からなのか、エンジニアに変な弱みを掴まれたくないかは、興味深いところです。

トゥイは藤岡くん、神田くんどっちもいい。

藤岡トゥイで凄かったのが、キムと対峙してキムの両親の写真を叩きつけるところ。キムの目の前に写真をかざし、キムに対して「お前が俺を選ばなければ、俺がこの写真をどうするかわかるだろうな」と言わんばかりにじりじりと迫る。玲奈キムがそれを察して極限の緊張状態で対峙し、永遠に思えた時間の後に、写真を叩きつけるように落とした時間が、本当に怖かった。

神田トゥイは悪夢のシーンが凄い。キムに対する、可愛さ余って憎さ百倍、って殺されているから当たり前ではあるのですが、信じていた相手に、こともあろうに(親が決めたとはいえ)許嫁から殺されたことへの怨念は、彼の真骨頂で、玲奈キムの震えあがる様が見るからに納得でした。

1幕では
「触らないで『。』この子『は、』残された生き甲斐よ」が
「触らないで『、』この子『を。』残された生き甲斐よ」に
変わっていました。

「この子(タム)は(キムにとっての)残された生き甲斐」であって、それはトゥイを止める理由付けにはならないからなのかなと。
「この子は(キムにとって)残された生き甲斐」だから「触らないで」と懇願しているように思えて、なんだかトゥイを刺激しないようにキムが慎重に動いているように、ふと感じました。

・・・

プレビュー2日間、そういえば玲奈キムのあぐらが2日目にはちょっとソフトになってた(足を交差する程度)のも変化でしたが、キャストの違いでの表現の違いとかも比較的許容されているようで、キャスト違いで受ける印象が違うのが今年の特徴かなと。

都合で次に見るまでの期間が少し空いてしまうのが残念ですが、今の熱さでより沢山の新たなお客様を導き入れられますように願っています。
(この日は前日と違い、プレビュー期間に関わらずダブルアンコールがありました。)

|

« 『ミス・サイゴン』(31) | トップページ | 『新妻聖子コンサートツアー2016~The Prayer~』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/64359216

この記事へのトラックバック一覧です: 『ミス・サイゴン』(32):

« 『ミス・サイゴン』(31) | トップページ | 『新妻聖子コンサートツアー2016~The Prayer~』 »